ジョエル・エンビード
カメルーンのバスケットボール選手 (1994 - ) ウィキペディアから
ジョエル・ハンス・エンビード(Joel Hans Embiid, [dʒoʊˈɛl ɛmˈbiːd] joh-EL em-BEED;[4][5] , 1994年3月16日 - )は、カメルーンの中央州ヤウンデ出身のプロバスケットボール選手。NBAのフィラデルフィア・76ersに所属している。ポジションはセンター。愛称「The Process」。エンビード入団時の76ersは成績が低迷しており、そこからの立て直しを図る各種の補強方針に対して「Trust The Process」とファンの間で呼ばれることが多かったところ、その補強で入団した選手の中でエンビードが最高の選手になったこともありエンビード自身も「The Process」と呼ばれることを受け入れた[6][7][8][9]。
![]() フィラデルフィア・76ersでのエンビード (2019年) | ||||||||||||
フィラデルフィア・76ers No.21 | ||||||||||||
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ポジション | C | |||||||||||
所属リーグ | NBA | |||||||||||
基本情報 | ||||||||||||
愛称 | The Process | |||||||||||
フランス語 | Joel Embiid | |||||||||||
国籍 |
カメルーン フランス アメリカ合衆国 | |||||||||||
生年月日 | 1994年3月16日(31歳) | |||||||||||
出身地 | 中央州ヤウンデ | |||||||||||
身長 | 213cm (7 ft 0 in)[注釈 1] | |||||||||||
体重 | 127kg (280 lb) | |||||||||||
ウィングスパン | 226cm (7 ft 5 in)[2] | |||||||||||
シューズ | アンダーアーマー[3] | |||||||||||
キャリア情報 | ||||||||||||
高校 |
モントバード・アカデミー ザ・ロック高等学校 | |||||||||||
大学 | カンザス大学 | |||||||||||
NBAドラフト | 2014年 / 1巡目 / 全体3位 | |||||||||||
フィラデルフィア・76ersから指名 | ||||||||||||
プロ選手期間 | 2014年–現在 | |||||||||||
経歴 | ||||||||||||
2014– | フィラデルフィア・76ers | |||||||||||
受賞歴 | ||||||||||||
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Stats Basketball-Reference.com | ||||||||||||
代表歴 | ||||||||||||
キャップ | アメリカ合衆国 | |||||||||||
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経歴
要約
視点
1994年にバレーボール選手だった両親の元で首都ヤウンデで生まれる[10]。エンビード自身も幼い頃からバレーボールをしていたものの、アキーム・オラジュワンに憧れていた。テレビでみたコービー・ブライアントのプレーに憧れ、NBA選手を目指すことを決意。翌年渡米し、フロリダ州ゲインズビルのザ・ロック高校に留学。本格的にバスケットボールを始めた。
大学
大学は名門カンザス大学(ジェイホークス)に進学[11]。1年生ながらレギュラーとして起用されたエンビードは、28試合の出場で平均11.2得点、8.1リバウンド、1.4アシスト、2.6ブロックショットを記録。NCAAトーナメントでも活躍したエンビードは、ネイスミス賞の候補にも挙げられ、Big-12の最優秀守備選手賞やオールディフェンスチームなどに選出されるなど、大学No.1ビッグマンとして注目される存在となり、1年間大学でプレーした後、2014年4月に2014年のNBAドラフトにアーリーエントリーを表明した[12]。
フィラデルフィア・76ers
2014-15シーズン

ドラフト開催前の6月、メディカルチェックで右足を疲労骨折していたことが判明[13]。直ちに手術を行ったが、全治6カ月の診断を受けた。ドラフト当日も、会場のバークレイズ・センターには来場せず自宅待機。しかし全体3位指名権を持っていたフィラデルフィア・76ersは、当初予定していたダンテ・エクザムの指名を回避し、敢えてエンビードを指名[13]。結局ルーキーシーズンとなるはずだった2014-15シーズンは、シーズン全試合を欠場[14]。
2015-16シーズン
2015-16シーズンにNBAデビューを目指すことになったものの、リハビリが思うようにいかず、2015年8月に右足を再手術を余儀無くされ、同シーズンも全休となった[15]。
2016-17シーズン
2年間の厳しいリハビリを経たエンビードは、2016-17シーズン開幕前のトレーニングキャンプに漸く全体練習に参加。実戦出場の許可も得られるまでに回復[16]。10月4日のボストン・セルティックスとのプレシーズンマッチで、2年超しのNBAデビューを果たした[17][18]。初のレギュラーシーズンとなった2016-17シーズン開幕戦のオクラホマシティ・サンダー戦では、22分の出場ながらチーム最多の20得点を記録し、鮮烈な公式戦デビューを飾り[19]、11月11日のインディアナ・ペイサーズ戦では、26分の出場ながら25得点を記録し、開幕7連敗を喫していた76ersに、シーズン初勝利をもたらした[20]。以降76ersの新エースとして君臨していたが、2017年2月に今度は左膝を負傷。結局3月初めに残りシーズン終了が決定した[21]。31試合に出場し、1試合平均は20.2得点、7.8リバウンド、2.5ブロックの成績を残し、シーズン終了時にはNBAオールルーキー・ファーストチームに選出された[22]。
