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オウム目オウム科に属する鳥の総称 ウィキペディアから
オウム(鸚鵡)は、オウム目オウム科(Cacatuidae)に属する鳥の総称。インコ科(Psittaculidae、アジア・太平洋・オーストラリア産のインコ)、ヨウム科(Psittacidae、アフリカとアメリカ大陸産のインコ)、フクロウオウム科(Strigopidae、ニュージーランド産の大型のインコ)とともにオウム目を構成する[3][5]。現存するオウム目の系統の多くは、さまざまな面で解明されていない。しかしながら、オウム科を独立した科として位置づけることは広く認められている。オウム科はオーストラレーシアに分布しており、その範囲はフィリピン、ワラセアのインドネシア諸島東部からニューギニア島、ソロモン諸島およびオーストラリアに及ぶ。英語名 "Cockatoo"は、この鳥のマレー語での名前である "kaka(k)ktua" に由来している(kaka "インコ"+ tuwah あるいは"姉妹" + tua"年上")。
オウムはその特徴的な冠羽(crest)と湾曲したくちばしから、即座に見分けることができる。オウム科で最小の種であるオカメインコは小型の鳥であるが、概ねオウムは、インコよりも大型である。羽毛は一般にインコと比べてあまりカラフルではなく、主に白色ないし灰色か黒色をしており、冠羽や頬ないし尾羽などに彩色のある部分が存在する。バタンインコの仲間(Cacatua 属)は11種の白色の羽毛を持つオウムからなり、より小型のオウムの仲間であるcorella(Licmetis 亜属)を含む。これらに近い関係の系統にピンクと灰色をしたモモイロインコやピンクと白色のクルマサカオウムがある。クロオウムの仲間(Calyptorhynchus属)の5種は大型の黒色をしたオウムである。残りの3種、大型で黒い羽毛のヤシオウム、主に灰色のアカサカオウム、そして小型でおおむね灰色のオカメインコは、これ以外のオウムたちと進化における初期の未解明の分岐を通して関連している。
オウムの食性は種子、塊茎、球茎、果実、花や昆虫からなっている。群れで採食することが多く、とりわけ地上で採食する場合に大きな群れをつくる。一雌一雄でつがいを作り、樹洞に営巣する。一部のオウムは居住環境の喪失、ことに営巣に適した洞をもつ大きな成熟した樹木の伐採による悪影響を被っている。逆に言えばこの結果、人為的な環境の改変によく適応した一部の種が農業において害鳥と考えられている。
オウムはペットとして人気があるが、飼育することは容易でない。オカメインコの場合は、飼うことがとても容易なため、ペットとして非常に人気が高い。大規模な野生種の捕獲による違法な取引によって、絶滅に瀕している種もある。
cockatooという語は17世紀に遡る。その起源はこれらの鳥のマレー語の名前 Kakatuwah ないし Kakak Tua ("年長の兄弟"の意味) がオランダ語のkaketoeを経て伝わった。17世紀には cacato 、 cockatoon や crockadore などの別称もあり、その他 cocatore や cocatoo などが18世紀に使われていた[6][7]。これらの別称は学名において科や属を表すCacatuidaeやCacatua にそれぞれ使用されている[8]。
オーストラリア英語やスラングでは、秘密であったり違法な行い(ことに賭博)に従事する者が、見張りを命じられた人物をcockatooと呼ぶ[9]。 また、小規模な農家のことを滑稽めかしたり、軽い侮蔑をこめてしばしばcocky farmers(cockyはオーストラリア英語のスラングで、cockatooのこと)と呼ぶ[10]。
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オウム科の系統発生と種相互の関係 (亜種は記載されていない)[11][12][13] |
現在のオウム科を、最初にインコ科Psittacidae の亜科(Cacatuinae)として分類したのは、1840年、英国の自然学者ジョージ・ロバート・グレイによってである。このとき、Cacatua 属は初めて属として記載された[14]。このグループはさまざまな専門家たちによって代わる代わる、科と考えられたり亜科であると考えられてきた。アメリカの鳥類学者ジェイムズ・リー・ピーターズは1937年の著書Check-list of Birds of the Worldにおいて、また1990年には、オウム目の専門家であるジョセフ・フォーショウが1973年にこれらをオウム科として分類していたにもかかわらず、シブリーとモンローもまたオウム亜科としての位置づけを維持した[15]。その後の分子分岐学の研究によって、オリジナルのインコの祖先からの最も初期の分岐がニュージーランドのインコであるミヤマオウム科であり、これに続いて現在では明確にグループないし単系統群に分類されているオウム科が分岐し、これ以外のインコが南半球への適応放散によりパラキートやコンゴウインコ、ヒインコ、ボタンインコ、そしてその他のインコといったさまざまなインコ科の種へと多様化していったことが示されている[11][12][13][16][17][18]。
