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日本の行政機関 ウィキペディアから
デジタル庁(でじたるちょう、英: Digital Agency[5])は、日本の行政機関のひとつ。デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助け、その行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを目的として内閣に置かれる[6]。2021年(令和3年)9月1日に発足した[7]。
デジタル庁 でじたるちょう Digital Agency | |
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デジタル庁が入居する 東京ガーデンテラス紀尾井町 | |
役職 | |
内閣総理大臣[注釈 1] | 岸田文雄 |
デジタル大臣 | 河野太郎 |
デジタル副大臣 | 石川昭政 |
デジタル大臣政務官 | 土田慎 |
デジタル監 | 浅沼尚 |
組織 | |
上部組織 | 内閣 |
内部部局 |
デジタル審議官(1人) 統括官(4人) 戦略・組織グループ デジタル社会共通機能グループ 国民向けサービスグループ 省庁業務サービスグループ |
審議会 |
デジタル社会推進会議 デジタル社会構想会議[1][2] |
概要 | |
法人番号 | 8000012010038 |
所在地 |
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1番3号 東京ガーデンテラス紀尾井町 |
定員 | 546人[3] |
年間予算 | 4964億703万円8千円[4](2024年度) |
設置 | 2021年(令和3年)9月1日 |
前身 | 内閣官房情報通信技術総合戦略室 |
ウェブサイト | |
www |
復興庁と同様に[注釈 2]国家行政組織法の適用が除外されており[注釈 3]、必要な事項はデジタル庁設置法に規定されている。
デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを一気呵成に作り上げることを目指す。ミッションは、“誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。”[8]。
2020年(令和2年)9月16日に発足した菅義偉内閣は、国全体のデジタル化を看板政策に掲げてこの動きを加速させた。さまざまな協議を経た末に、同年11月26日にはデジタル化の司令塔となるデジタル庁を2021年(令和3年)9月1日に発足させる基本方針が定まった[9]。検討開始から設置までの期間は国家組織として異例の速さであり、デジタル改革担当大臣として設置へむけての陣頭指揮を執っていた平井卓也でさえも「通常ではありえないスピード」と驚くほどだった[10]。
2021年5月12日には、デジタル庁関連6法案[注釈 4]が成立した。
また、マイナンバーの所管は総務省や内閣府からデジタル庁の一元的な体制に移行し、「令和4年(2022年)度末にはほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指す」としている[11]。
2023年10月から今後の持続的な社会形成を検討する「デジタル行財政改革会議」にてデジタル基盤の整備に関わる一構成員として参画[12]。
かつて栄華を誇った日本のエレクトロニクス産業はアナログからデジタルへの移行にかけて急激に衰退し、「デジタル敗戦」と呼ばれるような状況に陥った[13]。これまでの政府におけるデジタル戦略は、内閣官房IT総合戦略室が所管してきたが、デジタル庁は、その発展的な新組織体と位置づけられる。デジタル化の速やかな推進を目的に、その障害となっている府省間の縦割りを打破すべく、各府省に対する司令塔として、予算を含めた企画立案と統括・監理の強い権限、さらに、勧告等を含めた総合調整の役割を与える[14]。
又、デジタル化を進めるに際しては、オンライン化が目的とならないように、本来の行政サービス等の利用者の利便性向上及び行政運営の効率化等に立ち返って、業務改革(BPR)に取り組む必要があることとしている。[15]
このような抜本的な業務改革を行うためには、「デジタル人材の確保・育成」が必要不可欠である。
デジタル庁自身が、人材の確保・育成の役割を十分に果たせるよう体制を整備し、優秀なデジタル人材が産学官を行き来できる環境を整備し、外部組織や外部デジタル人材との協力によるデジタル化を実現することとしている。[15]
内閣情報通信政策監は廃止され、デジタル監が設置される[注釈 5]。デジタル庁の事務次官に相当するが、他省庁の事務次官と異なり、特別職である。初代デジタル監については、一橋大学名誉教授の石倉洋子が起用された[18][19]。
又、次官級審議官に該当するデジタル審議官も置かれる。
デジタル庁については国家行政組織法の適用が除外[注釈 6]されており、必要な規定はデジタル庁設置法に規定している。
建制順では、組織としてのデジタル庁は府省と同列で、内閣府の次、総務省の前となるが、デジタル大臣は主任の大臣でないため、大臣の並びとしては内閣官房長官の次、となり、同様の立場の復興大臣がその次となり、ついで国家公安委員会委員長の順となる。デジタル副大臣については、副大臣の筆頭となり、(復興副大臣、「内閣府副大臣の前。内閣官房副長官を副大臣相当と扱う場合はデジタル副大臣がその次)となる。デジタル大臣政務官も同様に政務官の筆頭である。
「デジタル庁設置法」第4条の所掌事務にて「デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整」が掲げられている。
デジタル庁は、3つの注力領域にあたる「1 生活者、事業者、職員にやさしい公共サービスの提供」「2 デジタル基盤の整備による成長戦略の推進」「3 安全安心で強靭なデジタル基盤の実現」に基づきプロジェクトを推進している。[20]
誰でも使いやすいデザインを意識し、利用者視点によるサービス提供やフィードバックを大切にしている。また、行政機関や地方自治体などの共同利用を前提として共通化に踏み込むことで全体最適化の実現を目指す。さらに、制度・業務・システムの三位一体で最適化されたあるべき姿の構想・実現を目指す。[20]
また、地方公共団体情報システム機構を総務省と共管し、マイナンバーカードの発行・運営体制の抜本的強化を行うことも、その業務とされている[注釈 7]。
