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倒産(とうさん)とは、明確な定義はないが、概ね、個人や法人などの経済主体が経済的に破綻して弁済期にある債務を一般的に弁済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になること(あるいはそのような恐れが生じること)をいう。
法人の場合は、経営破綻(けいえいはたん)ともいう。なお、一社の企業が倒産することにより、関連会社や取引企業が連鎖的に倒産することを連鎖倒産(れんさとうさん)という。
また、日本においては「会社が潰れる」・「あの会社は潰れた」などの俗的な表現もある。
倒産状態になった経済主体による、債権者への弁済のための処理ないし手続を、倒産処理ないし倒産(処理)手続といい、私的・法的の区別と清算型・再建型の区別とがある。
法的倒産手続には、日本の場合、破産・会社更生・民事再生などがある。倒産手続は、債権者から申し立てられる場合と債務者(倒産者)自身が申し立てる場合のほか、特殊なケースとして監督当局の申立てによって開始することもある。
旧約聖書とユダヤ教聖典においては、モーセの律法が、聖年(ヨベルの年)が50年ごとに訪れ、天の命令により、ユダヤ人の間ですべての債務が除かれ、すべての債務奴隷は自由の身になると定めている[1]。さらに、聖書の申命記15:1-2では、債務免除のヘブライ(ユダヤ)法を見ることができ、そこでは7年ごとに債務を免除することを命じている。
古代ギリシアでは、倒産(破産)というものは存在しなかった。もし父が債務を負い(都市で生まれた成年男子のみが市民となることができたので、法的に財産の所有者となるのは「父」であった。)、それを支払うことができなくなれば、彼の全家族(妻・子ども・使用人)は、債権者が彼らの労働によって損失を取り戻すまでの間、債務奴隷とされた。古代ギリシアの多くの都市国家では、債務奴隷となる期間を5年間に限っており、また債務奴隷は生命と手足については保護されていた。これは通常の奴隷には与えられていない保護であった。ただし、債務者の使用人については債権者がその一線を超えることもあり、新しい主人に死ぬまで仕えさせられることも多かった。そのような場合、労働条件は以前よりずっと過酷であるのが普通であった。
英語の bankruptcy という単語は、古代ラテン語のbancus(台、テーブル)とruptus(壊れた)から生成された。bank(銀行)はもともとは台のことを指している。昔の銀行家たちは、公の場所、市場や定期市などで、台を持ち、そこでお金を徴収したり為替手形を書いたりしていた。そのため、銀行家が破綻すると、彼はその台を壊し、公衆に、台の所有者はもはや事業を続ける状況にはなくなったということを知らせた。この慣行はイタリアでよく行われており、bankruptという単語はイタリア語のbanco rotto(broken bank)に由来すると言われている。しかし、フランス語のbanque(テーブル)とroute(痕跡・足跡)から来ているとする人もいる。これは、以前は地面に固定されていたが今はなくなってしまったテーブルの、地面に残った跡の隠喩である。このように考える人は、破産者の起源は、古代ローマの mensarii や argentarii に遡るとする。彼らは公の場所に tabernae や mensae という持ち場を持っており、夜逃げをするときや委託されたお金を持って逃げるときには、自分の持ち場の痕跡だけを跡に残して行った。
英米法上、債務の免除を伴う破産制度が導入されたのは、1705年のアン女王時代の制定法においてであり、そこでは、支払不能となった債務については、可能な限りの支払をするための資産を集めるのに協力した破産者に対する報奨として、免除が与えられた。
現代の倒産法制や事業の債務整理は、清算及び支払不能になった者の排除よりも、経済的困窮に陥った債務者を財政的・組織的に再建し、事業の更生と継続を許すことに重点が置かれてきている。
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
