ミカン科 (ミカンか、Rutaceae)は双子葉植物 の科 で約150属 、900種 からなる。木 (一部草本 )の状態で存在し、温帯 から熱帯 に分布する。精油 を含み芳香(異臭の場合もある)を有する。花に芳香のあるものも多い。かつての日本 ではヘンルーダ科 と呼ばれていた。牧野 (1940) はマツカゼソウ (Boenninghausenia albiflora )から取ってマツカゼサウ科 としている[1] 。
概要 ミカン科, 分類(APG IV) ...
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ミカン科の全体像というものは捉えづらいものである[2] 。しかし概ねは、
といった特徴を持つグループと考えるのが妥当である[2] 。ミカン科植物として最も知られているのはミカン であるが、子房内部の毛が多汁質のミカン状果を成すのはミカン類のみの特徴であって、ミカン科を代表するものであるとは言い難い[2] 。実際、果実の形態は蒴果 、石果 、ミカン状果などと変化に富んでいる[2] 。ミカン科の学名である Rutaceae の基となったヘンルーダ属 (Ruta ) に関しては草本であるという点が科内では特殊であり、また科内で種数が最多であるサンショウ属 (Zanthoxylum ) にしても刺 ( とげ ) のある木本であり葉が羽状複葉、果実が乾燥しており2-3個に分裂するという特徴は代表的とは認めがたいものである[2] 。
ミカン科を識別する際に最も手掛かりとなる特徴は、葉肉内に油点 が含まれているという点である[2] 。
ミカン科の柑橘類 (ミカン属 、キンカン属、カラタチ属などのグループ)は果樹 として非常に重要であるとされ、サンショウ 、コブミカン 、オオバゲッキツ などは、香辛料 として用いられる。キハダ 、ゴシュユ 、ヘンルーダ など薬用に用いられたものや、ミヤマシキミ など有毒植物 もある。観賞用に栽培されるものとしてボロニア (英語版 ) 、ゲッキツ などがある。また、アゲハチョウ 科のチョウ の食草 としても知られる。
特に断りのない限り、分布情報や命名者情報は POWO (2024) による。
目次
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M
Melicope orbicularis
一部不確定であるが、一般に次のように下位分類(亜科・連・属)されている。
ヘンルーダ亜科 Rutoideae
サンショウ連 Zanthoxyleae
Bosistoa
サンショウ属
Evodiella
コクサギ属
アワダン属
Choisya
Platydesma
マツカゼソウ連 Ruteae
マツカゼソウ属
Psilopeganum
ヘンルーダ属
Thamnosma
Cneoridium
ハクセン属
ボロニア連 Boronieae
Eriostemon
Phebalium
Asterolasia
Correa
ボロニア属
Diosmeae連
Cusparieae連
Pilocarpus
Esenbeckia
Euxylophora
Erythrochiton
サルカケミカン亜科 Toddalioideae
キハダ属
ホップノキ属
Oricia
Vepris
Acronychia
サルカケミカン属
ミヤマシキミ属
Amyris
Teclea
ミカン亜科 Aurantioideae
ミカン連 Citreae
カラタチ属
ミカン属
Clymenia
Microcitrus
キンカン属
Citropsis
Limonia
Triphasia
ワンピ連 Clauseneae
ゲッキツ属
ワンピ属
Atalantia
Swinglea
Aegle
ハナシンボウギ属
Spathelioideae亜科
Dictyolomatoideae亜科
注釈
Poncirus という属自体は Stevens (2001-) でも独立種が存在することが窺えるが、日本語名の元となったカラタチ Poncirus trifoliata は Hassler (2019)、The Plant List (2013)、米倉・梶田 (2003-) ではミカン属の Citrus trifoliata として受容されている。
出典
岡田稔 新訂監修『原色牧野和漢薬草大圖鑑』北隆館、2002年、243頁。
E.J.H. Corner、渡辺清彦 『図説熱帯植物集成』廣川書店、1969年。
林弥栄 、古里和夫 監修『原色世界植物大圖鑑』北隆館、1986年。
英語:
Hassler M. (2019). World Plants: Synonymic Checklists of the Vascular Plants of the World (version Apr 2018). In: Roskov Y., Ower G., Orrell T., Nicolson D., Bailly N., Kirk P.M., Bourgoin T., DeWalt R.E., Decock W., Nieukerken E. van, Zarucchi J., Penev L., eds. (2019). Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 24th December 2018. Digital resource at http://www.catalogueoflife.org/col . Species 2000: Naturalis, Leiden, the Netherlands. ISSN 2405-8858 .
The Plant List (2013). Version 1.1. Published on the Internet; http://www.theplantlist.org/ (accessed 7th February 2019).
POWO (2024). "Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30001492-2 2024年4月9日 閲覧。
Stevens, P. F. (2001 onwards). Angiosperm Phylogeny Website . Version 14, July 2017 [and more or less continuously updated since]. 2019年2月7日 閲覧。 日本語: