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商品取引員(しょうひんとりひきいん, 英語: Commodity broker)とは、日本において商品先物取引の受託業務を営む企業である。
この記事に雑多な内容を羅列した節があります。 |
日本の商品取引員(=商品先物取引会社)は、「商品先物取引法」に従い、厳しい条件をクリアして、経済産業省、農林水産省から許可を受けた事業者である。しかし、日本の商品先物取引の業界は、ごく一部の良心的な商品取引員を除き、強引な勧誘を巡る苦情やトラブルが多く、社会問題となっていた。2004年4月に成立した改正商品取引所法では、資産保全制度の拡充、商品取引員が投資家を勧誘する場合のルール強化、投資家の保護、商品取引員(=商品先物取引会社)の財務基準の見直しなどが盛り込まれた。また、近年は人気の低迷する商品先物取引の業界から個人投資家に人気のある外国為替証拠金取引(FX取引)の業界に参入する商品先物取引会社も出てきた。
商品取引員(=商品先物取引会社)の利潤の大部分は、顧客からの委託手数料で賄われているが、2004年に委託手数料が自由化された。
2005年4月に個人情報保護法が施行され、同年5月に商品取引所法が改正されてからは、一般の顧客に対する勧誘規制が強化され、その影響で会社の収益が大幅に落ち込んだ商品取引員(=商品先物取引会社)が多くなった。また主務省(経済産業省・農林水産省)による検査基準が徹底的に強化され、その結果、廃業や業務停止に追い込まれる商品取引員が同年から相次いだ。
2009年7月、商品先物取引における「不招請勧誘の規制」について、与野党一致のもと商品先物取引法を改正し、禁止規定が導入された(その後、2011年1月、新しい商品先物取引法が施行された)[1][2]。
この「不招請勧誘」(ふしょうせいかんゆう)とは、商品先物取引に興味のない人、先物取引の契約を求めていない人、先物取引の勧誘を要請をしていない人、などに対し、商品先物取引会社の営業員が一方的に相手の自宅に訪問したり、相手に電話をかけて、先物取引の営業と勧誘をする行為のことである[3]。これは、昭和、平成の時代において日本で社会問題になったことであり、一般の消費者の間で商品先物取引業界のイメージ悪化につながった。その結果、現在の日本では、法令及び自主規制規則において、一定の店頭デリバティブ取引について、この不招請勧誘を禁止している。
しかし、その後、その規制を緩和しようとする動きが商品先物取引を監督する中央官庁から始まった。
2014年(平成26年)4月5日、経済産業省と農林水産省はある意見募集を行った。それは商品先物取引の不招請勧誘(顧客の要請を受けない電話・訪問勧誘)禁止規定を大幅緩和する商品先物取引法施行規則改正案(第102条の2第2号)についてである。この知らせに、全国各地の弁護士会から,断固反対であるとの意見表明が相次いだ[4][5]。
2015年1月23日,経済産業省と農林水産省は,商品先物取引法施行規則の一部を改正する省令(以下「本省令」)を新しく定めた。本省令は,当初の公表案を若干修正し,同規則第102条の2を改正して,「一般の顧客が65歳未満である、一定の年収もしくは資産を有している,商品先物取引について顧客の理解度を確認する、」等の条件・適合性の要件を満たした場合、「不招請勧誘禁止の例外」として盛り込んだ[6]。
商品先物取引の営業においては登録外務員の制度が採られている。
国民生活センターは商品先物取引の新しい勧誘ルールを一般の消費者に向けて公開した[7]。
(1)不招請勧誘が認められる条件
商品先物取引の新しい勧誘ルールでは、消費者が現在ハイリスク取引(FX取引、有価証券の信用取引等)を行っている場合の他、次の1~3の条件を全て満たす場合にも、一定の手続きやルールの下で、事業者が不招請勧誘を行うことができるようになった。
【一定の条件】
1,65歳未満であること
2,年金等生活者でないこと(年金等の収入の額がその他の収入の額を超えないこと)
3,以下のア、イのいずれかの条件を満たしていること
ア、年収が800万円以上である
イ、金融資産を2,000万円以上有している
(2)契約前の措置
不招請勧誘が認められる条件を満たした場合であっても、商品先物取引のリスク(損失額が証拠金の額を上回るおそれがあること等)を消費者が理解していることを、契約前にテスト方式により確認することが事業者に義務づけられた。
(3)契約後の措置
契約後についても、次のような措置が規定された。
2021年5月1日現在、日本商品先物取引協会に加入している会員は、取り扱う商品により、国内商品市場取引、外国商品市場取引、店頭商品デリバティブ取引に分かれている。このうち、国内商品市場取引を扱う取引員は以下の通りである。
商品取引員の数は年々減少している。特に2005年5月に「商品取引所法」が改正されてからの減少が著しい。
