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日本の明治が製造販売するチョコレートスナック菓子 ウィキペディアから
きのこの山(きのこのやま)は株式会社明治が1975年から製造・販売しているチョコレートスナック菓子[1]。長さ3センチほどのキノコ型をしており、クラッカーの芯の頭をチョコレートが覆っている。姉妹品に「たけのこの里」がある。
1969年(昭和44年)に明治の大阪工場でアポロの生産が始まったが当初は売れ行きが不調であったため、その円錐形の小粒チョコの生産ラインを有効活用できないかと大阪工場の担当者が作った試作品がきのこの山の原型にあたる[2]。それは円錐形のアポロを傘に見立て、その底面にクッキーの軸を挿してキノコの形にするというアイデアであった[3]。この試作品は1970年(昭和45年)に、アポロやチョコベビーなど小粒チョコレート製品の今後の開発方針を検討していた明治の研究所へ持ち込まれたが、当時のチョコレート製品は板チョコやチョコバーが一般的でポッキーがようやく出始めたという状況であり、この奇妙な試作品には賛否両論が出た[2]。
その後は5年の開発期間をかけ、食べやすくするため軸をクラッカーにする[4]、そのクラッカーの焼成方法も工夫する[1]、形に可愛らしさを加える[4]、チョコとクラッカーが組み合わさる味わいをベストにする[1]、チョコにクラッカーを挿す工程を試行錯誤する[1]、など何百もの試作を重ねた[2]。
やがて新商品としてリリースするにあたり、商品名とパッケージについても慎重に議論が進められた[2]。当時は暮らしの欧米化に伴い、スタイリッシュな欧米風の菓子名とパッケージが流行していた[1]。しかし、高度経済成長も一段落して安定成長に入ったことから、消費者は自然ののどかさを求めていると読み[3]、「郷愁や自然、人間のやさしさといったイメージを表現する親しみやすいネーミング」として「きのこの山」という名前がつけられ[2]、パッケージもそれまで菓子製品には不適とみられていた緑を基調とする[2]、里山をモチーフにしたデザインが選ばれた[1]。前例が無いタイプの製品であったため、発売の半年前にはエリア限定のテスト販売を行うなど、消費者へのアプローチも手探り状態であった[1]。
きのこの山は1975年(昭和50年)に発売されると爆発的な大ヒット商品になり、新発売された菓子の販売記録を塗り替えた[1]。製造ラインがあった大阪工場は、ラインを増やしてフル稼働しても生産が間に合わないほどで、営業担当者から納品を催促する電話が引きもきらなかった[1]。4年後には姉妹品の「たけのこの里」も登場し、日本にファンシーチョコスナックというジャンルが開拓された[2]。
一般に菓子製品のライフサイクルは食べ始めた子供が成人するまでの20年であり、きのこの山も1990年代末には売り上げが落ち込んでいた[1]。しかし、2001年(平成13年)に、たけのこの里とのライバル関係をアピールした「きのこ・たけのこ総選挙」キャンペーンを実施して改めて注目を集め、売上の回復に成功した[1]。また、投票への恩返しという名目で[1]2003年(平成15年)にはミルクとカカオの香りが引き立つようチョコレートを2層にするモデルチェンジを行った[4]。
2008年(平成20年)に新たなキャラクターとして「きのこの山」に「きの山さん」が登場し、翌2009年(平成21年)には「たけのこの里」に「たけ里ブラザーズ」が登場した[5]。
2013年(平成25年)には、子供や子持ち親以外の世代にも訴求できるよう、甘さを抑え重量を増やした「大人のきのこの山」を発売し、売上の維持を図っている[1]。
知的財産権関連では、2016年(平成28年)12月に明治は「きのこの里」と「たけのこの山」という実際には存在せず発売予定も無い商品名の商標登録を特許庁に出願し[6]、その後、問題なく登録された。これは、カシオの腕時計「G-SHOCK」が「A-SHOCK」から「Z-SHOCK」までを漏れなく商標登録しているのと同様、他者による類似品の使用を防ぐための布石であるが、世界的大ヒットとなったピコ太郎の「PPAP」の商標が同年10月に無関係な大阪の企業に先取されてしまった[6]ことをきっかけとして行われた予防的措置(防衛出願)であった[6]。ただし、使用できない商標は3年で取消の対象になるため、今度も明治は対応を迫られはする[7]。
2019年のプレスリリースによると「たけのこの里」は「サクサクの味わいクッキーを組み合わせた」となっているのに対し、「きのこの山」は「サクサクとしたクラッカーを組み合わせた」と説明されている[5]。きのこの形に特定のモデルはないが、テレビ朝日の番組調べではヤナギマツタケが似ているとの調査結果がある[9]。
製品開発時においては菓子の商品パッケージに採用されない色と思われていた、緑の色調を主体としたデザインを業界で初めて採用する。発売当初は現在よりも色が控えめでシンプルであり、のどかな山村が描かれていた。現在は、キノコが生えた農村風景が描かれている。
「ほっとひといき」のサブタイトルもつけられている。
今までに20種類以上の限定商品が発売されている。
2023年(令和5年)7月に明治ホールディングスと岐阜県、関市などが森林づくりの協定を締結し、2024年(令和6年)5月11日に岐阜県関市の寺尾ケ原千本桜公園内に「きのこの山・たけのこの里の森~明治グループ自然保全区」を設置した[18]。
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