イリー・プロハースカ

ウィキペディアから

イリー・プロハースカ

イリー・プロハースカ: Jiří Procházka: Jiri Prochazka1992年10月14日 - )は、チェコ男性総合格闘家チェコ共和国ズノイモ出身。イェトサーム・ジム・ブルノ所属。元UFC世界ライトヘビー級王者。UFC世界ライトヘビー級ランキング2位チェコ人史上初のUFC世界王者。元RIZINライトヘビー級王者。

Thumb
ムエタイのチェコ国内選手権に出場するプロハースカ(2011年)
概要 イリー・プロハースカ, 本名 ...
イリー・プロハースカ
Thumb
2022年
本名 イリー・プロハースカ
(Jiří Procházka)
生年月日 (1992-10-14) 1992年10月14日(32歳)
出身地 チェコスロバキア
チェコ共和国南モラヴィア州ズノイモ
通称 BJP
(Bomby Jak Píčaの略、チェコ語で「相手を爆撃する」の意)[1]
デニサ
(Denisa)[2]
ザ・チェコ・サムライ
(The Czech Samurai)
チェコの怪鳥
居住  チェコ
南モラヴィア州ブルノ
国籍  チェコ
身長 193 cm (6 ft 4 in)
体重 93 kg (205 lb)
階級 ヘビー級
ライトヘビー級
リーチ 203 cm (80 in)
スタイル ムエタイ
チーム イェトサーム・ジム・ブルノ
エクストリーム・クートゥア
トレーナー マルティン・カライヴァノフ
(ヘッドコーチ)
ヤロスラフ・ホヴェザック
(総合格闘技)
ズデニェク・ドーナル
(ストレングス)
現役期間 2012年 -
総合格闘技記録
試合数37
勝利31
ノックアウト27
タップアウト3
判定1
敗戦5
ノックアウト4
タップアウト1
引き分け1
その他
大学 マサリク大学
総合格闘技記録 - SHERDOG
獲得メダル
 チェコ
男子ムエタイ
チェコ選手権
2011 プラハ86.18kg級
テンプレートを表示
閉じる

来歴

要約
視点

プロハースカが6歳の時に父親が亡くなる。格闘技を始める前は、フリースタイルBMXや地元のアマチュアチームのサッカーとフロアボールの選手だった。10代の頃は喧嘩に明け暮れ、プロサッカーチーム(FC Zbrojovka Brno)フーリガンに加入していたこともあった。高校入学前に、友達からミルコ・クロコップエメリヤーエンコ・ヒョードルラモン・デッカーの試合のビデオを見せられ総合格闘技に出会い、映画「ネバー・バックダウン」を観たことをきっかけに、格闘技を始め、特にムエタイに打ち込んだ。

2012年チェコでプロ総合格闘技デビュー[3]2013年、GCFライトヘビー級王座を獲得した。

RIZIN

2015年12月29日、RIZINの旗揚げ大会RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYSで行われたヘビー級トーナメントの1回戦で石井慧と対戦し、グラウンドでの膝蹴りでKO勝ち。

2015年12月31日、RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYSで行われたヘビー級トーナメントの準決勝でワジム・ネムコフと対戦。互角の展開だったが1R終了時にネムコフの棄権によりTKO勝ち。

同日、トーナメント決勝でキング・モーと対戦し、前に出たところに右フックを受けて前のめりに失神し1RKO負け。トーナメント準優勝となった。

2016年4月17日、RIZIN.1藤田和之と対戦し、右フックでKO勝ち。

2016年9月25日、RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 開幕戦で行われた無差別級トーナメントの1回戦でマーク・タニオスと対戦し、判定勝ち。

2016年10月、RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 2nd ROUNDの無差別級トーナメント2回戦で把瑠都との対戦が決定していたが、練習中に左脚前十字靭帯を断裂する大怪我を負い手術を受けたためトーナメントから離脱。復帰まで約1年かかることとなった[4]

2017年12月29日、RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017 2nd ROUNDカール・アルブレックソン英語版と対戦し、1R終了間際にパンチ連打でTKO勝ち。

2018年7月29日、RIZIN.11で後のPFLヘビー級王者ブルーノ・カッペローザと対戦し、パンチでぐらつくも直後に2度ダウンを奪い、パウンドで1RTKO勝ち。

