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メジャーリーグベースボールの第45回アメリカンリーグ優勝決定シリーズ ウィキペディアから
2014年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは9月30日に開幕した。アメリカンリーグの第45回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 45th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、10月10日から15日にかけて計4試合が開催された。その結果、カンザスシティ・ロイヤルズ(中地区)がボルチモア・オリオールズ(東地区)を4勝0敗で下し、29年ぶり3回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
2014年のアメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズ | |||||||
第4戦試合前のカウフマン・スタジアムの様子。アメリカ空軍B-2スピリットがフライオーバーのため上空を飛行中 | |||||||
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シリーズ情報 | |||||||
試合日程 | 10月10日–15日 | ||||||
観客動員 | 4試合合計:17万4687人 1試合平均: 4万3672人 | ||||||
MVP | ロレンゾ・ケイン(KC) | ||||||
責任審判 | ジョー・ウェスト[1] | ||||||
ALDS | KC 3–0 LAA BAL 3–0 DET | ||||||
チーム情報 | |||||||
カンザスシティ・ロイヤルズ(KC) | |||||||
シリーズ出場 | 29年ぶり | 7回目||||||
GM | デイトン・ムーア | ||||||
監督 | ネッド・ヨスト | ||||||
シーズン成績 | 89勝73敗・勝率.549 中地区2位=第1ワイルドカード | ||||||
分配金 | 選手1人あたり23万[2] | 699.73ドル||||||
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ボルチモア・オリオールズ(BAL) | |||||||
シリーズ出場 | 17年ぶり10回目 | ||||||
GM | ダン・デュケット | ||||||
監督 | バック・ショーウォルター | ||||||
シーズン成績 | 96勝66敗・勝率.593 東地区優勝 | ||||||
分配金 | 選手1人あたり12万5288.04ドル[2] | ||||||
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ワールドシリーズ |
両球団がポストシーズンで対戦するのはこれが初めて。今シリーズは、ポストシーズン史上初めて両球団の全先発投手が6イニング未満で降板する展開となったうえに、全試合が2点差以内で決着する接戦続きだったが、救援投手陣と守備で上回ったロイヤルズが初戦から負けなしの "スウィープ" でオリオールズを退けた[3]。ロイヤルズの抑え投手グレッグ・ホランドは、1シリーズ中にチームの4勝全てでセーブを挙げた史上3人目の投手となった[注 1][4]。シリーズMVPには、第2戦で4安打を放ち2得点を記録するなど、4試合で打率.533・1打点・5得点・OPS 1.255という成績を残したロイヤルズのロレンゾ・ケインが選出された。しかしロイヤルズは、ワールドシリーズではナショナルリーグ王者サンフランシスコ・ジャイアンツに3勝4敗で敗れ、29年ぶり2度目の優勝を逃した。
10月5日、まず先に行われた試合でオリオールズ(東地区優勝)が、そのあとの試合ではロイヤルズ(中地区2位=第1ワイルドカード)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
