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日本の天皇・皇后・上皇・上皇后・太皇太后・皇太后の葬儀 ウィキペディアから
大日本帝国憲法及び旧皇室典範下の1926年(大正15年)皇室喪儀令で詳細が規定されており、1947年(昭和22年)に皇室令が全て廃止された以降も慣例として行われている。
現在の日本国憲法及び皇室典範の規定により、天皇及び上皇[1]の崩御の際は、大喪儀とは別に、国の儀式(国葬)として「大喪の礼(たいそうのれい)」が挙行される。
なお、上皇明仁は葬法を土葬から火葬に切り替えることを希望しており、この場合、葬場殿の儀より前に火葬を行うこととなり、比較的簡素かつ丁重な葬送儀礼を行ったのち火葬し、遺骨を納めた霊櫃を葬場殿の儀までの間、殯宮に代わって皇居宮殿に設えた「奉安宮」に安置することとなる。
元々江戸時代までの皇室の葬儀は仏式で寺院において行われていたが、明治時代以降神式が行われるようになった。
飛鳥時代までは、殯宮を設置して1年間遺体を安置する慣わしであったが、持統天皇の時に火葬が導入されて以後は簡略化されて30日間が通例とされた。
奈良時代に、聖武天皇の時に仏教に則った方式に変更され、以後村上天皇までは天皇の葬儀が国家的行事として行われてきたが、次の在位中の崩御となった後一条天皇の葬儀以後、崩御の事実を隠して譲位の儀式を行った後に皇室の私的行事である太上天皇の葬儀の形式で内々に行われるようになり、穢との関連から外戚や近臣などの例外を除いては公卿が参列することもなくなった[3]。また、淳和天皇以降、在位中に崩御した天皇は土葬して山陵を造営し、太上天皇になった天皇は火葬して山陵は造営しない、という慣例が成立(ただし、崩御が淳和天皇より後になった嵯峨天皇については両説あり)したとする説がある[4]。ただし、譲位直後に次期天皇からの太上天皇称号の奉上が行われる前に崩御した醍醐天皇は天皇の例として土葬とされ、次に同様の例となった一条天皇の場合は本人の遺詔が土葬であったにもかかわらず、太上天皇の例として火葬にされている。一条天皇の際の大喪の誤りが故意であったか事故であったかは不明であるが、後一条天皇以降の在位中の天皇の崩御であっても太上天皇の葬儀の形式で行われて火葬される過渡的な事例になったという評価がされている[5]。その後も全ての天皇が火葬された訳では無いが、大規模な山陵の造営は幕末まで途絶えることになる。
平安時代以後も、鎌倉時代・室町時代・安土桃山時代に至るまで、仏教に則った方式が行われ、生前に造営した寺院などで行う事になり、北朝の後光厳天皇以後は京都泉涌寺で開催されることとなった。前述の事情により、天皇の葬儀に関する作業の多くはほとんど僧侶の手で行われる一種の秘儀となったが、戦乱による泉涌寺の荒廃によって僧侶が揃えられなかった後土御門天皇の時は、実際に手伝った公卿の東坊城和長が『明応記』と称される詳細な葬儀記録(凶事記)を残して、後世に天皇の葬儀の様子を伝えている。なお、同天皇の葬儀は応仁の乱後の財政難から作業の中断を余儀なくされ、実際の葬儀が開かれたのは崩御から43日後で後世に「玉体腐損、而蟲湧出」(『続本朝通鑑』)と伝えられた(ただし、真相は不明である)[6]。
江戸時代に入ると、江戸幕府の影響の下で再び国家的行事の性格を有するようになり、現職の摂関以外のほとんどの公卿が参列するものとなった[3]。また、後光明天皇以後は様式は火葬のまま、実際には土葬の制が復活した。
江戸時代末期から明治時代になり、孝明天皇の時に神道に則った形式へ変更され、明治維新と東京奠都の影響により、その三年祭は東京に移された宮中で神道に則って開催された。以後、英照皇太后と明治天皇と神式の形式が取られていった。
大正時代には、1909年(明治42年)に皇室服喪令、続いて1926年(大正15年)に皇室喪儀令が制定され、天皇及び三后の逝去を「崩御」・葬儀を「大喪」と呼称する事が定められた。戦後の皇室典範改正により、皇室服喪令・皇室喪儀令は廃されたものの、慣例としてこれに準じた儀礼が採用された。
戦後、日本国憲法施行後は、1989年(平成元年)の昭和天皇の場合には、政教分離原則に反しない形で国家の儀式として「大喪の礼」、皇室の儀式として「大喪儀」と、名目上は分離され開催されており、「大喪儀」は神道に則った形式で執り行われた。
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