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喜多 直毅(きた なおき、1972年2月18日 - )は、日本のヴァイオリニスト・作曲家。岩手県盛岡市出身。岩手県立盛岡北高等学校、国立音楽大学器楽科卒業。
8歳よりヴァイオリンを浅田秀子、中村泉(国立音楽大学名誉教授)に師事。国立音楽大学にて諏訪晶子(国立音楽大学教授)に師事。大学在学中よりヴァイオリニストの志賀清、バンドネオン奏者の池田光夫、京谷弘司のタンゴオルケスタにて演奏。
大学卒業後、イギリスに3年間留学。リヴァプール・インスティテュート・フォー・パフォーミング・アーツにて作編曲をイアン・ガーディナーに師事、ジャズ理論をアーサー・バーンスタインに師事。卒業作品の「The Sunspot」はロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団メンバーによる室内楽団“Ensemble10:10”が初演を行なっている。
1999年7月よりブエノスアイレスに4ヶ月間滞在。アストル・ピアソラ五重奏団のヴァイオリニスト、フェルナンド・スアレス・パス(ドイツ語版 / スペイン語版)にタンゴ奏法を師事。
帰国後、2000年5月より自身のリーダーバンド「Tangophobics(タンゴフォビクス)」の活動を開始(w/vc:阪田宏彰, gt:竹内永和, pf:飯田俊明, cb:田中伸司)し、2002年にCD『Tangophobia』をリリース。京谷弘司(バンドネオン)小松亮太(バンドネオン)のコンサートやレコーディングに参加。2005年2月から3月にかけて、小松亮太&オルケスタ・ティピカが国際交流基金の派遣事業としてペルー、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルで行った南米4カ国ツアーに参加。
2003年より鬼怒無月のリーダーバンド「Salle Gaveau(サルガヴォ)」に参加(w/acc:佐藤芳明, pf:林正樹, bs:鳥越啓介)。タンゴに即興演奏やトリッキーなリズムを導入し、新しいサウンドの世界を築いたこのグループは、国内はもとより、海外でも好評を博した。2007年4月、フランスで行われた「Rock In Opposition Festival」(英語版)に出演。ZAO(英語版)のステージにもゲスト参加した。2008年3月、シンガポールで行われた「Mosaic Music Festival」(英語版)に出演。同年9月にはパリ日本文化会館(フランス語版)で行われた国際交流基金主催による「Jazz in Japan 2008」に出演。同バンドは、2008年と2010年に2度の欧州ツアーを行い、ドイツ、オランダ、フランス、オーストリア、イタリアで公演を行った。Salle Gaveauはこれまでに三作品アルバムをリリースしている。
2017年6月、田中信正(pf)と共に録音した『Contigo en La Distancia ~遠く離れていても~』がリリースされ、7月に東京、8月に名古屋でリリース記念コンサートを行う。アントニオ・カルロス・ジョビンやピアソラ作品他、南米音楽やファドを収録。サウンドエンジニアの沢口真生録音・ミックスによる本作品は第24回プロ音楽録音賞・最優秀賞を受賞した。
2018年3月、久田舜一郎(小鼓・声)、大島輝久(謡)、角正之(dance)を招き、能楽『葵上』公演を主催。(初演:2016年9月 出演:久田舜一郎(小鼓・声)、寺澤幸祐(謡)、喜多直毅(vln)、主催:『西宮発・今、伝統芸能』実行委員会/共催:白鷹禄水苑)
”単なる和楽器と洋楽器のコラボレーションを超絶した新たな時空の出現”、”挑発と忍耐のせめぎ合いが惹起した奇跡的な大いなる錯覚、幻視を与えてくれた催し”と評され、多くの人の印象に残る公演となった。
同年11月、ドイツよりSebastian Gramss(cb)、Halard Kimmig(vln)を招聘。前年の渡独の際に結成された齋藤徹(cb)、喜多、Kimmig、Gramssの即興演奏ユニット「OFF/STRING」として東京・ドイツ文化会館での公演をはじめ関東・関西でツアーを行い、各地でワークショップや多彩なゲストとの共演で好評を博す。(齋藤は今回の公演には不参加)
その他ソロによる即興演奏、常味裕司(oud)をリーダーとするアラブ楽団“ファルハ”への参加、松本泰子(vo)をリーダーとするグループ“ウタウタ”への参加とソングライティング、翠川敬基(vc)・さがゆき(vo)とのユニット“ファドも計画”への参加、松永裕平(pf)北村聡(bn)とのタンゴトリオ、フラメンコ舞踏家の森田志保公演への参加、元井美智子(箏)、マクイーン時田深山(箏)など邦楽器奏者との即興演奏共演、青木裕子(高樹のぶ子作品)、森都のり(宮沢賢治作品ほか)、長浜奈津子(永井荷風、オスカー・ワイルド作品ほか)との朗読作品コラボレーション等、特定のジャンルにカテゴライズされない音楽活動を続けている。
※黒田京子(pf)、翠川敬基(vc)、齋藤徹(cb)との演奏活動、“喜多直毅クアルテット”の結成についてはそれぞれ別記とした。
