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『怪談』(かいだん、英題:Kwaidan)は、1965年(昭和40年)公開の日本映画である。文芸プロダクションにんじんくらぶ製作、東宝配給[1]。監督は小林正樹。カラー、東宝スコープ[1][3]。
小泉八雲原作の『怪談』に収録されている「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」と『骨董』収録の「茶碗の中」の4つの怪談話を映画化したオムニバス作品[出典 1]。構想に10年を要し、9ヶ月の撮影期間と多額の予算をかけて製作された。1964年(昭和39年)12月29日に東京・有楽座で先行公開され、1965年(昭和40年)2月から一般公開された[1][6]。
公開当時の日本国内での興行は芳しくなかったが海外では高く評価され、第18回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した[6]。
国内では183分の完全版で上映されたが、カンヌ国際映画祭では161分に編集して公開された。その後183分の原版のフィルムが紛失したため、161分のバージョンが出回っていた。やがて原版が発見され、修復を経て2003年(平成15年)に東宝からオリジナル完全版のDVDが発売された。
『怪談』の映画化はにんじんくらぶ代表取締役の若槻繁が学生時代に着想していたもので、にんじんくらぶが映画製作業務を開始する際に若槻が映画監督の小林正樹にこの企画を語ったことで製作実現に動き出した[9][注釈 3]。当初は松竹に企画が持ち込まれたが製作中止となり、その後配給権が東宝へ移り製作開始に至った[5][6]。1964年3月にクランクインし、7月には完成予定であったが12月まで延び、制作費も1億円の予定が3億円まで膨れ上がった[6]。しかし、興行収入は3億円には及ばず、これが原因でにんじんくらぶは倒産した[6]。
監督の小林正樹は本作品が初のカラー映画であった[9][6]。エピソード毎に配色を変えて差別化を図っている[9]。
使用するエピソードの選定は、脚本を担当した水木洋子によって行われた[8]。
撮影のほとんどはセット内で行われた[9]。スタジオには日産車体工機所有の格納庫が使用され、高さ9メートル・総延長220メートルの巨大なホリゾント、約600坪の大広間セット、和船10隻が浮かべられるプールなど大規模なセットが用意された[9][6]。合成などの特撮技術を用いてはいるもののそれを前面には出しておらず、いわゆる東宝特撮作品には含まないとする見解が一般的である[6]。
音楽は武満徹が担当したが、本作品では琵琶唄以外の楽曲を通常の楽器演奏ではなくテープ録音したものに電気処理を加えたミュジーク・コンクレートで手掛けており、武満の肩書も「音楽音響」となっている[10]。
「黒髪」での武士が黒髪から逃げるシーンでの衝撃音は、青竹を折った音や諏訪湖の神渡りの音などを加工している[10]。
「雪女」での風や吹雪の表現には、尺八の音を加工したものや、サヌカイトを叩いた音を録音したテープをカットし間に白味のテープを入れて再録音したものなどを用いている[10]。
「耳無し芳一の話」での琵琶唄「壇ノ浦」は、薩摩琵琶の第一人者である鶴田錦史が本作品のために描き下ろした[10]。鶴田は本作品の制作費を出資しているほか、本作品をきっかけに武満が作曲した「ノヴェンバー・ステップス」の初演にも参加した[10]。琵琶唄以外の曲は、能楽師の謡いを加工している[10]。
「茶碗の中」での侍たちの表現には、三味線と人声を加工したものを用いている[10]。
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