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日本の大阪市此花区に存在する人工島 ウィキペディアから
面積は約390ha。大阪市の最西端となっており、大阪北港の一画を占める。南東には咲洲、北東には舞洲がある。現在島の南西部に新島地区を建設中で、これが竣工すると大阪市の最西端はそちらへ移ることになる。[1]
2025年に開催される大阪・関西万博の予定地となっており、島内北部には、統合型リゾートである大阪IRが2029年秋-冬の完成を目処に建設される予定である[2]。東部には、2024年度にOsaka Metro中央線 夢洲駅が開業する見込み。
1977年、大阪市は埋立免許を取得し[3]、廃棄物処分地の整備に着手[4]。当時大阪市では大阪湾の浚渫土や公共工事で生じる建設残土、一般ゴミなどの処分場の不足が課題となっており、夢洲を整備し廃棄物の最終処分場として埋め立てを始めた[5]。1991年には土地造成事業を開始[4]。
埋め立て後の跡地利用については市は1988年に人工島3地区の湾岸開発を進め、夢洲は6万人が居住する新都心とするなどとした「テクノポート大阪」計画を発表したが、その後のバブル崩壊で計画は頓挫。1990年代には2008年の夏季オリンピックを舞洲に誘致し、夢洲には選手村を整備するとした大阪オリンピック構想が進められたが、2001年のIOC総会で北京に敗れた[6][7]。2008年にはテクノポート計画が正式に白紙撤回された[5]。
2002年には夢舞大橋が開通し、同年より夢洲コンテナ埠頭が供用開始[3]。2009年には夢咲トンネル(道路部)が開通した[3]。島の東側は物流施設が整備され、水深15mの高規格コンテナターミナルが2つあるが、全体的には広大な空き地が広がり、利用が宙に浮いた状態となっていた[5]。これらの経緯から夢洲は「負の遺産」と呼ばれることもある[7]。
他方、夢洲を「負の遺産」と表現することには否定的な意見もある。夢洲には埋め立て造成費用などで2800億円超の公費が投じられたが、人口に比べて面積が狭い大阪市の廃棄物を処理するためには当時必要であり、別の場所に運べば、より多くの処分費用がかかった可能性があるためである[5]。また、市が2016年に公表した湾岸部の長期収支見込みでは夢洲は物流・産業ゾーンとしての活用が想定され、10年間は資金不足とならない試算になっていた[5]。
一方で、2014年4月には大阪維新の会の創設者である橋下徹大阪市長がカジノを含む統合型リゾート (IR) について、夢洲を候補地として誘致活動を推進する方針を示した。この際に橋下は夢洲を「負の遺産」と指摘しており、時を同じくして毎日新聞などのメディアが「負の遺産と呼ばれる」などの表現で夢洲のニュースを伝えることが目立ち始め、定着したとされる[5]。
2016年6月16日には2025年万国博覧会の大阪招致構想の会場候補地を夢洲に一本化することが発表され[8][9]、万博誘致の成功を含めて、IRとの一体的な開発が行われることになった[10][11]。
2018年11月23日(日本時間同24日未明)に2025年国際博覧会の開催地が大阪に決定し、夢洲は大阪・関西万博の会場となる。大阪・関西万博の開催期間は、2025年4月13日 - 2025年10月13日が予定されている。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン(英:Designing Future Society for Our Lives)」であり、約2800万人の来場を見込むとした[12]。
同年12月には大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)が、Osaka Metro中央線を延伸し2024年度を目標に、夢洲駅を新設する[13]とともに、駅近くに総工費1000億円超のタワービルを建設し、2024年の開業を目指すと発表[14]。しかし、2020年7月には新型コロナウイルスの感染拡大によりIRの誘致が遅れる見通しとなったことを受け、タワービルについては規模や時期を再検討することが決まった[15]。
2021年2月12日、大阪市・大阪府は大阪IRの「実施方針案」を修正。新型コロナウイルスの流行や国の手続きの遅れなどを背景に、当初2025年の全面開業の時期を、2020年代後半に遅らせることが正式に発表された[16]。同年9月28日、市はIRについて、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの連合体を事業者に選んだと発表した[17]。同年12月にはIRを巡り液状化対策などに市が約790億を負担することが明らかになった[18]。
夢洲と舞洲を結ぶ夢舞大橋と、夢洲と咲洲を結ぶ夢咲トンネルがある。
公共交通機関は2024年9月時点で存在しない。以前は北港観光バスの「コスモドリームライン」(コスモスクエア駅 - 舞洲間)が運行されており、夢洲を経由していた。夢舞大橋の歩行者・自転車道は閉鎖中、夢咲トンネルは歩行者・自転車通行禁止であるため、自家用車・タクシー以外でのアクセスは事実上不可能となっている。
大阪府と大阪市が誘致を進めるカジノを設置した統合型リゾート (IR) のアクセスとして、大阪港トランスポートシステム北港テクノポート線を活用して、Osaka Metro中央線・JR桜島線・京阪中之島線の3路線のいずれかを夢洲まで延伸する案が浮上している。開通後には、夢洲内の新駅と大阪駅が約30分で結ばれることになる。なお、地下鉄中央線は計画線上は夢洲地区に駅を設置することになっている[19]。このうち、地下鉄中央線から延伸するコスモスクエア駅 - 夢洲駅間については、2025年1月19日に開業を予定しており[20][21]、万博への交通アクセスとしても機能することになる。
埋立途中にできた池や湿地、砂礫地は多くの野鳥や昆虫の生息場所となっている。環境省のガンカモ調査では、北港南地区の名で登録され、1991年から毎年種ごとの飛来数が記録されている[22]。2019年1月には13種6193個体が記録されている。なかでもホシハジロの記録数は4862個体で、ラムサール条約の登録基準6の基準個体数3000羽を超えている[23]。また、ツクシガモは135羽と記録されており、本州での最多個体数である。
シギ・チドリ調査では、2018年の春には30種979個体、秋には37種564個体が記録されている[24]。2021年にはセイタカシギの繁殖が確認された[25]。砂礫地ではコアジサシやシロチドリが繁殖する[26]。
塩生湿地があり、大阪府レッドデータリストで「絶滅」と判定されたカワツルモが再発見された[27]。
こうした豊かな生物相のため、大阪府レッドリスト2014では、夢洲を生物多様性ホットスポットのAランクとしている[28]。
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