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日本の僧侶、歌人 ウィキペディアから
福島 泰樹(ふくしま やすき、1943年3月25日 - )は、日本の僧侶・歌人・朗読家・ナレーター。東京都台東区下谷の法華宗本門流法昌寺住職。早稲田大学短歌会、『心の花』、『反措定』同人を経て、現在「月光の会」主宰。「短歌絶叫コンサート」と称する感情を込めた力強い声色を多用する朗読パフォーマンスで知られる詩人でもある[注釈 1]。早稲田大学理工学部非常勤講師、日本大学芸術学部非常勤講師。
東京都生まれ。早稲田大学文学部哲学科卒業。同大学在学中に早稲田大学短歌会に入会。三枝昂之や伊藤一彦と親交を持つ。また安保闘争をはじめとした学生運動にも関わる。
1969年、第一歌集『バリケード・一九六六年二月』を刊行。安保闘争世代の熱気を表現し注目される。また同人誌『反措定』を主宰、「反措定叢書」も刊行する[1]。同叢書からは三枝昂之の『やさしき志士達の世界へ』や伊藤一彦の『瞑鳥記』などが刊行された。
1976年よりシンガーソングライターの佐藤龍一と共に、歌謡の復権を目指し「短歌絶叫コンサート」を全国で開催。吉祥寺のライブハウス「曼荼羅」にて月例ライブを開くなど、これまでに海外含め1700ステージをこなす[2]。バンドには石塚俊明、菊地雅志、永畑雅人らが参加。また筋肉少女帯の「スラッシュ禅問答」(アルバム『エリーゼのために』収録)には福島が朗読で参加している。
1987年より「月光の会」を主宰。季刊文芸誌『月光』を創刊し、坪野哲久、中井英夫、塚本邦雄、菱川善夫、木村三山らの特集を組む。「月光の会」所属の歌人には松野志保などがいる。早稲田文学新人賞の選考委員を長くつとめ、立松和平とは長年の親友であり、彼の葬儀の導師を務めた。仏教関係の著書も多い。またセコンドの資格を持つほどのボクシングファンであり、ボクシング関係の著書もある。元プロボクサーで芸人だったたこ八郎とも親交があり、たこ八郎の没後、由利徹、赤塚不二夫、山本晋也、外波山文明の呼びかけで法昌寺境内に「たこ地蔵」が造立された。地蔵正面には、たこの直筆からとった「めいわくかけてありがとう」の言葉、背面には「眼病平癒祈願」の文字が刻まれ、地蔵胎内に遺骨が分骨されている[注釈 2]。
2015年、脱原発、安保法制反対の立場から、僧侶・劇作家の上杉清文らとともに呪殺祈祷僧団四十七士(JKS47)を結成。同年8月27日、翌2016年3月11日、以後毎月一回、経済産業省前脱原発経産省前テントひろばで月例祈祷会を開催し導師を勤めている。呪殺祈祷僧団四十七士の公式ブログ内で「月光庵日録」を発表している。
1970年から77年まで福島が住職を務めた静岡県沼津市柳沢にある法華宗の寺院。創立は元和年中(1620年頃)以前とされ、開基は義秀院日信上人。福島が入山当時は無住で、福島が住職として入山、再興された。
村人たちにも歓迎され、この地で墓守として生きて行くことを誓った福島だったが、70年代半ばから次第に上京することが多くなる。当人曰く「私の中でいまだ青春のなにかがくすぶり続けていたのであろうか」[4]。そして、77年、遂に村を離れることになる。宗務院から発令された辞令に従い、東京・下谷の法昌寺を再興するためだった。
福島は、離村当日の模様を次のように綴っている。
すでに荷造りは済んだ。夕刻、霧雨の中をその日の仕事を終えた村の人々が三々五々、餞別をもってやって来る。私はといえば、玄関の板の間に正座したまま、顔を上げることもできずにただ涙にくれていた。
顔を上げてこの人たちの顔を正視することができなかったのかもしれない。板の間に詫びるように両手をついたまま、ぼとぼとと涙を滴らせていた。こんなに泣いたことはかつてもいまも一度もなかった。臓腑をよじらせて初めて心の底から哭いたのであった。
こんなに可愛がってくださったのに、私の勝手でお別れしなければなりません。身勝手をお許しください。(略)私もまたいつの日か遺骨となって柳沢に帰ってまいります。四十一世である私もまた歴代住職として「分骨」され、裏の山の墓地に眠ることになっているからです。そうしたらまた一緒に楽しい時をもちましょう。それまで私も頑張ります。声にならない声を呑み込み、板の間の上に滂沱の雨を降らせていた。 — 福島泰樹『弔い―死に臨むこころ』(ちくま新書)
福島の歌集『エチカ・一九六九年以降』(1972年)、『晩秋挽歌』(1974年)、『転調哀傷歌』(1976年)等は福島が妙蓮寺住職時代に編まれたものである。
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