『映画大好きポンポさん』(えいがだいすきポンポさん)は杉谷庄吾【人間プラモ】による日本の漫画作品。2017年4月にイラスト投稿サイト「pixiv」に投稿された[1]。映画プロデューサーのポンポを軸とし、新人映画監督のジーンや新人女優のナタリーの成長を描いている[2]。第1作以後も「NYALLYWOOD STUDIOS SERIES」と題して続編やスピンオフ作品が制作されている。
概要 映画大好きポンポさん, ジャンル ...
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「マンガ大賞2018」で10位、「このマンガがすごい! 2018 オトコ編」で17位[3]。pixivでは65万ビューを突破している(2020年2月28日発表時点)[4]。
- 映画大好きポンポさん - pixiv掲載。
- 映画大好きポンポさん2 - 単行本描き下ろし。『ポンポさん』の続編。
- 映画大好きフランちゃん - ジーンピクシブ連載。『ポンポさん2』に登場するフランチェスカを主人公としており、作品後半で『2』のストーリーとつながる。
- 映画大好きカーナちゃん - 単行本描き下ろし。『フランちゃん』に登場するカーナを主人公としている。
- 映画大好きポンポさん the Omnibus - ジーンピクシブ連載。ポンポと周囲の人々について描かれる短編集。
- 映画大好きポンポさん3 - 単行本描き下ろし。『ポンポさん』の続編(タイトルに「3」が付くが、原作者の杉谷は刊行順に読むのが良いとしている[5])。
- ニャリウッド! - ジーンピクシブ連載。
本作は2015年5月に、5分の深夜アニメ用に制作されたが頓挫した企画が元になっている[6]。ポンポというキャラクターを捨てるのは勿体ないと判断した杉谷は、アニメが無理なら漫画にすればいいと考え本作を制作した[6]。
第1作投稿後、多数の出版社から書籍化の話が入り、同時に続編執筆も求められたが、杉谷は『ポンポさん』は1作で綺麗に完結していること、描きたいネタがないこと、別件の締め切りに追われていることを理由に断っていた[7]。だがその後2018年1月、ある打ち合わせで『ポンポさん』の続編『ポンポさん2』の打診を受けて簡単に了承した[7]。杉谷は当時続編を打診した編集者に謝罪し、「何事もタイミングが大事」と述べている[7]。
『映画大好きフランちゃん』は、1話10頁ほどの短編の執筆を依頼され、喫茶店で女の子たちが映画談義する内容になる予定だったが、同時に『2』を執筆していたことから、2作に繋がりを持たせれば世界を広げられるとの考えから制作された[8]。前半が1話完結制になっているのは初期構想の名残[8]。
- 映画大好きポンポさん
- 映画の都「ニャリウッド」にある「ペーターゼンフィルム」で映画をプロデュースしているポンポネット、通称ポンポは、映画のオーディションを受けにきたナタリーを「地味」という理由で落とすが、何か惹かれるものがあったため、若手女優ミスティアの付き人としてナタリーを起用する。
- また、ポンポの元でアシスタントとして働くジーンは、ある日ポンポから自身の映画「MARINE」の予告編制作を依頼される。ポンポは予告編映像の出来や、自身が執筆した新作映画「MEISTER」の脚本に対する反応からジーンのセンスを見出し、「MEISTER」の監督をジーンに任せ、ヒロイン役にナタリーを抜擢する。
- 当初は不安に思っていたジーンとナタリーだったが、周囲からのアドバイスで自信をつけ映画制作に臨む。完成した「MEISTER」、ジーン、ナタリー、ポンポは映画界の最高峰であるニャカデミー賞を受賞する。
- 映画大好きポンポさん2
- 「MEISTER」でニャカデミー賞を受賞したジーンは、昨年ヒットしたアクション映画の続編「マックスストーム2」の監督に抜擢される。「MEISTER」との制作現場の違いを意識させられつつもジーンは映画を完成させるが、大衆向けとなる「普通の映画」を撮ってしまった自分に憤り、ジーンならではのセンスと様々な技法を駆使し玄人志向に振り切った「尖りまくった」フィルムを完成品として提出し、「普通」の「マックスストーム2」のデータを消滅させる。
- 「マックスストーム2」はポンポと映画監督のコルベットにより「普通」の続編として再編集され無事完成に漕ぎつけるも、ジーンは多くの人に迷惑をかけたため「クビ」という体裁で一時ポンポの祖父ペーターゼンの元へ追放される。ペーターゼンの家にある様々な映画の脚本を読んだジーンは自分自身で映画を制作することを決意し、ペーターゼンフィルムを辞めて脚本制作に取り組む。脚本を完成させたジーンはナタリーとミスティアを起用して映画「LOVE・Begets・LOVE」の制作を開始するが、凝りすぎて予算がなくなったため、ポンポに助力を請う。ポンポは協力する条件として、自身の新作映画「Lunch Waggon」との対決を持ちかける。