2017-18シーズン

2017年10月9日、76ersと5年総額1億4800万ドルで契約を延長した[23]。2018年2月18日にロサンゼルスのステイプルズ・センターで行われるNBAオールスターゲームに先発出場することが発表された[24]。2018年3月15日に行われたニューヨーク・ニックス戦で29得点10リバウンドを記録、試合は76ersが118-110で勝利した[25]。3月16日、24歳の誕生日に行われたブルックリン・ネッツ戦で24得点、キャリア・ハイとなる19リバウンドを記録、試合は76ersが120-116で勝利した[26]。3月19日に行われたシャーロット・ホーネッツ戦で25得点、19リバウンドを記録、試合は76ersが108-94で勝利した[27]。3月29日に行われたニューヨーク・ニックス戦で左眼窩骨折を負い途中退場した[28]。4月19日のプレーオフ1回戦の第3戦目で故障から復帰、プレーオフデビューともなったマイアミ・ヒート戦で23得点を記録、試合は128-108で勝利した[29]。第5戦で19得点、12リバウンドを記録、試合は104-91で勝利し76ersは4勝1敗で2012年以来の1回戦突破を決めた[30]。2回戦、対ボストン・セルティックスの初戦で31得点、13リバウンドを記録したが、試合は117-101で敗れた[31]。
2018-19シーズン
オールスターゲームに選出され、チームヤニスの一員としてプレー。左膝の故障でシーズン後半の多くを欠場したものの、プレーオフには出場(レギュラーシーズン3位)。 イースタンカンファレンス1回戦はブルックリン・ネッツを4-1で破り、セミファイナルでトロント・ラプターズと対戦。第7戦までもつれ込むが、カワイ・レナードの劇的なブザービーターの前に破れた[32]。
2019-20シーズン
2019年10月31日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦でのカール=アンソニー・タウンズとの口論により、2試合の無給出場停止処分を受けた[33]。11月25日のトロント・ラプターズ戦では13リバウンドを記録したが、キャリア初の無得点に終わった[34] 。その4日後のアトランタ・ホークス戦で、当時キャリアハイの49得点、14リバウンドを記録し、129-112で勝利に貢献した[35]。COVID-19パンデミックによる4カ月の中断を明けた8月1日のインディアナ・ペイサーズ戦で、41得点、21リバウンドを記録したが試合は敗れた[36]。
プレーオフでは、1試合あたり30得点の成績を残したにもかかわらず、1回戦で敗退となった。
2020-21シーズン
51試合に出場し、平均31.1分、28.5得点、10.6リバウンド、1.0スティール、1.4ブロックを記録。ニコラ・ヨキッチ、ステフィン・カリーと並んでシーズンMVPファイナリストにノミネートされた(ヨキッチが受賞)。
2021-22シーズン
2022年1月19日のオーランド・マジック戦で、27分の出場で50得点を記録し、クレイ・トンプソンに次ぐ快記録を達成した[37]。レギュラーシーズンは自身最多となる68試合に出場。平均33.8分、30.6得点を記録し、自身初のシーズン得点王を獲得。前シーズンに続いてニコラ・ヨキッチ、ヤニス・アデトクンボとともにシーズンMVPファイナリストにノミネートされたが、またしてもヨキッチに及ばず受賞を逃す。
2022-23シーズン
2022年11月14日のユタ・ジャズ戦で、36分41秒出場し、キャリアハイの59得点に、11リバウンド、8アシスト、7ブロックのパフォーマンスを記録。(1973-74シーズンにブロックショットが公式スタッツになって以降、1試合で50得点・10リバウンド・5アシスト・5ブロック以上の記録はこの日のエンビードが初。)計66試合に出場、平均34.6分、33.1得点を記録し、2年連続となるシーズン得点王を獲得。このシーズン、ジェームズ・ハーデンも自身2度目となるアシスト王を獲得しており、同チーム所属プレイヤーによる得点王とアシスト王の同時獲得は、1981-82年シーズンのジョージ・ガービンとジョニー・ムーア以来であった[38]。

2023年5月、自身初となるシーズンMVPを受賞[39]。シクサーズの選手がMVPを受賞するのはウィルト・チェンバレン、ジュリアス・アーヴィング、アレン・アイバーソン、モーゼス・マローンに次いで史上5人目の快挙となった。また、オールNBAファーストチームにも選出された。
2023-24シーズン
2024年1月22日のサンアントニオ・スパーズ戦でキャリアハイを更新する70得点を含む18リバウンド、5アシストを記録し、1967年当時シクサーズに在籍していたウィルト・チェンバレンが保持していた1試合の球団最多記録を更新した[40]。この記録でエンビードはチェンバレンとデビッド・ロビンソンに続く3人目の70得点以上を記録したセンターの選手となった[41]。プレーオフ1回戦、ニューヨーク・ニックスとの第3戦でプレーオフキャリアハイとなる50得点を記録した[42]。このシーズンに記録した平均34.7得点は自身のキャリアハイでリーグトップの成績だったが、例年以上に欠場が目立ち、実にシーズンの半分以下となる出場39試合に終わり規定未到達だったため、次点で平均33.9得点のルカ・ドンチッチに得点王を譲る事になり、3年連続得点王の偉業はならなかった。
