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日本の映画作品 ウィキペディアから
『誰も知らない』(だれもしらない、英題:Nobody Knows)は、育児放棄の実話を基にして2004年に公開された是枝裕和監督の日本映画。 映画のキャッチコピーは、「生きているのは、おとなだけですか。」。
1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件を題材として、是枝裕和監督が15年の構想の末に映像化した作品である。母の失踪後、過酷な状況の中で幼い弟妹の面倒を見る長男の姿を通じ、家族や周辺の社会のあり方を問いかけた。
主演の柳楽優弥が2004年度の第57回カンヌ国際映画祭にて史上最年少および日本人として初めての最優秀主演男優賞を獲得したことで大きな話題を呼んだ。また、キネマ旬報やフランダース国際映画祭で最優秀作品賞を獲得するなど、国内外の映画賞を多数獲得した。2004年度の日本映画のうち、高い評価を得た作品の1つである。
2DKのアパートに、スーツケースを抱えた母親のけい子と息子の明が引越してくる。アパートの大家には「主人が長期出張中の母子2人である」と挨拶するが、実はけい子には明以外の子供が3人おり、スーツケースの中には次男の茂、次女のゆきが入っていた。長女の京子も人目をはばかり、こっそり家にたどり着く。
子供4人の母子家庭との事実を告白すれば家を追い出されかねないと、嘘をつくのはけい子なりの苦肉の策であり、彼女は大家にも周辺住民にも事が明らかにならないよう、明以外は外出を禁ずるなど、子供たちに厳しく注意する。
子供たちはそれぞれ父親が違う。そして大家には小学校6年生と紹介した明をはじめ、学齢期の子供たちは学校に通ったことがなかった。
転入当初は、日中けい子が百貨店で働く間に明が弟妹の世話をする日々が続くが、新たに恋人ができたけい子は家に不在がちになる。やがてけい子は恋人と同棲を始め、子供たちの生活費は現金書留で送り帰宅しなくなる。そこから子供だけの、誰も知らない生活が始まる。明は茂とゆきの父親たちに金の無心目的に会うが、それぞれの事情からお小遣い程度しかもらえない。
母が姿を消して数か月後、生活費は送られてこなくなり底をつく。料金滞納から電気・ガス・水道も止められ、子供たちだけの生活に限界が近づき始める。コンビニ店員から児童相談所行きを勧められた明は「そうしたらややこしくなって4人一緒に暮らせなくなる」と答える。
子供たちは公園に通い水を確保し一日一日を必死に生きのびるなか、不登校の中学生・紗希と出会う。子供たちと打ち解けた紗希は、彼らの凄惨な暮らしを目の当たりにする。
いよいよ食料が底を突く。明は以前万引きと間違われたコンビニに行き、顔見知りの店員から賞味期限切れの弁当をもらうようになる。紗希は協力を申し出て見知らぬ男とカラオケに行き、もらった現金を明に手渡そうとする。しかし、それが援助交際で手に入れた金と知る明は現金を受け取れずに立ち去る。
そんな不条理な環境を我慢し兄として振舞い続けた明だったが、ある日、言うことを聞かない妹弟たちに鬱憤が爆発し衝動的に家を飛び出す。 飛び出した先で、ひょんなことから少年野球チームの助っ人を頼まれ、日常を忘れて楽しむが、家に戻った明が目にしたのは、ベランダの棚の物を取ろうとして転落し、そのまま目を覚まさなくなったゆきと、彼女を見つめながら呆然と座り込んでいる京子と茂の姿だった。
病院に連れて行く金も薬を買う金もなく、明は薬を万引きするが、その甲斐なく翌日ゆきは息絶える。
明は紗希に借金を申し込み、ゆきの好きだったアポロチョコを沢山買い、亡骸を詰めたスーツケースを生前ゆきが憧れた飛行機がよく見える羽田空港近くの河川敷に埋め、二人で弔う。
後日、いつも通りコンビニ店員から売れ残りの惣菜をもらう子供たちと、彼らに寄り添う紗希の姿があった。彼らはいつもと変わりなく日常を過ごし、いつものように自分達のアパートへ帰っていく。
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