法学上の文面でも破産や民事再生などのいわゆる法的倒産手続を総称する概念として「倒産」の文言を用いることがあるが、法令上に定義ある語ではない。明治時代に、フランス語の faillite の訳語として「破産」あるいは「倒産」の語が用いられたが、法令上「破産」の語が用いられるようになったとされている[2]。
日常用語としては経営が行き詰まり会社がなくなる、といった限定的なニュアンスで使われる場合もあるが、倒産の対象となる経済主体は会社だけではなく個人(自然人)も含まれる。また、会社を含む法人が経済主体の場合であっても、再生型の倒産手続があることから、必ずしも法人がなくなるとは限らない。
1990年代後半以降、会社の倒産についての新聞などの報道では、「経営破綻」(または単に「破綻」)という言葉が使われることが多い。日常用語で「(会社が)つぶれる」というのも倒産とほぼ同じ意味で使われる。
どの時点で倒産と評価するかについて、明確な基準はないが、東京商工リサーチでは、次のような状況になった場合に企業の「倒産」と表現している[3]。帝国データバンクでも同様の基準を用いている[4]。
また、雇用保険の特定受給資格者の「倒産」等により離職した者の定義は
とある。上記 1. と 3. (任意整理)が東京商工リサーチや帝国データバンクでの倒産の定義に相当する。
毎月中頃、マスメディアを通じて前月倒産件数(4月は前年度倒産件数も)が発表されるが、これは東京商工リサーチと帝国データバンクがマスコミ各社に行ったプレスリリースを基にしている。帝国データバンクは、手形を使用しない商習慣の拡大や、個人情報保護法の施行などの理由により情報収集が困難になったとして、2005年に倒産集計の基準から「銀行取引停止処分」を削除した。東京商工リサーチは独自の情報網を通じての取材活動によれば、「銀行取引停止処分」の集計も可能として、これを維持した。このため、従来の統計との整合性を持つ倒産件数は、東京商工リサーチ発表によるもののみである。
なお、日本国内の地方公共団体において財政が行き詰まった場合、地方財政再建促進特別措置法(再建法)に基づき、自治体が財政再建団体の指定を申請し許可を受けることがある。これを指して「自治体の倒産」と表現することがある。
経済主体が企業である場合、 手形や小切手の1回目の不渡りから6か月以内に2回目の不渡りを出した場合、銀行取引停止処分となる。こうなると、すべての銀行において当座取引および貸付を受けることが不可能になるため、企業の資金繰りは断たれる。このような状態をして事実上の倒産と呼ぶ。
このような場合でも、法人の解散事由(破産手続の開始等)が生じたわけではないから、法人としての存続は否定されたものではないが、多くの場合、法的倒産処理手続または任意的倒産処理(私的整理)に移行することから、当該時点において「事実上」という言い方を用いる。また、帝国データバンクなどの信用調査会社では、企業が事業停止しかつ事後処理を弁護士に一任した時点で事実上の倒産(この時点で倒産集計には入らないが破産手続に入ることがほぼ確実なため)として倒産情報を出している。
なお、かつて新聞などでは、再建型の法的倒産処理手続(下節参照)に着手した場合でも「事実上の倒産」という言葉を使用していたが、近年では「事実上の倒産」ではなく、「経営破綻」という言葉を使用する場合が多くなっている(前述)。
裁判所の監督の下で行われる倒産処理手続であり、この文脈では、「倒産」は経済主体が経済的に完全に破綻した場合のみならず、破綻するおそれがある場合をも含めて理解するのが一般的である。大まかに分類すると、清算型と再建型に分かれる。
清算型は、倒産状態になった債務者の財産を換価して債権者に可能な限り弁済することを目的とする制度であり、債務者が法人である場合にはその存続・再建を予定しないのに対し、再建型は、倒産状態になった債務者の財産を直ちに換価・分配することは必ずしも予定されず、債権者らの権利を変更(債務の減免、期限の猶予=分割弁済など)したうえで、現有財産を基礎にして収益を上げ、権利変更後の債務について弁済すること等により、債務者の事業又は経済生活の経済的再生を目的とする制度であるとされている。
