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旧約聖書に登場する木 ウィキペディアから
生命の樹(せいめいのき、英語: Tree of Life)は、旧約聖書の創世記(2章9節以降)にエデンの園の中央に植えられた木。命の木とも訳される。生命の樹の実を食べると、永遠の命を得るとされる。
旧約聖書において神がアダムとエバをエデンの園から追放した理由は、知恵の樹の実を食べた人間が、生命の樹の実までも食べて永遠に生きる事がないようにするためであったとされる[3]。
ユダヤ教の神秘思想、カバラでは神による天地創造の象徴を10の円と22の直線で図式化した。その図はセフィロト(ヘブライ語: ספירות、英語: Sefirot、Sephirothic Tree)もしくは生命の樹(英語: Tree of Life)と呼ばれた。
セフィロト(ヘブライ語: ספירות、英語: Sefirot)は、ユダヤ教の神秘思想カバラにおいて、10個のセフィラと22個の小径(パス)により図式化された世界創世の象徴。2世紀の教典『形成の書』によって述べられた世界の創造が、13世紀の文献『ゾーハル』において象徴化され、ヨゼフ・ギカティラなどのカバリストたちによって研究された。
近代以降の西洋魔術、特に黄金の夜明け団などではタロットカードと結びつけて研究が行われた。セフィロトの成り立ちはユダヤ教の生命の樹とは異なるものであるが、この二つを同一のものとみなす考えも存在する[8]。
セフィロトとは「数える」を意味するヘブライ語「セフィラ」(英語: Sefirah、ヘブライ語: ספירה)から派生した言葉で、2~6世紀ころに成立したとされる『形成の書』で初めて使用された。形成の書には10のセフィロトと22のヘブライ文字を用いて神が宇宙を創造したことが書かれている。
『形成の書』に記された無形の10のセフィロトは次のとおりである。始まりの深さ、終わりの深さ、善の深さ、悪の深さ、高位の深さ、深淵の深さ、東の深さ、西の深さ、北の深さ、南の深さ。
それらは稲妻のような外見をしており、無限なるもの(エン・ソフ)であるとされている[9]。
ユダヤ教の神秘主義カバラでは、現実世界の全てを生み出した "隠れたる神" の別名を "無限なるもの" と言う意味で、ヘブライ語で無限を意味するエン・ソフ(アイン・ソフ、Ein Sof、אינסוף)と呼んだ。
13世紀スペインのカバリスト、アズリール・ソロモンは、世界の創造とはエン・ソフの流出(アツィルト、Atziluth、עולם האצילות)によるものだと考えた。この流出におけるエン・ソフと物質世界の中間がセフィロトであり、第一のセフィラはエン・ソフの潜在的な形である。第二のセフィラは流出して知的世界の基礎を形成し、他のセフィロトはそれぞれ流出して、道徳・物質・自然界を形成した。また、10のセフィロトは次の3つのグループに分類される[9]。
13世紀のユダヤ教のラビ、モーシェ・デ・レオンによって書かれた『ゾーハル』は、1280年代のスペインで発見された。このゾーハルのなかで、セフィロトは世界を象徴する概念として説明された。ヨゼフ・ギカティラはゾーハルに述べられたカバラの象徴的体系を研究し、『光の門』(Sha'arei Orah)[10]としてゾーハル発見の数年後に出版した。この研究書は1516年にパウルス・リキウス(Paulus Riccius)により一部がラテン語訳され『光の門:義人が入るテトラグラマトンの門』(Portae lucis: Hecet porta Tetragrammaton iusti intrabunt per eam)としてドイツで出版された。このリキウスの訳書の表紙にはレオンハルト・ベックの木版画によるセフィロトが描かれている[1][2]。