オウムの種の相互の関係は、現在でも完全には解明されてはおらず、また現時点でのデータはこの科を亜科に分割することを支持していない[19]。とりわけアカサカオウム、(Callocephalon fimbriatum)とオカメインコの位置づけは厄介な問題となっている。オーストラリアの農夫にしてアマチュア鳥類学者であるジョン・コートニーは1996年に、これら2種の鳥の雛が餌をせがむときに頭を振る様子が他のオウムとは異なり、むしろインコの種に似ていることを観察している[20]。1999年にアメリカの研究者であるデイビッド・M・ブラウンと キャサリン・A・トフトはミトコンドリア DNA の塩基配列の比較から、この二つの種が白色オウムよりも、むしろクロオウム(Calyptorhynchus 属)により密接な関係があることを発見した[21]。このことはオーストラリアの鳥類学者リチャード・ショッデによる、Cacatuinae 亜科を設けてここにアカサカオウムを白色オウムとともに分類するという提案と対照的である[22]。また、研究者の Dwi Astuti によるオウムのDNAにおけるβ-フィブリノゲン遺伝子断片の分析でも、同様にアカサカオウムをここ(Calyptorhynchus 属の近縁)に分類している[23]。
Eolophus 属、Lophocroa 属および Cacatua 属 は明確で議論の余地の無いグループないし単系統群を形成する[11][12][17][21][23][24]。この単系統群に属する種は白変種であり、また性的二型性を示すことはない。Eolophus 属(モモイロインコ)をこのほかの属の Basal(初期の分岐)とすることで、さらにまた、Lophochroa 属とCacatua 属を互いに直近の関係(姉妹クレード)とすることで、この単系統群内での関係は確立したものとなっている[21][23]。Cacatua 属はさらにLicmetis 亜属(一般に corella として知られている、アカビタイムジオウムなど)とCacatua 亜属(いわゆる白色オウム、"white cockatoo")へと分割される[25]。紛らわしいことに、この"white cockatoo"という語は属全体(Cacatua 属)[26] のみならず、この単系統群全体を指す名称としても使われている[27]。
残りの6種は羽毛の大部分が黒である。これらのうち、ヤシオウムはそれ自身で単独のProbosciger 属を構成しており、オウム科の最も初期の分岐の系統を引いている。Calyptorhynchus 属の5種のオウムは一般にクロオウムとして知られており[25] これらは二つの亜属 - Calyptorhynchus 亜属とZanda 亜属 - に分割される。前者のグループは性的二色性であり、雌は特徴的な縞模様の羽毛をもつ[28]。さらに、2種は、ひな鳥が餌をせがむときの鳴き声の違いによっても特徴づけられる[20]。
オウムの化石記録は、一般にインコのそれに比べるとかなり限られており、オーストラリアのリバースレイの初期中新世(1600~2300万年前)の堆積から発見された、わずか一種類の真のオウムの祖先(Cacatua 属、おそらくはLicmetis 亜属のオウムと推測される)の化石が知られているだけである[29]。断片的ではあるが、この遺物はヒメテンジクバタンやモモイロインコによく似ている [30]。また、メラネシアのニューカレドニアやニューアイルランドでは、Cacatua 亜属(白色オウム)の種の骨の半化石が見つかっているが、これらは初期のヒトの進出によって絶滅したもののようである[31][32]。オウムの進化と系統発生に関して、これらの化石から分かることはかなり限られてはいる。しかし、リバースレイの化石によって亜科の分岐について、何らかの仮説的な年代決定が出来るのではないかと期待されている。
オウムは全般にずんぐりした体付きをした、オウム目のなかでは中型から大型の鳥で、その大きさは体長30–60 cm (12–24 in)、体重300–1,200 g (0.66–2.65 lb)に及ぶ。ただし一種類、オカメインコはほかの種よりもかなり小型で細身であり、体長は 32 cm (13 in)あるが、これにはその先細の長い尾羽根がふくまれる。また体重は 80-100 g (2.8-3.5 oz)である[9][33][35][36]。頭頂部の動く冠羽はすべてのオウムに存在するが、多くの種でそれは華々しいものである[37]。飛んでいた鳥が着地するとき、あるいは興奮しているとき、この冠羽は起立する[38]。オウムは数多くの特徴をインコと共有しており、このなかには特徴的なカーブした形状の嘴や、対趾足の脚(趾(あしゆび)の内側2本が前方を、残りの2本が後方を向いている)などがある[39]。また一方ではオウムに固有の特徴も数多くあり、たとえば胆嚢が存在することや、そのほかのいくつかの解剖学的な細部、またインコに見られる明るい青や緑を出現させる、羽根のダイクテクスチャー組織が欠如していることなどが挙げられる[36]。
インコと同様に、オウムも短い足に強力な鉤爪をもち、よたよたと歩き[36]、枝を上り下りする際にはしばしばその嘴を第三の手足として使用する。全般に高速飛行に適した幅の広い長い翼をもち、モモイロインコの記録ではその速度は 70 km/h (43 mph)にも及ぶ[40]。クロオウムの仲間(Calyptorhynchus 属)、キバタンのような大型の白色オウムやクルマサカオウムなどは、より短く丸みを帯びた翼をしており、ゆっくりとした飛行をする[40]。
