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船舶局(せんぱくきょく)は、無線局の種別の一つである。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
電波法第6条第3項に「船舶の無線局のうち、無線設備が遭難自動通報設備又はレーダーのみのもの以外のもの」と規定し、総務省令電波法施行規則第4条第1項第9号に「船舶の無線局(人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行うものを除く。)のうち、無線設備が遭難自動通報設備又はレーダーのみのもの以外のもの」と定義している。
また、第3条第1項第6号には、海上移動業務を「船舶局と海岸局との間、船舶局相互間、船舶局と船上通信局との間、船上通信局相互間又は遭難自動通報局と船舶局若しくは海岸局との間の無線通信業務」と定義している。
電波法第13条第2項に「船舶安全法第4条(同法第29条ノ7の規定に基づく政令において準用する場合を含む。以下同じ。)の船舶の船舶局」と規定している。 無線設備の設置が強制される船舶の船舶局のことである。
電波施行規則第34条の6第1号に「国際航海に従事しない船舶で無線電話、遭難自動通報設備、レーダーその他の小規模な船舶局に使用する無線設備として総務大臣が別に告示する無線設備のみを設置する船舶局」を「特定船舶局」と規定し、告示 [1] にその無線設備を規定している。
電波法第5条第2項第3号に「船舶に開設する無線局のうち、電気通信業務(電気通信事業法 (昭和59年法律第86号)第2条第6号の電気通信業務をいう。以下同じ。)を行うことを目的とするもの以外のもの(実験等無線局及びアマチュア無線局を除く。」と規定している。
文字とおり船舶に設置された無線局であり、移動局の一種でもある。 無線は陸上との唯一の通信手段であるため、一定規模以上の船舶には義務船舶局として設置が義務付けられている。
義務船舶局の対象以外の小規模船舶にあってもなるべく設置するものとするために規定されたのが特定船舶局である。 特定船舶局の無線設備として規定されたものは、無線機器型式検定規則による検定に合格した「検定合格機器」又は特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則により認証された適合表示無線設備である。 特定船舶局は局種別無線局数の統計にも船舶局から独立して計上され、事実上の種別の一つである。
無線局の免許人として外国籍の者が原則として排除されることは、電波法第5条第1項に欠格事由として規定されているが、例外として第2項に
があり、外国人や外国の会社・団体でも船舶局を開設できる。
種別コードは特定船舶局を除く船舶局がMS、特定船舶局がMSS。 免許の有効期間は義務船舶局が無期限、義務船舶局以外は5年である。
局数の推移を見ると、海上水上運輸用および漁業用が多数を占める。これは客船・貨物船や漁船のことである。 特定船舶局は、漁業用とスポーツ・レジャー用が多数である。これは小規模な漁船やプレジャーボートのことである。
無線電信を有する船舶局にはJAAA - JSZZ、7JAA - 7NZZ、8JAA - 8NZZの4字が、それ以外の船舶局はJD - JMに4数字の6字が指定される。
詳細は日本の呼出符号#船舶局を参照。
電波法施行規則第12条には「具備すべき電波等」として、デジタル選択呼出装置、無線電話、狭帯域直接印刷電信装置、船舶自動識別装置又は簡易型船舶自動識別装置を搭載する船舶局は、第1項から第6項に規定する電波を送受できなければならないとしている。
電波法第37条により、次の無線機器は検定合格機器でなければならない。
無線設備が検定合格機器又は適合表示無線設備のみであれば、簡易な免許手続の規定が適用される。 従って特定船舶局は予備免許や落成検査が省略されて免許される。
電波法施行規則第38条第1項により無線局免許状は無線局に備え付けるものとされ、同条第2項により主たる送信装置のある場所の見やすい箇所に掲げておかなければならない。ただし、掲示を困難とするものについては、その限りで無い。
無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準改正 [2] により、旧技術基準に基づく無線設備が免許されるのは「平成29年11月30日」まで [3]、 使用は「平成34年11月30日」まで [4] とされた。
対象となるのは、
である。
新規免許は「平成29年12月1日」以降はできないが、使用期限はコロナ禍により[10]「当分の間」延期[11]された。
なお、検定合格機器は設置が継続される限り検定合格の効力は有効[12]とされるので、新たに使用期限が設定されても設置され続ける限り使用可能で再免許も可能。
詳細は無線局#旧技術基準の機器の使用を参照。
無線局運用規則第3章 海上移動業務、海上移動衛星業務及び海上無線航行業務の無線局の運用による。
電波法第62条は「船舶局の運用」として第1号に「船舶局の運用は、その船舶の航行中に限る。(後略)」とされる。 これは、船舶の航行中は原則として船舶局を運用しなければならないということである。