オリオールズは2013年、85勝77敗の地区3位で2年連続のポストシーズン進出には6.0ゲーム差届かず。2014年へ向けて、手薄だった先発ローテーションにはウバルド・ヒメネスを、指名打者にはネルソン・クルーズを加えた[5]。この年は5月終了時点で27勝27敗の勝率.500だったが[6]、そこから勝ち越しを伸ばしていき、7月4日以降は地区単独首位の座を維持しながらシーズンを進める[7]。ただその過程では、主力選手に離脱が相次いだ。5月には捕手のマット・ウィータースが肘痛でシーズン絶望となり[6]、8月には三塁手マニー・マチャドが膝痛で残り試合の欠場決定、9月には一塁手クリス・デービスが治療薬使用申告漏れによって25試合の出場停止処分を受けた[8]。こうした逆境にもかかわらず、トロント・ブルージェイズやニューヨーク・ヤンキースら同地区球団との差を徐々に広げていき、9月16日に17年ぶりの地区優勝を果たした[9]。平均得点4.35はリーグ6位、防御率3.44はリーグ3位。打線は出塁率がリーグ11位と低かったため本塁打数がリーグ最多の割には得点を伸ばせず、チームの強みは打力よりも守備防御点リーグトップの守備力にあった[7]。投手陣では新戦力のヒメネスがシーズン途中でローテーションから外されるなど期待外れに終わった一方で[10]、クリス・ティルマンが新たにエースとして台頭した[6]。地区シリーズではデトロイト・タイガースを3勝0敗で下した[11]。
ロイヤルズは直近2年連続で地区3位ながら、勝敗を2012年の72勝90敗から2013年は86勝76敗に向上させた。アレックス・ゴードンやグレッグ・ホランドら生え抜きが消化試合ではないシーズン終盤の戦いを初めて経験し、エースのジェームズ・シールズも契約が残り1年となったことから、2014年は勝負の年に位置づけられた[12]。この年は前半戦を地区首位タイガースと6.5ゲーム差の2位で終え、8月上旬には8連勝で首位に立つ[13]。その後はタイガースと地区優勝を、ともに西地区のオークランド・アスレチックスやシアトル・マリナーズらとワイルドカードを争った。地区2位で迎えた9月26日にはポストシーズン進出を決め、当時の北米4大プロスポーツリーグで最長となる28年連続ポストシーズン逸に終止符を打った[14]。ただ、残り2試合で逆転地区優勝を目指したが、タイガースに1.0ゲーム差及ばず第1ワイルドカードにまわった[15]。平均得点4.02はリーグ9位、防御率3.51はリーグ4位。リーグ最多の153盗塁を記録するなど足を使った攻撃、左中間のゴードンとロレンゾ・ケインを中心とした堅い守備、終盤3イニングの継投を盤石にしたホランドら救援投手陣、といったスモールボールがチームの強みとなった[13]。ポストシーズンでは、ワイルドカードゲームでアスレチックスを相手に延長12回逆転サヨナラ勝ちすると[16]、地区シリーズでもロサンゼルス・エンゼルスに3連勝した[17]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、オリオールズがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は7試合対戦し、ロイヤルズが4勝3敗と勝ち越していた[18]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
ボルチモア・オリオールズ | カンザスシティ・ロイヤルズ | ||||||||||||
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守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 | 守備位置 | 背番号 | 出身 | 選手 | 投 | 打 | 年齢 |
投手 | 35 | ブラッド・ブラック | 右 | 右 | 28 | 投手 | 55 | ティム・コリンズ | 左 | 左 | 25 | ||
53 | ザック・ブリットン | 左 | 左 | 26 | 17 | ウェイド・デービス | 右 | 右 | 29 | ||||
16 | 陳偉殷 | 左 | 右 | 29 | 41 | ダニー・ダフィー | 左 | 左 | 25 | ||||
39 | ケビン・ゴーズマン | 右 | 左 | 23 | 27 | ブランドン・フィネガン# | 左 | 左 | 21 | ||||
50 | ミゲル・ゴンザレス | 右 | 右 | 30 | 54 | ジェイソン・フレイザー# | 右 | 右 | 37 | ||||
29 | トミー・ハンター | 右 | 右 | 28 | 11 | ジェレミー・ガスリー | 右 | 右 | 35 | ||||
17 | ブライアン・マティス | 左 | 左 | 27 | 40 | ケルビン・ヘレーラ | 右 | 右 | 24 | ||||
48 | アンドリュー・ミラー# | 左 | 左 | 29 | 56 | グレッグ・ホランド★ | 右 | 右 | 28 | ||||