- 2人の映画が完成し、ジーンはポンポの映画を称え、ポンポはジーンの映画を鑑賞したことで、制作者としての視点しか持っていなかった自分にも純粋に映画が好きな気持ちがあったことに気づく。
- 映画大好きフランちゃん
- 映画スターを夢見るフランチェスカ、通称フランは、ダイナー「エッグノッグ」で働きつつオーディションを受けていたが、毎回落ちていた。フランはポンポを始めとするダイナーの客と交流し、アドバイスを受けるもオーディションには受からない日々が続いた後、後輩のカーナに先にデビューされる。気落ちするフランに対し、ポンポはフランが具体的にどのような映画スターになりたいかビジョンを持っていないことに気づかせ、次のオーディションでは審査員になったつもりで他人の演技を観察することを命令する。フランは言われた通りオーディション参加者を観察していると、参加者たちがしている失敗はかつて自分がした失敗と同じものであることに気づく。
- フランは改めて自分がどのような映画スターになりたいのか見つめ直し、その旨をポンポに述べる。ポンポはフランの答えがあまりにも素敵なものだったため、フランを新作映画「Lunch Waggon」の主演に抜擢する。「Lunch Waggon」はヒットし、フランの元には多くの出演依頼が届けられたが、どれも「Lunch Waggon」でのような役ばかりだった。このためフランは全ての依頼を断り、自身が主演する映画の企画書を執筆していた。企画書を読んだポンポは、フラン主演映画の第2作制作を宣言する。
- 映画大好きカーナちゃん
- アカデミーの先輩であるフランが主役の「Lunch Waggon」がヒットした後、カーナはフランに置いて行かれたと感じ、心がすさんでいた。そんなある日、科学考証家のデュラント・クライスラーと出会う。デュラントの持ち物から脚本家と勘違いしたカーナは、しかし脚本家としてSF映画を撮りたいというデュラントの熱意に触れ、ならばとポンポを紹介する代わりに映画化の際には自分をヒロインにするよう迫る。デュラントの脚本を読んだポンポさんは「硬くて難しくて解りにくい」と一刀両断するが、カーナに手伝ってもらって書き直してこいとチャンスを与える。
- ガチガチのSFオタクであるデュラントの脚本はいちいち科学的根拠を並べた説明書きが付き、物語の前に設定が難解でとっつきにくいものだった。そこをカーナが指摘し、もっと単純に見せるように指示する。それではスペースオペラになってしまうと乗り気ではないデュラントに対し、ならば自分をスターにするための脚本にしろと言い放つ。そこでようやく意地の張りどころが間違っていたと気付く。同時に宇宙戦闘機の形なども言葉ではなくイラストを添えるなど、とにかく解りやすいものへと変えていった。この変更がポンポさんに認められ、「直すところは山程あるがギリギリの線を越えてきた」と評価され、映画化が決定した。そして、特殊撮影の協力を「マックスストーム2」などのプロデューサーのウェズに求め、「最高級の映画しか撮りたくない」というウェズは予算をポンポさんと同額出す代わりに、主演と監督として人気俳優のレオンの採用を求める。
- 脚本の修正にコルベットとレオンも加わり、無事に脚本にOKが出て製作準備が始まるが、今度はヒロイン役であるカーナの演技がネックとなる。だが、それを反骨精神から「役者マシン」になりきることで克服してしまう。そうして周囲の大人を騙しつつ映画撮影が進むうちに、その「偽りの演技」が自身の演技へと昇華されてゆく。そうして完成した映画は、プレス向けの試写会で高評価を得る。
- その裏で、ペーターゼンとジーン監督が闇の胎動を始める。
声の項は劇場アニメ版の声優。
ペーターゼンフィルム
- ジーン・フィニ
- 声 - 清水尋也[9]
- 本作の主人公。ポンポのアシスタント。映画監督を目指しペーターゼンフィルムに入社した。採用理由はポンポさん曰く「目の輝きがないから」。鬱屈した青春時代を送っており、映画だけが心の支えだった。
- ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット
- 声 - 小原好美[9]
- 本作のヒロイン。主人公の映画プロデューサー。見た目は幼い少女に見えるが年齢は不詳。通称は「ポンポ(さん)」。敏腕だが、普段はB級映画ばかり撮っている。プロデューサーとしてのポリシーと幼少期の体験から、上映時間が2時間を超える長い映画を嫌っている。誕生日は4月4日[10]。
俳優
- ナタリー・ウッドワード
- 声 - 大谷凜香[9]
- 俳優志望。オーディションに落ち続けていたが、ポンポの新作映画のヒロイン役に抜擢される。
- ミスティア
- 声 - 加隈亜衣[9]
- 若手俳優。夢は自分の出演する映画をプロデュースすること。
- マーティン・ブラドック
- 声 - 大塚明夫[9]
- 伝説的俳優。10年ほど実質的な引退状態だったが、ペーターゼンに請われて「MEISTER」に出演する。
