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『トリプルファイター』は、円谷プロダクション製作の特撮テレビ番組の名称、あるいはその劇中に登場するヒーローの呼び名である。
1972年7月3日から同年12月29日まで、毎週月曜日 - 金曜日17:30 - 17:40に、TBS系で放送された、1週5回分の放映で1話が完結する形式(いわゆる「帯番組」)の特撮テレビ番組。130回(全26話)放送。番組終了後、同じ枠で再放送された。
月 - 金曜日の1話分が、ほかの30分ものの作品に比べ、オープニング、CMを除いた本編パートだけでも31分40秒と長尺なものとなっている。アクションに主眼が置かれ、SATとデビラの格闘や、デーモンカーとのカーチェイスもふんだんに盛り込まれた[1] 。これは、同じ時間枠で放映された『ウルトラファイト』の「全編立ち回り」という路線を発展・継承したものであり、また『仮面ライダー』に代表される「等身大ヒーロー」の影響によるものでもある[2][3][4]。その一方で第8話・第13話・第18話・第20話・最終話など、ドラマを重視した回も存在した[5]。
提供のブルマァクの意向でメカアクションが盛り込まれることとなり[1][6]、車両が多数登場することになった。主人公側の「SATカー」は、トヨタ・クラウン[7]をベースに1000万円の費用[6]をかけて改造を施されたが、ボディの大半が基本的に木製だったことから走行中にパーツが破損する[7]などのアクシデントが絶えず、アクションに不向きであったことから第10話(第49回)より「SATバギー」が登場することになった。また敵側の「デーモンカー」は、スバル・360を黒くペイントを施したものである。
ファイターの登場はおおむね固定されており、火 - 木曜日に各ファイター・金曜日にトリプルファイターが登場するのが基本的なパターンであるが、例外も度々散見された。
企画当初の名称は『トリプルチャレンジャー』[8][9]。3兄妹は宇宙人ではなく伊賀忍者一族の末裔という設定[8][9]で、変身するのは3人のうち1人と構想されていたが、悪の組織が複数で攻撃してくるのに対して正義側も複数の方が物語に変化をつけやすいこと[10]。それに加えて帯番組である性質上、盛り上がる要素がさらに必要と考えられ、3人のヒーローが合体してトリプルファイターが登場することになった[11]。
当時の円谷プロでは、『ウルトラマンA』『ミラーマン』『緊急指令10-4・10-10』と作品が集中していたため、『シルバー仮面』を終えた日本現代企画の一部スタッフが、助っ人として制作に携わっていた[12]。監督の1人である安藤達己は、当時ピー・プロダクションの『快傑ライオン丸』に参加していたが、円谷粲から「安藤をメインに考えている」という誘いを受けて『ライオン丸』を1クールで降板し、本作品へ参加した[13]。
低予算番組のため大掛かりな特撮撮影は行われず[14]、デーモンによる都市破壊や大災害・地球に迫る宇宙船団などのシーンは、すべて過去の円谷作品の映像を流用している。一方でマット合成による大胆な画面作りが行われた[14]。
単独スポンサーであるブルマァクは、本作の直前に『ミラーマン』の関連商品の売り上げが不調であったために、同社の取締役は本作品の単独提供に難色を示し、奔走して万創と2社提供の契約を取り付けたものの[15]、ブルマァク社長は円谷プロと懇意にしていたことから単独スポンサーに拘り[15]、結果的に同社の経営を圧迫する一因となった[16]。
1975年9月8日から同年12月26日には、東京12チャンネル(現:テレビ東京)で『戦え! トリプルファイター』と改題されて放映された[注 1]。放送時間は月曜日 - 金曜日の17:30 - 17:40。
宇宙の侵略者デビル星人は首領デーモンの統率の下、地球侵略を開始した。一方、故郷の星を滅ぼされ地球に脱出してきた人々は、デビル星人の侵略に対抗し世界各地に SAT(Space Attack Teamの略、発音は「サット」)を組織していた。
SAT日本支部の3人は M星人の子孫である早瀬3兄妹であり、グリーンファイター、レッドファイター、オレンジファイターに変身、さらに 3人が合体してトリプルファイターへと変身できる。いずれのファイターとも等身大で武装はない。
このデビル星人の怪人と早瀬3兄妹との戦いを描く。
デビル星人に滅ぼされた宇宙人や、その末裔によって結成された防衛チーム。パリに本部がある。なお早瀬3兄妹が所属する日本支部は、早瀬邸の地下に設けられているが、最終回で早瀬3兄妹がデビル星人を追って宇宙に旅立ったため、ブルコンを残して閉鎖されることになる。
隊員服はSATがデビル星人との戦闘を考慮に入れ、製作されたコンバットスーツ。外部からの衝撃を吸収する[17]。
早瀬三兄弟の変身体。銀を基調とし、額や体のラインは各々のパーソナルカラーで統一されている。額には緊急時にテレパシーで連絡を取り合うと光る十文字のスターポイント「トリプル・ビーム」がある。
グリーン・レッド・オレンジの各ファイターが「トリプルファイター」の掛け声とともにジャンプし、空中でスクラムを組み合体変身、誕生する最強の合体超人。哲夫の「優れた知性」、勇二の「強靱な肉体」、ユリの「純真な心」を併せ持つ最終形態。胸の大きな円形のプレート、「ミラクル・シグナル」は、基本はオレンジ色だが、3人のうちの誰かが弱っていたり限界を迎えると、そのファイターのパーソナルカラーに変わり、残り時間が1分となり、さらに時間切れになると合体が解けてしまう[18]。これが唯一の弱点である。必殺技はトリプルキックで、大半のデーモン怪人をこの技で倒した。このほか、敵の頭部を両脚で挟み込んで地面に叩きつける「トリプルネック」、第19話で使用した「トリプルダブルキック」がある。初期設定では身体から出る50万度の炎「アタックファイヤー」という必殺技もあった。