『ゾーハル』にはエン・ソフについて次のように記されている。「第一の世界は人間の存在する物質世界、第二の世界は "高位の世界" と呼ばれる天上の世界、第三の世界は隠された深遠な不可知の世界である」「神の思惟は人間には想像しえない。神の思惟の内、我々が知り得る限りのものがエン・ソフであるが、その痕跡は発見できない。エン・ソフから下降する光は、針穴の光のように感じにくいものである」
当時のカバリストたちはエン・ソフについて次のように考えた。「神秘によって隠された感知しえない領域、それがエン・ソフの世界であり、神それ自身の存在の場である」「第二の世界は "分離の世界" であり、エン・ソフの世界と密接な関係を保っており、なおかつ現実世界とも対応している」「不可知の世界から "分離の世界" が形成されるとき、10の特質が識別可能となった。これがセフィロトであり、セフィロトは神と宇宙の中間に存在する」[9]
16世紀のカバリスト、アイザック・ルリアの思想は彼の弟子ハイム・ヴィタルによって著書『生命の樹』として1573年に発表された。
この著書の中ではエン・ソフの世界を満たす無限の光(オウル・エン・ソフ、אור אין סוף、Or Ein Sof)について、次のように記されている。「創造前は全てが無限の光によって満たされていた」「その光は無限に収縮し、それによって何もない空間が現れ、そして無限の光から一筋の光線が出現した」「その神の光線は創造された三つの器、王冠、知恵、理解に亀裂を生じ、さらに下位の七つの器も破壊された」
この出来事は器の破壊と呼ばれ、この時に288個の神聖な火花が発生したとされている。
非ユダヤ人によるヘルメティックカバラでは、セフィロトは顕現の四つの世界(The Four Worlds)と接点を持つとされている。
イギリスの神秘家、ダイアン・フォーチュンによるとセフィロトはそれぞれ、アツィルト界では「十の神聖なる神名」、ブリアー界では「十の強大な天使」、イェツィラー界では「天使の大群」、アッシャー界では「十の宇宙チャクラ」を通して顕現する。なお、彼女によるとアッシャー界は厳密には物質世界ではなく、物質の背後を構成する「低次アストラル界」と「エーテル界」であるとされる。
アレイスター・クロウリーの説では、10のセフィラは四つの世界でそれぞれ異なる色彩を帯びる。例えば、第2セフィラのコクマーはアツィルト界で青色、ブリアー界で灰色、イェツィラー界で虹色、アッシャー界で赤青黄の斑色といった具合である[11]。
ヘルメティックカバラにおける顕現の四つの世界の背後には未顕現、つまり非存在の三つの次元が存在する。この最初の次元がアイン(無)、第二がアイン・ソフ(無限)、第三の次元がアイン・ソフ・オウル(無限の光)である。非存在の様態は言葉によって表すことは不可能であり、この三者は超越的実在がヴェールによって隠された「非存在のヴェール」とも呼ばれる。アイン・ソフ・オウルが一点に集中したものが、第一のセフィラ、ケテルである[11]。
アイン・ソフ・オウル(Ain Soph Aur、אֵין סוֹף אור)はヘルメティックカバラにおいてはイディッシュ語の訳による「無限の光」という意味で使われているが、ヘブライ語では「光に終わりは無い」という意味になる。
アインからアイン・ソフが生じ、アイン・ソフからアイン・ソフ・オウルが生じた。アイン・ソフ・オウルから後述のケテルが流出した。
右図の天頂の白丸のセフィラ(ケテル)から右下の灰色丸(コクマー)、左の黒丸(ビナー)、右下の青丸(ケセド)、左の赤丸(ゲブラー)、右下の黄丸(全体の中央でティフェレト)、右下の緑丸(ネツァク)、左の橙丸(ホド)、右下の紫丸(イェソド)を経て、いわゆる、ジグザグに進み、最終の虹色丸(マルクト)のセフィラへと至る。なお、第3から第4のセフィラの間に隠されたダアト(右図では点線丸)というセフィラがある。
右に記載しているのは、対応する大アルカナ。
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