2018年12月31日、RIZIN.14で元Bellator世界ミドル級王者のブランドン・ホールジーと対戦し、パウンドでTKO勝ち。

RIZIN王座獲得

2019年4月21日、RIZIN.15で行われた初代RIZINライトヘビー級王座決定戦でキング・モーと再戦し、右アッパーからのパンチ連打で3RTKO勝ち[5]。3年5か月前のリベンジを果たすと共に、王座獲得に成功した。

2019年10月12日、RIZIN.19ファビオ・マルドナドと対戦し、パウンドでTKO勝ち。

2019年12月31日、RIZIN.20のRIZINライトヘビー級タイトルマッチで、UFCで通算11勝を挙げている挑戦者のCB・ダラウェイと対戦し、右アッパーからの左フックで失神させKO勝ち。王座の初防衛に成功した。

2020年1月16日、RIZINライトヘビー級王座を返上し、UFCと契約する事が発表された[6]榊原信行CEOは自身のTwitterで「我々は彼の意思を尊重し、快く送り出します。今後も変わらずイリー選手への応援を宜しくお願いします。」とコメントし、プロハースカの新たな挑戦を後押しした[7]

UFC

2020年7月11日、UFC初出場となったUFC 251でライトヘビー級ランキング7位のヴォルカン・オーズデミアと対戦し、2R序盤に右フックでKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した[8]

2021年5月1日、UFC on ESPN: Reyes vs. Procházkaでライトヘビー級ランキング3位のドミニク・レイエスと対戦し、左スピニングバックエルボーで2RKO勝ち[9]。ファイト・オブ・ザ・ナイトとパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを同時受賞した[10]

UFC世界王座獲得

2022年6月12日、UFC 275のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで王者グローバー・テイシェイラに挑戦。攻守が激しく入れ替わる一進一退の死闘を繰り広げ、試合全体を通してやや劣勢に立たされるも、試合終了直前にリアネイキドチョークで逆転の5R一本勝ち。チェコ人史上初となるUFC王座獲得に成功し、ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[11][12]

UFC世界王座返上

2022年12月10日のUFC 282で行われるUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチでライトヘビー級ランキング1位の挑戦者グローバー・テイシェイラと再戦予定であったが、11月23日、プロハースカがレスリングのトレーニング中に右肩に大怪我を負ったため試合が中止になった[13]。その後、プロハースカは他の選手達を尊重し、王者の長期離脱でライトヘビー級戦線を停滞させたくないという理由で自ら王座を返上した[14][15]

2023年11月11日、1年5カ月ぶりの復帰戦となったUFC 295のUFC世界ライトヘビー級王座決定戦で、ライトヘビー級ランキング3位の元UFC世界ミドル級王者アレックス・ペレイラと対戦。2Rに前進した際にカウンターの左ショートフックでダウンを奪われ、苦し紛れのタックルを仕掛けたところに側頭部への肘打ち連打でKO負け。王座返り咲きに失敗した[16]。試合後、解説者のジョー・ローガンダニエル・コーミエを始めレフェリーのストップが早かったとする意見が多数挙がり、プロハースカは当初「レフェリーの判断は正しかったと思う」と語っていたが、後のインタビューでは「あの状況から逆転することはできた。レフェリーのストップは早かったが、直ぐに不平を言うことは避けたかったんだ」と語っている[17]

2024年4月13日、UFC 300でライトヘビー級ランキング5位のアレクサンダル・ラキッチと対戦し、再三にわたりカーフキックを効かされるものの、パウンドで2RTKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した[18]

2024年6月22日、UFC 303のライトヘビー級タイトルマッチで王者アレックス・ペレイラに挑戦し、1R終了時に左フックでダウンを奪われると、2R開始時に左ハイキックで再びダウンを奪われパウンドで2RTKO負け。王座獲得に失敗した。当初、同大会のメインイベントはコナー・マクレガーマイケル・チャンドラーの対戦が予定されていたが、6月13日にマクレガーが左足の小指を骨折し欠場したため、代役で急遽ペレイラとプロハースカの再戦がメインイベントで組まれた[19]

