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駐屯地業務隊(ちゅうとんちぎょうむたい)とは陸上自衛隊の駐屯地に設置され、駐屯地の管理業務や隣接(管理下)の演習場・射撃場の維持管理等を行う諸職種混成部隊である。
駐屯地業務隊長は方面総監の指揮監督を受け、当該駐屯地業務隊の隊務を統括する。隊長には1等陸佐[1]もしくは2等陸佐が充てられる。
車両等の表示は、駐屯地名の頭文字一文字(二文字の場合あり、細部は方面総監が定める)を使用して○業。文書番号などでの略称は、駐屯地名を冠して○○駐業、もしくは○○GSvc(General Serviceの略)と表記する。
内外の広報業務は駐屯地司令職務担任部隊に編成される「司令業務室または司令職務室」・「広報班」が行う。駐屯地の直接的な警備については、駐屯部隊持ちまわりによる警衛隊が行う(警衛隊は陸上自衛隊においては正式な部隊ではなく、警衛司令を含め全てが日直制である)。会計業務については会計隊が、通信業務については基地システム通信部隊が、犯罪捜査については警務隊が、保全・各種調査は自衛隊情報保全隊派遣隊がそれぞれ担当する[2]。
所在駐屯地とは別に隷属する分屯地や、駐屯地業務隊を置かない駐屯地(学校等の機関)に対して必要に応じて駐屯地業務を一部支援する場合もある。
北部方面隊の3個駐屯地、東部方面隊の13個駐屯地、中部方面隊の9個駐屯地、西部方面隊の6個駐屯地の計31個駐屯地が駐屯地業務隊を置かない駐屯地となる。駐屯地管理業務を学校等機関が行うのが12個駐屯地、補給処等が行うのが9個駐屯地、病院が行うのが4個駐屯地、島嶼警備隊が行うのが1個駐屯地、施設中隊等が行うのが3個駐屯地。
※()内は駐屯地業務を担当する部隊等の長
駐屯地司令としての業務は一般的にその駐屯地の基幹部隊の長、方面総監部所在駐屯地においては次席の幕僚長、師団司令部所在駐屯地においては次席の副師団長が兼務し、駐屯地業務隊長がその任に当たることはない。同様に駐屯地司令としての業務、例えば駐屯地内の命令会報や対外的な広報などは基幹部隊の総務的な役割を担う1科などが担当する。しかしながら郵便の受け取りや、基地システム通信を利用した文書(電報)発信時における発信調整者は駐屯地業務隊(正確には業務隊の総務科長)が担当するなど、細部においては隊員であっても、混乱の元となる内容も多い。このように担当業務や名称が紛らわしいせいか、一般の市民が誤解している例も見受けられる。また、過去には檜町駐屯地業務隊長が駐屯地司令職を兼務していた時代もあった。なお、駐屯地司令を兼務する部隊長に事故が発生時に関しては例外であり、同規模の部隊が所在していない場合に限って駐屯地業務隊長が駐屯地司令職[7]を命ぜられる場合もある[8]。ただし、駐屯地業務隊と言う名称に完全に一致しているわけではないが、中央業務支援隊長が市ヶ谷駐屯地司令を兼務するような例もある。
駐屯地業務隊は、自衛隊における職種としては、多種多様な部隊の出身者によって構成されている。場合によっては心身の故障などにより戦闘職種での勤務が困難で異動してきたと言うケースもある(そうであっても、出身部隊の本部管理中隊等で補給や整備の方面で活躍することも可能)。実際には隊員の年齢は比較的高齢であり、陸士が配属されることも稀である(主に分屯先の管理班の糧食や管理業務等)。駐屯地によっては、営内者がゼロと言うこともざらにある。基本的に定年ポスト的な意味合いも強く、前線で活躍してきた隊員で定年まで数年という年齢等の身体的理由により前線部隊での激務に耐えられないと自己および所属長が判断の上、駐屯地業務隊勤務になるといった例もある。
以前は小平学校(旧業務学校)などで、人事や文書・法務について習得してきた隊員も多い。師団司令部などには法務官が配置されているが、その割り当てがない一般の駐屯地では法務面、特に行政的取り扱いについては、業務隊に詳しい隊員が多い(ただし、部署や役職名としてはっきりとわかる形で設置されていることはない。)。
保安隊
陸上自衛隊
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