戸塚ヨットスクール
日本の愛知県知多郡美浜町にあるヨットスクール ウィキペディアから
日本の愛知県知多郡美浜町にあるヨットスクール ウィキペディアから
戸塚ヨットスクール株式会社(とつかヨットスクール)は、愛知県知多郡美浜町の胎教・乳児教育施設[2][3]。校名は創始者の戸塚宏の名字からであり、戸塚は自らを「神様」と称している[4]。現在は、非行や登校拒否などの情緒障害児の入校は一切受け付けておらず[5]、胎児や0歳児への教育を行っている[6][7]ほか、戸塚は「ヨットスクールの訓練を受けることで、癌、パーキンソン病、膠原病などありとあらゆる難病が治る」と主張している[8]。
この項目には暴力的または猟奇的な記述・表現が含まれています。 |
ヨットスクール校舎(2016年12月) | |
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒470-2703 愛知県知多郡美浜町大字北方宮東70-1 北緯34度46分45.7秒 東経136度54分54.1秒 |
本店所在地 |
〒464-0858 愛知県名古屋市千種区千種3丁目12番7号 |
設立 | 1974年11月26日(株式会社シー・ワイ・シー) |
業種 | サービス業 |
法人番号 | 8180001004842 |
事業内容 | ヨット教室の経営 |
代表者 | 代表取締役 戸塚宏 |
資本金 | 1300万円 |
純利益 | ▲295万2000円(2018年10月31日時点)[1] |
総資産 | 32万2000円(2018年10月31日時点)[1] |
外部リンク | 公式ホームページ |
1976年、ヨットマンの戸塚宏により「オリンピックで通用するような一流のヨットマンを育てる」という理想の下で設立される[9]。 教育方針は校長の戸塚宏が提唱する「脳幹論」と称するものに基づいている。この「脳幹論」とは、「青少年の問題行動は、脳幹の機能低下により引き起こされる」という持論に基づき、「アトピー性皮膚炎や気管支喘息、不登校、出勤・登校拒否、引きこもり、癌なども、脳幹を鍛えることによって克服できる」と説くものであり、戸塚は、ヨットスクールの訓練を受けることによって、 癌、パーキンソン病、膠原病、肝機能障害、肝炎、腎炎、不整脈、白血球過多、白血球不足、慢性の頭痛、瞳孔反射異常、メニエール病と思われる耳鳴り、蓄膿症、アレルギー性鼻炎、扁桃腺肥大、膝蓋腱反射異常、血色素過少、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、若年糖尿病、小児喘息、アトピー性皮膚炎、ネフローゼなどの 難病が治ると主張している[10]。 しかし、それらの効果を示す客観的な資料や記録はほとんど存在せず、医学的・科学的根拠にも欠けるものであるため、日本児童青年精神医学会と日本総合病院精神医学会の理事会は戸塚の講演や理論を非難する声明を発表している[11][12]。戸塚は、ヨットやウィンドサーフィンを通じて大自然の中で原始的な状況に直面せざるを得ない状況を作りだし、彼らに直面させることで脳幹に刺激を与え、戸塚が衰えたと考えるその機能を回復させるというもので、薬物やカウンセリング、周囲の思いやりというようなものだけでは治らない者もあり、教育荒廃は決して解決しないとの考えに基づく[13]。戸塚の支援者である石原慎太郎は、この理論はオーストリアの動物行動学者であるコンラート・ローレンツが唱えたものであるとしている[14]。
「人間が与えられた『生きる力』を100%開花させることに全力を注ぐ」ことをうたい、「基礎精神力を養う」ことを目的に、現在はウィンドサーフィンを使ったトレーニングを行っている。現在は、非行や登校拒否などの情緒障害児の入校は一切受け付けておらず[15]、胎児、0歳児を対象に教育を行っている[16][17]。従前は校内には寮が併設されており、登校拒否、引きこもり、家庭内暴力、非行などの問題を抱えた生徒は合宿が原則となっていた[18]。指導としての体罰は否定せず、「体罰を使えば期間を短縮できる」が、現状では「使いたいのですがなかなか使えない」としている[18]。
