被災地支援競走(ひさいちしえんきょうそう)とは、公営競技の主催者が大規模災害からの復興を支援するため、売上金などの一部を被災地の復興財源に充てることを目的とする開催の総称である。
1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災など、日本の歴史上に残る災害の復興を支援する主旨により開催される競走で、各主催者が収益を日本赤十字社や被災自治体などの関係機関に寄付する場合や、被災自治体が自ら主催し収益を全て復興財源に充てることを宣言して開催する場合などがある。
なお開催の名称については、各公営競技および支援の対象とする災害の名称に基づくことから、様々な名称がつけられている。
オートレース
- 1995年及び1996年の各10月、川口オートレース場で、「阪神・淡路大震災復興協賛レース」を開催。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、東北地方を中心とした近代日本史上に残る大自然災害となり、国民的な感情を考慮し公営競技は相次いで中止が発表される。その後、予定通り再開されたところから段階を追って「被災地支援競走」として開催された。
地方競馬
各地方競馬主催者が精力的に復興支援活動を実施した[2]。
- 3月13日からばんえい十勝の開催日に、帯広競馬場のほか道内の直営場外発売所にて募金箱を設置し、来場者から募金を受付。また、騎手会においても、帯広駅・藤丸百貨店で募金活動を実施。
- 3月15日より実施する第25回開催・第26回開催および平成23年度第1回〜第3回開催について、「東日本大震災被災地支援シリーズ」とし、売得金から各開催100万円ずつ(計500万円)を義援金として寄付。また園田競馬場にてで来場者からの義援金受付、お笑いコンビ「ますだおかだ」の増田さんがチャリティーイベントなどを行った。
- 3月15日の第1競走を「東北関東大震災復興支援競走」として協賛競走を実施したほか、第21回開催の収益金の一部を復興支援金として寄付。また3月15日〜3月18日の開催中、笠松競馬場(案内所および整理本部)・シアター恵那において来場者からの義援金の受付、復興支援ラブミーチャングッズチャリティーオークションなどを実施した。
- 佐賀競馬開催日および場外発売日に、佐賀競馬場のほか佐賀場外、ドリーム中津、宮崎田野場外発売所にて募金箱を設置し、来場者から募金を受付。3月19日〜3月21日実施の第21回佐賀競馬後半3日間の各日第5競走を「東日本大震災復興支援競走」として実施し、当該競走収益金の全額を復興支援金として寄付。
- 場外発売日に、門別競馬場のほか道内の場外発売所にて義援箱を設置し、来場者から義援金を受付。
- 3月15日から、金沢競馬場に募金箱を設置し、来場者から災害義援金を受付。
- 3月17日から実施の第17回荒尾競馬の各日第5競走を「東日本大震災復興支援競走」として実施し、当該競走収益金の全額を復興支援金として寄付。また荒尾競馬場において来場者からの義援金の受付。
- 福山競馬開催日に、福山競馬場のほかシャトル神辺、シャトル柳津に義援金箱を設置し、来場者から災害義援金を受付。
- 3月21日および3月28日の第9競走を「東北地方太平洋沖地震復興支援競走」として復興支援競走を実施したほか、第27回開催、第28回開催の収益金から各開催100万円ずつ(計200万円)を復興支援金として寄付。また第27回〜第28回開催中、騎手が喪章を付け騎乗するほか、3月21日〜3月24日の最終レース終了後に名古屋競馬場入場門において関係者が募金呼びかけの実施。
- 2010度第19回開催、2011年度第1回開催、第2回開催の収益金から各開催ごとに50万円を復興支援金として寄付。また高知競馬場および各場外(パルス高知・パルス宿毛・パルス藍住)に義援箱を設置し、来場者からの義援金の受付。
- 4月3日、大井競馬場にて「被災地復興チャリティーイベント 〜今、私達にできること!〜」を実施。
- 全国の地方競馬所属騎手により組織されている全日本騎手連盟が、義援金として200万円を日本赤十字社に寄付。
- 大井競馬所属騎手により組織されている東京都騎手会が、東京都の公営競技選手(競輪・競艇)と連携して都内で募金活動を実施。
- 船橋競馬所属騎手・調教師により組織されている千葉県騎手会・調教師会が、街頭募金活動を実施。