もっとも、両者の差異は相対的なものであることに注意が必要である。清算型に位置づけられる破産手続は、これに付随する免責手続の存在により、いわゆる個人破産(消費者破産)の場面では再建型として事実上機能していることがほとんどであり、再建型に位置づけられる民事再生手続又は会社更生手続において、清算を目的とした再生計画案又は更生計画案が作成されることもある。
また、金融機関等の特殊な業態については、法的倒産処理手続以外に、特別法(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律)に基づく破綻処理が予定されているものがある。
社名 | 倒産年月 | 負債額 | 業種 | 倒産形態 |
---|---|---|---|---|
協栄生命保険 | 2000年10月 | 4兆5297億円 | 生命保険業 | 更生特例法 |
日本長期信用銀行 | 1998年10月 | [注釈 1] | 約3兆6000億円長期信用銀行 | 金融再生法による 特別公的管理(一時国有化) |
山一證券 | 1997年11月 | [注釈 2] | 3兆5085億円証券業 | 破産 |
リーマン・ブラザーズ証券 (日本法人) | 2008年09月 | 約3兆4000億円 | 証券業 | 民事再生法 |
日本債券信用銀行 | 1998年12月 | [注釈 3] | 約3兆2000億円長期信用銀行 | 金融再生法による 特別公的管理(一時国有化) |
千代田生命保険 | 2000年10月 | 2兆9366億円 | 生命保険業 | 更生特例法 |
北海道拓殖銀行 | 1997年11月 | 2兆3433億円 | 都市銀行 | 解散、営業譲渡 |
日本リース | 1998年 | 9月2兆1803億円 | リース・金融 | 各種会社更生法 |
マイカル | 2001年9月 | 1兆5482億円 | 総合小売業 | 民事再生法 |
日本航空インターナショナル | 2010年 | 1月[注釈 4] | 1兆5279億円空運 | 会社更生法 |
タカタ | 2017年 | 6月約1兆5024億円 | 製造業 | 民事再生法 |
クラウン・リーシング | 1997年 | 4月1兆1874億円 | 総合リース業 | 破産 |
マレリホールディングス | 2022年 | 6月1兆1330億円 | 製造業 | 民事再生法 |
木津信用組合 | 1995年 | 8月[注釈 5] | 1兆44億円信用協同組合 | 整理回収機構に営業譲渡 |
日榮ファイナンス | 1996年10月 | 1兆円 | 住宅金融保証 | 商法による会社整理 |
東京生命保険 | 2001年3月 | 9802億円 | 生命保険業 | 更生特例法 |
ライフ | 2000年 | 5月9663億円 | 信販・クレジット | 会社更生法 |
末野興産 | 1996年11月 | 7160億円 | 不動産開発 | 破産 |
そごう | 2000年 | 7月[注釈 6] | 6891億円百貨店業 | 民事再生法 |
日本航空 | 2010年 | 1月[注釈 4] | 6715億円空運 | 会社更生法 |
東食 | 1997年12月 | 約6397億円 | 食品商社 | 会社更生法 |
日本振興銀行 | 2010年 | 9月約6194億円 | 銀行業 | 民事再生法 |
日本トータルファイナンス | 1997年 | 4月6180億円 | 総合リース業 | 破産 |
たくぎん保証 | 1998年 | 3月6100億円 | リース・金融 | 各種破産 |
村本建設 | 1993年11月 | 5900億円 | ゼネコン | 会社更生法 |
麻布建物 | 2007年6月 | 5648億円 | 不動産開発 | 会社更生法 |
日本ビルプロヂェクト | 2000年6月 | 5648億円 | 不動産開発 | 民事再生法 |
インターリース | 2000年11月 | 5600億円 | リース・金融 | 各種特別清算 |
たくぎん抵当証券 | 1997年11月 | 5391億円 | 証券業 | 破産 |
三光汽船 | 1985年8月 | 5200億円 | 海運 | 会社更生法 |
日本モーゲージ | 1994年10月 | 5185億円 | 不動産担保ローン | 特別清算 |