無線局運用規則第8条の2第2項により、遭難自動通報局の機能試験[13]については、他の種別の無線局の無線設備であっても適用されるので、EPIRB又はSARTを搭載する場合は機能試験を実施しなければならない。
電波法施行規則第34条の2第1号により遭難通信、緊急通信又は安全通信の通信操作は、無線従事者でなければ行ってはならないとされるので、最低でも第三級海上特殊無線技士による管理を必要とするのが原則である。 更に義務船舶局においては、無線従事者のみではなく船舶局無線従事者証明も取得していなければならない。
無線従事者を必要としないのは次の場合である。
電波法施行規則第33条に規定される。
電波法施行規則第33条の2に規定される。
無線通信士一般証明書又は第一級無線電信通信士証明書を有する者 | 第一級総合無線通信士 |
第二級無線電信通信士証明書を有する者 | 第二級総合無線通信士 |
無線電信通信士特別証明書を有する者 | 第三級総合無線通信士 |
第一級無線電子証明書を有する者 | 第一級海上無線通信士 |
第二級無線電子証明書を有する者 | 第二級海上無線通信士 |
一般無線通信士証明書を有する者 | 第三級海上無線通信士 |
無線電話通信士一般証明書を有する者 | 第四級海上無線通信士 |
制限無線通信士証明書を有する者 | 第一級海上特殊無線技士 |
自衛隊法第112条第1項により電波法の無線従事者に関する規定が除外される。
1950年(昭和25年)- 電波法に「船舶無線電信局(船舶の無線局であつて、無線電信により無線通信を行うもの)及び船舶無線電話局(船舶の無線局であつて、無線電話により無線通信を行うもの)」と規定、電波法施行規則[16]に「船舶の無線局」と定義
1952年(昭和27年)- 義務船舶局が「船舶安全法第4条(同法第149条の規定に基く政令において準用する場合を含む。以下同じ。)の船舶の船舶局」と規定 [17]
1958年(昭和33年)- 運用開始の届出および免許の公示を要しない無線局に[18]
1972年(昭和47年)- 電波法の船舶局の規定が現行のものに[19]
1976年(昭和51年)- 無線局免許手続規則に特定船舶局が「空中線電力1W以下の無線電話を使用する船舶局であって、郵政大臣が別に告示するもの」と規定[21]
1983年(昭和58年)
1993年(平成5年)- 電波利用料制度化、料額の変遷は下表参照
1998年(平成10年)- 外国籍の者が電気通信事業用の船舶局を開設できることに[24]
1999年(平成11年)- 船舶の無線局が、「船舶に開設する無線局のうち、電気通信業務(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第6号の電気通信業務をいう。以下同じ。)を行うことを目的とするもの以外のもの(実験無線局及びアマチュア無線局を除く。)をいう。以下同じ。)であつて、船舶安全法(昭和8年法律第11号)第29条の7に規定する船舶に開設するもの」と規定され、外国籍の者が電気通信事業用以外でも一部の船舶で船舶局を開設できることに[25]
2009年(平成21年)- 特定船舶局は電波法施行規則に規定[26]
2018年(平成30年)- 電波法施行規則の船舶局と特定船舶局の定義が現行のものに[27]
2022年(令和4年)- 船舶の無線局の規定が現行のものとなり、外国籍の者が船舶局を開設できることに[28]
年度 | 総数 | 海上水上運輸用 | 漁業用 | 出典 | |
---|---|---|---|---|---|
平成11年度末 | 12,244 | 4,887 | 5,351 | 地域・局種別無線局数[29] | 平成11年度第4四半期末 |
平成12年度末 | 11,920 | 4,786 | 5,109 | 平成12年度第4四半期末 | |
平成13年度末 | 11,535 | 4,618 | 4,883 | 用途別無線局数[30] | H13 用途・業務・免許人・局種別 |
平成14年度末 | 11,004 | 4,392 | 4,625 | H14 用途・局種別無線局数 | |
平成15年度末 | 10,565 | 4,180 | 4,413 | H15 用途・局種別無線局数 | |
平成16年度末 | 10,166 | 4,092 | 4,133 | H16 用途・局種別無線局数 | |
平成17年度末 | 9,908 | 3,956 | 3,964 | H17 用途・局種別無線局数 | |
平成18年度末 | 9,691 | 3,847 | 3,860 | H18 用途・局種別無線局数 | |
平成19年度末 | 9,610 | 3,826 | 3,763 | H19 用途・局種別無線局数 | |
平成20年度末 | 9,502 | 3,798 | 3,640 | H20 用途・局種別無線局数 | |
平成21年度末 | 9,121 | 3,600 | 3,492 | H21 用途・局種別無線局数 | |
平成22年度末 | 8,785 | 3,435 | 3,422 | H22 用途・局種別無線局数 | |
平成23年度末 | 8,496 | 3,382 | 3,279 | H23 用途・局種別無線局数 | |
平成24年度末 | 8,281 | 3,321 | 3,209 | H24 用途・局種別無線局数 | |
