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エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業(エコポイントのかつようによるグリーンかでんふきゅうそくしんじぎょう)は、2008年(平成20年)の世界金融危機(リーマン・ショック)を機に日本政府が、翌2009年(平成21年)度の補正予算などにおいて経済・景気対策の1つとして行った事業である。環境省・経済産業省・総務省が所管する。事業予算は2,946億円。自民党・公明党連立政権である麻生内閣の経済対策・環境対策において開始され、民主党・国民新党・社民党連立政権への移行後においても、エコポイントの概念並びに制度が最終的に2010年(平成22年)度いっぱいまで継続・延長された。
当初は単に「エコポイント事業」と略されていたが、後に住宅関係にも同種の制度が導入されたことから、区別のため略称は現在「家電エコポイント事業」に統一されている(以後、記事中の略称表記もこれに統一する)。
なお、環境省が単独で支援しながら行っているエコ・アクション・ポイント事業とは異なる仕組みである。
家電エコポイント事業は、地球温暖化防止、経済の活性化、地上デジタル放送対応のテレビの普及を目的として省エネルギー性能の高いエアコン・冷蔵庫・地上デジタル放送対応テレビを購入した者に対して一定のエコポイントを付与し、これを使ってエコ商品等を購入できるようにするという制度である。
2009年(平成21年)5月15日に始まり、当初は2010年(平成22年)3月31日までに購入した対象商品が家電エコポイント付与の対象となり、期限はその後2010年(平成22年)12月31日、2011年(平成23年)3月31日と、条件を段階的に厳しくしながら延長された。家電エコポイントに相当する指定商品との交換の受け付けは事務局が行い、交換は事業者を介して行われている。
家電エコポイントと交換できる様々な商品などについては、2009年(平成21年)6月1日から6月11日の期間に第一次募集が行われ、その後も随時追加募集を行っている。制度の運用は公募により選ばれた基金管理団体(一般社団法人環境パートナーシップ会議)および事務事業者(グリーン家電普及推進コンソーシアム)により行なわれる。
地上デジタル放送対応テレビの導入促進や家電の買い換えによる景気刺激策であるが、対象の家電はいずれも大型の品であり、輸送時や廃棄・リサイクルする際に環境負荷が発生する点について、環境省は新型の家電はエネルギー効率が高く、間接的に二酸化炭素(CO2)の排出が抑制されるはずであると答えているが、廃棄やリサイクル時の環境コストについては言及していない。また、終了後の消費の減退を考慮すれば、「消費の先食い」を招いたともいえる。
家電エコポイント事業の対象家電製品については、統一省エネラベルの4つ星以上の「エアコン」、「冷蔵庫」、「地上デジタル放送対応テレビ」および、4つ星相当として扱うことが適当と認められるものとして、以下の通りとされている。
統一省エネラベルの基準で4つ星以下の製品は、省エネ性能が優れていないと言う訳ではなく、その評価は、過去の同クラスの製品の省エネ性能を基準に設定されている。例えば、テレビなら液晶サイズ、アスペクト比、画素数など、それによって細かく区分が分かれていて、全メーカーで共通の基準が設けられている。
評価が5つ星でも、消費電力が大きいクラスの製品は基準となる値も大きいことが多く、もともと消費電力が少ない製品と比較した場合は、4つ星以下の製品よりも消費電力が大きいこともある。買い換えの際は省エネ達成率だけではなく、年間消費電力量も必ず確認したほうが良い。
テレビの省エネルギー性能が向上したことから、テレビの対象商品が「2012年基準の統一省エネラベル4☆または5☆を満たす商品」に厳格化され、これを満たしていない商品については2010年(平成22年)4月1日以降に購入した場合対象外となった。
エコカー購入補助金の財源が期間満了前に枯渇してしまった反省から、財源確保を図るためさらに厳しくした。
ポイント付与及びこれを利用した様々な商品との交換を行うに当たっては、以下の書類が必要となる。
対象の家電製品のうち統一省エネラベルと呼ばれる、省エネ達成率を示す5つ星評価の基準で、4つ星以上の対象家電製品を購入すると、ポイントを得ることが出来る。以下いずれも得られるポイントは、購入金額ではなく製品の大きさやスペックで分類。
