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スロバキアおよびチェコの民謡 ウィキペディアから
おお牧場はみどり(おおまきばはみどり)は、スロバキアおよびチェコ東部モラヴィア地方(ホレラ・リプカ、ホレラ=菩提樹が燃えていた、燃えていた= - スロバキア語原題 : Horela lipka, horela / チェコ語原題 : Hořela lipka, hořela)と、チェコ西部ボヘミア地方(アイ、ルーチュカ、ルーチュカ・シロカー=ほら牧場、広い牧場= - チェコ語原題 : Aj, lúčka, lúčka široká)の民謡の邦題。日本語版は中田羽後のほか、後年の複数の作詞者による同一題名の作品が複数存在するが[1]、本項では本作品を日本に紹介して広めた中田羽後作詞のものに限って言及する。
本作の中田羽後・馬場祥弘・藤田敏雄・加茂六郎による訳詞は著作権の保護期間中のため、日本国著作権法第32条および米国著作権法第107条によりフェアユースと認められる形式の引用を除き、ウィキペディアへの掲載は著作権侵害となります。また、演奏などの著作隣接権についても注意ください。 歌詞全文はTemplate:歌ネットやTemplate:Genius songを使用した外部リンクにより合法的な参照が可能です。 なお原詞・作曲については著作権保護期間が終了しました。 |
スロバキアやチェコの農村地帯で古くから親しまれていた民謡で、両国では現在も民俗歌謡祭などでよく歌われている。19世紀末から20世紀初頭にかけての移民によってアメリカにもたらされ、牧場での集団労働を賛美する労働歌風の「ああ、美しい牧場」(英語原題 : Ah, Lovely Meadows)に改作された。
日本語の「おお牧場はみどり」は、大正期に留学で渡米した経験を持つ牧師の中田羽後が、アメリカの"Ah, Lovely Meadows"の英語詞を下敷きに「ああ牧場はみどり」として3番構成の歌詞を作ったもの。第二次世界大戦後、日本YMCA編集の歌集に掲載され、うたごえ運動の隆盛を背景に各地の歌声喫茶で広まった。さらに1961年4月3日にはNHKが『みんなのうた』第1回放送の最初の歌として紹介し、この時題名と歌詞が「おお牧場はみどり」に改められた[2]。『みんなのうた』での放送後、視聴者からの楽譜の希望が多かった曲の一つである[3]。学校教科書にも掲載されたことで母国以上に親しまれる歌となった。
NHK紅白歌合戦では、1956年・第7回にて藤山一郎が「あゝ牧場は緑」の曲名で歌い、2002年・第53回においてもコーナー企画「憧れのTVヒーロー&ヒロイン50年ショー」の中で歌われている(歌手:東京放送児童合唱団〜保田圭・吉澤ひとみ・高橋愛・紺野あさ美・小川麻琴・新垣里沙(モーニング娘。))。
チェコおよびスロバキアでは、自国の"Horela lipka, horela"や"Aj, lúčka, lúčka široká"の曲がアメリカや日本に伝わっていることは広く知られておらず、ドナルド・ラムズフェルド米国防長官(当時)がNATO大使時代の1973年に歌詞を覚えたという"Aj, lúčka, lúčka široká"をチェコの記者に歌ってみせた[4]ことや、"Horela lipka, horela"と「おお牧場はみどり」との関連についての日本人研究者の言及[5]などが話題として報じられている。一方日本国内では、文献やインターネット上で、元の2曲の取り違えや憶測、曲解にもとづく伝聞を元にした「原曲は猥歌」「卑猥なため現地では子どもに歌わせていない」といった根拠のない流言飛語がいまなお絶えない[要出典]。
1番の歌詞には「風が吹く」となっているものと「風が吹くよ」となっているものとがある。
チェコおよびスロバキアの地方により2つの異なる歌が存在する。いずれも農村の人々の姿をコミカルに描いた小話仕立ての明るく陽気な歌で、旋律は最初の2小節が2回繰り返されるなど、日本語版と違う部分がある。本章ではこの2曲を元にしたアメリカの"Ah, lovely meadows"についても触れる。
スロバキアおよびチェコ・モラヴィア地方の"Horela lipka, horela"(菩提樹が燃えていた、燃えていた)は、燃え上がる菩提樹のもとで火の粉に包まれ泣く娘と、その事態にあわてふためく若者たちの滑稽な姿を歌ったものである。
歌詞は一般的に4番まで。男たちがただ狼狽し嘆き悲しむばかりで何も手に付かず、それどころか「一人だけ泣いていない、(あいつの)彼女への愛は偽物だったのだ」と嘆き方で娘への愛情の差を競おうとまでする情けない体たらくを見た娘が、「そんなことよりまずこの火を消して」とあきれ返る落ち。3, 4番の間に「なんで皆さん私のために泣くの、私は一人きりじゃない」を入れて5番構成にしたものや、順番を入れ換えて「一人だけ泣いていない─」を落ちにした構成など、地域により若干の違いが見られる。
日本語歌詞の「ホイ!」に相当する"Hej!"のかけ声を入れる例は少なく、最終小節の旋律も日本語版と異なる。
スロバキア語原詞 | 日本語直訳 |
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1. Horela lipka, horela, horela lipka, horela, pod ňou ma milá, pod ňou ma milá, horela lipka, horela, pod ňou ma milá sedela. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. |
菩提樹が燃えていた 燃えていた 菩提樹が燃えていた 燃えていた その下に私の愛する子が その下に私の愛する子が 菩提樹が燃えていた 燃えていた その下に私の愛する子が座っていた 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている |
2. Iskričky na ňu padali, iskričky na ňu padali, všetci mladenci, všetci mladenci, keď na ňu iskry padali, všetci mládenci plakali. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. |
火の粉が彼女に落ちた 火の粉が彼女に落ちた 若者たちはみな 若者たちはみな 火の粉が彼女に飛んだとき 若者たちはみな泣いた 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている |
3. Iba ten jeden neplakal, iba ten jeden neplakal, čo ju falošne, čo ju falošne, iba ten jeden neplakal, čo ju falošne miloval. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. |
一人だけ泣いていなかった 一人だけ泣いていなかった それは偽物だったのだ それは偽物だったのだ 一人だけ泣いていなかった 彼女への愛は偽物だったのだ 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている |
4. Neplačte chlapci, neplačte, neplačte chlapci, neplačte, radšej tu lipku, radšej tu lipku, neplačte chlapci, neplačte, radšej tu lipku zahaste. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. Tečie voda zhora, bystrá je ako ja, točí sa okolo, okolo javora. |
若者たち泣かないで 泣かないで 若者たち泣かないで 泣かないで そんなことよりこの菩提樹の そんなことよりこの菩提樹の 若者たち泣かないで 泣かないで そんなことよりこの菩提樹の火を消して 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように輝いていて カエデの周りを回っている |
※2番の冒頭4小節の歌詞を"Keď na ňu iskry padali, keď na ňu iskry padali"(火の粉が彼女に飛んだ、火の粉が彼女に飛んだ)とする場合も多い。各番の第7, 8小節を続く第9, 10小節との繰り返しとする場合もある(1番の例:"pod ňou ma milá sedela, pod ňou ma milá sedela")。
チェコ・ボヘミア地方の"Aj, lúčka, lúčka široká"または"Ej, lúčka, lúčka široká"(ほら牧場、広い牧場)は、泣いている牧場の娘たちに言い寄ろうと城から出かける領主を歌ったもので、歌詞は6番まで。題名、歌詞とも"Aj/Ej, lúčka, lúčka zelená"(ほら牧場、緑の牧場)とするバージョンもある。
戦を口実にたたき起こされ、丸腰のまま領主に随行する家来が「何をすればいいんだ、我々は銃を持っていないぞ?」と首をかしげると、領主が「そこで私は鹿を捕まえるとしよう, 18歳の娘をね」ととぼける落ち。"Horela lipka, horela"の替え歌として生まれたとされる。
日本語歌詞の「ホイ!」に相当する"Hej!"のかけ声を入れる例が多く、最終小節"okolo mňa"(私の周りを)も日本語版と同一の旋律である。
チェコ語原詞 | 日本語直訳 |
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1. Aj, lúčka, lúčka široká, aj, lúčka, lúčka široká, roste na ní tráva, roste na ní tráva, aj, lúčka, lúčka široká, roste na ní tráva vysoká, hej! Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo javora. Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo mňa. |
ほら牧場、広い牧場 ほら牧場 広い牧場 その上に草が茂る その上に草が茂る ほら牧場 広い牧場 その上に草が高く茂っている おう! 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて 私の周りを回っている |
2. Žali tam na ní dvĕ panny, žali tam na ní dvĕ panny, obĕ žalostnĕ, obĕ žalostnĕ, žali tam na ní dvĕ panny, obĕ žalostnĕ, plakaly, hej ! Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo javora. Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo mňa. |
草を刈る二人の娘が 草を刈る二人の娘が どちらも嘆いている どちらも嘆いている 草を刈る二人の娘が どちらも嘆いて泣いている おう! 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて 私の周りを回っている |
3. Díval se na nĕ z hradu pán, díval se na nĕ z hradu pán, na sve pachole, na sve pachole, díval se na nĕ z hradu pán, na sve pachole, zavolal, hej! Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo javora. Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo mňa. |
城から見ていた領主は 城から見ていた領主は その家来を その家来を 城から見ていた領主は その家来を呼んだ おう! 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて 私の周りを回っている |
4. Vstávej, pachole, stroj konĕ, vstávej, pachole, stroj konĕ, pojedeme spolu, pojedeme spolu, vstávej, pachole, stroj konĕ, pojedeme spolu, do boje, hej! Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo javora. Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo mňa. |
