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中国広東省の副省級市 ウィキペディアから
深圳市(しんせんし[注釈 1]シェンチェンし[2]、中国語: 深圳市、拼音: 、英語: Shenzhen)は、中華人民共和国の広東省に位置する副省級市。「圳」がJIS第1第2水準漢字ではないため、日本では「深セン」と表記されることもある。市域人口は約1766万人(2022年)[1]。面積は約1953㎢で、日本の大阪府に相当する。北から時計回りに、東莞市、恵州市、香港特別行政区、(珠江デルタを挟んで)珠海市、中山市、広州市と隣接する。
中華人民共和国 広東省 深圳市 | |
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左上から時計回りに東海国際中心、京基100、信興広場、深圳海岸城、深圳湾の夜景、深圳証券取引所 | |
略称:深、鵬
| |
深圳市の位置 | |
中心座標 北緯22度33分 東経114度06分 | |
簡体字 | 深圳 |
繁体字 | 深圳 |
拼音 | Shēnzhèn |
カタカナ転写 | シェンチェン |
粤拼 | Sam1 zan3 |
閩拼 | Chhim-chùn |
潮州語 | cim1 zung3 |
客家語 | cim1 zun4 |
国家 | 中華人民共和国 |
省 | 広東 |
行政級別 | 副省級市 |
成立 | 1979年1月23日 |
市委書記 | 孟凡利 |
市長 | 覃偉中 |
面積 | |
総面積 | 1952.84 km² |
海抜 | 25 m |
人口 | |
総人口(2022) | 1766.18[1] 万人 |
人口密度 | 9044 人/km² |
経済 | |
GDP(2022) | 32,387.68億[1]元 |
一人あたりGDP | 174,629元 |
電話番号 | 0755 |
郵便番号 | 518000 |
ナンバープレート | 粤B |
行政区画代碼 | 440300 |
市樹 | レイシ |
市花 | ブーゲンビリア |
公式ウェブサイト: http://www.sz.gov.cn/ |
深圳市は中国屈指の世界都市であり、金融センターとして重要な機能を果たしている。香港の新界と接し、経済特区に指定されている。北京市、上海市、広州市と共に、中国本土の4大都市と称される「北上広深」の一つであり、「一線都市」に分類されている[3]。2017年に域内GDPは広州市を超え、人口約1800万人(2020年)を抱える珠江デルタにおいて経済・金融・技術の中心的都市となっている[4]。アメリカのシンクタンクが2020年に発表した総合的な世界都市ランキングにおいて、世界75位の都市と評価された[5]。中国本土では北京市、上海市、広州市に次ぐ4位である。
住民構成の特徴としては移民都市であることがあげられる。元来は宝安県として一集落に過ぎなかったものが、改革開放経済の過程で外部より労働人口が流入して都市が形成され、広東省でありながら広東語が使われる比率が極めて低い地域となっている。元来の地元民はおもに農業・漁業に従事する。地元民は香港の新界地域と同じく、大きく客家語を話す客家と広東語を話す囲頭人の2つのグループに分ける。客家は主に北東部の竜崗区と宝安区の東部、福田区の北部、南山区の北部などの丘陵区域に分布し、囲頭人は主に羅湖区、福田区の中南部、南山区の中南部、宝安区の中西部などの平原地域に居住する[6][7]。
現代の深圳市は中国屈指の近代都市として存在感を高めている。深圳市には超高層ビルが343棟あり、アジアでも香港・上海・東京といった他の大都市に次ぐ数となっている[8]。深圳地下鉄も急速に拡張し、1日の利用者数が512万に達する[9]世界有数の交通網になっているほか、富裕層も多く、2020年時点で世界で8番目にビリオネアの多い都市とされている[10]。
広東省の省都広州市から南東部に位置し、珠江デルタ地域に含まれる。九龍半島の西側付根部分に位置し、塩田港など巨大なコンテナ港湾を有する。北は広東省東莞市と恵州市、南は特別行政区の香港と接する。
中国の気候区分では、亜熱帯海洋性気候に属する。年間平均気温は摂氏22.3度、過去最高気温は38.7度で、過去最低気温は0.2度であった。年間平均降水量は 1,924.7 ミリメートル。年を通じて主に南東の風向きである。
深圳 (1991–2020)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 29.1 (84.4) |
28.9 (84) |
32.0 (89.6) |
34.0 (93.2) |