西洋環境開発 | 2000年 | 7月5175億円 | 不動産開発 | 特別清算 |
東海興業 | 1997年7月 | 5110億円 | ゼネコン | 会社更生法 |
エヌーイーディー | 1999年 | 3月5100億円 | ベンチャーキャピタル | 特別清算 |
カブトデコム | 2013年 | 4月5061億円 | 不動産開発 | 特別清算 |
パナソニック プラズマディスプレイ | 2016年11月 | 5000億円 | 製造業 | 特別清算 |
エスティティ開発 | 2002年10月 | 4922億円 | ゴルフ場経営 | 民事再生 |
アポロリース | 1999年 | 3月4900億円 | 賃貸・リース | 特別清算 |
イ・アイ・イ・インターナショナル | 2000年 | 6月4764億円 | 不動産開発 | 破産 |
日本ランディック | 1999年 | 5月4708億円 | 不動産 | 特別清算 |
飛栄産業 | 2000年 | 8月4500億円 | 不動産 | 特別清算 |
佐藤工業 | 2002年 | 3月[注釈 7] | 4499億円ゼネコン | 会社更生法 |
エルピーダメモリ | 2012年 | 2月[注釈 8] | 約4480億円製造業 | 会社更生法 |
武富士 | 2010年 | 9月[注釈 9] | 約4336億円消費者金融業 | 会社更生法 |
安愚楽牧場 | 2011年 | 8月約4331億円 | オーナー制度畜産業 | 民事再生法 |
第一コーポレーション | 1998年 | 6月4135億円 | 不動産担保ローン | 特別清算 |
大成火災海上保険 | 2001年11月 | 4131億円 | 損害保険業 | 更生特例法 |
日本国土開発 | 1998年12月 | 4067億円 | 不動産開発 | 会社更生法 |
恵川 | 1991年 | 8月4100億円 | 料亭 | 任意整理 |
青木建設 | 2001年12月 | [注釈 10] | 3900億円ゼネコン | 会社更生法 |
日本信用ファイナンスサービス | 1997年 | 4月3784億円 | 総合リース業 | 破産 |
三洋証券 | 1997年11月 | 3736億円 | 証券業 | 会社更生法 |
兵銀ファクター | 1995年11月 | 3692億円 | 債券保証 | 特別清算 |
朝日住建 | 2003年 | 9月約3600億円 | 不動産開発 | 破産 |
フジタ) | エー・シー・リアルエステート (旧2005年11月 | [注釈 11] | 3526億円不動産 | 民事再生法 |
SFCG | 2009年 | 2月3380億円 | 事業者向け貸金業 | 民事再生法→破産 |
山一土地建物 | 1997年12月 | 3350億円 | 不動産開発 | 破産 |
エスコリース | 2001年 | 5月3350億円 | 事業者向け貸金業 | 破産 |
パシフィックモーゲージ | 2001年11月 | 3339億円 | 不動産担保貸付 | 破産 |
日本ゴルフ振興 | 2003年2月 | 3322億円 | ゴルフ場経営 | 民事再生法 |
クラヴィス | 2012年 | 7月3268億円 | 消費者金融業 | 会社更生法 |
アサヒ都市開発 | 1999年 | 3月約3226億円 | 不動産開発 | 破産 |
地産 | 2002年 | 8月3207億円 | ゴルフ場経営 | 会社更生法 |
エスティティコーポレーション | 2003年 | 2月3131億円 | ゴルフ場経営 | 民事再生法 |
ジャパン石油開発 | 2003年3月 | 3077億円 | 油田開発 | 民事再生法 |
長崎屋 | 2000年 | 2月3039億円 | 総合小売業 | 民事再生法 |
日貿信 | 2000年 | 4月2899億円 | 事業者向け貸金業 | 民事再生法 |
日東興業 | 2002年 | 7月2867億円 | ゴルフ場経営 | 民事再生法 |
マルコー | 1991年8月 | 2858億円 | 不動産 | 会社更生法 |
フェニックスリゾート | 2001年 | 2月2762億円 | 第三セクター | 会社更生法 |
島之内土地建物 | 1995年 | 3月2725億円 | 不動産開発 | 任意整理 |