年月 | 取引員数(社) | 前年同月比 |
---|---|---|
1999年3月末 | 112 | |
2000年3月末 | 110 | -2 |
2001年3月末 | 106 | -4 |
2002年3月末 | 105 | -1 |
2003年3月末 | 100 | -5 |
2004年3月末 | 97 | -3 |
2005年3月末 | 96 | -1 |
2006年3月末 | 86 | -10 |
2007年3月末 | 79 | -7 |
2008年3月末 | 70 | -9 |
2009年3月末 | 49 | -21 |
2010年3月末 | 37 | -12 |
2011年3月末 | 33 | -4 |
2012年3月末 | 33 | 0 |
2013年3月末 | 32 | -1 |
2014年3月末 | 32 | 0 |
2015年3月末 | 31 | -1 |
2016年3月末 | 29 | -2 |
2017年3月末 | 28 | -1 |
2018年3月末 | 27 | -1 |
2019年3月末 | 27 | 0 |
2020年3月末 | 25 | -2 |
2009年3月末は、2008年秋に勃発したリーマンショックの影響もあり前年比21社減少した。
商品先物取引の業界で企業が利益を得るのは大変に厳しくなっている。過去の日本において消費者の意向を無視した商品取引員(=商品先物取引会社)による強引な勧誘やしつこい営業などは社会問題となり、「商品先物取引=悪」というイメージが消費者の間に広まった。その後、業界による自主規制や国の法律によって、商品取引員(=商品先物取引会社)による強引な営業や勧誘は減少したが、それでも、消費者からの信頼回復は程遠く、日本の商品先物取引業界の苦境は現在も続いている。また、最近では、金、原油、大豆、コーンなどのコモデティーを対象にした「CFD取引」のサービスも誕生している。従来みたいに商品先物取引会社を利用しなくても、CFD取引のサービスを扱う証券会社、FX会社を利用すれば、個人投資家は、平日の24時間、商品先物取引よりも安い証拠金でいつでも簡単にCFDの取引ができ、商品相場で利益を得ることが可能になっている。そういった異業種から参入した企業は、商品先物取引会社にとって新たな競争相手である。また、商品先物取引会社は「自己資本規制比率」をいつも守らなくてはいけない。自己資本規制比率とは、金融会社の財務の健全性を表す指標であり、金融商品取引法では、自己資本規制比率が「120%以上」と義務づけている。それを下回った場合、金融庁はその金融会社に対して監督命令を出することができる。商品先物取引会社もこの規制の対象であり、商品先物取引会社は毎月の自社の自己資本規制比率を計算し、その数値を国・監督官庁に毎月、提出しなくてはいけない。もし、その月の自己資本規制比率が「120%」を下回ったら、国や取引所から厳しい行政処分を受けることになる。
商品先物取引業から撤退、自主廃業した商品取引員(商品先物会社、証券会社)の一覧
2022年(令和4年)
2021年(令和3年)
2020年(令和2年)
2019年(平成31年、令和元年)
2018年(平成30年)
2017年(平成29年)
2016年(平成28年)
2015年(平成27年)
2014年(平成26年)
2013年(平成25年)
2012年(平成24年)
2011年(平成23年)
2010年(平成22年)
2009年(平成21年)
2008年(平成20年)
2007年(平成19年)
2006年(平成18年)
2005年(平成17年)
2004年(平成16年)
2003年(平成15年)
2002年(平成14年)
2001年(平成13年)
2000年(平成12年)
1999年(平成11年)
ちなみに廃業した会社の元社員や、退職した社員が会社を興し「海外先物取引」の業者として活動することがある。海外先物取引には国による許可登録制が無く、事実上自由に業務が行える。国内先物取引で違法業者が処罰を受け、海外先物の世界に転がり込んでくるということがよくある。それ故海外先物の世界が、違法業者の巣窟であり隠れ蓑にもなりうる危険性をはらんでいることは否めない事実である。経済産業省も注意を呼びかけており、海外先物に関する法令もあるものの、どれだけ実効的な管理が出来ているかは不透明である。
これらの問題に関して、違法行為をおこなった取引員の規制や商品取引員の管轄体制などについて、2003年に日本弁護士連合会や被害者団体、有識者が連名でパブリックコメントを寄せている。
2006年現在では、「ロコ・ロンドン金取引」という新手の取引の勧誘も出てきており、国民生活センターも注意を呼びかけている。
商品取引員へ下された行政処分の状況は下記の通りである。※2005年5月の商品取引所法改正以降
2020年11月27日
2020年6月10日
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