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藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』の登場人物 ウィキペディアから
野比 のび助(のび のびすけ)は、藤子・F・不二雄の漫画作品『ドラえもん』に登場する架空の人物。のび太の父。明確な年齢の設定は存在しない(各話で異なる)。誕生日の設定もない。
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妻の玉子とは対照的に背が低くやや太った体型。服装は2作1期では和服を着ることが多かったが2作2期では洋服を着ることも多い。少年時代の容姿はのび太に似ている[1]が、髪型は坊主頭だった[注 1]。なお、野比家の家族の中では唯一眼鏡をかけていない。
息子ののび太に似て、基本的には温厚でのんびり屋でおおらかな性格。一人称は「ぼく」、もしくは「パパ」、初期では「おれ」と言ったこともある。玉子からは「あなた」もしくは「パパ」、のび太からは「パパ」と呼ばれているが、初期には「とうさん」と呼ばれていた。
玉子とは逆にのび太を叱ることは少ない。玉子から頼まれたり、自身の判断でのび太を叱ることもあるが、その場合には玉子のように感情にまかせて怒鳴り付けるのではなく、諭すように説教することが多い[注 2]。しかし、14巻「夢まくらのおじいさん」では急に態度を変えて極端に厳しくなったことがある。自身の父親はとても厳しくて怖い父親であったため、夢枕に出てきた父の言葉からのび太も同じように厳しく育てなければならないと考えて、一時的ではあるが虐待に近い躾(夢の話を聞いた玉子は同意するだけでなく「あなたはのび太に甘い」とまで言っていたが、その彼女が慌てて止めに入るほど)を試みていた[注 3]。。叱る内容としては、勉強の成績のことよりも、のび太が外で活発に遊ばず家の中でくすぶっている傾向について叱ることが多い。他力本願な考えには厳しく、6巻「さようならドラえもん」ではドラえもんとの別れを拒むのび太に「他人に頼ってばかりではいつまで経っても一人前になれないぞ!?」と強引に諭す描写もある[注 4]。
のび太がクリスマスにゲームやラジコンが欲しいと言ったにもかかわらず、リクエストを無視して偉人伝などの本を買ってくるというケチな所[2]や、混雑して疲れるという理由で行くはずだったハイキングを中止する[3]といった決断力の弱い面がある。ドラえもんがテレビを見ていた際も勝手に割り込んでチャンネルを変えたり、のび太達を追い払う[4]など、自分勝手な面もある。
また、物忘れが激しいところもあり、玉子に頼まれた手紙を郵便ポストに投函するのを忘れて1か月も上着のポケットに入れたままの時もあった。それに気づいた際、「ママは怒り狂うぞ。どうしよう」と真っ青になっている[5]。ドラえもんから「わすれ鳥」を借りて知人の家に訪ねるも、玉子に頼まれた手紙はおろか、「わすれ鳥」の実験に使った財布や「わすれ鳥」まで知人の家に置いてきて忘れてしまった[注 5]。
また、アニメではトイレのドアの建付けが悪く開いていたのをのび太が閉め忘れたと頭ごなしに決めつけ、のび太の言い分も聞かない横暴さも見られた[6]。
何度も運転免許試験に失敗しているため、自動車が嫌い。「実用ミニカーセット」では「もう車は見たくない」という発言もある。
趣味はもっぱら酒を飲むこと[7]。下手の横好きだがゴルフや釣りも嗜む。もっともゴルフに関しては腕そのものより、雨に降られやすい(いわゆる「雨男」)ことのほうが悩み[8]。ドラえもんの道具「雨男晴れ男メーター」での計測結果によると、マイナス8.5という数値(メーターの最大値はマイナス10)を記録したほど。音楽も趣味の一つで、高級なコンポーネントステレオを月賦で購入し、大音量で聞いていたら近隣から苦情が来た[9]。
運動神経が鈍く、運転免許の技能試験(自動車教習所の技能検定)に何度も落ちている。指導員から「あんたみたいなへたくそは運転しないほうがいい」とまで言われる[11]が本人曰く、「僕は本当は運転がうまいんだ。先生が横でうるさいから悪いんだ」とのこと[12]。ただし初期では運転免許を所持している設定だったようで、5巻の「宝くじ大当たり」では玉子から車の購入を強請られている。のび太が生まれた時には全力疾走で病院に向かう描写があり、いざというときに爆発する潜在能力は、のび太同様に目を見張るものがある(また同話で玉子に「あなたに似たら、運動ならなんでもこいのスポーツマン」と言われていた。逆に学力はパッとしなかったようで、こちらがのび太に遺伝してしまった)[13]。上記の運転免許のエピソードではコース上ではかなりの高速でも上手く運転していたが、のび太たちの制止を聞かずに家の敷地外に出てすぐ子供のおもちゃのダンプと衝突する事故を起こした。単行本第7巻「山おく村の怪事件」で雪合戦をした際には「学生野球のピッチャー」だったことを明かし、腕前を感心されたが、その話は元々は、ドラミの外伝作におけるのび太郎の父親である為、原作においては、のび助本人が学生時代はピッチャーだったかは不明。
