額安寺
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額安寺(かくあんじ)は、奈良県大和郡山市額田部寺町(ぬかたべてらまち)にある真言律宗の寺院。山号は熊凝山(くまごりさん)。本尊は十一面観音。寺名は「がくあんじ」ではなく「かくあんじ」と呼ばれている[1]。
額安寺 | |
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所在地 | 奈良県大和郡山市額田部寺町36 |
位置 | 北緯34度36分2.9秒 東経135度46分19.8秒 |
山号 | 熊凝山 |
宗派 | 真言律宗 |
本尊 | 十一面観音 |
創建年 | 伝・推古天皇29年(621年) |
開基 | 聖徳太子 |
別称 | 額田寺(ぬかだでら) |
札所等 |
聖徳太子霊跡 大和北部八十八ヶ所霊場第87番 |
文化財 |
五輪塔8基(重要文化財) 宝篋印塔、黒漆六角厨子1基(県指定有形文化財) |
公式サイト | 熊凝山 額安寺 |
法人番号 | 1150005002629 |
大和郡山市の南端近く、大和川と佐保川の合流地点付近に位置する。当寺は額田寺(ぬかだでら)とも呼ばれ、大和国平群郡額田郷を本拠としていた豪族・額田部氏(額田氏)の氏寺であった[2]。
天平19年(747年)の『大安寺伽藍縁起並流記資財帳』(だいあんじがらんえんぎならびにるきしざいちょう、国立歴史民俗博物館蔵)によれば、南都七大寺の1つである大安寺の前身は、推古天皇29年(621年)に聖徳太子が額田部の地に建立した熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)であって、これが移転と改称を繰り返した後、平城京の大安寺となったという。この熊凝精舎(熊凝道場とも)を額安寺(額田寺)に比定する説もあったが、今日では史実とは認められていない。福山敏男は、熊凝精舎を額田寺とする説は鎌倉時代中期の『聖徳太子伝私記』に初めてみえることから、熊凝精舎自体の存在を疑問視し、大安寺の創建を聖徳太子に結び付けるための仮構だとした。そのうえで、大安寺の平城京移建に貢献した僧・道慈が額田部氏出身であることから、このような説が生じたのではないかとする[3]。
かつて額安寺に伝来し、現在では国立歴史民俗博物館に所蔵される「額田寺伽藍並条里図(ぬかたでらがらんならびにじょうりず、国宝)」は、奈良時代の額田寺の伽藍と周辺の寺領の様子を描き表した史料である。同図によれば、奈良時代の額田寺には南大門、中門、金堂、三重塔、講堂、僧坊などの伽藍が建ち並んでいたことがわかる[2]。この伽藍並条里図は、画面に記入されている人名等から天平宝字年間(757年 - 765年)頃の作成と推定され、額田寺(額安寺)の創建がこれ以前であることを裏付けている[4]。
当寺出土の古瓦のうち、創建瓦とみられるものは単弁六弁蓮華文軒丸瓦で、7世紀第II四半期に位置付けられる。境内西側からは法隆寺の創建伽藍(若草伽藍)出土瓦と同型の手彫り忍冬唐草文の軒平瓦が出土している。ただし、この軒平瓦は1点のみの出土であり、これをもって額田寺と法隆寺の関連を説くことに対しては慎重な意見もある[5][6]。
平安時代には寺勢が衰えたが、鎌倉時代後期に西大寺の叡尊・忍性らにより再興された。戦国時代の明応8年(1499年)12月、大和国に攻め込んできた細川政元の家臣赤沢朝経によって焼き討ちされてしまい、再び荒廃した。天正8年(1580年)、織田信長による検地で寺領180石を没収される。後に豊臣秀吉により摂津国四天王寺へ五重塔を譲ることと引き換えに寺領一町歩が与えられて再興された。約束通り、慶長5年(1600年)には豊臣秀頼によって五重塔が四天王寺に移築された。
江戸時代には寺領12石を公認された。
国宝・重要文化財以外に下記6件の額安寺旧蔵の文化財が奈良国立博物館の所蔵となっている(2008年度購入)[11] [12]。
2019年(令和元年)1月28日、奈良大学(奈良市)は、額安寺伝来の木造四天王像のうち2体から「行基大菩薩御作菅原寺」などと記された墨書銘文が見つかったと発表した。四天王像は奈良時代の僧、行基が最期を迎えた菅原寺(喜光寺、奈良市)から移されたとする伝承があり、同大は「説が裏付けられた」としている。同仏像は2005年(平成17年)に奈良大学が額安寺から譲り受け、2014年(平成26年)からの解体修理の過程で、広目天像と多聞天像の計7カ所から墨書銘文が見つかった[13]。
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