大日本土木 | 2002年 | 7月2712億円 | ゼネコン | 会社更生法 |
長ビル | 1999年 | 4月約2700億円 | 不動産 | 特別清算 |
大和生命保険 | 2008年10月 | 2695億円 | 生命保険業 | 会社更生法 |
ファーストクレジット | 2002年 | 3月2605億円 | 不動産担保融資 | 会社更生法 |
アーバン・コーポレーション | 2008年8月 | 2558億円 | 不動産開発 | 民事再生法 |
大倉商事 | 1998年 | 7月約2528億円 | 商社 | 自己破産 |
ロプロ | 2009年11月 | [注釈 12] | 約2500億円事業者向け貸金業 | 会社更生法 |
エル都市開発 | 1999年 | 6月2419億円 | 不動産 | 特別清算 |
都築紡績 | 2003年11月 | 約2418億円 | 製造業 | 会社更生法 |
ジャパンライフ | 2017年12月 | 2405億円 | 卸・販売 | 銀行取引停止 |
兵銀リース | 1995年 | 9月2341億円 | 賃貸・リース | 特別清算 |
山手コーポレーション | 1998年 | 3月約2300億円 | 不動産担保ローン | 特別清算 |
ハウステンボス | 2003年 | 2月2289億円 | 観光 | 会社更生法 |
新潟鐵工所 | 2001年11月 | 約2270億円 | 製造業 | 会社更生法 |
エフ・アール・イー | 2007年 | 1月2223億円 | 不動産開発 | 破産 |
兵庫ファイナンス | 1995年 | 9月2172億円 | 事業者向け貸金業 | 特別清算 |
森本組 | 2003年10月 | 2153億円 | ゼネコン | 民事再生法 |
壽屋 | 2001年12月 | 2126億円 | 総合小売業 | 民事再生法 |
スポーツ振興 | 2002年 | 2月2109億円 | ゴルフ場経営 | 会社更生法 |
ウィルコム | 2010年 | 2月2060億円 | PHS事業) | 通信業(会社更生法 |
三田工業 | 1998年 | 8月約2057億円 | 製造業 | 会社更生法 |
シンコー | 2005年 | 2月2020億円 | ゴルフ場経営 | 民事再生法 |
フジビル | 1999年 | 3月約2000億円 | 不動産 | 特別清算 |
麹町土地建物 | 2003年11月 | 約2000億円 | 不動産開発 | 破産 |
日本綜合地所 | 2009年 | 2月1975億円 | 不動産開発 | 会社更生法 |
むつ小川原開発 | 2000年 | 9月1852億円 | 第三セクター | 特別清算 |
富士カントリー | 2004年12月 | 約1800億円 | ゴルフ場経営 | 特別清算 |
多田建設 | 1997年 | 7月1714億円 | ゼネコン | 会社更生法 |
エヌ・エス・アール (旧 山万アーバンフロント) | 2014年 | 2月1650億円 | 不動産 | 破産 |
パシフィックホールディングス | 2009年 | 3月1636億円 | 不動産投資 | 会社更生法 |
ヤオハンジャパン | 1997年 | 9月1614億円 | 総合小売業 | 会社更生法 |
大都工業 | 1997年 | 8月1592億円 | ゼネコン | 会社更生法 |
興人 | 1975年 | 8月[注釈 13] | 1480億円合成繊維・パルプ 不動産開発 | 会社更生法 →更生終結 |
ジョイント・コーポレーション | 2009年 | 5月1476億円 | 不動産開発 | 会社更生法 |
東京臨海副都心建設 | 2006年 | 5月約1440億円 | 第三セクター | 民事再生法 |
苫小牧東部開発 | 1999年 | 9月1423億円 | 第三セクター | 特別清算 |
兵庫クレジットサービス | 1995年 | 8月1403億円 | 貸金業 | 民事再生法 |
穴吹工務店 | 2009年11月 | 1400億円 | マンション建設・販売 | 不動産会社更生法 |
永大産業 | 1978年 | 2月[注釈 14] | 1350億円合板製造 | 会社更生法 →更生終結 |