2003年より黒田京子(pf)とデュオの演奏を重ね、2008年にアルバム『空に吸はれし心』を制作。お互いのオリジナル作品と既存の楽曲を持ち寄って録音したこのアルバムは、タイトルの通り喜多の敬愛する石川啄木(喜多と同郷)の世界観を軸としている(2015年7月18日、岩手県盛岡市の“もりおか啄木・賢治青春館”に於いて啄木へのオマージュとして演奏会が行われた)。2010年からはコンサートシリーズ“軋む音”を開始。これは、毎回異なる人物や事件、作品等にスポットを当て、その根底に漂う“声なき声”・“言葉なき言葉”を音楽で表現しようとする試みである。これまでにテーマとして“永山則夫”、“アウシュビッツ”、“石田徹也”などが選ばれている。
2014年にアルバム『愛の讃歌〜Hymne à l’amour〜』を発表。シャンソン、映画音楽、昭和歌謡等、比較的よく知られた楽曲にドラマティックなアレンジを施して演奏している。このアルバムの発売後、これまでに北海道、東北、西日本、九州へのツアーを行っている。
2018年7月、「ジャズ・ワールドビート2018」~ジャズで繋がる、世界が広がる~では小ホールでの公演「アフタヌーン・サロン・ジャズ」に喜多直毅&黒田京子デュオとして出演。大ホールでの公演にも浜田真理子のゲストとして出演した。
主にフリージャズのフィールドで長年に渡って活動を続けて来た翠川敬基(vc)のグループ“緑化計画“(w/bs:早川岳晴, dr:石塚俊明)に参加し、老舗“アケタの店”でライヴ録音されたCD“bisque”にも加わる。緑化計画の他にも翠川とは頻繁に演奏を重ね、第二期・黒田京子トリオへの参加へと結びついた。このグループでは黒田や翠川の作品の他、故・富樫雅彦(ds・perc)の楽曲をレパートリーとした。(第一期黒田京子トリオのヴァイオリンは太田恵資が担当。)
現在翠川とは前出「ファドも計画」の他にシュトックハウゼン、翠川、冨樫作品を中心に即興演奏デュオライヴなどを定期的に行っている。
2009年、黒田京子の紹介による齋藤徹(cb)との出会いは、喜多にとって演奏家としての大きな転機となった。
齋藤は喜多とデュオでの即興演奏を多数行う他、Barre Phillips(cb)、Michel Doneda(sax)、Le Quan Ninh(perc)、Jean Laurent Sasportes(dance)等、ヨーロッパで活躍する即興演奏家や舞踏家とのセッションの機会を提供。彼らからも大きな刺激を受け、喜多はさらに即興演奏の道を深く進むこととなる。
齋藤とのデュオによる即興演奏はライヴCD『明〜Mei〜』(2014年8月)、ゲストとしてXavier Charles(clarinet)、Roger Turner(percussion)、中谷達也(percussion)、沢井一恵(五弦琴)、久田舜一郎(小鼓&声)、今井和雄(guitar)が参加したライヴCD『Six trios improvisations with Tetsu & Naoki』(2016年3月)等がリリースされている。その他にも様々なアルバムで共演をしている。
(”主な作品”参照)
[その他齋藤との主な共演(国内)]
2013年8月:
2014年1月:
2014年7月:
2014年10月:
2015年11月~2016年1月:
2011年より自身のメインプロジェクトとして喜多直毅クアルテットを開始(メンバー:banndoneon北村聡、piano三枝伸太郎、contrabass田辺和弘)。楽器編成は典型的なタンゴ四重奏ではあるが、喜多自身のオリジナルのみを演奏するグループとして即興演奏、フリージャズ、現代音楽、ノイズ等の要素をふんだんに取り入れた演奏を行い注目されている。一つのコンサートを60分の音楽劇とし、個々の楽曲の連なりによってストーリーを展開して行くスタイルを取る。2014年、ファースト・アルバム『Winter in a Vision〜幻の冬〜』をリリース。荒涼とした冬の情景を描いたその作品はその高い精神性によって大いに評価された。2017年、セカンド・アルバム『Winter in a Vision 2』のリリースと共に初の地方公演を行った。
[これまでの喜多直毅クアルテット公演]
2011年:
2013年:
2014年:
2015年:
2016年:
2017年:
2018年:
2011年には初の単独ヨーロッパツアーを行う。齋藤徹の紹介によって出会ったフランス人ピアニスト・Frédéric Blondy(pf)とパリのÉglise Saint-Merry(サンメリ教会)にて即興演奏の録音を行い、アルバム“spirals are dancing alone”として発表した。ヴッパタール(ドイツ)に於いてソロ演奏、ロンドンでは千野秀一(pf)、Roger Turner(dr)等と共演、ベルリンではTristan Honzinger (vc)と共演した。
2012年3月、ヴッパタールにて齋藤徹の作曲、Jean Laurent Sasportes振付による“Looking for Kenji”に出演。宮沢賢治の世界を描いたこの作品ではヴァイオリン演奏と岩手の方言による朗読を行う。
2016年10月〜11月、単独ヨーロッパツアー。イタリア・パレルモにてLelio Giannetto(cb)と即興演奏によるデュエットと独奏を行う。ベルリンではGerhard Uebele (Violin)、Ernesto Rodrigues (Viola) 、千野秀一(pf)、Tobias Delius(sax, cl)等と演奏。またデュッセルドルフにてダンス作品『Die Insel〜島〜』に出演。
その他にも、以下の演奏を行なっている。
2012年:
2013年:
2016年:
2017年:
2018年:
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