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ウィキペディアから
縦読み(たてよみ)とは、言葉遊び(折句)の一種。一見すると通常の文章であるが、各行の頭文字をとり、読む方向の縦横を入れ替えて読むと別のメッセージが表れる文章である。
読ませたい文章や単語を先に決め、縦に読むとそれが現れるあたりは「あいうえお作文」と似ているが、ほとんどの場合は意図的に読み方を変えさせるよう作ったものであるため、正確には異なるものといえる。違いは後項で詳しく解説する。
この手法が「縦読み」と称されるのは横書きの文章で用いられる場合であり、縦書きの文章の場合には主に右端からの「横読み」の形式となる。また、応用として「斜め読み」の手法もある(#斜め読み参照)。
作る手順は基本的に、まず読ませたい文章(縦、又は斜め)を考え、それが頭文字になるよう本文を考える、という順番である。 ネット文化においては、BBSに本文の趣旨とは正反対の文章を縦読みで仕込んだコメントを投稿することでしばしば煽りの手段として用いられるほか、掲示板等のホームページの管理人に縦読みを仕込んだメールを送ったり、ブログ等のコメント欄に縦読みのコメントを仕込み、削除されるのを避けるという使い方もされる。
この手の手法はネット発祥というわけではなく、古くから存在する。和歌に横読みで別の文句を読み込む技法が流行し、これを「折句」と称した。暗号を各句の頭に置くことを「冠」、末尾に置くことを「沓」(くつ、くつわ)、頭と末尾の双方に暗号を折り込むことを「沓冠」(くつかむり[1])といった。
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伊勢物語【例1】では「冠」の手法が用いられ、歌の頭文字を縦に取ると「かきつはた(カキツバタ)」と花の名前になる。
作者不詳の「いろはにほへと」のいわゆるいろは歌【例2】では「沓」の手法が確認でき、七文字ごとに区切って末尾を横読みすると「とかなくてしす(科無くて死す)」となる。これにより、いろは歌は、無実の罪に落ちた者が遺恨を込めて製作したものとする俗説があった。『仮名手本忠臣蔵』の題名は、幕府の不公平な処分による浅野内匠頭の無念の死と、いろは歌を掛けたものとする俗説がすでに江戸時代の発表当初から流布していた。
「沓冠」の一例として知られているものが栄花物語【例3】で、文節の「冠」「沓」の順に「あはせたき/ものすこし(合せ薫物〈たきもの〉少し)」となる。
また、テレビ番組『私は名探偵・完全犯罪をつぶせ!』(1982年〈昭和57年〉4月 - 1983年〈昭和58年〉3月、テレビ東京)の劇中トリックでは、自分が息絶えるまでのわずかな時間に原稿用紙に書いた自作の詩を書き換えて一番上の段と一番下の段にダイイング・メッセージを埋め込んだ(つまり縦書きの文章に横読みの文章を2つ埋め込んだ)ことで、犯人に読ませたうえで真意を知られることなく第三者に知らせている。
斜め読みは、縦読みから派生した言葉文化の一つ。等幅文字で行頭を左に詰めた複数行の文章であり、n行目のn文字目をつなげて意味を持たせている。一般に、判別は通常の縦読みと比較してさらに困難であり、高い注意力を有する読者にのみそれと気づかせるために用いられる。一見してめだたないような文章を装っていることが多いが、作成は高難度で時間もかかる。
人民日報海外版1990年3月20日号に掲載された「元宵」という漢詩が、斜め読みすると李鵬の辞任を要求しているとして大きな問題になった。
右斜め上から下に「李鵬下台平民憤」と読め、「李鵬は辞めよ。民は憤る」または「李鵬は辞めよ。民の憤りを平らげ」という意味になる。中国語版李鵬下台嵌字詩も参照。
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