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日本の書店チェーン、および神奈川県横浜市にあるその運営会社 ウィキペディアから
株式会社有隣堂(ゆうりんどう)は、神奈川県横浜市中区に本社を置く、書店チェーンである[4][5][6]。神奈川県を中心に東京都、千葉県など首都圏に約40店舗を展開している。
有隣堂営業本部(横浜市戸塚区品濃町[1]) | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 〒231-0045 横浜市中区伊勢佐木町1丁目4番地1[1][2] |
設立 |
1953年(昭和28年)6月11日[2] (1909年12月13日創業)[1] |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 2020001029308 |
事業内容 | 和洋書籍、雑誌、教科書、地図、事務用品、文房具、OA機器、楽器、水槽などの販売、出版、音楽教室の経営など |
代表者 |
代表取締役会長 松信裕 代表取締役社長 松信健太郎[1] |
資本金 | 5000万円[1] |
売上高 |
668億円 (2021年8月期)[1] |
純利益 |
▲1200万円 (2023年8月期)[3] |
純資産 |
31億5900万円 (2023年8月期)[3] |
総資産 |
201億6400万円 (2023年8月期)[3] |
決算期 | 8月31日 |
関係する人物 | 松信大助(創業者) |
外部リンク | https://www.yurindo.co.jp/ |
書籍・文具の販売に加え、法人向けの事務機器、楽器などの販売、音楽教室、出版事業、図書館や地区センターの運営業務などを行う[4][5]。1909年に現本店と同じ横浜の伊勢佐木町で創業した[4]。「有隣」という社名は『論語(里仁篇)』の「徳孤ならず必ず鄰[注 1]有り(徳の有る人は孤立せず、必ず理解者が現れる)」に由来する[7]。有隣堂が発行する情報紙(後述)のタイトルにもなっている[8]。
1909年、松信大助が伊勢佐木町に「第四有隣堂」を開店する[9][10]。既に松信大助の長兄・大野貞造が有隣堂を吉田町に開業し、暖簾分けで第二、第三を松信大助の姉と次兄が開業していたため、第四有隣堂となった[9]。
その後、第一有隣堂を経営していた兄が亡くなったことなどにより、第一有隣堂と有隣堂文具部と呼ばれていた関連の商店を合併して、1920年に「株式会社有隣堂」に組織を改める[9]。「第○」と付番した有隣堂連鎖店は第九まで存在したが、戦災と戦後の企業整備で第七有隣堂(藤棚町)を除いて消滅しており、また有隣堂と第七有隣堂との間にも現在は資本、人事関係はない[11]。
関東大震災(1923年)による焼失や、戦後の米軍による接収(1945年 - 1955年)を経て、1956年に伊勢佐木町に現在の有隣堂本店を完成させる[9]。中二階のある当時としては珍しい構造で、大理石を貼りエレベーターを備えた専門店ビルだった[4][12]。かつては地下に喫茶室「有隣堂パーラー」があったが1990年代の中頃に閉店し、現在は書籍フロアとなっている。また、エレベーターにはエレベーターガールが1990年代の中頃まで乗務していた。
1964年、横浜駅西口にオープンしたダイヤモンド地下街に横浜駅西口店を出店する[13][10]。続いて藤沢、厚木にも出店し、「横浜の有隣堂」から「神奈川の有隣堂」へと販売網を拡張した[4]。また、中区福富町に外商センターを開設し、OA機器や楽器販売の拠点とした[4]。
1989年、横浜市戸塚区に本社機能を併せ持つ東戸塚営業本部ビルが完成し、東京圏への本格的な進出を開始する[4][5][14]。
2010年以降、複合型店舗「HIBIYA CENTRAL MARKET」(2018年)や台湾発の複合型書店「誠品生活日本橋」(2019年)、カフェを併設した雑貨と本の店「STORY STORY」(2015年)「STORY STORY YOKOHAMA」(2020年)[15]、関東学院大学の横浜・関内キャンパス内のブックカフェ「BACON Books & cafe」[16]など新たな業態の店舗を展開している[5]。
2023年10月11日、神戸阪急(神戸市、三宮駅前)に西日本で初の店舗をオープンした。商品やサービスに加えて、公式YouTubeチャンネルなどの取り組みが評価されたことで阪急阪神百貨店から声が掛かった[6]。