合宿中は月曜の休み以外は毎日ウィンドサーフィンによる訓練が行われるが、嫌なことから逃避する癖の付いた大半の生徒は、様々な口実や時には巧みな嘘で逃げようとし、ほとんどの生徒が脱走を試みたという。この事実をあらかじめ想定し、対応しないと生徒の嘘に幻惑され帰宅を許してしまい失敗すると説く。このため、家族には戸塚を信頼し、必ず指示に従うよう求める[13]。
1970年代末から1980年代にかけて、スパルタ式と呼ばれる独自の指導により、不登校や引きこもりや家庭内暴力などの数多くの非行少年を矯正させたという触れ込みで、戸塚ヨットスクールはマスメディアに登場し話題となる。当時は校内暴力が社会問題化していたため、問題行動を繰り返す青少年の矯正を行えると自称した同スクールが注目されたものであった。
しかし、訓練中に生徒が死亡したり行方不明になったりした、いわゆる「戸塚ヨットスクール事件」が明るみに出た結果、1983年に傷害致死の疑いで捜査が行われ、校長の戸塚以下関係者15名が逮捕、起訴された。長年に及ぶ裁判の末、戸塚およびコーチらは有罪判決を受けた。校長の戸塚は懲役6年の実刑で服役した後、2006年4月29日に静岡刑務所を出所し、スクールの現場に復帰した。
2006年10月9日、25歳の訓練生の男性がスクール近くの沖合で水死体となって発見される事件が起きた[19]。この男性は同月6日に失踪し行方不明となっていた。遺体に外傷はなかったため、事故死か自殺とみられている。
2009年10月19日、戸塚ヨットスクールの寮の3階から18歳の訓練生の女性が飛び降りて死亡する事件が発生した。女性は3日前に入所したばかりで、他の寮生・コーチと共に布団干しの作業中に約1.5メートルのコンクリート製の屋上のへりを乗り越え、路上に転落した。愛知県警半田署は自殺とみて捜査している。事件後、戸塚校長は「突発的だった。管理態勢に問題はなかったが、所属した生徒が亡くなったことには責任がある」と話した[20]。
2010年12月20日、30代の訓練生の男性がスクール内の寮から転落し重傷を負う事件が発生[21]。愛知県警半田署は事故と自殺未遂で調べていると報じられた[22]。
2012年1月9日、スクール内の寮の前で頭から血を流して倒れている21歳の訓練生の男性が発見され、病院搬送後に死亡。「ヨットスクールの生活がつらく、このまま生きていくのもつらい」と書かれたメモがあったことから、飛び降り自殺と考えられている[23]。
戸塚は、ヨットスクールの訓練を受けることによって、癌やパーキンソン病、膠原病などといった難病も治ると主張しており、戸塚の著書『熱論』には以下のような記述がある。
文鮮明の指示により、統一教会と国際勝共連合が出資して設立した団体、世界日報が発行している月刊ビューポイントの2011年9月号に、戸塚のインタビュー記事が掲載された[31][32][33]。
WEB版のビューポイントには、「(ビューポイントの記者が)先日、戸塚ヨットスクールの創立37周年パーティーに出席する機会を得た。」というコラムが2013年11月25日に掲載された[34]。
戸塚は、2020年にオウム真理教の後継団体であるひかりの輪代表の上祐史浩と二度にわたって対談を行った[35][36]ほか、麻原彰晃とオウム真理教について肯定的な評価をしており、以下のような見解を示している[37]。
また、 「理科系は天下の秀才であり、真理を理解することができる」とした一方、現在は麻原彰晃およびAlephに批判的な上祐氏(早稲田大学理工学部出身)については、「ただの偏差値秀才」「仲間を警察に売った裏切り者」「修行が足りない」と批判した[38]。
2020年2月21日、ニコニコ動画に投稿された日本文化チャンネル桜の動画内での我那覇真子との対談の中でも、上記と同様の見解を示し、「オウム真理教は仏教」「仏教は科学」だと主張した[39]。