オウムは大きな嘴をしており、休息中に上下の嘴をこすり合わせることによってこれを鋭利に保っている。嘴の中で、筋肉の発達した大きな舌の助けを借りて種子を巧みに操ることで、種子の殻を取り除いてから食べることができる[9]。殻を剥くときには下側の嘴が圧力を加え、舌が種子を適切な位置に固定する。そして上側の嘴が鉄床の役割を果たす。頭蓋骨の目の領域は、嘴を横方向に動かすための筋肉を保持するように強化されている[36]。雄のオウムの嘴は、一般に雌のそれぞれの対応する部位よりわずかに大きいが、ヤシオウムにおいてはこの大きさの違いが際立っている[41]。
オウムの羽毛は、インコのそれに比較して鮮やかな色彩に欠けており、ほとんどの場合、種によって黒、灰色ないし白のいずれかである。多くの種でその羽毛に、たいていは黄色、ピンクあるいは赤などの小さな彩色の領域があり、これらは通常、冠羽か尾羽根に見られる[42]。モモイロインコとクルマサカオウムはもっと広範囲にピンクがかった色をしている[43]。多くの種が目の周囲や顔に periophthalmic ring と呼ばれる明るい色彩の皮膚が露出した領域をもち、なかでもヤシオウムの赤い皮膚が大きく露出した部分が最も広範囲にわたり、顔の一部をカバーする。このほかにもずっと狭い領域ではあるが、テンジクバタンやルリメタイハクオウムなど、白色オウムの一部の種でも顕著に見られる[43]。ほとんどの種で、雄と雌の羽毛はよく似ている。雌のオカメインコの羽毛は雄のそれより鈍い色をしている。しかしながら、最も際立った性的二型性はアカサカオウムとCalyptorhynchus 亜属の2種のクロオウム、すなわちアカオクロオウムとテリクロオウムに見ることができる[41]。 虹彩の色が雌雄で異なっている種がいくつかあり、モモイロインコとクルマサカオウムの雌ではピンクないし赤であり、また白色オウムのいくつかの種では雌の虹彩は赤褐色である。すべての雄の虹彩は暗褐色をしている。
オウムは一日を通して頻繁に羽繕いすることによってその羽毛を維持している。自分の羽根をすこしずつ噛むことでホコリや油を取り除き、羽枝を再整列させる。またほかの鳥の、自分では届かない場所の羽根を繕ってやることもある。オウムは背中の下部にある羽脂腺から羽脂を分泌して、羽根を自分の頭やすでに油のついている羽根で拭くことで、これを羽根に塗布する。脂粉は腰部にある専門化された羽毛によって分泌され、オウムが羽繕いすることにより全身の羽毛に分配される[44]。
換羽は非常に時間のかかる複雑な過程である。クロオウムはその風切り羽根を一度に一本ずつ置き換えているように見える。その換羽が完了するには2年を要する。この過程はほかの種でははるかに短く、たとえば、モモイロインコやテンジクバタンでは、その風切り羽根全部の換羽に要する時間は6ヶ月前後である[44]。
オウムの鳴声は大きく耳障りである[9]。この声には、互いに個々を識別できるようにすることや、仲間に捕食者の出現を警告すること、自分の気分を知らせること、群れのつながりを維持すること、そして巣を守るための警告などいくつもの機能がある。特定の鳴声の種類や鳴声の使い方は種によって異なる。たとえばニシオジロクロオウムは15種類にもおよぶ鳴声を使い分けるのに対し、クルマサカオウムなど、このほかの種はもっと少ない。一部の種は、アカサカオウムのように比較的静かであるが、採食の際に低くうなるような鳴声をだす。ヤシオウムは鳴声のほかに、棒で枯れ枝を叩いて長距離のコミュニケーションを行う[45]。またオウムは何かを警戒しているときには、特徴的なシューシューという音を出す[38]。
オウムの分布はインコのそれに比べると遥かに限定されており、自然界での生息はオーストラレーシアに限られている。野生では21種のうち11種がオーストラリアのみに分布しており[9]、さらに7種がフィリピン諸島、インドネシア、パプアニューギニアおよびソロモン諸島のみに分布する。興味深いことにボルネオ(近くのパラワンとスラウェシでの彼らの存在にもかかわらず)や多くの太平洋の島嶼(化石の痕跡がニューカレドニアで記録されているにもかかわらず[31])ではオウムは見つかっていない[46]。
3種がニューギニアとオーストラリアの両方に分布する[47]。 なかには広範囲に分布する種もあり、たとえばモモイロインコに関して言えば、ほぼオーストラリア全土に分布する。ところがこれ以外の種は、たとえば西オーストラリアのボーダンクロオウムのように大陸の一部にしか分布しないものや、インドネシアのタニンバル諸島にしか分布しないシロビタイジオウムのように島嶼に限定されたグループなど、狭い分布域にしか生息しない。中には偶発的に、ニュージーランドやシンガポール、香港、パラウのように、その本来の分布域以外の地域に移入された種もあるし[48]、2種のオーストラリア産ジオウムはオーストラリア大陸の中で、本来の分布域ではない地域に移入された。
