日本新聞協会賞(にほんしんぶんきょうかいしょう)は、日本新聞協会が主催する新聞・通信・放送の賞である。1957年創設。新聞協会に加盟するすべてのマスメディアを対象に、そのマスメディアの全体の信用と権威を高めるような活動を促すことを目指して表彰する。
賞は大きく「編集部門」、「技術部門」、「経営・業務部門」の3つ(編集部門はさらに「ニュース」「写真・映像」「企画」の3つに細分)に分けて、原則として毎年協会が指定した日までの1年間の業績に対して表彰をする。ただし、指定日を越える長期の活動については過去の総合的な業績を踏まえて評価する。なお編集部門では、指定日よりも後に起こったニュースに対する取り組みについてどうしても受賞させたいと加盟社又は協会が判断した場合、追加応募を認める。追加エントリーは受賞を前提に審査されることがほとんどである[1]。
協会賞受賞のマスメディア関係者には毎年新聞週間(10月)に開催する「新聞大会」で表彰し、賞状とメダルを贈呈する。新聞大会終了後に追加授賞する場合は、関係者を東京・内幸町プレスセンタービルの協会本部に呼んで表彰する。
2020年度からは贈賞対象を編集部門に絞り、新聞報道の力を社会に訴える賞であることを明確にした。従来の新聞協会賞技術部門は「新聞技術賞」、経営・業務部門は「新聞経営賞」に改称。新聞協会賞は、「ニュース」「写真・映像」「企画」の3部門で募集している[2]。
毎日新聞社は2020年度までに32回受賞しており、協会加盟社中最多である[3]。
以下に挙げる受賞作は、「新聞技術賞」、「新聞経営賞」も含めたものである。
技術部門
- 1957年度
- 全自動モノタイプの実用化(毎日新聞)
- 新聞原色印刷の発展(中部日本新聞)
- 模写電送方式による新通信機アーク・ファクスの完成、実用化(朝日新聞)
- 1958年度
- 光電トランジスター採用によるフル・オートペースターの研究、実用化(読売新聞)
- 「写真電送録画装置」の考案、実用化(北海道新聞)
- 1960年度
- 日刊新聞の高速度オフセット印刷の成功(朝日新聞)
- 絵画の多色刷り製版のレタッチに関する特殊技法の研究(京都新聞)
- 1961年度
- プリントファクス装置を利用した簡易新聞号外発行機(読売新聞)
- 1962年度
- 新聞印刷ガイドブック3分冊(活版編・写真製版編・印刷編)の発行(毎日新聞、日本経済新聞、産業経済新聞ほか)
- 1963年度
- 1964年度
- 自動計数紙取り装置(中部日本新聞)
- 表彰・「みどり丸遭難事件」の報道記事と報道写真(沖縄タイムス)
- 1965年度
- ラップアラウンド印刷法における丸版腐食機の完成(日本経済新聞)
- 1966年度
- 商況紙面機械化に関するカナテレシステム多元化の開発(共同通信)
- 1969年度
- 漢テレモニター装置における電子化のための共同開発(共同通信)
- 1970年度
- 「三値アナログ方式による新聞ファクシミリ高速伝送装置」の完成(日本経済新聞)
- 1972年度
- 全自動モノタイプの改良と集中リモート・コントロール・システムについて(読売新聞)
- 1973年度
- 日刊紙におけるAPR製版システムの開発(日本経済新聞)
- 1974年度
- 新聞の印刷・発送自動化システムの開発(日本経済新聞)
- 1975年度
- ニュース集配信における電算システムの総合的開発(共同通信)
- 1976年度
- 新聞の多色刷り技法の開発(静岡新聞)
- コンピューターによる言語処理システムの研究開発(共同通信)
- 1977年度
- ミニコンネットワーク電算写植システム「サクセス」の開発(サンケイ新聞)
- ディップスの開発・実用化(日本経済新聞)
- 中日「分散出力型」集配信システム(中日新聞)
- 1979年度
- 「コンピューター処理による写真電送集配信システム」(共同通信)
- 1980年度
- 1981年度
- 「新しい新聞編集・製作システム『NELSON』の開発」(朝日新聞)
- 1982年度
- 「ニュース集配信および処理における電算システムの開発」(共同通信)
- 1983年度