不器用で、日曜大工仕事も苦手[14]。料理も全く出来ない。意思が弱く、ダイエットは3日も続かない[15]。癖は貧乏揺すり[16]。頻繁に喫煙しており、煙草の銘柄は「チェリー」[17]を中心に、両切りの「ピース」[18]、「セブンスター」[19]など、いずれも濃いめのたばこを吸っている(ただし、喫煙に対する規制が厳しくなっている現在の感覚では濃い部類だが、連載当時は一般的な銘柄であった)。アニメでは、「マイルドセブン」を吸うシーンもある[20]。今までに少なくとも32回の禁煙失敗歴を持ち、妻の玉子に「完全にニコチン中毒ね」と言われている[21]。しかし、アニメでは「くろうみそ」(2005年11月25日放送)を最後に吸う描写はない(そのとき吸っていた銘柄はラーク)。
子供の頃からの夢は画家になること。小学生時代には全国図画コンクールで金賞を受賞した経歴があり[22]、中学生時代には売れない貧乏画家の柿原(後に巨匠として名を馳せる)に師事していた[23]。
父の反対で美術学校への進学をあきらめかけたところを、とある富豪家がパトロンとなり、海外留学の費用を出す(更に娘を嫁にやる)と申し出ていたが、他者の財力で夢を叶えることに疑問を抱き、自分の力で自分の人生を切り開くことを決意し、申し出を断った(20年前の2月15日の出来事)[24][注 6]。実際には夢を叶えることはできなかったが、これが玉子との出会いのきっかけになる(後述の妻・玉子との馴れ初めを参照)。
現在でも時おり絵を描く姿が見られるが、玉子が「珍しい」と言っていることから、それほど頻繁には描いていないようである。また、描いた絵についてのび太に自由な感想を述べさせたところ、その答え(この絵の果物は、不恰好でまずそうと言った)に怒り、のび太をひっぱたいたこともある[25]。
のび助の明確な年齢は設定されていない。年齢が登場する話や、年齢が推測できる話もあるが、各話で年齢は異なる。そもそも、漫画『ドラえもん』は幼児向けから小学6年生向けまで複数の雑誌に連載されていたため、息子ののび太の年齢も一定ではない(てんとう虫コミックスでは概ね小学4年生になるように台詞が調整されている)。のび助の年齢に関する描写が作品内に出てくる例を以下に記すが、あくまでも出現例であり統一設定ではない。
妻の玉子のことは「ママ」または「きみ」と呼ぶ。玉子と結婚する前の交際時は「玉子さん」と呼んでいた。
ロボットであるドラえもんのことも家族の一人と認識しており、玉子から「うちは3人家族(のび助、玉子、のび太)だったわよね?」と聞かれた時には、「何言ってんだ、うちは4人家族(のび助、玉子、のび太、ドラえもん)じゃないか」と反論している[26]。
20年前に学生服姿で走っていたところ、道端を偶然歩いていたセーラー服姿の片岡玉子と衝突。これが玉子との出会いである(前述の画家への道の援助者の申し出を断った直後の出来事。「#20年前の分岐点」を参照)。のび助は不注意を謝り、2人はすぐ別れたものの、玉子が落とした定期券をのび助が拾って追いかける場面が作中で描かれている[24][注 7]。
プロポーズは1959年[注 8]11月3日に公園[注 9]で行われた。当時ののび助と玉子は、些細な誤解から別れる寸前になるが、ドラえもんが出した道具「ヒトマネロボット」が前後して2人に変身して相手にプロポーズ。結果、2人は仲直りする[注 10]。
のび太が生まれた時には猛ダッシュで病院に駆け付けたが、“不審な2人組”(実はタイムマシンで10年後からやって来たのび太とドラえもん)に付きまとわれる。赤ちゃんの将来について玉子と語らっていたところ、10年後ののび太に「あ、あのう…………あまりきたいされちゃこまるんだけど……。そんなたいした子じゃないんだから。いえ、ほんと!」と言われ「いったい、うちの子になんのうらみが!!」と真っ赤な顔で泣きながら怒った(2巻「ぼくの生まれた日」より)。
社長が自ら野比家を訪ねて来たことが何度かある[27]。勤務する会社にアメリカ支社はないが、ニューヨークへの転勤を命じられたことがある(社長による「二月バカ」の嘘だった)[28]。勤務する会社は札幌市に北海道支社を置いている[29]。
漫画の「未来の国からはるばると」の雑誌掲載版(0巻に収録)では、のび太の未来のアルバムの1988年の所に「父の会社をつぐ」とあり、初期設定では会社経営者であったことが窺える。
野比家に関わる人物について以下に記す。のび太の息子以降の野比家の関係者、野比家か片岡家か判別できない親戚は野比のび太#関連人物を参照。
少なくとも3〜4人の弟、1人の妹がいる。漫画内に兄弟の数を確定させる記述はない。兄または姉の存在が示唆されたことは1度もない。
テレビアニメ第2作第2期で登場した弟は野比のび郎のみ。
野比家の祖先とその縁者を以下に記す。
テレビアニメ第2作1期「タイムマシンでお正月」(1980年1月1日放送、映像ソフト未収録)に放送された一場面にのび助の書き初めが映り、そこにはのび助の履歴らしき内容が記されていた[42]。
ただし、以下の情報のうち、原作漫画に登場するのは「野比」という名字、名前の末尾が「助」、現住所が「東京都」という点のみで、その他の情報は一切登場しないため、アニメのスタッフが即興で作画したその場限りの内容であると考えられる。
(1987.11)
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