25 | バド・ノリス | 右 | 右 | 29 | 33 | ジェームズ・シールズ | 右 | 右 | 32 | ||||
56 | ダレン・オデイ | 右 | 右 | 31 | 51 | ジェイソン・バルガス | 左 | 左 | 31 | ||||
30 | クリス・ティルマン | 右 | 右 | 26 | 30 | ヨーダノ・ベンチュラ | 右 | 右 | 23 | ||||
捕手 | 40 | ニック・ハンドリー# | 右 | 右 | 31 | 捕手 | 19 | エリック・クラッツ# | 右 | 右 | 34 | ||
36 | ケイレブ・ジョゼフ | 右 | 右 | 28 | 13 | サルバドール・ペレス★ | 右 | 右 | 24 | ||||
内野手 | 3 | ライアン・フラハーティ | 右 | 左 | 28 | 内野手 | 16 | ビリー・バトラー | 右 | 右 | 28 | ||
2 | J.J.ハーディ | 右 | 右 | 32 | 24 | クリスチャン・コローン | 右 | 右 | 25 | ||||
14 | ケリー・ジョンソン# | 右 | 左 | 32 | 2 | アルシデス・エスコバー | 右 | 右 | 27 | ||||
38 | ジミー・パラデス# | 右 | 両 | 25 | 35 | エリック・ホズマー | 左 | 左 | 24 | ||||
28 | スティーブ・ピアース# | 右 | 右 | 31 | 14 | オマー・インファンテ | 右 | 右 | 32 | ||||
6 | ジョナサン・スコープ | 右 | 右 | 22 | 8 | マイク・ムスタカス | 右 | 左 | 26 | ||||
外野手 | 23 | ネルソン・クルーズ★ | 右 | 右 | 34 | 外野手 | 23 | 青木宣親 | 右 | 左 | 32 | ||
12 | アレハンドロ・デアザ# | 左 | 左 | 30 | 6 | ロレンゾ・ケイン | 右 | 右 | 28 | ||||
10 | アダム・ジョーンズ★ | 右 | 右 | 29 | 1 | ジャロッド・ダイソン | 右 | 左 | 29 | ||||
9 | デビッド・ロウ | 左 | 左 | 28 | 4 | アレックス・ゴードン★ | 右 | 左 | 30 | ||||
21 | ニック・マーケイキス | 左 | 左 | 30 | 0 | テレンス・ゴア | 右 | 右 | 23 | ||||
27 | デルモン・ヤング | 右 | 右 | 29 | 7 | ジョシュ・ウィリンガム# | 右 | 右 | 35 |
オリオールズは地区シリーズのロースターから投手を入れ替え、右腕ウバルド・ヒメネスに代えて左腕ブライアン・マティスを登録した。地区シリーズの対戦相手デトロイト・タイガースが右の強打者を揃えていた一方、ロイヤルズ打線の中軸にはエリック・ホズマーやアレックス・ゴードンら左打者が多く、マティスは対左打者の被打率を.223としている[19]。ヒメネスは前年シーズン終了後にFAとしてオリオールズと4年5000万ドルの契約を結んだが、1年目のこの年は25試合125.1イニングで防御率4.81と低迷し[10]、地区シリーズではロースター入りしながらも登板機会を得られなかった。これに対し、ロイヤルズは地区シリーズからのロースター変更はない[20]。
2014年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月10日に開幕し、途中に移動日と雨天順延を挟んで6日間で4試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 | |
---|---|---|---|---|---|---|
10月10日(金) | 第1戦 | カンザスシティ・ロイヤルズ | 8-6 | ボルチモア・オリオールズ | オリオール・パーク・ アット・カムデン・ヤーズ | |
10月11日(土) | 第2戦 | カンザスシティ・ロイヤルズ | 6-4 | ボルチモア・オリオールズ | ||
10月12日(日) | ||||||
10月13日(月) | 雨天順延 | カウフマン・スタジアム | ||||
10月14日(火) | 第3戦 | ボルチモア・オリオールズ | 1-2 | カンザスシティ・ロイヤルズ | ||
10月15日(水) | 第4戦 | ボルチモア・オリオールズ | 1-2 | カンザスシティ・ロイヤルズ | ||
優勝:カンザスシティ・ロイヤルズ(4勝0敗 / 29年ぶり3度目) |
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