2024年9月6日、タリーズコーヒージャパンとコラボレーションした新業態店舗『TULLY’S COFFEE/有隣堂』を大阪市北区梅田に開業予定の商業施設『グラングリーン大阪 ショップ&レストラン』北館2階にオープン。これにより大阪に初出店となり関西及び西日本では2店舗目となる
紙の本の売り上げが落ちる中で、売上の半分以上は書店以外(OA機器やオフィス用品の通販)によるものになっている[17][18]。利益率の低い書店を続けるために、飲食店などとの複合店や体験型イベントを模索する[19][20]。2020年8月の68期決算は新型コロナウイルスによる休業の影響で赤字となり[21]、2021年8月の69期決算は「GIGAスクール構想」によるタブレット端末の契約を獲得し過去最高の売上げとなった[22][23]。
書籍販売部門は伊勢佐木町本店(横浜市中区)を始めとして神奈川県を中心に、東京都、千葉県などに約40店舗を展開している[24]。2023年には神戸阪急店が西日本で初の店舗としてオープンした[6][25]。特に、横浜駅周辺には5店舗、戸塚駅周辺には3店舗が出店されている[24]。一部店舗では書籍だけでなく、文具・雑貨売場も併設する。文庫本の購入時は、ゴールデンリバーという皮しぼ模様の紙で出来た書籍カバーを10色[注 2]の中から選べるサービスがある[26][27]。
医学書を専門に扱う「医学書センター」は、伊勢佐木町本店(4F)、横浜駅西口店(エキニア店内)、北里大学病院店(神奈川県相模原市)の3か所にある[28]。東京工科大学、 日本工学院専門学校など学校購買部での書籍・文具の委託販売も行なっている[29][30]。
西口地下街の店舗は「ジョイナス店」と「エキニア横浜店」に分かれ、ジョイナス店内に「コミック王国」[31]が、エキニア店内に「医学書センター」がある[32]。各売場は通路で分断されて点在し、配置を知らないと迷いやすい[33][34][35]。東口には「ルミネ横浜店」もある[36]。
横浜市戸塚区にてミュージックショップ(楽器・楽譜専門店)を手がけるほか[60]、9箇所でミュージックセンター(児童向け音楽教室)、6箇所でミュージックサロン(成人向け音楽教室)、1箇所でカルチャーセンターを運営している(2023年時点)[61][62]。
有隣堂は1960年代から独自に雑誌・書籍を発行するようになり、1975年に社内に「出版部」を設け、出版社としても活動している[81]。
情報誌『有鄰』を1967年より発行している[注 1][8]。当初は月刊であり、2010年1月からは奇数月発行の隔月刊になった[82][8]。内容は出版関係の他に、神奈川の歴史・文化に関する事などを取り上げる[8]。
他に新書レーベル「有隣新書」や単行本も発行している。主に神奈川県内の郷土史に関わる書籍が多いが、それ以外の書籍類も取り扱うことがある。
有隣堂しか知らない世界は、有隣堂が運営するYouTubeチャンネルである[83]。毎週火曜12時更新+第2・4木曜18時生配信[84]。チャンネルは「ゆうせか」、ファンは「ゆーりんちー」の名称で親しまれている[85][86]。
代表取締役社長の松信健太郎の「これからは動画の時代が来るからYouTubeをやってみよう」という社命のもとYouTubeチャンネルを開設した[87][88]。2020年2月の開設当初は書籍解説の動画をアップしていたが、再生数・登録者数共に伸び悩んでいた[89][88]。
その後、動画クリエイターのハヤシユタカが参加してテレビ番組の『マツコの知らない世界』と『saku saku』から着想を得て2020年6月にリニューアルを行い、「有隣堂しか知らない世界」という名称に変更された[90]。リニューアル後のスタイルは「R.B.ブッコロー」という毒舌のパペットをMCにし、ゲストの有隣堂社員などが自分の好きな本や文具に関するマニアックな知識を披露するというものになった[91]。2021年にはチャンネル登録者数が約36倍に増加して10万人を超えた[92]。24年8月22日の生配信にて、登録者数30万人を達成した。
