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クックロビンあるいはコックロビン[1][2]とは、イギリスを中心とした英語圏の童謡であるマザー・グースの1篇である。原題は'Who Killed Cock Robin'といい、日本語訳として「駒鳥のお葬式」や「誰が駒鳥殺したの」などと呼ばれることもある。駒鳥の死から葬送までを語る内容で、マザー・グースとしては比較的長大[3]な14連で構成される作品である。
クックロビンはヨーロッパコマドリのことで、その胸が赤いことからかつては「ロビン・レッドブレスト」(Robin redbreast) と呼ばれており、それが略されて「ロビン」(Robin) と呼ばれるようになった[4]。コマドリは雄も雌もよく似た色であることから、昔はすべて雄とみなされていたため「Cock(雄)」 Robinと呼ばれ、「Hen(雌)」Robinと呼ばれることはない[5]。
作詩者・成立年代・起源などについては判然としない部分が多い。現在残る版本のうち、この「クックロビン」が記載された最も古いものは、1744年に刊行された『トミー・サムのかわいい唄の本』(Tommy Thumb's Pretty Song Book) である。ただし、この時点では4連で構成されておりさほど長い詩ではなかった。14連を備えた現在のかたちの歌詞が掲載された版本は、1770年に初めて刊行された[6]。
上記のとおり、この詩の記録は18世紀に初めて登場するが、その成立年代はより古い可能性がある。各々の連の第2句と第3句では必ず押韻が使われているが、第5連の「owl」と「shovel」のみ、現代の発音では押韻とならない。だが、14世紀から15世紀ごろの発音であれば押韻が成立するというのがその傍証である。また、この詩の内容はイギリスの詩人ジョン・スケルトン (John Skelton) が1508年ころに発表した作品『Phyllyp Sparowe』にも酷似している[6]。
この詩の起源については、いくつかの説が存在する。代表的なものを下記に列挙する。
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現代文化において「クックロビンの死」というモチーフは文学・音楽・映画などに幅広く取り入れられ、その数は枚挙にいとまがない。
殺人をテーマとした詩のために、ミステリー小説・探偵小説の題材とされる場合が多い。以下に比較的古い例を挙げる[11]。
イギリスではよく知られた唄のため、替え唄にして風刺に用いられる場合がある。以下は、25歳で夭逝(ようせい)した詩人ジョン・キーツを死後に酷評した批評誌に対し、G・G・バイロンがキーツを擁護するために詠(うた)ったものである[13]。
Who kill'd John Keats?
"I" says the Quarterly,
So savage and Tartarly,
"'Twas one of my feats."
誰がジョン・キーツを殺したか
「それは俺さ」とうそぶくは
野蛮千万『クォータリー』誌
「俺のお手並み 思い知れ」
日本で初めてこの詩を訳出したのは北原白秋で、1921年、マザー・グースの他の作品とともに『まざあ・ぐうす』として出版されている[14]。以来、竹友藻風[15]・平野敬一[16]・谷川俊太郎[17]・寺山修司[18]・藤野紀男[19]など、数多くの詩人・英文学者により日本語訳がなされている。
文学作品への引用の古い例としては、1910年発表の竹久夢二の童話『少年と春』に一部ではあるが訳詩がはさまれている。これは北原白秋による本格的な訳詩よりも古い。近年の引用例では、東野圭吾の『白馬山荘殺人事件』(1986年発表)の中で、この詩の最初の一節が冒頭に掲げられ、ラストでも登場人物にこの一節が読まれている[20]。
近年では、漫画作品での引用もみられる。たとえば、作中でマザー・グースの歌詞が随所に引用される萩尾望都の『ポーの一族』中の1篇「小鳥の巣」 (1973年発表) は、この詩を下敷きとした作品である。また、魔夜峰央の『パタリロ!』作中には「クックロビン音頭」という踊りが登場する[21][22]。同様に、塀内真人のテニス漫画『フィフティーン・ラブ』(1984年 - 1986年発表)の中で、主人公のライバルの1人ロビン・ザンダーがときどき「クック・ロビン」と呼ばれている[23]。アニメ『うる星やつら』第98話「そして誰もいなくなったっちゃ!?」(1983年発表)も、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を下敷きにしつつ、この詩をモチーフにした作品であり、劇中にて温泉マークのセリフとして詩が引用されている。
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