2024-25シーズン
11月2日のメンフィス・グリズリーズ戦後のロッカールームで記者と口論になり、3日後に3試合の出場停止処分を受けたが[43]、左膝の故障により復帰は遅れることとなった。
2025年2月4日の復帰戦となったダラス・マーベリックス戦で自身8度目のトリプル・ダブルとなる29得点、11リバウンド、10アシストを記録し、チームは118-116で辛勝した[44]。しかし、同月28日にチームは、左膝の故障を考慮してエンビードの残りシーズンを全休させることを発表した[45]。
プレースタイル
高い身体能力とスキルを兼ね備えるビッグマン[46]。オフェンスではローポストでのパワープレーのみならず、ユーロステップ等の軽快なステップワークで相手ディフェンダーを翻弄し得点を積み重ねる。シュート範囲も広く、2017-18シーズンでは60本以上の3Pシュートを沈めている[47]。身体能力を活かした守備も評価が高く、チームのインサイドディフェンスの要となっている。リック・カーライルHCは、「彼はゲームプランを難しくさせる男なんだ。ヤニス・アデトクンボはびっくりするほどあり得ない選手。ニコラ・ヨキッチもそうだ。でも、この男は彼らよりさらに難しくさせている。今の彼は歩くNBAのチートコード(強すぎる男)なんだ」と評している[48]。
人物
個人成績
NBA
レギュラーシーズン
シーズン | チーム | GP | GS | MPG | FG% | 3P% | FT% | RPG | APG | SPG | BPG | PPG |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016–17 | PHI | 31 | 31 | 25.4 | .466 | .367 | .783 | 7.8 | 2.1 | .9 | 2.5 | 20.2 |
2017–18 | 63 | 63 | 30.3 | .483 | .308 | .769 | 11.0 | 3.2 | .6 | 1.8 | 22.9 | |
2018–19 | 64 | 64 | 33.7 | .484 | .300 | .804 | 13.6 | 3.7 | .7 | 1.9 | 27.5 | |
2019–20 | 51 | 51 | 29.5 | .477 | .331 | .807 | 11.6 | 3.0 | .9 | 1.3 | 23.0 | |
2020–21 | 51 | 51 | 31.1 | .513 | .377 | .859 | 10.6 | 2.8 | 1.0 | 1.4 | 28.5 | |
2021–22 | 68 | 68 | 33.8 | .499 | .371 | .814 | 11.7 | 4.2 | 1.1 | 1.5 | 30.6* | |
2022–23 | 66 | 66 | 34.6 | .548 | .330 | .857 | 10.2 | 4.2 | 1.0 | 1.7 | 33.1* | |
2023–24 | 39 | 39 | 33.6 | .529 | .388 | .883 | 11.0 | 5.6 | 1.2 | 1.7 | 34.7 | |
2024–25 | 19 | 19 | 30.2 | .444 | .299 | .882 | 8.2 | 4.5 | .7 | .9 | 23.8 | |
通算 | 452 | 452 | 31.9 | .501 | .339 | .828 | 11.0 | 3.7 | .9 | 1.6 | 27.7 | |
オールスター | 5 | 5 | 26.1 | .623 | .440 | .750 | 9.4 | 1.2 | .6 | .8 | 23.8 |
プレーオフ
シーズン | チーム | GP | GS | MPG | FG% | 3P% | FT% | RPG | APG | SPG | BPG | PPG |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018 | PHI | 8 | 8 | 34.8 | .435 | .276 | .705 | 12.6 | 3.0 | .9 | 1.9 | 21.4 |
2019 | 11 | 11 | 30.4 | .428 | .308 | .822 | 10.5 | 3.4 | .7 | 2.3 | 20.2 | |
2020 | 4 | 4 | 36.2 | .459 | .250 | .814 | 12.3 | 1.3 | 1.5 | 1.3 | 30.0 | |
2021 | 11 | 11 | 32.5 | .513 | .390 | .835 | 10.5 | 3.4 | 1.0 | 1.5 | 28.1 | |
2022 | 10 | 10 | 38.5 | .484 | .212 | .820 | 10.7 | 2.1 | .4 | .8 | 23.6 | |
2023 | 9 | 9 | 37.3 | .431 | .179 | .905 | 9.8 | 2.7 | .7 | 2.8 | 23.7 | |
2024 | 6 | 6 | 41.4 | .444 | .333 | .859 | 10.8 | 5.7 | 1.2 | 1.5 | 33.0 | |
通算 | 59 | 59 | 35.3 | .459 | .289 | .828 | 10.9 | 3.1 | .8 | 1.7 | 24.9 |
カレッジ
脚注
外部リンク
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