列車火災事故(れっしゃかさいじこ、 train fire accident)とは、鉄道車両が列車として運行中に、失火、漏電、放火などによる火災が原因で、車両が損失を受けた鉄道事故を指す。事故の規模によっては死者、負傷者が出ることもある。とりわけトンネル、地下鉄内で発生すると被害が大きく、トンネルで発生した場合、一酸化炭素中毒になる可能性もある。
対策
建造物を不燃化することや、火災報知装備を鉄道車両に搭載することが主な対策である。火災を防ぐいくつかの法律を制定することもある。
車両の不燃化対策
日本国内では、国鉄63系電車の桜木町駅構内での火災事故や、北陸トンネル内での急行きたぐに号火災事故を契機に、車両の不燃化が進められた。
終戦直後には、安全性の低い戦時形車両が多数残存しており、桜木町事故については、屋根や内装等が木造であったことが問題視され、国鉄での全金属製車体採用が進められた。
また、近鉄奈良線での生駒トンネル内列車火災事故など、物資不足による更新の遅れなどから、機器の老朽化による電動機や電気配線の発火事故がしばしばみられ、物資の充足と共に徐々に改善された。
なお、東京高速鉄道など、戦前の私営鉄道、ことに地下区間を持つ鉄道では、不燃性車体を開業時より火災対策として採用していた。
北陸トンネル火災は、電気暖房の配線老朽化による電気火災であり、車両に使用される配線材の難燃化・不燃化、貫通路の網張りガラス採用等の火災対策が強化された。また裸火を使用する調理設備の禁止などが行われた[注 1]。
気動車では、可燃物である軽油と高温になるエンジンや排気管などの機器が併存するという構造上、火災対策には客車、電車よりも技術的困難がある。古くは西成線列車脱線火災事故後に国鉄ではガソリンエンジンの使用停止がなされた。戦後も国鉄キハ80系気動車の初期車でDMH17Hエンジンの初期トラブルから排気管の過熱による発火事故を起こし、設計が改良された。同じく排気管の過熱によるアルカディア号火災事故を契機に、JR東日本ではDMH17系エンジンの新型エンジンへの換装が進められた。21世紀に入っても、プロペラシャフトの脱落による石勝線特急列車脱線火災事故などの火災例がみられた。
避難誘導対策
桜木町事故では、貫通路が内開きで開かず、乗降扉の非常用ドアコックが乗客に周知されておらず、また側窓は中段固定の三段窓であり避難の妨げとなった。事故後には貫通路や窓の改修、非常コックの整備等の対策が施行された。
また北陸トンネル火災事故では、トンネル内での火災車両停車が被害を拡大させており、運行規定を改め、トンネル内での停車を極力避けることとした。地下駅では、日比谷線での車両火災事故等の教訓から防火・避難誘導対策がある程度なされていたが、大邱地下鉄放火事件を契機に、排煙設備や非常時の誘導設備が改めて整備された。
列車火災事故の例
- 1978年5月5日、津田沼検車区宗吾支区(現・宗吾車両基地)で発生。中核派によるテロ事件である。死者・怪我人は出なかった。
- ユーロトンネル火災
脚注
関連項目
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