川崎市市民ミュージアム
神奈川県川崎市の等々力緑地にある博物館・美術館 ウィキペディアから
神奈川県川崎市の等々力緑地にある博物館・美術館 ウィキペディアから
川崎市市民ミュージアム(かわさきししみんミュージアム)は、神奈川県川崎市中原区の等々力緑地にあった公立博物館・美術館。ミュージアムショップ、図書閲覧室などの施設もある、総合的な文化施設だった。
川崎市市民ミュージアム KAWASAKI CITY MUSEUM | |
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施設情報 | |
正式名称 | 川崎市市民ミュージアム |
専門分野 | 博物館・美術館 |
館長 | 蛭川泰行(2023年 - ) |
学芸員 | 常勤14人(2023年〈令和5年〉度末現在) |
事業主体 | 川崎市 |
建物設計 | 菊竹清訓 |
延床面積 | 19,542m2 |
開館 | 1988年11月[1] |
所在地 |
〒211-0052 神奈川県川崎市中原区等々力1-2 |
位置 | 北緯35度35分18.9秒 東経139度38分50.1秒 |
外部リンク | 川崎市市民ミュージアム |
プロジェクト:GLAM |
「TOP&カード提示割引」の加盟施設。
2019年に後述する水害による所蔵品被害を受けた後に休館となり、取り壊しが決定した。ミュージアムは多摩区の生田緑地に移転することが2023年に決まり、2029年以降にオープンする予定。2024年時点で施設としては利用できないが、事務所は場所を移して存続している。
1988年の開館当初から写真・漫画・ポスター・映像などの複製芸術の収集・展示に力を入れている最初期の美術館でもある。また産業都市川崎の美術館としてバウハウスやベルント&ヒラ・ベッヒャー展など産業と関わりの深い作品の企画も多かった。写真部門は日本の公立美術館で初めての設立となり、写真界の芥川賞と呼ばれる歴代の木村伊兵衛賞作品など貴重なコレクションを持つ。270席を有する映像ホールでは映画の定期上映をおこない、特徴あるミニシアターの役割も果たしてきた[2]。
行政OBなど行政出身者が代々館長を務めていたが、学識経験者の館長として加藤有次(1932-2003、國學院大學名誉教授、博物館学、考古学)が、死去する2003年11月まで就任していた。
2005年に、漫画作品・資料収集と企画展示に対して第9回手塚治虫文化賞特別賞が贈られた。
2006年5月には、一般公募により、小田急美術館館長の志賀健二郎が着任し、2007年には新たなエントランスを増設し企画展示室を増やすなど大規模な改良工事が行なわれた。
2011年より4か年をかけて、現在大規模な空調改修工事の実施により、文化庁公開承認施設の要件を満たさなくなったため市から承認施設の取り下げをしたことから、重要文化財等の取扱を自粛した(公開承認期間2014年3月まで)。2011年からは再び館長を行政職が務めた。[疑問点]
2017年4月から、指定管理者制度を導入したことにより、指定管理者となったアクティオ・東急コミュニティー共同事業体が運営者となった。その結果、集客性のある企画展「MJ's FES みうらじゅんフェス!」、「かこさとしのひみつ展」や、夏休みの「からくりトリックの世界」といった子どもの来館を誘因するような展覧会を開催することで入館者数を大幅に増加することに成功した、としている[要出典]。
2018年から水害後の2022年まで学芸員経験者の大野正勝が館長を務めていた。
2019年10月12日の令和元年東日本台風(台風19号)による浸水被害で、地下収蔵庫にあった美術品が水没する被害に見舞われ、それ以降休館となった[3]。
浸水では約22万9000点の収蔵品が被害を受けた。2019年10月22日から2020年6月19日にかけて、収蔵庫外への搬出が行われたが、搬出の段階で既に修復困難なものが多数見られた。外部団体による支援も受けながら修復作業が行われたが、状態がひどく、劣化が激しいなどの理由から、2021年1月に藁人形4点、オフセット印刷のグラフィック資料1点、写真雑誌4802点、漫画雑誌・単行本36301点、学校教育用の教材フィルム1129点の計42237点の資料が廃棄処分されることが発表された[4]。また、同年3月には藁人形26点、漫画雑誌1178点の計1204点が新たに廃棄処分されることが発表された[5]。さらに2023年2月にも30107点の収蔵品の廃棄が決定したが、館長の小沢正勝は大規模な処分はこれが最後としている[6]。小沢は2022年に就任した行政出身者である。
この浸水被害に対しては、かわさき市民オンブズマンが市の「不当な財産管理」に当たるとして賠償を求める住民監査請求を起こしたが、監査委員は市が5-10mの浸水を前提とした対策を2022年度から検討する予定だったことや、原因となった内水氾濫は想定外とする市の主張が妥当であるという理由で2020年8月に請求を却下した[7]。これに対してオンブズマン側は市長と指定管理者に対して20億円の損害賠償を求める住民訴訟を横浜地方裁判所に起こした[8]。横浜地裁は2024年2月28日に、内水氾濫は想定外とする市側の主張を認めて請求を棄却した[8]。オンブズマン側は3月11日に東京高等裁判所に控訴した[9]。
市の付属機関である川崎市文化芸術振興会議が設置した川崎市文化芸術振興会議市民ミュージアムあり方検討部会[10]は、現在地以外での施設整備が望ましいとする意見を2020年11月16日に表出し[11][12]、翌2021年8月30日の川崎市議会文教委員会で正式に取り壊しが決まった[13][14]。
川崎市はミュージアムの移転先について検討をおこない、2023年3月に多摩区の生田緑地にある向ヶ丘遊園跡地(市有地で現在はばら苑の臨時駐車場)を選定したと発表した[15]。オープンは2029年以降を目指すとしており、これは水害に遭った収蔵品の修復が完了する予定の時期と重なっている[15]。
川崎市は、新しいミュージアムが完成するまでの間に収蔵品の修復や出張展示企画などを実施するための仮設事務所を2023年10月に麻生区内に開設した[16]。
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