屋代島
山口県、周防大島諸島の島 ウィキペディアから
山口県、周防大島諸島の島 ウィキペディアから
屋代島(やしろじま)は、山口県の島であり、周防大島諸島(防予諸島に含まれる)の代表的な島の一つである。周防大島(すおうおおしま)の名で知られる。
国土地理院が定める現在の島名は「屋代島」を正式名とする[1]。「屋代」は島内の古くからの一地名である。
ただし現在も、古代より引き続き「大島」の島名が定着している[2]。周防国の「大島」であったことから「周防大島」と呼ぶことも多い。
周辺の島々を合わせ周防大島諸島を構成する。周辺の有人島と合わせて大島郡周防大島町を形成し、人口は17,030人(2017年4月1日時点)[3]。
屋代島は、本州沖1〜2kmの瀬戸内海上にある。瀬戸内海では淡路島、小豆島に次ぎ3番目に大きい。島内は概ね海岸沿いまで山が迫り、平地は屋代・小松・久賀・安下庄地区などがある。
地図を見ると金魚のような形をしていることから「金魚島」とも呼ばれている[4]。
島内の主要地区は、久賀、安下庄・橘、小松・屋代、平野(島末)などがある。
島東部からは四国の石鎚山まで晴れた日には望むことができる。瀬戸内海の豊富な魚介類や柑橘類の産地として名高い。
本州との間の大畠瀬戸は潮流が速く、古くは水運の難所とされていた。現在は好漁場として釣り人が多い。
気候は温暖で平均気温は15℃を超える。冬は玄界灘より寒気が入る。
古くから瀬戸内海海上交通の要衝とされ(畿内と九州の筑紫国を結ぶ)、『万葉集』にも「大島の鳴門」を詠んだ歌がある。『日本書紀』、『古事記』の国作り神話の中にも現れる。
『日本書紀』ではイザナミが生んだ大八島の一つ、7番目に生まれた島とされ、『古事記』では大八島に続けて産まれた6島の3番目とされる。古代の主要交通路だった瀬戸内海の要所だったことの表れと考えられている。このほか『国造本紀』に大島国造が見える。平城宮の長屋王邸跡から大島産の塩であることを示す木簡が多く出土しており、長屋王の封戸が大島郡内に設定された可能性が指摘されている。
風光明媚な要所であることから、歌枕としても知られていた(『万葉集』巻15・3638番田辺秋庭、『後撰和歌集』恋4・829番大江朝綱など)。『源氏物語』「玉鬘」巻には大島を歌った和歌が登場する[5]。
鎌倉時代初期までに屋代荘・安下荘・島末荘の3つの荘園が成立し、これらの地頭職として大江広元が任ぜられた。治承・寿永の乱に際しては、島末荘に平知盛が城塞を構築したとする記録が残されている。室町時代には周辺海域に海賊が現れ、宇賀島衆と三島衆(村上一族)などの争いが繰り広げられた。厳島の戦い以後、大島は村上氏と深いつながりを持つようになり、村上武吉の墓が内入の元正寺に置かれている。
江戸時代末期に人口増大が進んだ。サツマイモ栽培、出稼ぎの普及などが原因と考えられている。
1866年に、徳川幕府と長州藩との間で、大島口の戦い(幕長戦争)が起きた。長州藩は西蓮寺(屋代)に本陣を置き出撃し、上陸占拠した幕府軍を撃退した。
明治時代には約7万人もの人口がおり、食糧が不足していた。このため海外へ移民する島民も多く、政府が斡旋したハワイ王国への官約移民(約2万9000人)のうち屋代島出身者が3913人を占めた。こうした縁で1963年、アメリカ合衆国ハワイ州カウアイ島と姉妹縁組をしている[6](「ハワイにおける日本人移民」「日本ハワイ移民資料館」も参照)。
国道437号が、島の北側海岸線に沿い、東端の伊保田と本州への大島大橋とを結ぶ。主要地方道の山口県道4号大島環状線が南側海岸線に沿って走り、両端は国道437号に接続する。
このほか主要地方道の山口県道60号橘東和線、一般県道の県道103号大島橘線、県道108号地家室白木港線、県道351号油田港線、県道362号白木漁港佐連線が島内を通っている。島の山間部中腹を大島オレンジロード(大島広域農道)が環状に走っている。
本州の柳井市とは大畠瀬戸をまたぐ大島大橋(国道437号)により結ばれている。最寄りの鉄道駅は本州の山陽本線大畠駅(柳井市)である。大島大橋を渡り大畠駅と島内各地を結ぶ防長交通の路線バスが運行されている。
大島には久賀港、安下庄港、小松港、伊保田港、白木港、沖浦港の6箇所の地方港湾がある(うち白木・沖浦両港は周防大島町が、その他は山口県が港湾管理者となっている)。周防大島 松山フェリーが大島東端の伊保田港と柳井港(柳井市)及び三津浜港(松山市)とを結んでいる。このほか、小松・久賀・日前・伊保田の各港から周辺離島への町営渡船が運航している。
漁業、農業(果樹、特にみかん)、観光業が産業の中心である。
温暖な気候から「サザンセト」の名称のもと、リゾート化が進められている。年間約93万人が訪れる[7]。
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