デジタル庁の内部組織は、法律(デジタル庁設置法)、政令(デジタル庁組織令)及びデジタル庁令(デジタル庁組織規則)が階層的に規定している。個々に権限を規定した組織(局、部、課)を設置せず、局長級の統括官、課長級の参事官を設置するなど幹部職員の定数を定めるのみとなっている。
沿革のとおりデジタル社会形成基本法が成立したため、これまでの高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)は廃止された[23]。これまでのIT基本法に基づいて、全閣僚・有識者等からなる高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)が内閣に置かれる[24]。
デジタル庁の発足にあわせて、新たにデジタル社会推進会議(内閣総理大臣が議長を務め、全閣僚等で構成)がデジタル庁に置かれて責任体制を明確にするとともに、デジタル大臣が招集者となって学識経験者からなるデジタル社会構想会議[1] が開催され、新たな重点計画の策定に向けて調査・審議が行われる[2]。
デジタル庁の政務三役を除く幹部職員[注釈 8](統括官以上) は以下の通りである[25]。
デジタル庁は、グループ制をとっており、カッコ内は官職の発令事項。
総務省の所管する法人のうち、地方公共団体情報システム機構[注釈 9]を共管する[26][注釈 7]。
2024年度(令和6年度)一般会計当初予算におけるデジタル庁所管歳出予算は、4964億703万円8千円である[4]。
国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省および防衛省が所管する東日本大震災復興特別会計を共管[注釈 10]する。
一般職の在職者数は2023年7月1日現在で、458人(男性378人、女性80人)である[27]。他に非常勤職員が460人(男性330人、女性130人)である、このうち専門職員が388人(男性280人、女性88人)である[28]。
人員は、2023年デジタル庁年次報告[29]では、2023年7月1日現在で1,013名としており、上記の一般職の在職者数と非常勤職員の合計の918名と大きく相違している。43%を民間出身者が占める。
行政機関職員定員令に定められた2024年度のデジタル庁の定員は546人である[3]。この定数には特別職[注釈 11]は含まない。
2024年度一般会計予算における予算定員は特別職3人、一般職546人の計549人である[30]。
デジタル庁の一般職職員は一般職の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は保障されており、職員は労働組合として国公法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国公法第108条の2第3項)。
Digital Red | Digital Green | Digital Blue[32] |
White | Digital Primaly Black[32] |
デジタル庁ではシンボルマークを設定せずロゴタイプのみとしており、ロゴタイプのフォントはオープンソース書体を選択し、数あるなかから、「環境によって表示できない文字をなくす挑戦から生まれた」Noto Sansを採用している[32]。
シンボルカラーは白と黒で「多様性のあるデジタル社会を目指し、横断的に関わりながら共に創る姿勢を体現し、シンプルな色使いとしています」と説明されている[32]。その他に、アクセントカラーとしてRGBから日本の伝統色を取り入れて調整した「Digital Red」「Digital Green」「Digital Blue」を採用している[32]。
note.digital.go.jp
(以下、旧ドメイン)だったが[34]、これについてセキュリティ研究者の高木浩光はサイバーセキュリティ戦略本部の『政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準』[35] に照らし合わせ、.go.jpドメイン下で運営することが不適切であることを指摘[36]。また、通常のnoteと同様、robots.txtでWayback Machineとウェブ魚拓を排除していることについても、高木は「これが国会図書館のクローラまで排除するようになると違法(国立国会図書館法第25条の3第2項)」と指摘している[37]。digital-gov.note.jp
(以下、新ドメイン)に変更[38]。その際、新ドメインへのリダイレクト化や旧ドメイン内での移転告知などの措置を執らずに旧ドメインを閉鎖したことやドメイン変更理由の説明がなされなかったため批判の声が相次いだ[39]。平井卓也がデジタル担当大臣に就任した後、2020年10月2日と12月4日の2回にわたって、五輪アプリを受注しているNTTグループが運営する高級会員制レストラン「KNOX」で、平井がNTTの澤田純社長から接待を受けていた疑いがあることを、2021年6月に週刊文春が報じた[52][53]。さらに、平井の側近である内閣官房IT総合戦略室の向井治紀室長代理が、新たに2020年10月から3カ月連続で接待を受けていた疑いがあることを、2021年6月に週刊文春が報じた[53]。
2021年09月24日、過剰な接待を受けていたとして赤石浩一デジタル審議官を減給10分の1(1カ月)の懲戒処分にした[54]。赤石は内閣官房イノベーション統括官だった昨年9月から12月に、3回にわたり飲食やタクシー代など計約12万円の接待を受けていた[54]。
平井は2021年9月28日の記者会見で、支払い前に会食に関する週刊文春からの取材が来ていたことを認め、「NTTに確認して(6月)21日に請求を受けて、3人分、計22万円を支払った」「私の費用負担ですね。私と同席していた事務方の分をきっちりと支払っております。これは先方からの請求どおり、割り勘として問題のないようにきっちり払った」などと経緯を説明したが、平井がNTTに確認した上で費用を支払ったのは、週刊文春が赤石と向井の同席について確認を求めた2021年6月21日当日のことだった[55]。
2023年9月20日、個人情報保護委員会はマイナンバーに他人の銀行口座が登録されていた問題を受け、デジタル庁に対し行政指導を行った[59]。
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