林原 | 2011年[注釈 15] | 2月[注釈 16] | 1277億円医薬品・食品原料製造 | 事業再生ADR手続 →会社更生法 |
アジア太平洋トレードセンター | 2003年 | 6月約1263億円 | 第三セクター | 特定調停 |
大沢商会 | 1984年 | 2月1250億円 | 総合商社 | 会社更生法 →更生終結 |
第一中央汽船 | 2015年10月 | 1197億円 | 海運 | 民事再生法 |
竹芝地域開発 | 2006年 | 5月約1190億円 | 第三セクター | 民事再生法 |
東京テレポートセンター | 2006年 | 5月約1170億円 | 第三セクター | 民事再生法 |
リッカー | 1984年 | 7月1100億円 | ミシン製造 | 和議→会社更生法 →更生終結 |
MT映像ディスプレイ | 2019年 | 2月1050億円 | 製造業 | 特別清算 |
足利銀行 | 2003年10月 | 1023億円 | 地方銀行 | 特別危機管理銀行指定 →一時国有化 |
安宅産業 | 1977年10月 | 1000億円以上 | 総合商社 | 吸収合併 |
カナダにおける倒産は、破産・支払不能法(Bankruptcy and Insolvency Act)という連邦法により定められており、企業と個人の双方に適用される。連邦政府の破産監督局(Superintendent of Bankruptcy)が、倒産手続が公正かつ秩序立って執行されるようにする責任を負っている。破産管財人が破産財団を管理する。
管財人は、次のような職務を負っている。
債権者は、債権者集会に出席することにより手続に参加する。管財人が招集する第1回債権者集会は、次のような目的を持っている。
カナダでは、個人は、破産の代わりに、消費者提案(consumer proposal)を申し立てることができる。消費者提案は、債務者と債権者らとの間での交渉による解決である。
典型的な消費者提案は、債務者が最長で5年間、毎月支払を行い、資金を債権者らに配分するというものである。ほとんどの提案は債務の総額よりも支払額を少なくすることを求めるものだが、ほとんどのケースで、債権者らは取引に応じる。なぜなら、そうしなければ、次の選択肢は個人破産であり、その場合債権者らの受け取る金額は更に少なくなるからである。債権者らは、消費者提案を受け入れるか拒否するかの選択に45日間の猶予期間がある。一度提案が受け入れられると、債務者は提案執行者に毎月支払を行い、債権者らはそれ以上の訴訟や執行を行うことができなくなる。提案が拒否された場合は、債務者は個人破産の宣言をするほか選択肢がないこともある。
消費者提案を行えるのは、債務額が5000ドルを超え、7万5000ドルまで(主たる居住地の抵当権を含まない)の場合に限られる。債務額が7万5000ドルを超える場合、破産・支払不能法第3編第1部の下に提案を申し立てなければならない。提案執行者の補助が必要である。提案執行者は、破産管財人の資格を持った者がなるのが一般的であるが、破産監督局が他の人を執行者に任命することもできる。
2006年において、カナダでは9万8450件の個人からの支払不能の申立てがあった。うち7万9218件が破産、1万9232件が消費者提案である[6]。
2004年には、ヨーロッパ各国で倒産の増加率が今までにない高い数字に上った。フランスでは、会社の倒産率が4%以上増加し、オーストリアでは10%以上、ギリシアでは20%以上も増加した。しかし、公的な倒産件数の統計は実態を十分に説明するものではない。公的統計は倒産件数を示しているだけで、各倒産案件の重要度を示すものではない。したがって、倒産件数の増加は、必ずしも経済全体にとっての不良債権化率が増加したことを意味しない。
返済に問題が生じたり回収不能になったりするのと、企業が実際に破産を宣言するのには時間的なずれがある。多くの場合、信用で商品を納品してから、それに対する破産手続が始まるまでの間に数か月ないし数年かかることもある。
