ロイヤルホスト(英: Royal Host)は、ロイヤルホールディングスの子会社であるロイヤルフードサービス株式会社が運営するファミリーレストラン。Royal Hostとは「宮廷のもてなし役」の意味。通称ロイホ。
1950年(昭和25年)に江頭匡一が福岡県でキルロイ特殊貿易株式会社を創業。江頭は米軍基地でのコック経験やそこで得たノウハウを下地に、3つの飲食事業を地元の福岡で誕生させた。そのうちのひとつが、洋食レストランの展開である。
江頭は、銀座の有名店「コックドール」を経営していた「月ヶ瀬」社長の伊藤佐太郎に教えを請い、店舗設計者や支配人、チーフコックなどの紹介を受けると、1953年11月、福岡市中洲に福岡県初のフランス料理店「ザ・ロイヤル中洲本店」をオープンした。1階に親しみやすい喫茶、2階にやや敷居の高いフレンチレストランという、ホテルニューグランドのレストランに似た構造を持つ同店は、パフェやサンデーを提供した1階を中心に人気を博した。オープンから3か月後には、マリリン・モンローが当時の夫であったジョー・ディマジオと共に来店。モンローがロイヤルのオニオングラタンスープを気に入り、滞在期間中、毎日注文していたというエピソードがある。
「ロイヤルホスト」としての1号店は、フランチャイズ店として、1971年(昭和46年)に北九州市八幡区大字熊手(現・八幡西区青山三丁目)にオープンした。その後、北九州市など北部九州を中心に、数店のフランチャイズ店が存在したが、現在は全店直営店に業態変更している。かつては300店を超えていたが、2002年以降は不採算店舗の閉店を進めており、特に2009年以降は大量に閉店した(一部はステーキレストランの「カウボーイ家族」に業態転換・改装)うえ、2008年から2013年11月までは新規出店がなかったため[注釈 1]、店舗数は減少傾向にあるとされる。
2005年のロイヤルグループの持株会社移行の際、北海道が「ロイヤル北海道」、九州が「ロイヤル九州」、それ以外が「ロイヤル」に事業会社が3分割されたが、2007年に「ロイヤル」の会社分割により関東地方の事業が「ロイヤル関東」に分割され(ロイヤルには外食インフラ機能のみが残る)、2009年にロイヤル関東がロイヤル北海道を合併し「ロイヤル東日本」に移行、ロイヤル九州が広島以西の事業を引き受けて「ロイヤル西日本」に商号変更した。
一方、関西地区は、大阪ガスの子会社であった株式会社キンレイの連結会社「オージー・ロイヤル株式会社」の下で運営されていたが[注釈 2]、2002年(平成14年)にキンレイ保有株式の大半がロイヤルへ譲渡され、残りの株式も2004年(平成16年)にすべて譲渡され、大阪ガスはロイヤルホストの事業から撤退した。その後社名を「ロイヤル関西株式会社」に変更して運営されていたが、2011年にロイヤルホスト社に統合されている[注釈 3]。2007年4月にはロイヤルから中部地方と岡山県内の事業を吸収し、2009年以降は北海道・東北・関東がロイヤル東日本、中部・関西・岡山県がロイヤル関西、広島県、山口県、九州がロイヤル西日本の3社体制となった。その経緯から、ロイヤル関西管内は基幹システムが他地区と切り離されていた。
2011年1月にロイヤル東日本が他の地域会社2社を吸収合併し、「ロイヤルホスト株式会社」として1社に統合。さらに2021年に『天丼てんや』を展開するテンコーポレーションと、麒麟麦酒との合弁事業だったアールアンドケーフードサービスを吸収合併し、ロイヤルホスト改めロイヤルフードサービスの運営となっている。
現在は北海道から沖縄県まで30都道府県に222店舗(2024年1月現在)[1] を展開している。なお北東北3県、山形県、栃木県、北陸3県、岐阜県、三重県、山陰2県、四国4県[注釈 4]、佐賀県には店舗がない。
- 2007年 - 新メニュー、ハッシュドビーフハンバーグに新開発の紙鍋を採用。鉄板による具材の焦げ付きやソースの煮詰まりを防ぎ、最後まで温かいまま食べられるようになった。
- バイキング形式の導入 - 一部店舗で、ドリンクバー(ソフトドリンク飲み放題)、スープバー(1~数種類のスープ飲み放題)、サラダバー(数種類のサラダが食べ放題)、ブレッドバー(数種類のパンが食べ放題)を展開している[注釈 6]。なお、取り扱いの種類は、各店舗で異なる(例:長崎県の長崎駅ビル店では通常メニューの他にトルコライス、佐世保バーガー、ちゃんぽん、皿うどんも取り扱っている)。
- オニオングラタンスープ - ロイヤルホストの看板メニュー。1954年に、福岡市東中洲にあったロイヤル中洲本店(現:花の木レストラン)に、新婚旅行で来日中のマリリン・モンロー、ジョー・ディマジオ夫妻が訪問した際、好んで食したとされる。「マリリン・モンローはロイヤルのオニオングラタンスープを3日連続で食べた」との旨がメニュー表などに書かれている。