オウムは亜高山性の樹林帯からマングローブにまでいたる広範囲な居住環境に生息する。しかしながら、すべてのタイプの環境に生息する種は存在しない[49]。 モモイロインコやオカメインコのように[50]、最も広範囲に分布する種は開けた土地に特化しており、草の種子を採食する[9]。彼らはたいてい非常に移動性が高く、速く飛ぶことができ、また非定着性である。鳥の群れは種子やその他の食料源を探したり、食べたりしながら、内陸の広大な領域をわたってゆく。旱魃によってこれらの群れはより乾燥した地域から農耕地へと、さらに追い立てられることになるだろう[50]。このほかのテリクロオウムのような種は、森林地帯、雨林帯、潅木地や山岳地帯の樹林にすら生息する。アカオクロウムはマングローブに生息する。そしてルソン島北部に分布していないのは、ここでのマングローブ林の欠如に関係があるのかもしれない[51]。樹林に生息するオウムは、一般に定着性である。というのもここでは食料の供給がより安定的で、予測可能だからである[52]。さまざまな種が人間によって改変された居住環境によく適応しており、農耕地や、また雑踏した都市部ですら見ることができる[53]。
オウムは昼行性であり、食料を探すために日光を必要とする[9]。彼らは早起きではなく、むしろ日光がそのねぐらを暖めるのを待って餌を探しに行く。すべての種が一般に高い社会性を備え、ねぐらにつく時や、採食、移動に際してはカラフルで騒々しい群れをつくる。この群れの大きさは食料の状況によって変化し、潤沢な時期には100羽かそれ以下の小さな群れを形成するが、旱魃やその他の逆境の時期においては、数千から数万羽の群れにまで膨れ上がることがある。キンバリーでのある記録には、32,000羽のアカビタイムジオウムの群れのことが記述されている。開けた土地に生息する種は、森林地帯に生息するものよりも大きな群れをつくる[54]。
たいていの種はねぐらの場所からえさ場までの間、長大な距離を移動するかもしれないが、それでもすべての種はねぐらの近くに水場を必要とする[55]。オウムの水浴びには特徴的な方法がいくつもあり、雨の中で逆さまにぶら下がったり飛び回ったりする、あるいはまた樹冠のぬれた葉の中で羽ばたいたりすることもある[38]。
オウムは、さまざまな範囲の植物性食物を主として摂取する、融通の利く食べ手である。すべての種においてその食餌の大部分は種子によって構成され、その大きく強力な嘴によって割って食べられる。 モモイロインコ、ジオウムやクロオウムの一部は、主に地上で採食するが、これ以外の種はほとんど樹上で採食する[9]。地上で採食する種は群れで餌をあさる傾向があり、種子が集中している場所では密集した小競り合いをするグループを形成し、種子がもっとまばらに分布している時には分散したラインを形成する[56]。また、採食するには視界が良好な開けた場所を好む。ヒメテンジクバタンとテンジクバタンは塊根や根を掘り返すための長く伸びた嘴を持ち、またクルマサカオウムは、doublegree (Emex australis、タデ科の一年草)をねじって引き抜くために、この周囲を円を描くように歩き、地下の部分を取り除く[57]。
ほとんどの種は樹冠の中で餌を探す。これはオーストラリアの乾燥地帯の自然の特徴である Serotiny(ユーカリ属やバンクシア属、ハケア属といったグループの植物によるガムナッツや球果の種の大量供給による備蓄)を利用するためである。これらの樹木性果実の果肉は、ほとんどの生物種にとって近付き難く、このために主にインコとオウム、そしてもっと熱帯気候の地域では齧歯類によって収穫される。より大型の球果は小動物には頑丈すぎるが、オウムの大きな嘴なら開けることができる[58]。ナッツや果実の多くは餌を探しているオウムの重量を支えられないような小枝の端に実る。そこで、オウムは枝をたわめて実を引き寄せてからこれを足で保持する[59]。
オウムは種によって幅広い範囲の食物を食べる万能選手であったり、また特定の食物に特化したスペシャリストであったりする。テリクロオウムはAllocasuarina 属(モクマオウ科に属するグループのひとつ)の球果に特化しており、特にこの中の1種類(A. verticillata)を好む。この鳥は足で球果を保持して、強力な嘴で細かく引き裂いてから、舌で種子を取り出す[60]。たくさんの昆虫を、ことに繁殖期に捕食する種もある。事実キイロオクロオウムの食餌は大部分が昆虫から構成されている。この大きな嘴は腐りかけた樹木から地虫や幼虫を引き出すために使われる。オウムが採食のために費やさねばならない時間は季節によって変動する[59]。食料が潤沢な時期は採食のために毎日、朝と夕方の数時間を費やすだけでよく、一日の残りは木の中でくつろいだり羽繕いをして過ごす。しかし冬季にはほとんど一日を採食に費やさねばならない。繁殖の季節になると鳥の栄養的な要求が増大する。このため、この時期には食料を探し求めるための時間が長くなる。オウムは大きな素嚢をもっており、これにより木の中にこもった後数時間のあいだ食料を貯蔵して消化することができる[61]。困難な時期になるとオウムはまたその食料に関する万能性を発揮する。食料を見つけるため広い範囲を移動し、より未熟な植物の果実や種子を採食し、なかには根茎を掘り起こすためにその嘴を使う種もある。
オウムは一雄一雌で繁殖を行い、番の絆は長年にわたる。多くの鳥は性的に成熟する以前に群れの中でペアとなり、少なくとも1年は繁殖を行わない。雌が初めて繁殖を行うのは3歳から7歳の間のいずれかであり、たいてい雄はこれより年かさである。鳥が雛を取り上げて哺育できる技術を発達させることができるように、性的な成熟は遅れ、これはほかの種の鳥に比べて長期にわたる。なかには若鳥が両親のもとに1年以上とどまる種もある[62]。また、オウムは何年も同じ営巣場所に戻ってくる性質(site fidelity)を示すことがある[45]。求愛行動は一般に、ことに確立したペアの間では単純である。ただしクロオウムの仲間だけは、求愛給餌行動を行う。確立したペアは互いに羽繕いをしあう行動をするが、おそらくはそのつがいの絆の強さのため、抱卵が始まるとすべての形態の求愛行動は次第に少なくなる[63]。