- 「報道データベース・JACSと関連システムの開発」(時事通信)
- 1984年度
- 「KEY-LESS印刷方式その完成と実用化」(読売新聞)
- 「新聞製作のトータルシステム〜電算編集『ヘリオス』を中心に〜」(北国新聞)
- 「フィルムダイレクト伝送送信機の開発」(共同通信)
- 1986年度
- 「転写製版システム 基礎技術の研究確立と実用機の開発」(朝日新聞)
- 1987年度
- 宛名オンラインシステム基礎システムの開発と実用化(朝日新聞)
- 新聞印刷工場の自動化RXシステムの完成と実用化(読売新聞)
- 1988年度
- 1989年度
- 1990年度
- 総合情報システムSAN-NETの構築―独自の地紋見出し機能とカラー組版を中心に―(山梨日日新聞)
- 1991年度
- 新聞制作における衛星ネットワーク―衛星紙面伝送と新聞SNG開発と実用化―(毎日新聞)
- 1992年度
- CTP(直接製版)システム―基礎技術の研究確立と実用機の開発(朝日新聞)
- 1993年度
- 「高精度タワープレスの開発―ファンナウト抑制技術の確立とタワープレスの実用化―」(静岡新聞)
- 1996年度
- 「日経京都別館におけるダイレクト製版システムの開発・導入―FTP(Facsimile TO Plate)システム―」(日本経済新聞)
- 1997年度
- SGMLを採用した電子新聞の開発―電子新聞「毎日デイリークリック」の実用化(毎日新聞)
- 1998年度
- 素材管理システムの開発と実用化(読売新聞)
- 二十一世紀へ 「新CTS」全面稼働 NWS記者組版システム/新画像システムの完成(西日本新聞)
- 1999年度
- 二十一世紀の新技術基盤、次世代CTSに対応した新画像システム(CGS)の開発と実用化(中日新聞)
- 新聞制作システムOCEANの開発・導入(沖縄タイムス)
- 2001年度
- 48ページ一連印刷技術の確立と超々軽量紙(40g紙)の開発・実用化(日本経済新聞)
- 2005年度
- 新聞用FMスクリーンの実用化(朝日新聞)
- 高位・等品質カラー紙面の自動印刷システム開発と実用化(読売新聞)
- 新システム「コスモスIII」NewsMLは組み版の世界へ(信濃毎日新聞)
- 2006年度
- ATOMシステム〜セキュアでオープンなトータルシステムの構築〜(朝日新聞)
- 2007年度
- 創造と改革 マルチユースと究極の効率化を求めて新編集システム全面稼働 6つの基本システムを同時並行構築(西日本新聞)
- 2009年度
- 新AMスクリーン実用化 高精細高品質への挑戦(信濃毎日新聞)
- 2010年度
- 2011年度
- 新聞製作システム「ASURA」構築〜ユビキタス・インターフェースを目指して〜(産経新聞)
- 2012年度
- 競争と協調の時代へ〜カラープルーフの相互利用〜(朝日新聞、中日新聞)
- 2013年度
- 新印刷空調システムの実用化 輪転機結露ゼロへの挑戦(信濃毎日新聞)
- 2014年度
- 新聞制作の新基盤「NEO(ネオ)」構築〜クラウドのフル活用で一括更新、複合メディア時代の編集システム確立(日本経済新聞)
- 2015年度
- 新聞用完全無処理CTPプレートの開発と実用化〜環境対応型CTPプレートの最終形を目指して〜(読売新聞)
- 2017年度
- 2018年度
- 読者と新聞社 リアルタイムでつなぐ~編集部門向けデジタル指標分析ツール「Hotaru」の開発(朝日新聞)[5]
- 2019年度
- ネットワークインフラの再編~利便性向上と新技術導入への挑戦~(朝日新聞)
新聞技術賞
- 2020年度
該当なし
- 2021年度
- スマートファクトリー~「見える化」で新聞の未来を拓く(中日新聞)
- 2022年度
- Auto-Palot Printing AI活用による輪転機自動運転とスキルレス化を目指して(読売新聞)
- 2023年度
- 2024年度
- 朝日・道新による統合編集システムの共同開発(朝日新聞・北海道新聞)
経営・業務部門
- 1958年度
- 国際空輸版の企画ならびに空輸販売(ジャパンタイムズ)
- 新聞社広告業務の合理化に関する作業(神戸新聞)
