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日本の写真家、映像編集者 (1905-1967) ウィキペディアから
茂原 英雄(しげはら ひでお、1905年[1] - 1967年12月8日[1])は、日本の撮影技師、編集技師、録音技師[2]、実業家である。松竹蒲田撮影所時代の小津安二郎と組んだ技師であり、「茂原式トーキー」とも呼ばれるSMSシステム(スーパー・モハラ・サウンド・システム)の考案者である[3]。茂原研究所代表取締役社長、ラジオ映画監査役を歴任[4]。姓の茂原を「モハラ」と呼ぶのはニックネームである[5]。
1905年(明治38年)、新潟県妙高市の赤倉温泉に生まれる[1]。実家は旅館を営んでいた[1]。
17歳の時上京して、松竹蒲田撮影所(1920年(大正9年)開設)に入社する[1]。1923年(大正12年)には、辻万歳人監督の『温き涙』で佐々木太郎とともに共同撮影をして、技師としてデビューした[2]。1925年(大正14年)、吉野二郎監督の『夕立勘五郎』等の撮影を手がける[2]。1927年(昭和2年)、松竹蒲田の女優・飯田蝶子と結婚する。
1928年(昭和3年)、前年に剣戟映画『懺悔の刃』を撮ってデビューした小津安二郎の第2作である現代劇『若人の夢』の撮影を手がけ、以降「小津番」のカメラマンとなる[2][6]。
1936年(昭和11年)の初め、小津とのタッグ第31作にあたるサウンド版のサイレント映画『大学よいとこ』の撮影を手がけ、同作は同年3月19日に公開される[7]が、茂原は蒲田の花街にトーキーの研究施設「茂原研究所」を設け、撮影所が1931年(昭和6年)の五所平之助監督作『マダムと女房』以来、土橋武夫の「土橋式トーキー」を採用するなか、独自にトーキー・システムを研究した[3]。同年、同撮影所は同年1月にすでに大船に完成していた松竹大船撮影所に全機能を移転していたが、小津は初めてのトーキー『一人息子』に小津組以外だれもいない蒲田で取り組み、これを完成させた[3]。同作では、茂原は録音技師となり、撮影は佐々木啓祐番のカメラマン・杉本正二郎が受け持った[8]。
同年、小津組もふくめて大船に異動し、茂原は、五所平之助監督、小原譲治撮影の『新道 前篇朱実の巻』の続篇『新道 後篇良太の巻』の撮影に加わり、小原と共同クレジットされている[9]。同時期、「茂原式トーキー」は新興キネマに採用され、「茂原式新興フォーン」として、同社京都撮影所製作による山内英三監督の『児雷也 前篇 妖雲之巻』、同『児雷也 後篇 変幻之巻』にクレジットされる[10]。現場には『一人息子』の録音助手であった吉川倫治が赴いた[11]。ただし両作は、音響付・セリフなしの「サウンド版」として公開された[11]。
1937年(昭和12年)初め、小津安二郎監督の『淑女は何を忘れたか』の撮影を、小津の『学生ロマンス 若き日』(1929年)以降助手を務めた弟子の厚田雄春とともに手がける[12]。同作の録音技師は「土橋式トーキー」の土橋武夫である[12]。同年、新興キネマ京都撮影所では、森一生監督のトーキー『祐天吉松』の録音を茂原システムで製作、スタッフとして『一人息子』の助手であった吉川、関原松雄らが現場に携わった[13]。茂原は同年、「茂原英朗」の名で佐々木康監督のトーキー『暁は遠けれど』の撮影を務めたのを最後に撮影技師を廃業し[2]、茂原システムに取り組んだ。新興キネマでは、1939年(昭和14年)からは同東京撮影所(現在の東映東京撮影所)でも茂原式を採用し、1941年(昭和16年)の戦時統合による大日本映画製作(大映)への統合まで茂原システムを採用し続けた[10]。このころ、茂原研究所は練馬区に移転している。
第二次世界大戦終了後、茂原研究所を東京都練馬区の南町一丁目(現在の同区羽沢)に構え、1947年(昭和22年)、松竹蒲田撮影所ニュース部出身で新興キネマ東京撮影所の企画部に所属した今村貞雄が設立したラジオ映画株式会社の監査役に就任する[4]。茂原研究所は、1958年(昭和33年)までには株式会社化し、茂原は代表取締役社長に就任している[14]。
特筆以外はすべて撮影(撮影技師)としてクレジット[2]、新興キネマでは「茂原システム」「茂原式新興フォーン」名義である[10]。
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