- なお、ロイヤルホストのメニューとしては1986年に発売されている[9]。
- 当初は、焼肉設備のある店舗を除き洋食メニューのみであったが、近年は、日本料理、中華料理、イタリア料理等もレギュラーメニューに加わっている。また、定期的に各国の料理フェアを行っており、中でも夏期のカレーフェアについては定番となっている。
- 2010年に中国に出店した際には、日本と同じメニュー構成で挑んだが、従業員の入れ替わりが激しく、調理や接客などのノウハウが定着しなかったため2014年に撤退した[10]。
- 電子マネーはQUICPay、交通系ICカード、楽天Edy、iDに対応。2014年4月14日より全国の店舗でサービスが拡充された。なお、長崎駅ビル店、大宮ステラタウン店、沖縄ライカム店については入居施設の方針により、一部利用できない電子マネーがある。
- 大阪ガスグループとの合弁だった時代の関西地区では、メニューが他地域とは大きく異なっていた。
- プレミアムロイヤルホスト
- ロイヤルホストから生まれた新コンセプトレストラン。2013年2月に、『カフェ ロイヤル パーク』としてオープン。店で焼き上げる自家製パンやファーマーズデリ(前菜ビュッフェ)が特徴[11]。2014年4月に、同店のエッセンスをそのままにリニューアルした[12]。
- 住吉(福岡)と駒沢(東京)に2店舗を展開していたが、2018年10月現在は両店とも通常のロイヤルホストに戻っている。但し、駒沢店のみプレミアムグランドメニューは提供している。
- スパイスプラス
- 2012年7月に、「野菜のおかず(サブジ)&洋食カレー」専門店の『カレー家族』としてオープン。その後、2012年11月9日に現在のスパイスプラスに変更[13]。
- 霞ヶ関・横浜・神谷町に計3店舗(2015年5月13日時点)展開していた。
- カウボーイ家族
- ステーキ、ハンバーグ、サラダバーに特化した新業態。2010年12月に練馬にあった石神井店[注釈 7] など、関東と関西の11店舗でテスト展開を開始し、2012年3月から春日店(福岡)[注釈 8] を皮切りに全国展開を開始[14]。
- 最盛期となる2015年11月時点で全国で39店舗を展開していたが[15]、翌年10月31日に札幌・新潟[注釈 9]・八尾(大阪)にあった3店舗が閉店[16] して以降は漸減し、特に2019年以降閉店が相次ぎ[17]、2022年6月30日に最後まで残っていた青山店(北九州)[18][注釈 10] の閉店によりブランド展開を終了した[19]。
- 向谷実が「ロイヤルホストのパンケーキを愛している」と公言して憚らないことから、その想いを寄せて『ロイヤルホストのパンケーキの歌』を作曲。ロイヤルホストの公式パンケーキの歌として公認されており、iTunesにて配信(有料)されている[23][24]。
- Twitterロイヤルホスト公式アカウント @Royal_Host (ロイホたん)によるホスピタリティ全開のTwitter活用により、多くの人がbot(機械的に)リプライだと思われていたが、GIGAZINEによる インタビュー記事 により、中の人へのインタビューが実現している。(初代中の人は2012年1月31日に担当から外れ、後にアカウント自体が閉鎖されている。)
注釈
2013年12月16日に多摩センター店が開店している。
大阪ドーム(大阪ガスの社有地に建設された)の近隣にロイヤルホスト(大阪ドームシティ店)が所在していたのは、大阪ガスグループとの合弁だった名残である(「カウボーイ家族」への業態転換後閉店したため現存しない)。
キンレイ自体も現在は大阪ガスグループから離脱している。
1988年から2002年までは香川県に出店していた。
その後大濠公園に移転し、「レストラン花の木」として現在も運営中
現在は一部を除いてスープバー・サラダバー・ブレッドバーは統合され、「シェフズバー」と名づけられている
先述のように、ロイヤルホスト1号店を転換した店舗だった。
出典
遠山和宏(2014年6月20日). “ロイヤルホスト:中国撤退 サービス質維持厳しく”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
"沿革". ロイヤルホールディングス株式会社. 1 January 2021. 2021年4月14日閲覧。
“閉店のご案内”. カウボーイ家族公式サイト (2022年5月31日). 2022年7月10日閲覧。
“閉店のご挨拶”. カウボーイ家族公式サイト (2022年7月1日). 2022年7月10日閲覧。
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