- 名古屋けいば・笠松けいば所属騎手が、街頭募金活動を実施。
- 地方競馬共同場外発売所「BAOO」を運営する株式会社日本レーシングサービスが、収益金の一部を義援金として寄付するほか、「BAOO」6場(高崎・三刀屋・宇部・東広島・鳥取岩美・天文館)において来場者から義援金を受け付け。
- 船橋の競馬関係3団体(千葉県馬主会・千葉県調教師会・千葉県騎手会)が連名で350万円を中央共同募金会に寄付。
- 地方競馬総合情報サイト「オッズパーク」(運営:オッズ・パーク株式会社)において、発売した投票券の販売手数料から被災者への支援措置。
- 「楽天競馬」(運営:競馬モール株式会社)で、3月12日〜3月31日の期間に楽天競馬の投票サービスによる購入金額の1%相当額を、4月1日〜4月30日の期間は楽天競馬の投票サービスによる購入金額の0.5%相当額をそれぞれ義援金として積み立て。
平成28年熊本地震
平成28年熊本地震では熊本競輪場が被災。被害の度合いが酷く、地震以降の本場開催は休止が続いているが、2024年7月20日からのFI戦で本場開催を再開した。
中央競馬
- 競馬場・WINSに募金箱を設置。第2回小倉競馬の売上げの一部1億円を熊本県に支援。そのほか日本中央競馬会、日本馬主協会連合会、日本調教師会、日本騎手クラブ、九州馬主協会から義援金。[4]
地方競馬
5月1日~5月4日の4日間合計8競走売上の売得金額の1%相当を義援金とする「熊本地震被災者支援競走」を実施。競馬場・場外発売所での募金並びに職員の募金
とともに、日本赤十字社を通じ被災地に寄付。
4月22日第11競走アルクツールス賞の売得金1%を場内での募金と合わせ、義援金として日本赤十字社を通じて被災地に寄付。[5]
5月4日第9競走を「熊本地震被災者支援競走」とし売得金の5%を日本赤十字社を通じて被災地に寄付。あわせて場内への募金箱設置、船橋競馬騎手によるグッズ
販売およびかしわ記念騎乗予定騎手の出品によるチャリティーオークションを実施を行いその収益を寄付。[6]
5月9日第8競走を「熊本地震被災者支援競走」として実施し売得金の5%を「熊本地震かながわキンタロウ募金」を通じて被災地に寄付。あわせて募金箱の設置、
神奈川県川崎競馬所属騎手による募金活動を実施。[7]
5月15日、5月17日の計4競走を「熊本地震被災者支援競走」として実施し、売得額の1%を義援金として寄付。あわせて募金箱の設置、金沢競馬所属騎手による
募金活動を実施。[8]
5月1日、5月7日、5月8日のメインレースを「熊本地震被災地支援 共にがんばろう特別」として実施し、売得金1%を高知県が募る義援金に寄付。あわせて場内に
募金箱を設置、5月4日に高知けいば所属騎手によるチャリティオークションの売上もあわせて義援金としのて寄付。[9]
- 4月23日~5月1日の4日間それぞれの第5競走の収益金(売得金から払戻金と開催費を除いた額)全額を被災地へ寄付する「熊本地震被災者応援競走」を実施。
- また競馬場・場外発売所計3か所に募金箱を設置、佐賀競馬所属騎手による募金活動を実施し、あわせて中央共同募金会を通じて被災地に寄付。[10]
競輪
- また2016年7月から2017年6月の開設記念競輪最終日において、さらに1つのレースが追加できる番組構成の時には、単発式競走として「熊本地震災害復興支援レース」を実施[11]していた。
オートレース
- 2016年6月から2017年3月まで、全てのグレードレースを「平成28年熊本地震被災地支援オートレース」として開催していた[12]。
注釈
当時は現在と異なり、他場の場外発売はSGや新鋭王座決定戦の大きな大会のみで行われていた。
1レースごとの騎乗・出走につき、騎手クラブは3000円、調教師会は1万円、馬主協会は3万円。これとは別に、騎手クラブ・調教師会から500万円ずつ、馬主協会からは5000万円を拠出。
2010年度以後、GI競走当日の当該競馬場・最終競走の特別競走(一部重賞)を対象とするもの。
通常の薄暮については2012年度以後も電力事情を考慮して再開を見合わせているが、2012年より夏季開催で段階を追って、関東主場で行われる競走に関して最終競走を16時台後半の発走にしている(2012年の新潟開催を皮切りに、2013年からは福島、2014年からは東京での夏季開催においても適用している)。