- 1959年度
- ファクシミリ版による日刊新聞の発行(朝日新聞)
- 新聞原価計算基準の作成(新聞原価計算グループ)
- 1961年度
- 1962年度
- PCSによる計算体系(神戸新聞)
- 表彰・富士山をきれいにする運動とキャンペーン(山梨日日新聞)
- 1967年度
- 新聞業の付加価値分析統一計算基準と分析方式(日本新聞協会付加価値分析研究会)
- 1969年度
- 新聞製作工程の全自動写植化による経営の合理化(佐賀新聞)
- 1971年度
- 1974年度
- 日経広告研究所の創立・維持を通ずる広告活動近代化の推進(日本経済新聞)
- 1977年度
- 1978年度
- 「電算機利用による経営合理化―新製作体系への全面移行―」(日本経済新聞)
- 1980年度
- 1983年度
- 「新聞販売店経営の近代化―新しい流通システムへの挑戦―」(熊本日日新聞)
- 1986年度
- 1987年度
- 「ひろしまフラワーフェスティバル」の創造と展開(中国新聞)
- 1988年度
- 新聞博物館の開設―新時代の情報文化センターをめざして(熊本日日新聞)
- 1990年度
- 成果を挙げる「印刷局小集団活動」(中日新聞)
- 「京都21会議」の創設と展開―地方紙の新しいありかたを求めて―(京都新聞)
- 1991年度
- 河北新報社における事務改善・OA推進運動―多段階方式の管理部門活性化戦略の展開―(河北新報)
- 新しい時代の新聞社像―CIからPI運動へ 地域紙、5年がかりの挑戦(西日本新聞)
- 1992年度
- 新世代の新聞制作「ニュー・コスモス」への挑戦(信濃毎日新聞)
- 「エリアデータベース」の構築と活用〜情報新時代の販売所経営(中国新聞)
- 1995年度
- 南日本美術展50回記念「留学生たちのパリ展」地域が発信する芸術文化の国際交流事業(南日本新聞)
- 1996年度
- 広告業務への電子技術導入による高能率化、省力、省人化の達成(河北新報)
- 2000年度
- 2002年度
- 「全社員入力による事務系改革 ウエブ連携のトータルシステム」(信濃毎日新聞)
- 「広告を編集紙面と同じ鮮度に 総合デジタル化で開く広告の新境地―仕事の流れが変わる、社員の意識を変える―」(中日新聞)
- 2007年度
- 「動く新聞 聞こえる新聞」(東奥日報)
- 「静岡かがく特捜隊」の取り組み(静岡新聞)
- 2008年度
- 緊急時の「事業継続」検証系システムを活用した紙面制作(信濃毎日新聞)
- 2009年度
- 夢のボールパーク誕生サポート〜地域とともに歩む総合メディア企業の実践〜(中国新聞)
- 2010年度
- 「日本経済新聞 電子版」(Web刊)の創刊(日本経済新聞)
- 郷土の命 見守り続け〜「赤ちゃん会」80回の実践〜(高知新聞)
- 2011年度
- 英語子ども新聞[Let's えいGO!](共同通信)
- 2013年度
- 下野新聞NEWS CAFEの開設とその取り組み(下野新聞)
- 2014年度
- 「復興大使」派遣事業(福島民報)
- 「みらい・つなぐ・ふくい」プロジェクト(福井新聞)
- 2015年度
- 117KOBEぼうさいマスタープロジェクト(神戸新聞)
- 2016年度
- 2018年度
- 「いのちと地域を守る」震災伝承・防災啓発プロジェクト~地方紙連携・地域協働による責務の共有と発信の強化(河北新報)[7]
- 業務改革、AIと向き合う 記事自動要約への挑戦(信濃毎日新聞)[8]
- 2019年度
- 日本経済新聞 新聞広告IoT宣言~新聞広告の価値向上を目指して~(日本経済新聞)
- キャンペーン「健康は子ども時代から」~血液異常・ゲーム依存症対策への取り組み~(四国新聞)
新聞経営賞
- 2020年度
- 小中学生新聞「くまTOMO」の登録会員とICTを活用した取り組み(熊本日日新聞)
- 2021年度
- 地エネの酒 for SDGs プロジェクト(神戸新聞)
- 2022年度
- 愛媛新聞forスタディ(eスタ)※eは丸の中にe ~有料化による持続可能な収益モデルの確立~(愛媛新聞)
- 2023年度
該当なし
- 2024年度