家来よ起きろ 馬を出せ 家来よ起きろ 馬を出せ ともに行くぞ ともに行くぞ 家来よ起きろ 馬を出せ 戦へともに行くぞ おう! 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて 私の周りを回っている |
5. Co pak tam budem dĕlati, co pak tam budem dĕlati, když nemáme pušky, když nemáme pušky, co pak tam budem dĕlati, když nemáme pušky, nabity? hej! Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo javora. Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo mňa. |
私たちはそこで何をするんだ 私たちはそこで何をするんだ 私たちは銃を持っていないのに 私たちは銃を持っていないのに 私たちはそこで何をするんだ 私たちは弾を込めた銃をもっていないのに? おう! 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて 私の周りを回っている |
6. Budem tam lovit srnčata, budem tam lovit srnčata, osmnácti-letá, osmnácti-letá, budem tam lovit srnčata, osmnácti-letá dĕvčata, hej ! Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo javora. Teče voda z hora, čistá je jako já, toči se dokola, okolo mňa. |
私はそこで鹿を捕まえようと思う 私はそこで鹿を捕まえようと思う 18歳の 18歳の 私はそこで鹿を捕まえようと思う 18歳の娘を おう! 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて カエデの周りを回っている 山から流れ出る水は 私のように澄んでいて 私の周りを回っている |
※最終小節の歌詞を"okolo javora"(カエデの周りを)として"Horela lipka, horela"と同じ旋律にする場合も多い。
アメリカの"Ah, lovely meadows"(ああ、美しい牧場)は、元の2曲がもつ明るいユーモア要素を完全に廃し、規律に従った牧場の集団労働を賛美する労働歌に作り替えられたもの。3番まで。1番の歌詞は"Aj, lúčka, lúčka široká"の1番に類似している。冒頭2小節の繰り返しはなくなり、旋律は日本語版と同一である。
スロバキア系移民の開拓地だったフロリダ州オヴィエド市スラヴィア地区[6]で1939年に録音採取されたものがアメリカ議会図書館に収蔵されている[7]。
英語原詞 | 日本語直訳 |
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1. Ah, lovely meadows, green and wide, Grasses are growing. Grasses are growing. Ah, lovely meadows, green and wide, Growing so high on every side. Water from mountain flows, Melted from winter's snows, Turning, it gaily goes, Circling the maple tree. Water from mountain flows, Melted from winter's snows, Turning, it gaily goes, Calling to me. |
ああ美しい牧場 緑なし広く 草は茂る 草は茂る ああ美しい牧場 緑なし広く どこも高く生い茂る 山から流れ出る水は 冬の雪を溶かし 楽しげに巡り流れ カエデの木の周りを回る 山から流れ出る水は 冬の雪を溶かし 楽しげに巡り流れ 私を呼ぶ |
2. Loudly the baron blows his horn. Wake up, my steward. Wake up, my steward. Reaping begins at early morn, Wake up, my steward. Day is born. Water from mountain flows, Melted from winter's snows, Turning, it gaily goes, Circling the maple tree. Water from mountain flows, Melted from winter's snows, Turning, it gaily goes, Calling to me. |
男爵の角笛が高らかに鳴る 起きよわが番人 起きよわが番人 収穫は早朝から始まる 起きよわが番人 一日が始まる 山から流れ出る水は 冬の雪を溶かし 楽しげに巡り流れ カエデの木の周りを回る 山から流れ出る水は 冬の雪を溶かし 楽しげに巡り流れ 私を呼ぶ |
3. Harness your horse. The hours are few. Working together, working together, Off to the fields of golden hue, Gather the grain, ere falls the dew. Water from mountain flows, Melted from winter's snows, Turning, it gaily goes, Circling the maple tree. Water from mountain flows, Melted from winter's snows, Turning, it gaily goes, Calling to me. |
馬具を馬に付けろ 時間は短い ともに働き ともに働き 黄金色の畑を刈り取り 穀物を集めよう 露が落ちるまでに 山から流れ出る水は 冬の雪を溶かし 楽しげに巡り流れ カエデの木の周りを回る 山から流れ出る水は 冬の雪を溶かし 楽しげに巡り流れ 私を呼ぶ |
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