平成25年度末 | 8,127 | 3,282 | 3,169 | H25 用途・局種別無線局数 | |
平成26年度末 | 8,055 | 3,323 | 3,153 | H26 用途・局種別無線局数 | |
平成27年度末 | 7,965 | 3,308 | 3,101 | H27 用途・局種別無線局数 | |
平成28年度末 | 7,915 | 3,311 | 3,067 | H28 用途・局種別無線局数 | |
平成29年度末 | 7,622 | 3,327 | 2,787 | H29 用途・局種別無線局数 | |
平成30年度末 | 7,253 | 3,292 | 2,523 | H30 用途・局種別無線局数 | |
令和元年度末 | 6,857 | 3,257 | 2,272 | R01 用途・局種別無線局数 | |
令和2年度末 | 6,527 | 3,184 | 2,074 | R02 用途・局種別無線局数 | |
令和3年度末 | 6,254 | 3,146 | 1,896 | R03 用途・局種別無線局数 | |
令和4年度末 | 6,072 | 3,126 | 1,788 | R04 用途・局種別無線局数 | |
令和5年度末 | 5,909 | 3,095 | 1,703 | R05 用途・局種別無線局数 | |
年度 | 総数 | 漁業用 | スポーツ・レジャー用 | 出典 | |
---|---|---|---|---|---|
平成11年度末 | 69,128 | 63,108 | 5,868 | 地域・局種別無線局数[29] | 平成11年度第4四半期末 |
平成12年度末 | 67,746 | 62,074 | 5,531 | 平成12年度第4四半期末 | |
平成13年度末 | 65,356 | 60,108 | 5,112 | 用途別無線局数[30] | H13 用途・業務・免許人・局種別 |
平成14年度末 | 63,199 | 58,332 | 4,741 | H14 用途・局種別無線局数 | |
平成15年度末 | 61,446 | 56,923 | 4,392 | H15 用途・局種別無線局数 | |
平成16年度末 | 58,972 | 54,817 | 4,027 | H16 用途・局種別無線局数 | |
平成17年度末 | 57,078 | 53,225 | 3,719 | H17 用途・局種別無線局数 | |
平成18年度末 | 54,839 | 51,263 | 3,422 | H18 用途・局種別無線局数 | |
平成19年度末 | 53,218 | 49,868 | 3,195 | H19 用途・局種別無線局数 | |
平成20年度末 | 51,757 | 48,551 | 3,035 | H20 用途・局種別無線局数 | |
平成21年度末 | 50,682 | 47,173 | 3,272 | H21 用途・局種別無線局数 | |
平成22年度末 | 50,742 | 45,972 | 4,322 | H22 用途・局種別無線局数 | |
平成23年度末 | 48,959 | 43,637 | 4,708 | H23 用途・局種別無線局数 | |
平成24年度末 | 48,540 | 42,600 | 5,152 | H24 用途・局種別無線局数 | |
平成25年度末 | 48,140 | 41,607 | 5,588 | H25 用途・局種別無線局数 | |
平成26年度末 | 47,647 | 40,759 | 5,710 | H26 用途・局種別無線局数 | |
平成27年度末 | 46,889 | 39,872 | 5,670 | H27 用途・局種別無線局数 | |
平成28年度末 | 46,008 | 38,738 | 5,681 | H28 用途・局種別無線局数 | |
平成29年度末 | 45,750 | 38,161 | 5,815 | H29 用途・局種別無線局数 | |
平成30年度末 | 45,304 | 37,291 | 5,898 | H30 用途・局種別無線局数 | |
令和元年度末 | 44,501 | 36,141 | 5,922 | R01 用途・局種別無線局数 | |
令和2年度末 | 43,991 | 35,284 | 5,900 | R02 用途・局種別無線局数 | |
令和3年度末 | 43,678 | 34,554 | 6,044 | R03 用途・局種別無線局数 | |
令和4年度末 | 43,571 | 33,831 | 6,320 | R04 用途・局種別無線局数 | |
令和5年度末 | 43,387 | 33,001 | 6,598 | R05 用途・局種別無線局数 | |
電波法別表第6第1項の「移動する無線局」が適用される。
無線局の免許制度は、国によって異なり細部に相違がある。
米国では、FCC rules title47 Part80 Stations in the maritime services Section80.5 Definition(定義)にある”ship station”が相当する。
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