旧木田郡役所
ウィキペディアから
ウィキペディアから
旧木田郡役所(きゅうきたぐんやくしょ)は、香川県木田郡三木町大字池戸にある、大正時代中期に建てられた擬洋風建築[信頼性要検証][1]。三木町の文化財に指定[2]されている。現在は同町の管理下にあり、地元の公民館である池戸公民館(いけのべこうみんかん)の建物として運用されている[2]。
旧木田郡役所 | |
---|---|
正門より | |
情報 | |
用途 |
史跡文化財(旧郡役所庁舎) 公民館 資料館 |
旧用途 |
郡役所庁舎 香川県農業試験場庁舎 |
設計者 | 吉峰長太郎正一 |
構造設計者 |
吉峰長太郎正一 ・2012年改築時:(有)藤岡総合設計 |
設備設計者 | 吉峰長太郎正一 |
施工 |
吉峰長太郎正一 ・2012年改築時:(株)藪内建設 |
建築主 | 木田郡 |
事業主体 | 三木町 |
管理運営 | 三木町 |
構造形式 |
下見板系擬洋風建築 木造平屋建、寄棟造、瓦葺 西5間、東3間。南北中央廊下 中央にドーマー塔を配備 |
延床面積 | 327.82 m² |
階数 | 平屋建 |
駐車台数 | なし(池戸商工センターと共用) |
着工 | 1918年(大正7年)6月 |
竣工 | 1919年(大正8年)8月31日 |
改築 | 2012年(平成24年)2月(耐震・復元) |
所在地 |
〒761-0701 香川県木田郡三木町大字池戸2340-1 |
座標 | 北緯34度16分39.2秒 東経134度7分18.2秒 |
文化財 | 三木町指定文化財 |
指定・登録等日 | 昭和61年9月11日 |
備考 | 池戸公民館および地域歴史資料の展示施設として運用中 |
郡制施行時代の郡役所庁舎として建てられた[2][3]擬洋風建造物。香川県内に建てられた擬洋風建築の旧郡役所庁舎としては、現存する唯一のものである[2][1][注 1]。
木田郡林村(現在の高松市林町)に居を置いていた堂宮大工[4]吉峰長太郎正一の築による建築物で、下見板系擬洋風建築の特徴を色濃く映した構造を持つ[1]。1918年(大正7年)6月[1]より現在地において建築工事に着工し、1919年(大正8年)8月31日[5]に竣工、同日より郡役場として運用を開始した[1]。
1926年(大正15年)の郡制廃止により役所としての機能を終えたのちは香川県の所有となり[5][1]1930年(昭和5年)より香川県蚕業試験場として運用される[5][1]。その際に繭を保管する切妻造りの土蔵が正門の東側に増築された。この土蔵は水氷を用いた冷却のため、その内部をブリキ張りにしてある[1]。のち1957年(昭和32年)より、県農業行政機関の機構改革のため、香川県農業試験場三木分場として運用された[5]。しかし1981年(昭和56年)に香川県農業試験場が三木分場を三木試験地として同大字(池戸)内の別地(現在の香川県農業試験場三木試験地)に改組移転させることとなった[1]。
香川県農業試験場の改組移転を受け、跡地および建築物を三木町が買い受けて町有財産とすることが決定し、施設整備ののち1983年(昭和58年)より池戸公民館としての運用を開始した[1]。以降、保全塗装や瓦の葺き替えなどによる、定期的な整備改修が行われてきたが、2011年(平成23年)に東北地方太平洋沖地震にともなう東日本大震災が引き起こされたことを受け、同年より大規模な復元改築を伴う耐震強化改修工事の着工に至り、2012年(平成24年)2月にこれを完了した[6]。これを受けて町では本建築物の、より積極的な運用が検討され、2013年(平成25年)より木田郡および三木町の歴史・考古・民俗に関する資料を展示する[2]資料館としての運用や、町民の主催による展示イベントの提供会場(アートギャラリーおよびコンベンション施設)としての運用[7]が行われている。
なお、三木町の文化財としての指定名称は正式には旧木田郡役所建物(きゅうきたぐんやくしょたてもの)であり[8][5][2]運用施設名としては池戸公民館だが、香川県教育委員会の資料においては建造物の名称は旧木田郡役所庁舎(きゅうきたぐんやくしょちょうしゃ)[1][4]としている。
木造寄棟平屋建の下見板系擬洋風建築[1]。
壁を構成する下見板、玄関に車寄せを配し、瓦屋根の上にドーム状の丸屋根を持つ塔状のドーマーが出ていることが外観的な主要特徴である[1]。特にドーマーに関してはドーム屋根の下に唐破風庇が設えられ、台の部分湾曲や側面の下見板、ドーマー腰部の蛇腹など、和洋折衷の意匠を各所に見取ることができ[1]小規模ながらもコーニスやキーストーンを意識[3]した、細部にまで精巧な作りが成されている[1]。車寄せには妻面に洋風の漆喰によるレリーフ、天井に草花文を透かし彫りした装飾板を設えている[1]。全部屋の壁下部には腰板を擁する[3]。
基礎は花崗岩とレンガ積みによる布基礎。床下換気口には唐草模様が設えられている。また外壁のうち鴨居直下から下見板壁(窓の上辺)に至るまでの空間は漆喰を用い、ここにも和洋混同の特徴を示す[1]。
小屋組みは、キングポストトラスをもって寄棟屋根を形成しているが、梁や大黒柱などは和風建築に見られる丸みを残す材木を使用している[3]。
玄関を入ると土間廊下が南北方向および東西方向[注 2]に設えられ、南北廊下を挟み、西側に5間、東側に前述の土間廊下および3間が間仕切りとして設えられている。南北廊下の北側突き当りは勝手口である[3]。土間廊下以外の廊下(間仕切りを行う廊下)は存在せず、部屋間の移動は相互の部屋を横断する形で行われる。全部屋の内訳は実習室(西広間)・洋室3間・工具室2間・東広間(旧和室)・事務室(旧給湯室)の総計8部屋となる[1]。土間以外の各部屋は全面フローリングとなっている。かつては東広間が和室として畳敷となっていた[9]が、これは1983年の公民館設備の整備のための改築によるもので、2012年復元改築の折に他の部屋と同様のフローリングに改められている。
西側5間は、最西に洋室2間、北に工具室2間、それら各部屋の入口を擁する形で実習室(西広間)が存在し、その南側に玄関からの西土間廊下が設えられている。最西洋室2間のうち南側の部屋に玄関から延びる西土間廊下が繋がっている。東側3間は東土間廊下の北側に洋室1間、廊下突き当りに広間が1間、洋室のさらに北西側に事務所(旧給湯調理室)が存在する。なお1983年整備において和室に改められていた東広間には小収納の押入がついていた[9]が、復元改築を行った現在はなくなっている。
なお本建物内に便所は存在しない[7]。これに関しては正門西側に別棟として建てられている非水洗の外便所か、隣接する池戸商工センターの便所を借りる形での利用となる[7]。
アートギャラリー(東側3間)および郷土展示資料室(西側5間)、共通。なお会議室としての利用は不可[7]。展示主催(展示ギャラリー)としての利用は池戸公民館(三木町文化交流プラザ池戸公民館係)に対する詳細の問い合わせと予約が必要[7]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.