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『悪の法則』(あくのほうそく、原題:The Counselor)は、リドリー・スコット監督、小説家のコーマック・マッカーシー脚本による2013年のスリラー映画[5]。出演はマイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピット、キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムらである。物語は、問題を抱えたシウダー・フアレスとテキサスの国境地帯を中心に展開し、テーマとして欲、死、そして人間の原始的本能とそれらの結果を扱っている。また、本作ではニーチェが唱えた、善対悪、獲物対ハンター、道徳外などを色濃く扱っている。
悪の法則 | |
---|---|
The Counselor | |
監督 | リドリー・スコット |
脚本 | コーマック・マッカーシー |
製作 |
リドリー・スコット ニック・ウェクスラー ポーラ・メイ・シュワルツ スティーヴ・シュワルツ コーマック・マッカーシー |
製作総指揮 |
マイケル・コスティガン マーク・ハッファム |
出演者 |
マイケル・ファスベンダー ペネロペ・クルス キャメロン・ディアス ハビエル・バルデム ブラッド・ピット |
音楽 | ダニエル・ペンバートン |
撮影 | ダリウス・ウォルスキー |
編集 | ピエトロ・スカリア |
製作会社 |
チョックストーン・ピクチャーズ ニック・ウェクスラー・プロダクジョンズ スコット・フリー・プロダクションズ |
配給 | 20世紀フォックス |
公開 |
2013年10月25日 2013年11月15日 |
上映時間 |
117分(劇場公開版)[1] 138分(アンレイテッド・エクステンデッド・カット) |
製作国 |
アメリカ合衆国 イギリス |
言語 | 英語 |
製作費 | $25,000,000[2] |
興行収入 |
$71,009,334[3] $16,973,715[3] 4億8600万円[4] |
タイトルの「counselor」は、英米法(コモン・ロー)における「法廷弁護士」を意味するが、アメリカの司法制度では法廷弁護士と事務弁護士は基本的には区分されておらず、日常語としては単に「法律顧問」の意味で用いられることが多い。
有能な弁護士である”カウンセラー”と呼ばれる男と彼の恋人のローラがベッドでいちゃついている。そのころ自動車工場では、ドラム缶に入れたコカインをバキュームカーに隠す作業が行われた後、バキュームカーはデザート・スター下水処理会社に向けて出発した。カウンセラーは、仕事と偽ってアムステルダムに行くが、実際の目的はローラのために宝石商から婚約指輪を購入するためだった。アメリカに戻ったカウンセラーは、友人の実業家ライナーと彼の愛人マルキナが所有するペントハウスのパーティに参加し、ライナーから「ボリート」という、首を締め付け切断する殺人装置について聞く。そして、以前ライナーから勧められていた麻薬ビジネスを一回限りでやることにしたカウンセラーは、ライナーの経営するレストランでローラにプロポーズし、彼女はそれを受け入れた。後日カウンセラーは、ライナーから紹介された麻薬の仲買人ウェストリーに会い、取引の利益率が4,000%であることなどを聞く。
そしてウェストリーは、取引に関わるメキシコの麻薬カルテルが、特に弁護士に対して容赦ないとカウンセラーに警告する。カウンセラーは、裁判所の任命で、公選弁護人として弁護を担当している、殺人罪により収監中のルースに面会する。そこでルースから、スピード違反で拘留されたバイカーである息子の保釈を頼まれる。保釈を約束したカウンセラーは、開店準備中のナイトクラブを訪れ、ライナーからマルキナがフェラーリとセックスした話を聞く。その後、カウンセラーによって保釈されたバイカーだったが、取引するブツを取りにいくためバイクで走行中に、ワイヤーマンが道に張ったワイヤーで首を刎ねられて殺され、ブツを隠したバキュームカーを奪われてしまう。
ウェストリーからホテルのカフェに呼び出されたカウンセラーは、保釈させたバイカーが、グリーン・ホーネットと呼ばれる組織の運び屋だったことや、彼とつながりがあったことで組織はカウンセラーがブツを盗んだと思い、カウンセラーたちを狙っていることを知らされる。ウェストリーは、スナッフフィルムの事を話し、隠れることを勧める。
2012年1月18日、以前にコーマック・マッカーシーの小説『ザ・ロード』を映画化したプロデューサーのニック・ウェクスラー、ポーラ・メイ・シュワルツ、スティーヴ・シュワルツらがマッカーシーによる『The Counselor』のスペック・スクリプトを購入したことが報じられた[5]。1月31日、リドリー・スコットはいくつかの監督プロジェクトを抱えていたが、『プロメテウス』の次回作は『The Counselor』になる可能性が高いことが報じられた[13]。2月9日、スコットが監督することが確定した[14]。そのあとすぐ、『プロメテウス』にも出演したマイケル・ファスベンダーに『The Counselor』の話が持ちかけられていることが報じられた[15]。2月21日、『Deadline』はファスベンダーが主役に決定したことを報じた[7]。
2月24日、『Deadline』はジェレミー・レナー、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピットらが『The Counselor』の悪役に興味を持っていることを報じた[16]。3月8日、スコットがバルデムを最有力候補にしているがまだピットとレナーと競合中であり、さらにナタリー・ポートマンが主人公の婚約者のローラ役で協議中であることが報じられた[17]。4月8日、ピットとバルデムがそれぞれウェストレー役とライナー役で契約したことが報じられた[10]。
