鴻八幡宮
岡山県倉敷市児島下の町にある神社 ウィキペディアから
岡山県倉敷市児島下の町にある神社 ウィキペディアから
鴻八幡宮(こうはちまんぐう,英:Kou Hachimangu Shrine)は、岡山県倉敷市児島にある神社(八幡宮)である。旧琴浦地区町の下の町、上の町、田の口、唐琴の総氏神であり、旧社格は県社。
児島半島西部を占める由加山山系西端の甲山(標高約102m)西麓を境内とし、標高約20mの高台がその中心となっている。甲山前面には東西巾約500m、南に向かって瀬戸内海に開ける南北に長い沖積平野があり、中央に下村川が南流する。下村川東岸に平行して走る街道沿に面する「馬場の松原[1]」と呼ばれる参道から甲山に向かって東進し、鳥居をくぐると土の急坂である表参道に入る。参道を上ると神門に達し正面に拝殿が見える。参拝はほぼ東に向かって拝む形になる。境内からは南に瀬戸内海を望み、その眼下に近世に金比羅両詣りの港であった旧下村湊(現堀江港)と旧市街が開ける。境内の社林はクスノキやウバメガシが中心となっており、林床には花崗岩のマサ(真砂土)が露出する。
祭神は、譽田別尊(ほむだわけのみこと、応神天皇)、足仲彦天皇命(たらしなかつひこのすめらみこと、仲哀天皇)、息長帶姫命(おきながたらしひめのみこと、神功皇后)、仲姫命(応神天皇の后)、玉依姫命(綿津見大神の御子神)の5柱である。
社伝等によれば、大宝元年(701年)3月、豊前宇佐八幡宮から勧請されたといわれているが、『延喜式神名帳』などの文献には記載はない[2]。 神社には在銘建武3年(1336年)の木製狛犬(市文化財)が1対伝わり、後醍醐天皇の皇子宗良親王が、元弘の乱により鎌倉幕府に捉えられ讃岐国へ流される途中立ち寄り祈願し、鎌倉幕府滅亡後帰京の折に彫工慶尊に命じて彫らせ寄進したものとされている。本殿は安永年間(1772-81年)の建築とされる。
寛政年間(1789-1801年)に編纂された『吉備温故秘録』に、昔神社の宮山に鴻(こうのとり)が群棲して、参拝者がその雛のいる時はこれを恐れ、また神社自体にも大蛇が棲みついていたのでこれをも恐れて参詣を避けたため、社殿が鳥の糞に穢されるなどして荒れ果て、それらの難を嘆いた氏子一同が神に祈願したところ、その夜の夢に氏神が現われて「明日辰の一点(午前7時頃)に難を除くべし」と告げたので、奇異の念に捕らわれつつも一同残らず神前に集まると、神殿が震動して中から1匹の大蛇が現れ出て鴻の巣の掛かった大木に登り、群棲する鴻と闘争に及んでお互いに滅んだといい、それより「鴻の宮」と称されるようになったという伝えを載せている。さらに、鴻八幡宮の氏子区域である上村、下村、田ノ口村、引網村(現在:上の町,下の町,田の口,唐琴)を「鴻の郷」とも呼ばれるようになる。
また、かつての社号の中には「甲八幡宮」、「甲社八幡」とするものもあり、背後の山は甲山と呼ばれている[3]。
10月の第2土・日曜日[4]に催される例祭では合計18台のだんじり(山車)と1台の千歳楽(太鼓台)が表参道の約16度、長さ80mの坂を駆け上がることで知られており、多くの見物客が訪れる。演奏される7曲からなる祭囃子は「しゃぎり」と呼ばれ、その起源は不明であるが、一説には江戸時代後期に京都・大阪から伝わったとされる[5]。岡山三大だんじり祭りに数えられ、岡山県の無形民俗文化財に指定されている。
祈年祭(2月11日)、春祭り(5月第2土・日曜日)、輪くぐり(7月15日)などが行われる。
平成20年現在、宮司は河本家が勤める。古い記録では、寛文11年(1671年)の宗門改め状には「川本平大夫」(現宮司河本家の先祖)の名が田ノ口村(現倉敷市児島田の口)の庄屋茂右衛門とともに記載されている。
その他、入母屋造平入の拝殿(昭和51年(1976年)の建築)、花崗岩製の明神鳥居(文化5年(1808年)の建築)、随神門(昭和56年(1981年)建築)、手水舎(木造、安政4年(1857年)建築)、灯籠(花崗岩製、元文5年(1740年))、狛犬(和泉石製、建築年不詳)、社務所(木造、昭和初期建築)がある。
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