久保正彰 (西洋古典文学者)
日本の文学者 ウィキペディアから
久保 正彰(くぼ まさあき、1930年10月10日 - )は、日本の文学研究者(西洋古典学専攻)。勲等は瑞宝重光章。学位は文学修士(東京大学・1957年)。東京大学名誉教授、東北芸術工科大学名誉教授、日本学士院会員。
東京大学教養学部助手、成蹊大学文学部助教授、東京大学教養学部助教授、東京大学文学部教授、東京大学文学部学部長、東北芸術工科大学学長、日本学士院院長、一般社団法人学士会理事長などを歴任した。
概要
日本における西洋古典学の第一人者[1]で、太平洋戦争後、ハーバード大学[1]
を卒業し、東京大学の大学院修士課程を修了、東京大学や成蹊大学で教鞭を執った。東京大学文学部では学部長に就き、新設された東北芸術工科大学で初代学長に就任するなど、要職を歴任した。日本学士院会員に選任、院長にも[2]。また、学士会の理事長も務めた[3]。
来歴
生い立ち
広島県出身[1]。18歳で日本の成蹊高校を中退し、単身アメリカに渡り、フィリップス=エクセター=アカデミー(高校
)に編入する[4]。1953年、ハーバード大学卒業[5](古典語学・古代インド語学専攻)、1957年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。
研究者として
1959年東京大学教養学部助手、1965年成蹊大学文学部助教授、1967年東京大学教養学部助教授、1975年に文学部教授、文学部長(1985-87年)、1991年退官し名誉教授、東北芸術工科大学初代学長[6](1992-98年)・名誉教授[7]。2004年に瑞宝重光章を受章[8][9]。
1992年12月に、日本学士院会員に選任[8]、人文科学部門の第1部長・幹事を経て、2007年10月に第24代院長に就任(任期は3年で、2期を限度とする)。2013年任期満了し退任。2014年7月に松尾浩也の後任で学士会理事長に就いた(第10代、2016年6月に退任、後任は佐々木毅)。なお日本学士院第1部長在任中に「皇室典範に関する有識者会議」メンバーも務めた[10]。また2000年6月から1年間、日本西洋古典学会委員長(第7代)に、岡道男(同年3月に死去、なお第8代は伊藤貞夫)の後を受け就いていた。
研究
ハーバード大学出身で、帰国後に呉茂一の弟子となり、30代でトゥキュディデス『戦史』を全訳した。文庫 下巻あとがきに、将来は改訳版を出したいと記したが、他の研究著述・公務等のため半世紀以上を経ても果たせていない。なお2008年10月に〈岩波市民セミナー〉で『ツキジデス「戦史」を読む』を行っている。
西洋古典学(諸国学士院協賛の国際出版ラテン語大辞典の作成に参与)、ホメーロス研究、古代ギリシア悲劇の翻訳・研究を行っている。
栄典
主な著作
- 日本語文献のみ
著書
- 『ギリシァ思想の素地 ヘシオドスと叙事詩』(岩波新書 青版、1973年)
- 『ソクラテスからアゲーシラーオスまで 伝記作者クセノフォーンについて』
- 『古典古代における伝承と伝記』(岩波書店、1975年)の一章
- 『Ovidiana ギリシャ・ローマ神話の周辺』(青土社、1978年、新版1992年)
- 『オデュッセイア 伝説と叙事詩』(岩波書店<岩波セミナーブックス>、1983年)
- 『西洋古典学 叙事詩から演劇詩へ』(放送大学教材:日本放送出版協会(販売)、1990年)
- 『ギリシァ・ラテン文学研究 叙述技法を中心に』(岩波書店、1992年)、オンデマンド版2016年
- 『少年少女世界の文学1 オウィディウス「ギリシア・ローマ神話」』(暁教育図書、1979年)、児童出版
訳書
- トゥーキュディデース 『戦史』(岩波文庫(上中下)、1966-67年、新装復刊1997年・2017年ほか)
- アイスキュロス 『ペルシアの人々』-「ギリシア悲劇全集 第1巻」(人文書院、1960年)
- ソポクレス 『ピロクテテス』-(「ギリシア悲劇Ⅰ」ちくま文庫、1985年)
- アイスキュロス 『アガメムノーン』(岩波文庫、1998年)
- ケネス・ドーバー 『わたしたちのギリシア人』(青土社、1982年、新版1992年)
編著
脚注
関連項目
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