対象家電製品の購入に対して付与する家電エコポイント点数は下記の通りである。1点=1円に設定。交換有効期限は2012年(平成24年)3月31日までの予定だが、ポイント付与期間中でも予定されている予算額を超えそうな場合は別途協議の上、早期にポイント付与が終了する場合もある。
購入期間→ | 2009年(平成21年)5月15日〜 2010年(平成22年)11月30日 | 2010年(平成22年)12月1日〜31日 | 2011年(平成23年)1月1日〜3月31日 |
---|---|---|---|
カテゴリ | エアコン | ||
2.2kW以下 | 6,000点 | 3,000点 | |
2.5kW〜 2.8kW |
7,000点 | 4,000点 | |
3.6kW以上 | 9,000点 | 5,000点 | |
買い替え | 上記点数+3,000点 | 【必須化】上記+0点 | |
カテゴリ | 冷蔵庫 | ||
250L以下 | 3,000点 | 2,000点 | |
251L〜400L | 6,000点 | 3,000点 | |
401L〜500L | 9,000点 | 5,000点 | |
501L以上 | 10,000点 | 5,000点 | |
買い替え | 上記点数+5,000点 | 【必須化】上記+0点 | |
カテゴリ | 地上デジタル放送対応テレビ (液晶テレビ、プラズマテレビなど) | ||
26V未満 | 7,000点 | 4,000点 | |
26V〜32V | 12,000点 | 6,000点 | |
37V | 17,000点 | 8,000点 | |
40V〜42V | 23,000点 | 11,000点 | |
46V以上 | 36,000点 | 17,000点 | |
買い替え | 上記点数+3,000点 | 【必須化】上記+0点 | |
|
交換できる商品は大別して「商品券・プリペイドカード」「地域型商品券」「全国型の地域産品」「都道府県型の地域産品」「省エネ・環境配慮製品」に分けられるが、交換できる商品の種類が非常に多い(200点以上)ため、一部を抜粋した。
など
家電エコポイントに関わる種々の問い合わせや申請手続きのサポートを行う家電エコポイント申請サポート販売店(エコポイントサポーターズ)制度がある。
これに登録した販売店は購入者に対する家電エコポイント登録の様々な問い合わせや相談に応じると共に登録販売店で対象商品を買って取得した家電エコポイントが購入した登録販売店で利用できるようになる。
ポイントが利用できる物は
に限られる。
エコポイントの申請、集計を行うシステムは要件定義すら行われないままスタートし、「住みながら家を建てる」状態だったといわれている[2]。
ポイントの付与は経産省所管の財団法人である省エネルギーセンターによってなされるが、これを精査する第三者機関は設置されない[3]。
家電エコポイントの実施により2009年(平成21年)度のテレビ販売を押し上げたが、所詮需要の先食いであるため、制度が完全に打ち切られる2011年(平成23年)度以降の反動減は避けられない上、政策期間が長期に及ぶため需要変動を大きく歪めた状態となっている[4][5]。くわしくは駆け込み需要も参照。
肯定的な評価もある。大阪大学フェローの小野善康は直接的な影響として、税金を投じたがその税金以上の税収を生んだとしている。さらに間接的に、新たな需要や市場も生んだとする。小野は、財源が尽きてもエコポイントを廃止すべきではなく、むしろ拡大した方が、景気刺激はもちろん財政健全化にも寄与すると主張している。
政府は、2011年6月にエコポイント制度についての分析結果をまとめ、エコポイント制度による経済波及効果が5兆円に上り、延べ32万人の雇用を創出したと発表した。また、制度実施期間中に購入された省エネ家電により、273万トンの二酸化炭素排出量の削減効果があったとも発表した。これは、日本の家庭部門の年間排出量の約1.5%に相当する数字である。
これについて、松本龍環境大臣は「二酸化炭素削減効果と経済効果がものすごく大きかった」とコメントし、自民党政権が導入したエコポイント制度を評価した[6][7]。
2012年10月に会計検査院は、この事業についてグリーン家電の普及には寄与していたとしつつも、二酸化炭素排出量の削減効果が年間21万トンにとどまり、他の試算では新規購入、大型化により二酸化炭素排出量の1年当りの総排出量が最大173万トン増加したとの結果を公表した[8][9]。
改革クラブ(のちの新党改革)幹事長だった荒井広幸が発案[10]、麻生太郎首相に提案し[11]、麻生内閣の下で実現された。
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