ほとんどのインコと同様にオウムも空洞に営巣する鳥で[64]、樹洞に巣をつくるが自分でその穴を掘ることはできない[65]。これらの洞は、木の枝が折れたあとの腐朽や破壊によるものや、キノコやシロアリのような昆虫によるもの、あるいは生息域が重なる場合にはキツツキによって形成されたものと言う場合すらある[66]。大抵の場所でこのような穴は不足しており、このため同じ種の仲間のみならず、異なる種の鳥や動物との競争の原因となる[67]。一般にオウムは自分の体よりもわずかに大きい洞を選ぶ。この結果、体の大きさによってそれぞれの種が、そのそれぞれに対応した(そして大きさの異なる)樹洞に営巣する。機会に恵まれれば、オウムは地上7–8 m (23–26 ft)の高さで[66] 、水と食料に近い場所に営巣することを好む[68]。
巣穴は小枝や木片、葉のついた枝などで内張される。オウムの卵は楕円形で、営巣場所のおかげでカモフラージュが必要ないため、当初は白である。とはいえこれは抱卵の過程で変色してゆく。 その大きさの範囲はヤシオウムやアカオクロオウムの 55 mm × 37 mm (2.2 in × 1.5 in)から、オカメインコの 26 mm × 19 mm (1.02 in × 0.75 in)におよぶ[69]。卵の数はグループにより異なっており、ヤシオウムやこのほかの一部の大型のオウムではたった1個の卵しか産まないし、もっと小型の種では2個から8個のあいだのいずれかである。また食糧事情も卵の数に影響を与える[70]。 最初の産卵が失敗であった場合に、2度目の産卵を行うことができる種もある[71]。卵の20%前後が無精卵である[72]。オウムの抱卵と哺育の責任は、クロオウムのようにそのいずれも雌のみが受け持つ場合もあり、あるいはこのほかの種のように、雌雄の間で分担して受け持つ場合もある。クロオウムの場合では、雌は雄によって日に何度も餌を与えられる。ヤシオウムの雛だけは裸で生まれて来るが、この他のすべての種の雛は、黄色がかった綿羽に覆われて生まれる。オウムの孵化までの期間は種の大きさによって決まる。小型種であるオカメインコの場合20日前後の期間であるのに対し[73]、大型種のニシオジロクロオウムの卵が孵化するまでには29日かかる[9]。
巣立ちまでの期間もまた種の大きさによって異なり、大型種になるほど巣立ちが遅くなる。これはまた、季節や環境の条件からも影響を受けるし、そしてまた複数の卵を産む種では、兄弟との競争によっても変化する。一部の種では巣立ちに要する期間について知られていることの多くが、禽舎での研究に依存している。飼育されているオカメインコは5週間で巣立ちを迎えることができ、同様に大型種のヤシオウムでは11週間後である[9]。巣立ちまでの期間、幼鳥は洞の中にとどまっている間は juvenile plumage(幼鳥の羽根)によって覆われている。翼と尾の羽根は当初は成長が遅いが、初列風切り羽根が現れると、より急速に成長するようになる。幼鳥はこの期間のおおよそ2/3という短い間に、成鳥の体重の80~90%まで成長する。そして巣穴を離れるまでに安定水準に達する。この体重になると羽根が生えそろうが、翼と尾羽根は成鳥の大きさに到達する直前まで成長が続く[74]。若鳥の成長率は、巣立ちできる数と同じように、食料の減少や悪天候によって悪影響を受ける[75]。
ハヤブサやアカヒメクマタカがモモイロインコを捕食すること、オナガイヌワシがキバタンを殺すことが観察されている[76]。 卵や雛はさまざまな危険に対して脆弱である。さまざまな種類のオオトカゲ(Varanus)は木に登って巣穴に入り込むことができるし、これ以外の捕食者として記録されているものには、フィリピン諸島のラサ島の マレーモリフクロウ、ヨーク岬半島のオオハダカオネズミなどの齧歯類[77]、 アメジストニシキヘビやクロモズガラス、カンガルー島のフクロギツネなどがある。さらに、カンガルー島ではモモイロインコとアカビタイジオウムが、テリクロオウムと営巣場所をめぐって競合しており、巣穴で後者の雛を殺すことが記録されている。また猛烈な嵐は巣穴を浸水させ雛を溺死させることがあるし、シロアリや穿孔性生物の活動が巣穴の内部崩壊を引き起こすこともある[78]。
他の種類のインコと同様に、オウムもオウム類嘴羽毛病(PBFD)に感染する可能性がある。このウイルス感染症は、羽毛の喪失と嘴の形成異常を引き起こし、鳥の全般的な免疫力を破壊する。ことにキバタン、アカビタイジオウムとモモイロインコに蔓延しているが、現時点で14種のオウムでの感染が記録されている。全般的に見て、PBFD が野生の健康な鳥の集団に顕著な影響を与えることはありそうもないが、より小規模で密集した集団を深刻な危険にさらすかもしれない[79]。
白色オウムとキバタンは住血胞子虫(ヘモプロテウス属)に感染することがわかっている。またスペインのグラナダ県アルムニェカルにある鳥類園では、糞便サンプルの検査からマラリア原虫を持っているキバタンが見つかっている[80]。 ボウシインコやコンゴウインコと同様に、オウムも総排泄孔乳頭腫を頻繁に発症する。病原であるオウム乳頭腫ウイルスはヨウムから分離されているが、この状態での悪性腫との関連はわかっていない[81]。
