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日本の鍋料理 ウィキペディアから
しゃぶしゃぶは、日本の鍋料理の一つ。薄く切った一口大の食材を卓上の鍋に煮え立たせた熱湯やスープにくぐらせて加熱調理し、小鉢のタレにつけて食べる。タレはポン酢とゴマダレが一般的である。
しゃぶしゃぶ | |
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発祥地 | 日本 |
「しゃぶしゃぶ」という名称は、1952年に大阪のスエヒロ(現:永楽町スエヒロ本店)の三宅忠一が、当時の関西で新作料理として広まりつつあった「牛肉の水炊き」を自店のメニューとして取り入れる際に採用した。従業員がたらいの中でおしぼりをすすぐ様子が鍋の中で肉を振る様子と似ていることや、その際に立つ水の音がリズミカルで新鮮に響いたことが始まりとされている[1]。1955年に商標登録されている。
調理法に関しては水炊き[注釈 1]やちり鍋とほぼ同じであるが、使用される鍋の形状や作法に若干の違いがある。 肉は牛肉が基本であり、単にしゃぶしゃぶと言えば牛肉を用いたものを指す。派生形として 豚肉や鶏肉、またタコやブリ、タイ、ズワイガニなどの魚介類を用いるものもあり、豚肉を用いるものは「豚しゃぶ」、カニを用いるものは「蟹しゃぶ」などと呼び分けられ、牛肉を用いるものも「牛しゃぶ」と呼ぶこともある。
ミツカンが2021年7月に1000人(15~79歳)にインターネット上で調査で調査したところ具材や調理の仕方に地域差が見られた。先に入れる具材は、東日本では野菜、西日本では肉類という回答が多く、湯通しする平均回数は北海道(4.38回)から九州(4.08回)、近畿(4.04回)、東北地方・沖縄県の3.57回だった[2]。
肉を加熱した後に冷まし、野菜など他の食材とともに盛りつけて提供するものは冷しゃぶと呼ばれる。
味つけを施さない湯の中で食材を加熱するのが本来の形であるが、出汁などで薄めに味をつけることが一般的で、近年は火鍋ブームの影響もあり、様々なスープを用いるスタイルも広まっている。また鍋も太極の陰陽に仕切られた鴛鴦鍋が使用されるなど、火鍋やタイスキなどとの融合、同一化が進行している。
しゃぶしゃぶの原型は中国の内モンゴル自治区の火鍋料理「涮羊肉」であるという説が存在する。
この説によれば、日本人は元王朝の栄養学者兼宮廷医師である忽思慧が『飲膳正要』に記した「火鍋」を改良して、しゃぶしゃぶを開発してきたという[3]。そして、日本のしゃぶしゃぶはこの内モンゴル式の涮羊肉に直接的な継承関係を持たず、北京式にアレンジされた涮羊肉をモデルにし、北京から京都へ伝来したという[4][注釈 2]。
涮羊肉は羊肉を用いる点以外は日本のしゃぶしゃぶと瓜二つであり、またこの料理に用いられる中央に通気孔のあるドーナツ型の鍋が現在のしゃぶしゃぶ鍋の原型となっている。この鍋は火鍋子(フオグオズ)と呼ばれるもので、中央にある煙突状の円筒に長い炭を縦に入れ、中心部から放射状に鍋を加熱するよう設計されている。ただし日本のしゃぶしゃぶ鍋はガスコンロなどの上に置いての使用を前提に作られているため、煙突効果による排気経路として以上の意味は持たない。
一方、しゃぶしゃぶはあくまでも「水炊きの一形態」という説がある。
水炊きには魚介類・鶏肉・豚肉などと並んで牛肉も使用されていたため、こうした調理法で牛肉を食べるのはさほど目新しいことでは無かった。日本の関西地方には味付けを施さず湯と鍋底に敷いた昆布の出汁で肉や野菜を煮り、しゃぶしゃぶに近い水炊き系の料理があって、現在もなお一般的に食されている。
中央に穴の空いた独特な形式の鍋を使用し、ごく薄切りの肉を、鍋の中で箸を離さずに短時間の湯通しを行うという「様式」を意味する言葉であると解釈するのが適切である。もっとも地方によってはその作法や原義が守られず、実質的には関西地方における通常の水炊きと同じ料理になってしまっている例もしばしば見られる[5]。また、しゃぶしゃぶは一般に取り箸を使用せず、各自が生肉を直箸でつまんだまま鍋に泳がせ口に運ぶというスタイルを取るため、近年では衛生面の見地から嫌忌されることもある。
1935年創業の三重県亀山市の料理店では、「肉の水炊き」を第二次世界大戦前(創業時の昭和10年)から提供していたとしている[6][7]。
1945年9月、敗戦により寄留先の北京から引き揚げてきた民藝運動家の吉田璋也が、京都の料理屋「十二段家」の西垣光温に、涮羊肉という料理を紹介した。 西垣は、吉田の他、交流のあった柳宗悦や河井寛次郎らの助言を得て、羊肉を牛肉に差し替え、日本人の口に合うようゴマダレの味を調整し、火鍋子型の鍋を作らせるなど2年近くの試行錯誤を経て、1947年に「牛肉の水炊き」として商品化した[8][9]。 この料理は評判を呼び、また民藝運動に携わる人たちによって各地に広まっていったとされる[10][11]。
前述のように「しゃぶしゃぶ」とは、民藝運動家としても知られる永楽町スエヒロの三宅忠一が、この「牛肉の水炊き」を自店で提供する際にオリジナルの商標として命名したものである。
なお、吉田璋也が1962年に故郷の鳥取市に開いた鳥取民藝美術館に併設する「たくみ割烹店」では、吉田自身の命名による「牛肉のすすぎ鍋」が現在も提供されている[12]。
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