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相鉄3000系電車(そうてつ3000けいでんしゃ)は、かつて相模鉄道に在籍していた通勤形電車である。
なお、本項では初代3000系電車を車体更新した3010系電車と、そのカルダン駆動・VVVFインバータ制御化改造車の2代目3000系電車についても記述する。
戦災復興時の1940年代から50年代にかけて集められた車両のうち、20m級の国電型車両の電動車をモハ3000形、付随車をクハ3500形とし、まとめて3000系という名称で統一したものである。車両は片側4つドアの国鉄63系電車タイプと、片側3つドアのタイプに大きく分けられるが、当時、雨後の筍のように乱立していた零細車両メーカーが戦災や事故で破損した車体を修理・製造したものもあり、様々な外観のものが存在した。
前述のようにクハ3503が電装化、方向転換されてモハ3006に変更されている。また、桜木町事故で悪名が高かった63系グループの狭い3段窓については1955年(昭和30年)に2段窓への改造が行われたほか、電動車については1959年(昭和34年)から1960年にかけて主電動機や台車の交換が行われた。
前述の初代3000系の足回りと63系タイプの車両から7両分の台枠を流用し、1964年(昭和39年)から1966年(昭和41年)にかけて、5回に分け東急車輛製造で新規に製造した車体を組み合わせた車両である。これに加えてサハ3514を追加で新造することで合計10両が3010系として落成した。
新しい車体は、同時期に製造されていた旧6000系を元にした20m級通勤型の車体で、ドアの数は各車両とも片側4つ両開き式を採用。デザインも6000系を基本としているが、車高がやや高く、流用品である尾灯の形状(旧6000系は角形、3010系は丸形)などの細部が異なる。
内装も旧6000系とほぼ共通で寒色系の配色でまとめられており、壁面や床は青緑色、座席は全てロングシートで紺色(昭和40年代後半から50年代前半頃に緑色の物に張替えられた)。空調装置は天井に扇風機、座席下に暖房器を設置している。照明については、旧6000系と比べ蛍光灯の数が少なく、一本当たりのワット数も小さかった。
前述のように主電動機は3000系時代の昭和30年代半ばに東洋電機製造製の直流直巻電動機TDK-544-1/Aに統一・更新されており、そのまま流用している。 主電動機の動力伝達方式は吊り掛け駆動方式のままであり、直角カルダン駆動方式を採用した旧6000系に比べると騒音や振動の面で劣る。歯車比は66:16=1:4.13に設定された。
台車は、電動車は軸箱支持方式がウィングばね式で枕ばねにコイルばねを用いた東急車輛製造製のTS-108、制御車および付随車は当初クハ3510形が流用品のTR25A、サハ3510形は新造の軸箱支持方式がペデスタル式の空気ばね台車である東急車輛製造製TS-323であったが、1968年(昭和43年)にクハ3510形もサハと同型の空気ばね台車であるTS-323Aに交換された。
ブレーキ装置は当初電磁自動空気ブレーキであったが、1977年(昭和52年)に旧6000系・7000系と同じ日立式電磁直通ブレーキに改造された。
車両の役割による番台区分が行われているが、Mc車とM車の区別はなく、T車の番号もTc車の続きの番号で付けられているなど、他の車両に比べ大まかである。
登場当初は未改造の3000系と連結する形でも運用された。末期は10両編成(または2両を抜いて8両編成)で運用されていた。また新造車両の3514のみは、旧6000系との混結が可能な設計となっていた。
後述するVVVFインバータ制御化工事のため10両すべてが東急車輛へ送られ、そのうち5両は2代目3000系化されたが、残りの5両はVVVF化されずに車体更新と冷房装置の搭載のみ施工された。その3010系冷房車は営業には就かず、数か月後に再度東急車輛へ送られ3000系となった。そのときの甲種輸送列車は、VVVF化される5100系を併結していた。
1990年代にドアステッカーが既存の丸型の物から現在使用中の「ドアーにご注意ください」の物に変更[注 4]。
1986年(昭和61年)から1987年(昭和62年)の2回に分けて、冷房装置搭載・車体更新と合わせて足回りを相鉄では初めてVVVFインバータ制御方式に、同時に駆動装置を吊り掛け駆動から直角カルダン駆動に変更し[注 5]、併せて形式称号を3000系[注 6]に改めた。相鉄で初のVVVFインバータ車ということもあり、比較試験も兼ねてモハ3052の1両のみが日立製作所、それ以外が東洋電機製造の制御装置を搭載した。またこの改造の際、台車を取り替えたものと据え置いたものがあり、結果的に10両で4種類の台車が混在することとなった[注 7]。尾灯は当初は丸形のままで落成したが、数か月で角形のものと交換され外見上は旧6000系とほぼ相違がなくなった。この改造により相鉄は、関東地方の私鉄(戦後の新規開業路線を除く)では初めて冷房化率100%を達成した[注 8]。
この改造の結果が比較的良好だった[注 9]ことにより、続けて5100系がVVVFインバータ制御に改造された[注 10]。また、電動車2両が電装解除されて付随車(3652)および制御車(3751)になり、このうち3652号車には、長らく保管されていた東急車輛TS-325形が流用された。[注 11]これらの改造により170kWまたは180kWモーターを搭載するMT比4M6T編成[注 12]となった。
1997年(平成9年)に旧6000系が営業運転を終了して以降は、相鉄で唯一の低運転台構造で残る車両となったが、1998年(平成10年)に相模大塚駅の留置線で脱線事故を起こし、一部車両の足回りを激しく損傷。1系列1編成のみの存在だったこともあって修理はされず、8000系8713Fに置き換えられる形で翌1999年(平成11年)に廃車・解体された。
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