35.8 (96.4) |
36.9 (98.4) |
38.7 (101.7) |
37.1 (98.8) |
36.9 (98.4) |
35.2 (95.4) |
33.1 (91.6) |
29.8 (85.6) |
38.7 (101.7) |
平均最高気温 °C (°F) | 19.8 (67.6) |
20.8 (69.4) |
23.2 (73.8) |
26.7 (80.1) |
29.7 (85.5) |
31.3 (88.3) |
32.3 (90.1) |
32.2 (90) |
31.5 (88.7) |
29.2 (84.6) |
25.7 (78.3) |
21.5 (70.7) |
26.99 (80.59) |
日平均気温 °C (°F) | 15.7 (60.3) |
16.8 (62.2) |
19.4 (66.9) |
23.1 (73.6) |
26.4 (79.5) |
28.3 (82.9) |
29.0 (84.2) |
28.8 (83.8) |
27.9 (82.2) |
25.5 (77.9) |
21.7 (71.1) |
17.4 (63.3) |
23.33 (73.99) |
平均最低気温 °C (°F) | 13.0 (55.4) |
14.2 (57.6) |
17.0 (62.6) |
20.7 (69.3) |
24.0 (75.2) |
26.0 (78.8) |
26.6 (79.9) |
26.3 (79.3) |
25.5 (77.9) |
22.9 (73.2) |
19.0 (66.2) |
14.5 (58.1) |
20.81 (69.46) |
最低気温記録 °C (°F) | 0.9 (33.6) |
0.2 (32.4) |
3.4 (38.1) |
8.7 (47.7) |
14.8 (58.6) |
19.0 (66.2) |
20.0 (68) |
21.1 (70) |
16.9 (62.4) |
9.3 (48.7) |
4.9 (40.8) |
1.7 (35.1) |
0.2 (32.4) |
雨量 mm (inch) | 35.2 (1.386) |
36.8 (1.449) |
64.0 (2.52) |
140.1 (5.516) |
237.1 (9.335) |
368.7 (14.516) |
309.5 (12.185) |
364.3 (14.343) |
242.5 (9.547) |
73.4 (2.89) |
31.7 (1.248) |
29.6 (1.165) |
1,932.9 (76.1) |
平均降雨日数 (≥0.1 mm) | 5.5 | 7.8 | 9.9 | 11.4 | 14.3 | 18.4 | 17.2 | 16.7 | 13.2 | 5.9 | 4.6 | 5.2 | 130.1 |
% 湿度 | 68 | 74 | 77 | 79 | 79 | 80 | 79 | 79 | 75 | 67 | 67 | 64 | 74 |
平均月間日照時間 | 137.3 | 101.6 | 99.7 | 115.2 | 153.0 | 169.8 | 214.8 | 178.6 | 170.1 | 188.7 | 168.8 | 155.4 | 1,853 |
日照率 | 40 | 31 | 27 | 30 | 37 | 42 | 52 | 45 | 47 | 53 | 51 | 47 | 41.8 |
出典1:Shenzhen Meteorological Bureau[11] | |||||||||||||
出典2:CMA[12] |
深圳 (1953-2007)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
平均最高気温 °C (°F) | 19.6 (67.3) |
19.8 (67.6) |
22.6 (72.7) |
26.2 (79.2) |
29.5 (85.1) |
31.0 (87.8) |
32.2 (90) |
31.9 (89.4) |
31.0 (87.8) |
28.9 (84) |
25.2 (77.4) |
21.5 (70.7) |
26.62 (79.92) |
平均最低気温 °C (°F) | 11.4 (52.5) |
12.7 (54.9) |
15.9 (60.6) |
19.8 (67.6) |
23.2 (73.8) |
25.1 (77.2) |
25.7 (78.3) |
25.4 (77.7) |
24.3 (75.7) |
21.3 (70.3) |
17.1 (62.8) |
13.0 (55.4) |