法的側面や、税金の関係、あるいは文化的側面によっても、上記の説明は更に歪められている。国際的な比較においては特にそうである。例えば、オーストリアでは、2004年における全倒産手続の半分以上は、未払額の一部を清算するための資金不足のため、手続が開始されない。スペインでは、一定の種類の事業に対して倒産手続を開始することは経済的に割に合わないため、倒産件数は非常に少ない。比較すると、フランスでは、2004年に4万件以上の倒産手続が開始されたが、スペインでは600件未満である。その一方で、フランスの不良債権化率は1.3%なのに対しスペインでは2.6%である。
個人の倒産件数も、全体像を示すものではない。倒産手続の申立てを決意するのは、負債額の膨らんだごく一部の世帯に限られる。これは、破産宣告の不名誉と、職業上不利益を被るおそれがあるためである。
オランダの倒産法制は、オランダ倒産法 (Faillissementswet) によって規律されている。同法は、三つの異なる法的手続を定めている。第一は破産 (Faillissement) であり、その目的は債務者の資産を清算することである。破産手続は個人と会社の双方に適用される。倒産法における第二の法的手続は、Surseanceというものである。これは会社にのみ適用され、その目的は会社の債権者らとの間の合意を実現することである。第三はSchuldsaneringというもので、これは個人のみを対象としている。
イギリスでは、狭義の法的意味における破産 (bankruptcy) は、個人とパートナーシップのみに関係する。会社やその他の企業は、違う名称の法的倒産手続が用いられる。清算 (liquidation) と財産管理(administration――財産管理命令 (administration order) 及び管財人財産管理 (administrative receivership))である。しかし、「破産 (bankruptcy)」という言葉がメディアや日常会話の中で会社について用いられることは多い。スコットランドにおける破産手続はSequestrationと呼ばれる。
破産管財人は、公務員である公的破産管財人 (Official Receiver) か、資格を持った倒産弁護士でなければならない。
2002年企業法 (Enterprise Act 2002) が制定されてからは、イギリスの破産手続は通常12か月もかからない。公的破産管財人が裁判所に、調査が完全に行われたことを保証した場合は、それより短いこともある。
イギリス政府による破産の枠組みの自由化により、破産件数が増加することが見込まれている。これは政府の当初の統計により裏付けられていると見られる。
イングランドとウェールズでは、2005年第4四半期に2万0461件の個人倒産があった(季節調整された値)。これは、前の四半期よりも15.0%の増加、前年同時期よりも36.8%の増加である。このうち、1万3501件が破産であり、前の四半期よりも15.9%の増加、前年同時期よりも37.6%の増加である。6960件は個人任意的債務整理手続 (IVA) であり、前四半期よりも23.9%増、前年同時期よりも117.1%増である。
アメリカ合衆国においては、アメリカ合衆国憲法1条8節4項により、倒産(bankruptcy)は連邦法の管轄とされており、同条項によれば、連邦議会は「合衆国全域における倒産に関する統一法」を制定することが認められている[7]。bankruptcyとの用語であるが、ここでは再建型手続を含むものと解されている。連邦議会は、倒産に関する制定法として、倒産法(Bankruptcy Code, 合衆国法典第11編)を定めている。連邦法が規定していない点や、明示的に州法に譲っている点については、州法の定めにより連邦法が一部修正されている。
倒産事件は、必ず連邦倒産裁判所(連邦地方裁判所に付設される)に申し立てられるが、倒産事件は、特に債権の有効性や自由財産に関しては、州法によることが多い。したがって、多くの倒産事件においては州法が大きな役割を果たしており、州境を超えて倒産法を一般化することはできないことが多い。
合衆国法典第11編に置かれた倒産法の下では、次の6種類の手続がある。
個人の倒産に際して最もよく用いられるのが、清算型の第7章及び再建型の第13章である。アメリカの個人による全倒産申立て件数のうち実に65%が、第7章によるものである。会社その他の企業は第7章又は再建型では第11章に基づいて申立てをすることが多い。