2025年1月18日、UFC 311でライトヘビー級ランキング3位の元UFC世界ライトヘビー級王者ジャマール・ヒルと対戦。前戦よりディフェンスを大きく改善し、1Rはヘッドムーブで翻弄し変則的なタイミングの左クロスでダウンを奪い、2Rはお互いにアイポークがありながらも続行し、動きを修正してきたヒルの打撃や首相撲にやや押される展開となる。3Rに膝でボディを効かされながらも、ヒルの大振りになった右フックにカウンターの左クロスを合わせ、追撃の右フックで顎を打ち抜いてダウンを奪いパウンドで3RTKO勝ち[20]。終始イリーコールが鳴り響きながらの激闘となり、POTNを獲得、直後のマイクでアレックス・ペレイラとの3戦目を要求し、王者の反応は好印象。

人物・エピソード

  • 人生が変わった本と語る「五輪書」は常に持ち歩くほどの愛読書で、自身で宮本武蔵の思想や哲学を学ぶと共に武士道を追求している[21][22]
  • 大阪府で開催されたRIZIN.19の試合後に、京都市まで足を延ばし、宮本武蔵が吉岡伝七郎と決闘を行った場所とされている三十三間堂を訪れて祈祷を受けている[21]
  • 人里離れた森の中にコテージを建て暮らしており、コテージには電気は通っているが、ガスも水道も通っておらず、水を毎日井戸から汲んできて生活している[21][22]
  • UFCと契約して以降、米国アンチドーピング機関(USADA)により抜き打ちを含めたドーピング検査を受けており、2020年は5回、2021年は11回のドーピング検査を受けたが、UFC世界王座を獲得した2022年には64回と検査回数が急激に増え(2位のパウロ・コスタで22回)、コンサートに行った際にもコンサート会場に検査員が現れて尿と血液を採取される非常に厳しいものだった[23]