19.58 (67.23) |
降水量 mm (inch) | 27.4 (1.079) |
46.7 (1.839) |
62.7 (2.469) |
145.1 (5.713) |
240.8 (9.48) |
327.8 (12.906) |
319.6 (12.583) |
360.4 (14.189) |
257.1 (10.122) |
80.3 (3.161) |
34.4 (1.354) |
26.1 (1.028) |
1,928.4 (75.923) |
出典:中国気象台 2010-03-20 |
市域には以下の9市轄区がある。
下の1つの新区は民政部によって承認された正式な行政区画でなく、市管轄の経済管理区である。
周代までの深圳は百越部族の支族とされる南越部族の居住地であった。中国の史書に登場するのは前214年の秦代であり、嶺南地区に南海郡・桂林郡・象郡の三郡が設置された際に深圳は南海郡に区分され中原文化との交流が開始された。
現在の深圳市に相当する行政区分が史書において最初に登場する出来事は、東晋の咸和6年(331年)に設置された宝安県(現在の南山区)である。東晋はこの地に6県を設置し、それを管轄する郡として東官郡を設置し現在の深圳市・東莞市及び香港がある一帯を管轄しており、郡治が宝安県(現在の南山区)に設置された。唐の至徳2載(757年)、宝安県は東莞県と改称された。
宋代になると旧宝安県一帯は南方海上交易の拠点となり、また製塩業や米・茶葉栽培で繁栄し、元代には真珠の産地として史書に登場している。更に明代になると東莞守禦千戸所ならびに大鵬守禦千戸所が設置されると共に、1573年、旧宝安県の部分に新安県が設置され華南地区の海上交通や政治の中心となっていた。
清末になると南京条約や北京条約により、新安県の一部であった香港島及び九龍半島をイギリスが植民地とし、さらに新界も租借されるようになり新安県が分割されると同時に、新界との境界付近の深圳墟という墟市(定期市の建つ町)が香港との国境の街として栄えるようになった。深圳墟は現在の深圳中心街の東門商業区にあたる。中華民国が成立すると1913年に新安県は宝安県に改称された。
1953年、広深線の開通により、深圳地区の人口は増大し、商工業が発展していくこととなる。また同年県政府を従来の南頭より東に10キロメートルほどの深圳墟へ移動し、現在の都市構成の土台が成立している。
その後、イギリスの植民地かつ自由港であり、中国への窓口として経済的に発展していた香港と隣接する地理的重要性から1979年3月、宝安県を省轄市の深圳市に昇格させ、1980年には改革開放路線を採用した鄧小平の指示により深圳経済特区が指定されると急速に発展した。なお、1981年副省級市に昇格し、1988年省級経済管理を認められている。
深圳市の特徴は、経済特区という地の利を活かした中国のハイテク企業の本社所在地としての役割にある。ファーウェイ、テンセント、BYD、ZTE、DJI、伝音科技など、著名な中国企業が本社を構える。また、電子機器の製造が盛んなことから「中国のシリコンバレー」「アジアのシリコンバレー」「ハードウェアのシリコンバレー」等とも呼ばれ[15][16]、世界最大のEMS企業になったフォックスコンは、市内に最初の工場を設けたことで知られる[17]。世界最大級の遺伝学研究所を擁するBGIグループなどバイオテクノロジー産業も盛んであり[18][19]、深圳で起業した科学者が世界初のデザイナーベビーを発表した際は国際的な物議を醸したこともあった[20][21]。深圳は世界最大級の都市圏を目指す粤港澳大湾区構想の一部でもある[22]。このような起業、研究開発が盛んな都市はイノベーション都市ともいわれる。
例年、深圳会展中心において中国で行われるハイテク見本市としては最大の中国国際ハイテク見本市が開催される[33]。
深圳市のうち、羅湖区、福田区、南山区、塩田区の4区、市内391.71平方キロメートルが長らく経済特区と指定されていたが、2010年7月1日には市内全域に拡大された。経済特区は中国人でも入境許可が必要な地域となっている。近年はほぼ自由な通行が行われてはいるが、国家行事が行われる場合などは検査站(新城検査站、南頭検査站、布吉検査站、梅林検査站、同楽検査站、白芒検査站、沙湾検査站、塩田検査站、背仔角検査站、渓沖検査站、南光検査站、福竜検査站)で、入境許可証や旅券の提示を求められることがある。
日本人学校
2019年版の旅行雑誌ロンリープラネット(lonely planet)ではTOP10に入り、ランク二位の都市となった。
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