- レオン・ポールウェイド
- 「マックスストーム2」主演。
- クリスティア・ロックウェル
- 「マックスストーム2」ヒロイン。
映画関係者
- ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼン
- 声 - 小形満[11]
- 元映画プロデューサー。ポンポの祖父。多数のヒット作を手掛け、ポンポにコネクションを引き継がせて引退した。なぜかジーンの名前を覚えず、必ず間違う。
- コルベット
- 声 - 坂巻学[11]
- 映画監督。ポンポの右腕。ポンポ好みのB級映画を撮ることに長けている。
- ウェズ・G・マクティアナン
- 映画プロデューサー。「マックスストーム2」のプロデューサー。
エッグノッグ
ペーターゼンフィルムの近くにあるダイナー。
- フランチェスカ・マッツェンティーニ
- 声 - 野水伊織[11]
- 俳優志望。通称は「フラン」。エッグノッグでアルバイトとして働いている。
- ユーゲン・マイルスジャック
- エッグノッグの雇われ店長。俳優でもあるが売れていないため、店長を兼任している。
- キャロル・ロンシュタット
- コンポーザー。エッグノッグの客。
- マーリン・ユーチノフ
- 脚本家。エッグノッグの客。
- カーナ・スワンソン
- フランの後輩。
その他
- アラン・ガードナー
- 声 - 木島隆一[12]
- 映画オリジナルキャラクター。大手銀行「ニャリウッド銀行」に勤務するエリート銀行員。ハイスクール時代はジーンとは同級生で、商談に向かった先で、同じ地に映画撮影に来ていたジーンと再会する。仕事に行き詰まりを感じ退職を考える中、ジーンの映画制作が危機に陥ったことを知り行動を起こすことになる。
- 映画大好きポンポさん 2017年8月26日発売[1]、ISBN 978-4-04-069453-5
- 映画大好きポンポさん2 2018年9月27日発売[13]、ISBN 978-4-04-065150-7
- 映画大好きフランちゃん 2019年8月26日発売[14]、ISBN 978-4-04-065151-4
- 映画大好きカーナちゃん 2020年9月27日発売[15]、ISBN 978-4-04-064635-0
- 映画大好きポンポさん the Omnibus 2021年4月26日発売[16]、ISBN 978-4-04-064637-4
- 映画大好きポンポさん3 2021年5月27日発売[17]、ISBN 978-4-04-064636-7
- ニャリウッド! 1 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きマズルカちゃん 2023年2月27日発売[18]、ISBN 978-4-04-681572-9
- ニャリウッド! 2 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きアランくん 2024年1月26日発売[19]、ISBN 978-4-04-683273-3
単行本第1巻の帯でアニメ化が発表され[1]、『映画大好きフランちゃん』の帯で劇場アニメ映画となることが発表された[14]。当初は2020年公開を予定していたが[4]、その後2021年3月19日公開予定となった[9]。その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を理由に2021年6月4日に再度延期され[21]、同日に公開された。
テーマ曲
- オープニングテーマ「Dance On Fire」
- 作詞 - 藤林聖子、作曲 - 松隈ケンタ、編曲 - SCRAMBLES、歌 - 新妻聖子
- 主題歌「窓を開けて」
- 作詞・作曲・編曲 - カンザキイオリ、歌 - CIEL
- 挿入歌「反逆者の僕ら」
- 作詞・作曲・編曲 - カンザキイオリ、歌 - EMA(from DUSTCELL)
- 挿入歌「例えば」
- 作詞・作曲・編曲 - カンザキイオリ、歌 - 花譜
テレビ放送
さらに見る 回数, 放送日時 ...
回数 | 放送日時 | 放送局 | 備考 |
1 |
2022年05月13日 21時00分 - 22時45分 |
WOWOWシネマ |
テレビ初放送 |
2 |
2022年05月16日 18時00分 - 19時45分 |
WOWOWプライム |
|
3 |
2023年01月01日 20時00分 - 21時45分 |
BS11 |
無料BS初放送[23] |
4 |
2023年02月04日 15時00分 - 16時35分 |
NHK Eテレ |
地上波初放送[24] |
5 |
2024年01月20日 15時25分 - 17時00分 |
NHK Eテレ |
|
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『キネマ旬報』 2022年3月下旬特別号 p.32