人間の活動は、オウムの一部の種に有益な影響をもたらし、またほかの種に有害な影響をもたらしている。開けた土地に生息する多くの種は、人為的な地形の改変による、信頼性の高い種子食料源と利用可能な水源の大幅な増大によって多大な利益を被った。さらにまた、移入された栽培植物を含む食餌にもよく適応している。オーストラリア以外の、開けた土地を好む種の生息数がそれほど増加していないことから、このような利益はオーストラリアの種に限定されているように思われる。主に森林に生息する種は居住環境の破壊によって大きな被害を被っている。主な理由は、その食餌がずっと専門化されており、外来の食料を食餌に取り込むことができなかったためであると考えられる。顕著な例外は東部オーストラリアのキイロオクロオウムの例である[82]。
多くの種類のオウムが、農業に深刻な被害をもたらす害鳥となる可能性を持っている[83]。このために、時には銃や薬物の散布による駆除の対象となったり、またガスによる殺処分のために捕獲されたりすることもある。非殺傷的な被害緩和の手段として、脅かすことや居住地を操作すること、そしてまた主要な作物から気をそらすために、集積所を設けておとりの餌を供給することや、犠牲にするための作物の栽培なども行われている。オウムは、都市においては資産を破壊することから厄介者となることもある。彼らは自然の中では樹木をかじることでその嘴を維持しているが、都市の郊外においては屋外の家具や、ドア、窓枠などをかじることもある[53]。ベイスギのような、柔らかく装飾的な木材はすぐさま破壊されてしまう[84]。オウムたちはまた、屋外の配線、テレビのアンテナや衛星放送のパラボラアンテナ[84]、太陽熱温水器などのような家屋の備品[53] も攻撃目標にする。メルボルン市街中心部の商業施設は、キバタンによって厚板ガラス窓からシリコン封止材を剥がされてしまうという被害にたびたび遭っている[85]。モモイロインコとアカオクロオウムは、農村地帯で電力ケーブルの被覆を剥がしてしまうし、また防水布は場所を問わず攻撃目標となっている[85]。オーストラリア以外の場所では、シロビタイジオウムがヤムデナ島においてトウモロコシを荒らす害鳥とされている[86]。
1995年、ビクトリア州政府はテンジクバタン、キバタン、およびモモイロインコによって引き起こされる問題について報告書を公開した。この3種に加えてアカビタイムジオウムは、膨大な生息数がさらに増大しており、人為的な地形の改変によって利益を被っている。調査結果と報告書の公開を受けて、特定の条件下ではこの3種は保護対象とならないことが、総督の勅令により宣言された。これにより、これらのオウムによって樹木、ブドウ園、果樹園、レクレーション用保護区、商用作物などに対して深刻な被害が引き起こされる場合、これを駆除することが許されている[87]。報告書に掲げられている被害の内容には、穀物や、果樹園の果実や堅果(ナッツ)、一部の種類の野菜作物に対する被害ばかりではなく、家屋や通信施設への被害も含まれている[88]。アカビタイムジオウムは、西オーストラリア州で農業における害鳥と宣言されているが、これは飼育のために持ち込まれた外来種である。この被害は、トウモロコシやその他のモロコシ属の作物、ヒマワリ、ヒヨコマメやその他の作物に及んでいる。さらにまた、公園や庭園では植樹された樹木を立ち枯れさせ、食べられる根や球根を求めて競技用のグラウンドやトラックを掘り返し、また同じように電線や家屋の設備をかじる[89]。南オーストラリア州では群れの数は数千羽を数えることがあり、また複数の種が保護対象外として分類されている。かれらはセキザイユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)や、その他の土着の観賞用植物をねぐらに使って立ち枯れさせていると見られており、穀物貯蔵所の防水布や、建物の電線や、雨押さえを損傷させ、畑に播種したばかりの種子を食べてしまい、騒音被害を作り出している[90]。
いくつもの希少種やその近縁種も、また同じく問題を引き起こしていることが記録されている。ニシオジロクロオウム(西オーストラリア州の固有種で、絶滅危惧種)は松の植樹林の害鳥と考えられている。これは成育中の松の芽吹きの先端をかじり取ってしまい、この結果幹が曲がって材木としての価値を下げてしまう[91]。 さらにまた果樹や堅果の収穫に損害を与えることでも知られており[92]、またセイヨウアブラナ(キャノーラ)の収穫を食い物にすることを覚えてしまった[93]。ボーダンクロオウムもまた、西オーストラリア州南西部の固有種であるが、リンゴやナシの果樹園で、その種子をとり出すために果実を破壊してしまう害鳥となることがある[91]。ヒメテンジクバタンの基亜種である Muir's Corella も西オーストラリア州では農業に対する害鳥と宣言されているが、また一方、自然界では絶滅の危機にさらされており、州の規定によれば「希少ないしは絶滅に近い状態」として分類されている[94]。
国際自然保護連合とバードライフ・インターナショナル によれば、オウムのうち8種が危急(絶滅危惧II類)ないしそれよりも危険な状況にあると考えられ、1種は準絶滅危惧であると考えられている[97]。これらのうち2種、すなわちフィリピンオウムとコバタンは絶滅寸前(絶滅危惧IA類)の状況にあると考えられている[98]。
