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ハーマン・メルヴィルの長編小説 ウィキペディアから
白鯨 Moby-Dick; or, The Whale | ||
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初版の表紙 | ||
著者 | ハーマン・メルヴィル | |
発行日 | 18 10 1851、14 11 1851 | |
発行元 | Richard Bentley | |
ジャンル | 冒険小説、海洋小説 | |
国 | アメリカ合衆国 | |
言語 | 英語 | |
形態 | 文学作品 | |
ページ数 | 822ページ | |
ウィキポータル 文学 | ||
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本作は実際に捕鯨船に乗船して捕鯨に従事したメルヴィルの体験をもとに創作され、1851年に発表された。アメリカ文学を代表する名作、世界の十大小説の一つとも称される。たびたび映画化されている。原題は初版(1851年)の英国版が『The Whale』、米国版が『Moby-Dick; or, The Whale』であるが、その後『Moby-Dick; or The White Whale』とする普及版が多く刊行されており、日本では『白鯨』の題が定着している[1]。
本作品は、沈没した悲運の捕鯨船でただ一人だけ生き残った乗組員が書き残した、白いマッコウクジラ「モビィ・ディック」を巡る、数奇な体験手記の形式をとる。
本作品は大長編である上に、難解かつ全体の雰囲気が暗鬱で、読み通すことが難しいことでも名高い。鯨に関する当時の知識の叙述や、当時の捕鯨技術の描写などストーリー外の脱線が多く、またイシュメイルやエイハブなど人名が旧約聖書から象徴的に引用されていることなどが、名前が知られているほど愛読されていない理由の一つである[注 1]。
アメリカの捕鯨船団が世界の海洋に進出し、さかんに捕鯨を行っていた19世紀後半、当時の大捕鯨基地・アメリカ東部のナンタケットにやってきた語り手のイシュメイルは、港の木賃宿で同宿した、南太平洋出身の巨漢の銛打ち・クイークェグと出会い、ともに捕鯨船ピークォド号に乗り込んだ。
出航のあと甲板に現れた船長のエイハブは、かつてモビィ・ディックと渾名される白いマッコウクジラに片足を食いちぎられ、鯨骨製の義足を装着していた。片足を奪った「白鯨」に対するエイハブ船長の復讐心は、モビィ・ディックを悪魔の化身とみなし、報復に執念を燃やす狂気と化していた[4]。エイハブの狂った復讐心は、エイハブを諌める冷静な一等航海士スターバック、常にパイプを離さない陽気な二等航海士のスタッブ、高級船員の末席でまじめな三等航海士フラスク、銛打ちの黒人ダグーやクイークェグ、インディアンのタシテゴなど、多様な人種構成の乗組員にも伝染し、乗組員一同は、白鯨に報復を誓う。
数年にわたる捜索の末、ピークォド号は日本沖でモビィ・ディックを発見・追跡する。白鯨と死闘の末にエイハブは海底に引きずり込まれ、損傷したピークォド号も沈没する。イシュメイルのみが生き残り、棺桶を改造した救命ブイにすがって漂流の末、他の捕鯨船に救い上げられる。
この節の加筆が望まれています。 |
上記以外にも、『トムとジェリー』に「白いくじら」(Dicky Moe、1962年7月1日)のエピソードがある他、舞台を中世ファンタジー世界に置き換えたアメリカ映画『エイジ・オブ・ザ・ドラゴン』(2011年)がある。
白鯨「モビィ・ディック」のモデルは、実在した白いマッコウクジラの「モカ・ディック」だとされる[6]。
本作には聖書のエピソードが数々登場し、エイハブ (Ahab) とイシュメエル (Ishmael) の名も旧約聖書の登場人物、イスラエル王アハブ、そして、アブラハムの庶子イシュマエルに因む。
作中、船が目指す海域として「Japanese sea」「coast of Japan」という表記が使われるが、これは日本海や日本近海という意味ではなく太平洋でマッコウクジラが多く生息するハワイ・小笠原諸島・釧路[要曖昧さ回避]を結んだ三角形の海域「ジャパン・グラウンド(Japan grounds)」を指す当時の捕鯨関係者による呼称である[7]。また補給の問題に関連して日本の鎖国について言及されている(条約港を参照)。海図を確認する場面で『Niphon』の表記が登場しており[8]、当時はこの表記も使われていたことが確認できる。
実際にピークォド号のモデルとなった19世紀の捕鯨船ツー・ブラザーズ号はハワイの近海で発見された。2008年から行われたNOAA(アメリカ海洋大気圏局)の調査により、2011年に発見された残骸はハワイのホノルルから約1,000キロの浅瀬にあり、船の索具、錨2基や捕った鯨の脂を融かす器具3点のほか調理器具[9]が含まれている[注 6]。
コーヒーチェーン店「スターバックス」の名前は、本作の一等航海士スターバックに由来する[11][12][13]。スターバックは当時のナンタケット島でよく見られた姓で、鯨取りのスターバック[注 7]は言うなればパン屋のベーカー氏、といったニュアンスである。なお135章からなる作品中に、コーヒーという単語がスターバックとともに登場するのはただ1箇所で、油を切らして無心にきた捕鯨船の船長が手にしていた油差しをコーヒーポットと誤認する場面である。スターバックとコーヒーに特段の関連はない。
フィリップ・ホセ・ファーマー、チャイナ・ミエヴィル、夢枕獏などが本作のパスティーシュ小説を書いている。
初完訳版は阿部知二訳で、1941年に第一部が、1949年に再版と続編が出版、のち旧岩波文庫版や各社「世界文学全集」で刊行。
1950年代に、富田彬訳、宮西豊逸訳、田中西二郎訳も出版。現行の文庫判は、改版と新訳版が出ている。
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