収録は伊勢佐木町本店の閉店後に、YouTubeスタジオにて行われる[93]。飽きずに見てもらえるよう、1時間ほどの収録をテロップや音楽を工夫して7 - 8分程度の長さの動画に仕上げている[94][95]。ゲストとなる社員は、各店舗の店長にアンケートを取り情報収集し探している[96]。素のリアクションを引き出すため、会話のほとんどがアドリブである[96][95]。2022年7月、伊勢佐木町本店6階にYouTube撮影スタジオやイベントスペースを開設し、6階の児童書/実用書/旅行ガイドは、4階の文具・医学書売場に移動した[97][98]。
配信の目的は「有隣堂のファンを増やすこと」であり、初回で取り上げた「キムワイプ」など有隣堂で取扱いがなかった商品も取り上げている[87][94][99]。ファンの中には有隣堂で買い物をしてきたことを「推しに課金してきた」と言う人もいるなど[94]、経営戦略室の瀧口は2022年に「意図していなかった売上面でも影響力を持ち始めています」と述べている[17]。
ミミズクをモチーフとしたキャラクター[100]。2020年6月のリニューアル以降のMCを務めている[101]。6月30日生まれ、体長60センチメートル、体重2キログラム[102]。名前の「R.B.」は「リアル・ブック(真の本、真の知)」を意味し、「ブッコロー」は「book(本)」+「owl(ミミズク)」の「ブックオウル」から付けられた[102]なおこの名前はブッコローの中の人が名付けた。当初有隣堂側からはゴージャス・ハピオという名前であった。その後動画内での饒舌なトークと忖度のない毒舌が人気を集めている[103][104]。
R.B.ブッコローの生みの親はデザインが得意な有隣堂の社員で、有隣堂が運営するブックカフェ「STORY STORY」のロゴにもあしらわれているミミズクを基に、その社員が娘と一緒に考えた[103]。動画内のアイキャッチや、LINEスタンプのイラストも、この社員が担当している[103]。当初は軍手のキャラクターという案もあったが、「グッズ販売を視野に入れているけれど、軍手じゃ売れるわけないな」との理由で変更された[103]。
R.B.ブッコローの演者(中の人)は有隣堂の社員ではなく、チャンネルのプロデューサー・カメラマン・ディレクターであるハヤシユタカの元同僚であることが明かされている[105][106]。ネット上では「ブッコローは『saku saku』のパペットだった増田ジゴロウでは」という噂があったが、これは否定された[105]。
文房具バイヤーの岡﨑弘子をはじめ、特定の分野に特化した社員やアルバイトたちが、自身の偏愛するものを熱量を持ってアピールする[94][17]。取引先メーカーや作家が出演することもある[17][107]。
先述の通り、リニューアル後はテレビ神奈川の番組『saku saku』を参考にして制作されていることを公言しており、2022年6月の第111回『saku sakuの世界』では、『saku saku』の白井ヴィンセントとディレクターの菊谷宏樹が出演した[108][109]。
リニューアル後の2021年には、チャンネル登録者数が約36倍に増加して10万人を超えた[92]。当時の他の書店のYouTubeチャンネル登録者数は数千人から1万5千人程度であり、「有隣堂だけ独走状態」と評価された[111]。ITmediaは2022年に「MCのミミズク「R.B.ブッコロー」と有隣堂社員が繰り広げる本音全開のトークに中毒者が続出している」と評価した[104]。
2021年11月に販売されたR.B.ブッコローの初回限定版ぬいぐるみは初日に1200個が完売し[112]、1日当たりの有隣堂史上最多販売数を記録した[105]。その後も新しい商品が発売され、2022年10月29日にはグッズ第10弾として「R.B.ブッコローぬいぐるみ16cm〈初回限定版〉」が発売された[102]。
YouTubeチャンネルでの人気をきっかけとして、2022年7月には「STORY STORY YOKOHAMA(コレットマーレ5F)」に岡﨑弘子が選定した文房具や雑貨を扱う常設売場「岡崎百貨店」がオープンした[113][114]。
神奈川県内の多くの駅に店舗があるため、神奈川県民にとって「本屋といえば有隣堂」と言えるほどメジャーな本屋とも言われており[116]、「有隣堂が全国的にメジャーな本屋だと思っていた」というエピソードが「神奈川県民あるある」として紹介されることもある[117][118][31]。
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