戦績

さらに見る 総合格闘技 戦績 ...
総合格闘技 戦績
37 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
31 27 3 1 0 1 0
5 4 1 0 0
閉じる
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
ジャマール・ヒル3R 3:01 TKO(パウンド)UFC 311: Makhachev vs. Tsarukyan 22025年1月18日
×アレックス・ペレイラ2R 0:13 TKO(左ハイキック→パウンド)UFC 303: Pereira vs. Procházka 2
【UFC世界ライトヘビー級タイトルマッチ】
2024年6月29日
アレクサンダル・ラキッチ2R 3:17 TKO(パウンド)UFC 300: Pereira vs. Hill2024年4月13日
×アレックス・ペレイラ2R 4:08 KO(左フック→肘打ち連打)UFC 295: Procházka vs. Pereira
【UFC世界ライトヘビー級王座決定戦】
2023年11月11日
グローバー・テイシェイラ5R 4:32 リアネイキドチョークUFC 275: Teixeira vs. Procházka
【UFC世界ライトヘビー級タイトルマッチ】
2022年6月12日
ドミニク・レイエス2R 4:29 KO(左スピニングバックエルボー)UFC on ESPN 23: Reyes vs. Procházka2021年5月1日
ヴォルカン・オーズデミア2R 0:49 KO(右フック)UFC 251: Usman vs. Masvidal2020年7月11日
CB・ダラウェイ1R 1:55 TKO(右アッパー→左フック)RIZIN.20
【RIZINライトヘビー級タイトルマッチ】
2019年12月31日
ファビオ・マルドナド1R 1:49 TKO(スタンドパンチ連打→パウンド)RIZIN.192019年10月12日
キング・モー3R 3:02 TKO(右アッパー→スタンドパンチ連打)RIZIN.15
【RIZINライトヘビー級王座決定戦】
2019年4月21日
ブランドン・ホールジー1R 6:30 TKO(パウンドRIZIN.142018年12月31日
ジェイク・ヒューン1R 4:29 TKO(スタンドパンチ連打)RIZIN.132018年9月30日
ブルーノ・カッペローザ1R 1:23 KO(スタンドパンチ連打→パウンド)RIZIN.112018年7月29日
カール・アルブレックソン英語版1R 9:57 TKO(スタンドパンチ連打)RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017 2nd ROUND2017年12月29日
ウィリアン・ロベルト・アウベス1R 3:41 TKO(スタンドパンチ連打)Fusion FN 16: Cage Fight2017年9月29日
マーク・タニオス5分2R終了 判定3-0RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 開幕戦
【RIZIN無差別級トーナメント 1回戦】
2016年9月25日
藤田和之1R 3:18 KO(右フック)RIZIN.12016年4月17日
×キング・モー1R 5:09 KO(右フック)RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 IZAの舞
【RIZINヘビー級トーナメント 決勝】
2015年12月31日
ワジム・ネムコフ1R終了時 TKO(棄権)RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 IZAの舞
【RIZINヘビー級トーナメント 準決勝】
2015年12月31日
石井慧1R 1:36 KO(右フック→グラウンドの膝蹴り)RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 SARABAの宴
【RIZINヘビー級トーナメント 1回戦】
2015年12月29日
エフゲニー・コンドラトフ1R 4:23 KO(右フック)ProFC 59: Battle of Kursk 32015年11月21日
ミハウ・フィヤルカ1R終了時 TKO(コーナーストップ)GCF 31: Cage Fight 62015年5月22日
ロカス・スタンブラウスカス1R終了時 TKO(コーナーストップ)GCF Challenge: Back in the Fight 42015年3月27日
ミハイル・モハナトキン英語版5分3R終了 判定ドローFight Nights: Battle of Moscow 182014年12月20日
ダルコ・ストシッチ英語版1R TKO(スタンドパンチ連打→パウンド)GCF Challenge: Cage Fight 52014年11月14日
トマーシュ・ペンツ1R 0:48 KO(飛び膝蹴り→パウンド)GCF 28: Cage Fight 4
【GCFライトヘビー級タイトルマッチ】
2014年6月6日
ヴィクトール・ボゴツキー1R 2:17 リアネイキッドチョークGCF 27: Road to the Cage2014年3月21日
マルチン・ショルク3R TKO(飛び膝蹴り)GCF 26: Fight Night
【GCFライトヘビー級タイトルマッチ】
2013年12月7日
オリバー・ドーリング1R TKO(パンチ連打)Rock the Cage 42013年10月12日
×アブドゥル=カリム・エディロフ
ロシア語版
1R 1:56 リアネイキッドチョークFight Nights: Battle of Moscow 122013年6月20日
ラドヴァン・エストシン1R 0:26 KO(飛び膝蹴り)GCF 23: MMA Cage Fight 22013年5月10日
ヨセフ・ジャーク1R TKO(パンチ連打)GCF 19: Back in the Fight 22013年2月15日
×ボヤン・ベリチコビッチ英語版1R TKO(パウンド)Supreme Fighting Championship 1: Balkan Fighter Night2012年12月9日
ストラヒンヤ・デニッチ1R 三角絞めRing Fight Brno2012年11月15日
マルチン・ヴァニシュ1R 2:48 TKO(右フック→パウンド)GCF 17: Big Cage Ostrava 22012年10月20日
ウラジミール・エイス1R 1:02 KO(膝蹴り)GCF 15: Justfight Challenger2012年8月24日
スタニスラフ・フテラ1R 0:53 KO(パンチ)GCF 10: Battle in the Cage2012年4月7日

獲得タイトル

  • GCFライトヘビー級王座(2013年)
  • 初代RIZINライトヘビー級王座(2019年)
  • 第17代UFC世界ライトヘビー級王座(2022年)

表彰

  • UFC
    • UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト(2回)
    • UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト(3回)
    • ファイト・オブ・ザ・イヤー(2022年/グローバー・テイシェイラ戦)
  • ESPN ファイト・オブ・ザ・イヤー(2022年/グローバー・テイシェイラ戦)
  • World MMA Awards ファイト・オブ・ザ・イヤー(2022年/グローバー・テイシェイラ戦)
  • MMA Fighting ファイト・オブ・ザ・イヤー(2022年/グローバー・テイシェイラ戦)
  • MMA Junkie ファイト・オブ・ザ・イヤー(2022年/グローバー・テイシェイラ戦)
  • SHERDOG ファイト・オブ・ザ・イヤー(2022年/グローバー・テイシェイラ戦)

脚注

関連項目

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.