オウムに対する主たる脅威とは、居住環境の破壊と野生生物の売買である。すべてのオウムは営巣のために樹木に依存しており、その喪失に対して脆弱である。さらに、多くの種が居住地に対する要求が専門化されていたり小さな島に生息しているため、必然的に生息範囲が限定されており、これらの居住地の喪失に対して脆弱になってしまっている[99]。オウムはペットとして人気が高く、このためその捕獲と売買によって生存を脅かされている種がある。1983年から1990年の間に、記録されただけでも66,654羽のオオバタンがインドネシアから輸出されている。この数字には国内での売買のために捕獲された鳥や、違法に輸出された鳥の数は含まれていない [100]。その後さまざまな種の捕獲は禁止されたが、違法な売買は続いている。鳥は木枠や竹で編んだ筒に入れられて、インドネシアやフィリピンからボートで運び出される[101]。希少種の鳥がインドネシアから密輸出されるばかりではなく、同様にオーストラリアからも、ありふれた種や希少種が密輸出されている。鳥は眠らされ、ナイロンストッキングで包まれてからポリ塩化ビニルのチューブに詰められて、国際貨物便の別送貨物で送り出される[101]。死亡率は著しく(30%)、また卵のほうがはるかに容易に飛行中の密輸業者の体に隠すことができることから、鳥の密輸に代わって卵の密輸がますます増大している。違法な取引は、組織化された犯罪者たちによって実行されていると考えられるが、彼らはまた密輸出の他にオーストラリア産の種を、たとえばコンゴウインコのような外国種と交換することも行う [102]。
オカメインコをのぞくすべての種のオウムが、ワシントン条約(CITES(サイテス)、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)の保護下にあり、これにより捕獲された野生種のインコおよびオウムの輸出入と売買は違法である。以下の種類のオウムはそのすべての亜種も含めて、ワシントン条約付属書Iに絶滅危惧状態 (Endangered) として掲げられ、保護されている。
これ以外のすべての種類のオウムはワシントン条約付属書IIに危急(vulnerable)として掲げられ、保護されている[103]。
オウムはその外観や知能、そして魅力的な個性のためペットとして飼育されているが[9]、それにも拘らずペットやコンパニオンパロットとしては問題の多い生き物かもしれない[105]。アカビタイムジオウムは定評ある話し手ではあるが[106]、一般にオウムは人語をまねすることがあまりうまくない [107]。それでも日本語では「鸚鵡返し」(オウム返し)という[108]。飼育に当たっては、インコやオウムについて十分な経験を積んだ人物が世話することが最も望ましい[105]。オウムは社会性動物であり、その社会性に対する欲求を満たすことは容易ではない[105]。そして、一羽でかごに長時間入れられていれば、苦痛を感じることだろう[109]。クロオウムが飼育されているのを見ることは白色オウムに比べて稀である[110]。クロオウムはヨーロッパの動物園では稀にしか見ることがないが、これはオーストラリアでの野生生物の輸出規制によるためである。これらの鳥はオーストラリア政府からの貸し出しによって獲得されたものである[111]。
オウムは大抵その飼い主に対して、また時には他人に対しても非常に愛情豊かであるが、またその世話には大変な手間がかかることもある。さらにまたその好奇心はきわめて強く、このことはかれらがいじり回し、かじり、分解し、そして破壊するための対象を安定的に供給しなければならないことを意味する。飼育下のオウムは退屈でいることに苦しむかもしれない。このことは、たとえば毛引きといった常同行動に繋がることがある。このようなオウムの毛引きは身体的な理由(たとえば炎症性の疾患)よりはむしろ心因性の理由である傾向がある[112]。これ以外の大きな欠点として、きわめて強い力でかみついて、ひどく痛い咬傷を与える能力や[113]、ほとんどの種のオウムが並外れたつんざくような叫び声をもった、非常にやかましい鳥であると言う事実などがある[114]。オオバタンなど[115]Cacatua 亜属の白色オウムは、これらについて最も問題の多い鳥である[116]。すべての種のオウムがその羽根に微細な粉末(脂粉)をつけているが、これが特定の人たちにアレルギーを引き起こすことがある[113]。一般にモモイロインコやシロビタイジオウムなど、より小型のオウムの方が、はるかにペットとして飼うことが容易であると考えられており、前者の方が大型種のような大きな金切り声で叫ぶ傾向が少ない[117]。オウムの中で最小の種であるオカメインコは、もっともポピュラーなペットであり、またもっとも飼育の容易なインコである[118][119]。そしてまた、さまざまな色変わりの変種をペットショップで入手することができる[35]。
