大須観音
名古屋市中区にある寺院 ウィキペディアから
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大須観音(おおすかんのん)は、愛知県名古屋市中区大須2丁目21-47にある真言宗智山派の別格本山の寺院。山号は北野山。本尊は聖観音。寺号は北野山真福寺宝生院。
宗教法人としての公称は宝生院(ほうしょういん)だが、一般には大須観音の名で知られる。日本三大観音のひとつとされる観音霊場。なごや七福神の一である布袋像を安置する。寺内に、『古事記』の最古写本をはじめとする貴重書を多数蔵する真福寺文庫(大須文庫)がある。
そもそもは建久年間(1190年から1199年)に建立された尾張国中島郡長庄大須(現・岐阜県羽島市桑原町大須)にあった中島観音が発祥であるという[1]。
元亨4年(1324年)、後醍醐天皇によって中島郡に北野天満宮が創建された。元弘3年(1333年)、この社の別当寺として僧の能信が創建した真福寺とその塔頭宝生院が当寺の始まりである。摂津国四天王寺の観世音菩薩を移して本尊にしたとされる[WEB 1]。その後、後村上天皇により伽藍が建立され、勅願寺となっている。
3代目住職である任瑜法親王の時には寺領1万石となり、伊勢・美濃・尾張・三河・遠江・信濃6か国の真言宗寺院を末寺としている[WEB 1]。
慶長17年(1612年)、徳川家康の命により、宝生院は犬山城主の成瀬正成によって本尊や真福寺文庫と共に大須郷から名古屋城下の現在地に移転した。
文化12年(1815年)には五重塔が建立され、空海が彫った愛染明王像が五重塔内に安置された。1892年(明治25年)3月21日には、境内にあった芝居小屋の宝生座裏手から出火し(大須の大火)、本堂、五重塔、仁王門を焼失した[WEB 2][WEB 3]。同年4月、大須の大火で焼失した本堂、五重塔、仁王門を再建するために「再建寄附金帳」が書かれた。再建に向けて、本堂、五重塔、仁王門の建地割図(設計図)が描かれ、本堂、五重塔、仁王門に関する再建内容が5丁で記されていた。大須大火後に本堂と仁王門は再建されたが、五重塔は再建されなかった。
戦前まで大須観音以上に大須で大いに栄えて賑わっていた寺は、七堂伽藍で有名であった七寺であった。[要出典]空襲によって七寺も焼失し、戦後には七寺の七堂伽藍の再建が期待されたものの、再建されることはなかった。
太平洋戦争末期の1945年(昭和20年)3月19日、名古屋大空襲で本堂などが再び焼失した[2]。本尊は鉄筋コンクリート造の大須文庫に移していたため焼失を免れた[2]。
戦後の1949年(昭和24年)には仮の本堂と仁王門が建てられた。大須の住民や関係者から、大須のシンボルである大須観音の早期の正式な本堂の再建が期待されたが、資金難で再建が大幅に遅れた。
1970年(昭和45年)、鉄筋コンクリート造で本堂を再建した。当初の再建計画では回廊や五重塔も建設予定であったが、建設資金として当てにしていた浄財がなかなか集まらず、建設は中止された。以後、五重塔などの再建は現在にいたるまで立ち消えた状態である。
開山能信上人(以下、能信)は諱を能信、字を浄水、性は桜井にして、正応4年(1291年)に伊勢国鈴鹿郡関の郷井後(現・亀山市井尻町の付近[3])で誕生する[4]。正和元年(1312年)、癡兀大慧(仏通禅師)の入寂に際して禅学と密教の書籍を全て譲り受ける[5]。文保2年(1318年)、慈恩院の実清阿闍梨に随って落飾する。嘉暦元年(1326年)、安養寺の寂雲に法求す[4]。元弘元年、元徳3年(1331年)、後醍醐天皇が能信に帰依する。元弘3年(1333年)、後醍醐天皇より北野天満宮別当職を拝し真福寺の開山をなす。正平10年(1355年)10月25日、能信が入寂せられる[1]。
真福寺文庫(大須文庫) - 大須観音にある文庫(図書館)。醍醐寺、根来寺と共に日本三経蔵の1つ。あるいは仁和寺、根来寺と共に本朝三文庫の1つと称される。15,000冊もの古典籍を所蔵。書誌学の世界では真福寺本の名称で呼ばれていて、別名では大須本という。国宝の『古事記』は「真福寺本古事記」として知られている。同書の現存最古の写本である。
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