4月19日、『ハリウッド・リポーター』はヒロイン役でペネロペ・クルスが加わる可能性があることを報じた。その後すぐにクルスの出演が公式に発表され、後日役名がローラであることが明らかとなった[18][19][8]。5月8日、『Twitch』は当初アンジェリーナ・ジョリーで構想されていたマルキナ役がキャメロン・ディアスに決定したことを報じた[9][20]。
主演のマイケル・ファスベンダーはスケジュールが詰まっているため、スティーヴ・マックイーン監督の『それでも夜は明ける』を撮影終了し、その約一週間半後に本作の撮影に参加した[21]。また、『プロメテウス』に続き今作がリドリー・スコット監督との2度目の仕事になるファスベンダーは、スコットから「すごい脚本があるんだけど、夕食をして話をしないか」と話され、渡された台本を読んで出演を決めたと話した[21]。
主要撮影は2012年7月27日にイギリスのロンドンで開始された[22]。他にスペイン、アメリカ合衆国でも撮影された[22]。カメラはRED EPICが使用された[23]。8月20日、リドリー・スコットの弟のトニー・スコットが急死し、彼はトニーの家族と共にロサンゼルスを訪れるために同週の撮影を中止した[24]。スコットはその後ロンドンに戻り、9月3日から撮影が再開された[25]。
本作はトニー・スコットに捧げられることが決定した[26]。
20世紀フォックスはジョルジオ・アルマーニとコラボレーションを行い、衣裳デザイナーのジャンティ・イェーツをサポートする形で、エンポリオ・アルマーニはマイケル・ファスベンダー、ジョルジオ・アルマーニはペネロペ・クルスが演じる登場人物のために衣裳を製作した[27][28][29]。カウンセラーの服装は美しいスーツだが、後半は着替えなくなり、彼の世界が崩壊して行く様子を表したという[30]。アルマーニに加え、トーマス・ワイルドのデザイナーであるポーラ・トーマスもキャメロン・ディアス演じるマルキナのために約15種類の衣裳を提供するなど作品に貢献した[31]。イェーツは「脚本を読むまで、スコットが私を呼んだ理由がわからなかった」と述べ、「キャメロン演じるマルキナは、トーマス・ワイルドの要素をたくさん持っている。彼女は図太く、鋭くてモダンで、背景に溶け込むのではなく、見られたいと思っている」とも語った[32]。ディアスはトーマス・ワイルドの衣裳がとても気に入り、冗談で登場シーンをもっと増やしてほしいと話したという[30]。ファスベンダーは、「僕はファッションについてはかなり無知で、ジャージや快適な服装が好きだが、アルマーニは最初の『エンジェル』から良くしてくれた」と話し、「クラシカルなスタイルが一番好きだ」とも述べた[33]。
ハビエル・バルデム演じるライナーのために、イェーツはほとんどをヴェルサーチでまとめたカラフルな衣裳を適用した[32]。そしてデザイナーズ・アーカイブス所蔵のジャンニ・ヴェルサーチのヴィンテージシャツも合わせられ[30]、さらにそれらの服装に合わせてマッチするサングラスも用意された[30]。イェーツによると、彼の風貌はサントロペで休日を過ごす、いかがわしい億万長者風にしたという[30]。バルデムの髪型は、俳優の意見と映画プロデューサーのブライアン・グレイザーの髪型からインスパイアされた[34]。
ブラッド・ピットが演じるウェストリーには、監督のリドリー・スコットがカントリー歌手のハンク・ウィリアムズやジーン・オートリーが着ていた1950年代から60年代の切り替え布が付いた美しいカウボーイスーツにインスピレーションを得て、イェーツにカウボーイ風にするように言い、イェーツはアルマーニやヴェルサーチ、クリスチャン・ルブタンにウェストリーの服装を相談し、ステットソンのカウボーイハットや、ナバホジュエリー、イェーツ行きつけの仕立て屋のカウボーイスーツ、クロコダイル革のブーツなどを合わせた[35][30]。
映画音楽はダニエル・ペンバートンが作曲した[36]。ペンバートンはアビー・ロード・スタジオでフル・オーケストラのレコーディングを行い、その後自宅でギターの音を加えるなど仕上げを行った[37]。
ペンバートンは「リドリーは、面白いものと変わったサウンドにとても反応した」と語り、作曲家と監督の関係について「変わったサウンドを作ることが好きな作曲家として、とてもわくわくした。くじけそうにもなったが、監督はとても協力してくれて、彼もこの試みに意気込んでいた。自分が思っていたよりも、監督が作業を大分怖くないものにしてくれた」と述べた[38]。
サウンドトラックアルバムは、2013年10月22日にデジタル先行配信され、11月11日にミラン・レコーズからCDリリースされた[39]。
批評家の反応は賛否に別れた。Rotten Tomatoesでは194件のレビューで支持率は34%、平均点は4.9/10となった[40]。またMetacriticでは41件のレビューで加重平均値は49/100となった[41]。
否定的なレビュー
肯定的なレビュー
速報では、本作は初週に北米で860万から1300万ドルを稼ぐと予想された[49][50]。金曜日に3,336の劇場で封切られ、320万ドルを稼いで興行収入ランキングで4位になり、初週に合計784万ドルを稼いだ[51]。
日本においては、全国470スクリーンで公開され、公開第1週目の土日2日間で動員8万1961人、興収1億586万9000円を記録し、週間興行収入ランキング3位となった[52]。
日本では、20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパンよりBlu-ray、DVDが発売。Blu-rayは2枚組で、公開当時R15+指定された劇場公開版と、劇場公開版では削られたウェストリーの首切断シーンや、宝石商との会話シーンのロングバージョンなどが追加され、マッカーシーが書いたオリジナル脚本を忠実に描いた無審査21分拡大版のエクステンデッド・エディション(英語音声・字幕のみ)の、合計2バージョンの本編とメイキングなどの映像特典が収録されている[53]。またソフト発売に先行して、2014年3月5日にDigital HDでデジタル配信される[54]。
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