いずれも、哲夫が設計・開発したものである[18]。
あらゆる星を征服しようと企む侵略宇宙人で正式名称はデビルモンスター。総称して「デーモン」と呼称される場合もある。侵略作戦は、指揮官であるデーモン怪人と、その手足となって働く戦闘員デビラによって遂行される。しかしトリプルファイターの活躍のために地球侵略を断念。最終話で攻撃目標をM星の兄弟星・オーラー星に変更し、全ての地球基地を自爆させ、地球から撤退した。
出典:『円谷プロ画報』219頁
※ 主題歌、挿入歌の音盤はキングレコードの制作によるもの。オリジナル主題歌のレコードは、最初の1カ月に同社が独占販売したのち、各社に原版供与を行なった。また、劇伴音楽は、当時としては珍しくステレオ録音で制作されていた[注 5]。第6話以降は『ウルトラQ』や『ウルトラマン』からの流用音楽が多用された。劇伴音楽の商品化は、1990年にコロムビアレコードから、宮内國郎による円谷作品4作の楽曲をまとめた混載盤CDが発売されたが、未収録曲も多数あった[注 6]。1996年にはバップからほぼすべての楽曲を収録したサントラCDが発売された。これらの音盤はすべて廃盤となっていたが、2016年7月に日本コロムビアからサントラCD「トリプルファイター -MUSIC COLLECTION-」が新たにリリースされた[注 7]。
話数 | サブタイトル | 登場デーモン怪人 | 放映日 | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 行け!栄光のファイター | ダークマン | 7月3日 - 7月7日 | 若槻文三 | 安藤達己 |
2 | トリプル・ファイター脱出せよ! | ゲラン | 7月10日 - 7月14日 | 藤川桂介 | |
3 | 殺人マシンX14号 | アパッシュ博士 | 7月17日 - 7月21日 | 若槻文三 | 鈴木俊継 |
4 | トリプル・ファイター危機一髪 | バララン | 7月24日 - 7月28日 | 近藤正 | |
5 | 催眠銃AZ作戦! | ブレイカー | 7月31日 - 8月4日 | 藤川桂介 | 大塚莞爾 |
6 | 魔の9・8作戦をぶち砕け! | ブラックバロン | 8月7日 - 8月11日 | 若槻文三 | |
7 | SATに平和の日はない! | エレキラー | 8月14日 - 8月18日 | 鈴木俊継 | |
8 | たたかえ!オレンジ・ファイター | テロル | 8月21日 - 8月25日 | 安藤達己 | |
9 | グリーン・ファイター応答せよ!! | クラッシュ | 8月28日 - 9月1日 | 高際和雄 | |
10 | 本部緊急指令!パリからの女 | ブラック・キラー | 9月4日 - 9月8日 | 若槻文三 | 大塚莞爾 |
11 | 恐怖の細菌爆弾! | クモデラン[注 8] | 9月11日 - 9月15日 | 近藤正 | |
12 | スリラー館の対決! | ゴーストン | 9月18日 - 9月22日 | 若槻文三 | 安藤達己 |
13 | 孤独のケリー | ブラック・サンダー | 9月25日 - 9月29日 | 高際和雄 | |
14 | 極秘指令!デーモンのスパイを消せ | ブルー・コンドル | 10月2日 - 10月6日 | 若槻文三 | 鈴木俊継 |
15 | 恐怖の目が死のウインクだ! | ホラーアイ | 10月9日 - 10月13日 | ||
16 | 日本列島襲撃作戦 | バービーブー[注 9] | 10月16日 - 10月20日 | 大塚莞爾 | |
17 | SAT基地爆破指令! | ジャガード | 10月23日 - 10月27日 | 鈴木俊継 | |
18 | 闇からの声を裂け!! | ブラッダー[注 10]、再生三怪人[注 11] | 10月30日 - 11月3日 | 高際和雄 | 大塚莞爾 |
19 | 津波大作戦5秒前! | ビーグル博士 | 11月6日 - 11月10日 | 若槻文三 | 安藤達己 |
20 | 行け!オレンジ・ファイター 心の眼を開いて | ミラージュ | 11月13日 - 11月17日 | 中川節子 | |
21 | 復讐の大たつまき! | テンパージョー | 11月20日 - 11月24日 | 若槻文三 | 大塚莞爾 |
22 | 帰ってきたガス博士 | ドラッガー | 11月27日 - 12月1日 | 高際和雄 | |
23 | 暗殺1001号作戦 | ブラック・マスク | 12月4日 - 12月8日 | 安藤豊弘 | 鈴木俊継 |
24 | 地獄の唄が聞える | サウンド・キラー | 12月11日 - 12月15日 | 今村文人 | 安藤達己 |
25 | 平和の戦士S26号! | アゴール | 12月18日 - 12月22日 | 若槻文三 | 鈴木俊継 |
26 | さようならトリプルファイター | ブラッド・パワー | 12月25日 - 12月29日 | 安藤達己 |
など
講談社の刊行誌に独占掲載
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