1999年、戸塚は『電磁界等を考えるシンポジウム京都会議』に発起人の1人として参加した。このシンポジウムでは、2000年代初頭に社会問題となった『パナウェーブ研究所』がスカラー波について発表したことが話題となり、パナウェーブ研究所はスカラー電磁波の影響によって、人類滅亡や地球崩壊にいたると主張した。
戸塚ヨットスクールの支持者で、戸塚の訴訟代理人を務めた経験もある弁護士の南出喜久治は、ビル・ゲイツによる人口削減陰謀論を唱える陰謀論者であり、所謂反ワクチン派として活動している[40]。かつては神真都Qの弁護人を務めており[41]、同団体のデモや集会にも参加していた。また、2023年2月24日には、なかのZEROで行われた親ロシア派の『ドンバスの人権とウクライナ問題を考える國民集会』に司会として参加[42]し、「ロシア軍によるウクライナ侵攻は失地回復のための軍事行動であり、クリミア併合は当然のこと」「日本政府によるロシアへの経済制裁は不当」「ウクライナでは民主主義が完全否定されている」などと述べた。
光文社が発行する写真週刊誌『FLASH』に掲載された元訓練生の証言によると、スクール内でコーチや支援者による生徒に対する以下のような性加害が行われており、その様子を見て戸塚宏は笑っていたという。
また、上記証言を行った元訓練生は被爆地の出身であったことから「原爆」というあだ名をつけられ、殴られながら「原爆頭やから人よりも丈夫やろう?」と言われたという[43]。
戸塚ヨットスクールの教育・更生方針に賛同する支持者は、厳しい教育訓練のあり方、死亡事故の発生、歪曲された報道などのため、スクールが様々な誤解と中傷に曝されてきたと主張[44]。「戸塚ヨットスクールを支援する会」を組織し支援に当たっている。主要な支援者の中には石原慎太郎(会長)や伊東四朗などの著名人が含まれている。
勾留・収監中も戸塚はマスメディアに依頼された原稿の執筆活動や弁論雑誌への投稿、同スクール支援者団体を通じてのインターネット上での意見表明・コラム掲載などを行っており、支援団体サイト『教育再生!』には支援者による資料が掲載されている。
遭難・行方不明・傷害致死事件が報じられてからは、戸塚ヨットスクールは激しい非難を受けたが、テレビのバラエティ番組では「不謹慎ネタ」として扱われる傾向も見られた。山本太郎が、箕面自由学園高等学校在学中に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」へ出場した際、参加名を「アジャ・コング&戸塚ヨットスクールズ」としていた。また1983年に放映された「第7回アメリカ横断ウルトラクイズ」の第8チェックポイント・レイクパウエルは、「クイズヨットスクール」と銘打たれていた。
戸塚自身も、『ムハハnoたかじん』や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』などのバラエティ番組にゲストとして出演したことがある。
戸塚は、2014年11月28日・29日に開催された「第27回日本総合病院精神医学会総会」において、「私の脳幹論」と題する講演を行った。 この中で戸塚は、「脳幹論」と「本能論」について、
と説明し、
などと述べ、体罰によって訓練生へ恐怖を植え付けることの正当性を主張した。 また、
と述べ、精神疾患の診断と治療よりも戸塚の提唱する「トレーニング」が優先し、それによって症状が悪くなってから医療を受ければいいと主張した[45]。
これに対して、日本児童青年精神医学会の理事会は、
などとする声明を発表し[45]、また、本講演の主催者である日本総合病院精神医学会の理事会も、
などとする声明を発表した[46]。
[47]戸塚は、東日本大震災によって被災者の家が流されたことや、被災した子供の親が亡くなったことなどを「せっかく発生した、(被災者にとって)人生で一番のショックかもしれない大きな不快感」と表現し、「カウンセラーなどの他人がその不快感を取り除くと、トレーニングにならない。本人の力で克服させれば、トレーニングになり、強い人間が出来上がる」との見解を示した[48]。
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