大型のオウムは30年から70年生きることができ、種類や状況によってはこれ以上生きることもある。またオカメインコは20年ほどの寿命である。ペットとしてオウムを飼育する場合、飼い主は長期間にわたる責任が生じるが、その長命はペットロスの事例を低減させることから、有益な特性であると考えられることもある[9]。飼育されている最も長命なオウムは、シカゴのブルックフィールド動物園に住んでいる'クッキー'と言う名前のクルマサカオウムで、2009年に76歳を迎えた[120][121]。サンディエゴ動物園で飼育されていたツタンカーメン大王(King Tut)と言う名前のオオバタンは、1990年に死亡した時点で69歳に近い年齢であった。またあるヤシオウムはロンドン動物園で2000年に56歳を迎えた[122]。しかしながら、はるかにもっと年齢を重ねた鳥に関する逸話的報告が存在している[122]。シドニーのトム・アグリーズ・ポイントの有名なキバタンであった“生意気ベネット”は、100歳かそれ以上の高齢であったと言われている。彼は羽根を失っており、その生涯の大半を裸で過ごした[123]。あるヤシオウムは、オーストラリアの動物園で80ないし90歳を迎えたと言われており[45] また1904年にオーストラリア中央部で巣にいるところを捕えられたアカビタイムジオウムが、1970年代末期にまだ健在だったことが報告されている[76]。2010年2月にセブ島で、アーサーという名前の白色オウムが90歳であるという主張がなされた。彼はセブ島のダラギュテの家族と数代にわたって暮らしたのち、セブ市動物園に持ち込まれた[124]。
ときおり動物園などのバードショウで調教されたオウムを見ることがある。かれらは全般にほかの鳥に比べて食物による動機付けが弱く、中には撫でられることや称賛されることの方が、食物よりも強い動機付けとなっている鳥もいるようである。オウムはパロットハーネスを着用するよう躾けることができる場合があり、これによって飼い主はオウムを屋外に連れ出すことができるようになる。オウムは、一般的には高齢者福祉施設において、動物介在療法に利用されている[125]。
オウムは、音楽的な音に明瞭な反応を示すことがしばしばあり、鳥がポピュラー音楽に合わせて“ダンスする”様子を示す映像が無数に存在している。'スノーボール’と言う名前のアルーキバタンに対して、2008年に実施された研究によれば、この個体が明らかに拍子を取る(ヒトが作り出した音楽を把握して拍子に合わせて体を動かす)能力があることが示された[126]。
オウム、大型インコが日本に輸入されたのはかなり古く、記録に残っている最古のものは647年(大化3年)に金春秋とともに新羅から献上され[127]、656年には遣百済使の難波国勝らによってもたらされており[128]、その後もたびたび輸入されているようである。藤原頼長の日記『台記』の1147年(久安3年)11月28日条には、鳥羽法皇が藤原忠実に貸したオウムを見た頼長が、よく話すが漢語だからか聞き取れないと記している。江戸時代に入ってからは、将軍、大名家で飼育され、庶民の見せ物小屋などでもみられるようになった。[5]
ハンガリー出身の芸術家ヤコブ・ボグダーニ(1660 - 1724, 1683年からアムステルダムに住み、その後イングランドに移った [129])は好んで鳥をモチーフとした画家で、オウムを描いた作品もある。また、オランダ人の画家メルヒオール・ドンデクーテル(1636 - 1695)の鳥の小品群の中にも、無数のほかの鳥とともに描かれている [130]。 英国の画家ジョセフ・ライトの『空気ポンプの実験』では不運なオウムが主題として扱われているが、このオウムの運命は絵からではわからない[131]。
1883年に出版されたロバート・ルイス・スティーヴンソンの『宝島』では悪役のジョン・シルバーが元の船長をあざけるかのように「フリント」と名付けたオウムを飼っていて、オウムのフリントはよくシルバーの肩を止まり木代わりにして鳴き声を上げる。
オウムはオーストラリアの植物や動物と並んで、20世紀初期の連邦建築様式における装飾的モチーフで大きな位置を占めた[132]。英国の画家ウィリアム・ロバーツは1958年に訪れたカムデン・タウンのペットショップでインスピレーションを得て、“The Cockatoos”を描いた。この作品はテイト・ギャラリーに展示されている[133][134]。アメリカ人の芸術家、彫刻家のジョゼフ・コーネルは、紙を切り抜いて作ったオウムを作品の中に置くことで知られていた[135]。
オーストラリア首都特別地域政府は1997年2月27日に、アカサカオウムを公式な動物相章に採用した[136]。短命に終わった格安航空会社のインパルス・エアラインは、キバタンをそのユニフォームと機体のマーキングに採用していた[137]。ヤシオウムはユニークな嘴と顔の彩色を持った鳥であるが、World Parrot Trust はそのシンボルにこのヤシオウムを使っている[138]。
1970年代には2つの刑事ドラマが、ペットのオウムを連れた主人公を登場させている。1973年の映画『セルピコ』ではアル・パチーノがペットに白色オウムを飼っていたし、テレビ番組の『刑事バレッタ』ではロバート・ブレイクがアオメキバタンのフレッドとともに登場した[139] 刑事バレッタ の人気は、1970年代後半のペットとしてのオウムの人気の高まりとの一致が見て取れる[140]。オウムは広告において繰り返し使われている。あるオウムは2008年のコカトゥー・リッジ・ワイナリー社による(後にトーンダウンしはしたが)人を食った広告キャンペーンに登場している[141]。また、オウムがデザインされたParrot OSはセキュリティを重視したイタリア発のPC用のOSで、個人用のParrot Homeなどが無償で公開されている。
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