第7章では、債務者は、自由財産となるもの以外の財産を破産管財人に引き渡し、破産管財人がそれを換価して、その売上金を無担保債権者に配当する。その代わりに、債務者は債務の一部の免責を得る。ただし、債務者が一定の類型の不適切な行動(財産状況に関する資料を隠すなど)をとった場合には、免責は与えられない。また、一定の債務(配偶者及び子の扶養料、学生ローン、一定の税金など)については、債務者が一般的な免責を得た場合であっても免責されない。経済的に破綻した個人は、多くの場合、自由財産(衣服、生活必需品、中古車など)しか所有しておらず、その場合は破産管財人に財産を引き渡す必要はない。自由財産とすることができる財産の額は、州によって異なる。第7章による救済は、8年間に1回だけしか使うことができない。一般的に、担保権者の担保物件に対する権利は、債務の免責が行われても存続する。例えば、債務者が自動車を引き渡すという合意や債務の「再確認」が行われなくても、債務者の自動車に対する担保物権を有する債権者は、債務者の債務が免責になったとしてもその自動車を引き揚げることができる。
第13章の手続では、債務者はすべての財産の所有権や占有権を失わないが、通常3年間から5年間にわたり、将来の収入の一部を債権者への返済に当てなければならない。返済額や返済計画の期間は、債務者の財産の価値や債務者の収入・支出などの要素によって変わる。担保権者は、無担保債権者よりも多く返済を受けることができる。
第11章の手続では、債務者は財産の所有権と占有権を失わず、債務者占有型 (DIP) 手続とも呼ばれる。占有を継続する債務者が、日々の事業の運営を行う一方、債権者らと債務者は、連邦倒産裁判所とともに、交渉を重ね、再建計画を完成させるべく共同作業を行う。一定の条件(債権者間の公正、一定の債権者の優先など)を満たすと、提案された再建計画に対する債権者らの投票を行うことができる。再建計画が承認されると、債務者は経営と、承認された再建計画に従った債務の弁済を続ける。もし一定以上の多数の債権者が承認の投票を行わなかった場合は、裁判所から、計画を承認するための追加的な条件が課されることがある。
2005年の破産濫用防止・消費者保護法(BAPCPA)[8]は、連邦倒産法を大きく修正するものであった。BAPCPAの多くの規定は、消費者金融業者から強く支持され、同時に多くの消費者保護論者、倒産法学者、倒産事件を担当する裁判官・弁護士から強い反対を受けた。BAPCPAは、連邦議会における8年間にわたる議論の末に制定されたものである。同法の多くの規定は、2005年10月17日に施行された。法律への署名に当たり、ジョージ・W・ブッシュ大統領は次のように述べた。
個人破産法に加えられた多くの変更の中で、BAPCPAは、「資力基準」を導入した。これは、債務のほとんどが消費者負債である、多くの経済的に破綻した個人債務者にとって、連邦倒産法第7章の救済資格を得ることをより難しくしようとするものであった。しかし、その意図とは反対に、資力基準はしばしば債務者が免責を得ることを簡単にする結果を生んでいる。資力基準のため、又は連邦倒産法第7章では担保付き債権(抵当権や自動車ローン)の延滞に対する完全な解決ができないために、債務者が連邦倒産法第7章の救済資格を得られない場合であっても、債務者は依然として連邦倒産法第13章による救済を求めることができるのである。第13章による再建計画は一般の無担保債権(クレジットカード利用代金や医療費)に対する返済を要求しないことが多い。
また、BAPCPAは、破産の救済を求める個人に、破産の申立てをする前に、認可を受けた相談機関に債務内容の相談をすること、第7章又は第13章による免責を受ける前に、認可を受けた機関で家計のやり繰りについての教育を受けることを要求している。この債務相談要件の実施状況についての研究によれば、債務相談要件は、相談を受ける債務者にとってはほとんど実益がないことが示されている。多くの債務者にとって、唯一の現実的な選択肢は、倒産法による救済を求めることしかないからである。
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