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天然橋(てんねんきょう[1])は、累層の一種であり、岩石がアーチの形状をして下部が開いているものを指す。多くの場合、柔らかい地層の上に固い地層が重なっているような場所で形成され、橋としては細く、周囲が崖になっているような形状が侵食により形成される。侵食は海、河川、あるいは地表の風化によって起こる。これにより、岩石の強度の低い部位が「見つけ出さ」れる。
日本語では、天然橋と呼ばれるほか、門状のものは岩門や石門と呼ばれる[2]。
英語では、"natural bridge" のほかに、"natural arch" とも呼ばれる。
米国天然橋協会 (The Natural Arch and Bridge Society) では、"natural bridge" は、"natural arch" の一種で、次の特性のうちのひとつ以上を備えるものであると定義している[3]。
一方、"Dictionary of Geological Terms"(地質学用語辞典)では、"natural arch" のうち侵食でできた谷にかかるものを "natural bridge" であるとしている[4]。
海岸に見られる天然橋には地質学的に見て2種類がある。海岸線が不整 (discordant) な場合(岩石の帯の走る向きが海岸線と直交しているような場合)は海の波のエネルギーが柔らかい岩石を先に削るため、洞窟のような形状ができやすく、これが貫通することで天然橋となる。オーストラリアのポートキャンベル国立公園にあるロンドンアーチがその例である。海岸が地質学的に整合 (concordant) な場合は、固い層が侵食されたあとに柔らかい層が急速に侵食される。イギリス南部、ドーセットの世界遺産ジュラシック・コーストにあるダードル・ドアやラルウォース・コーブのステア・ホールが典型例である。ステア・ホールの浸食が進んで崩落した場合、そこは入り江の形状になると考えられる。
海や河川による(つまり波や水流による)侵食ではなく、陸上で風化により形成される場合は以下のような過程を経る。
これらは米国ユタ州のアーチーズ国立公園やレインボーブリッジ国定公園で多く見ることができる。
水流が穴をうがつことで、橋と似た形状になることがある。くぼ地から流れる水流が化学的な作用を及ぼして深い穴をあけ、それが地層を貫通することで橋の形になる。
米国ユタ州のナチュラルブリッジ国定公園にその例が見られる。日本では、広島県の東城町にある雄橋が、川の水による侵食によってできた天然橋である[6]。
鍾乳洞の侵食によっても天然橋が形成される。これは複数のドリーネの浸食が進んで結合することによる。
日本では岡山県新見市にある羅生門がこのようにして形成されたものである。
いずれの場合でも、天然橋においては侵食作用が継続中であり、その結果としていずれ崩落あるいは消失する。前出のロンドンアーチはかつて二重の橋になっていたが、荒天により一方が崩落した[7]。
一部の天然橋では、その上に道路が敷設されて実際に橋として利用されている。米国ケンタッキー州には、2つの例がみられる。一つはカーターケーブズ州立公園で、石灰岩の天然橋の上に舗装道路が通っている。もう一つはナチュラル・ブリッジ州立公園で、風化でできた砂岩の天然橋の上に未舗装の道路が通っており、ホワイツ・ブランチ・アーチとも呼ばれている。この上を通る道路はナロー・ロードと呼ばれている。
また、ルーマニアのポノアレレ村 (Ponoarele) には、長さ 60m (空中部 9m)、幅 13m、厚さ 4m、高さ 20m の、Podul lui Dumnezeu (神の橋) と呼ばれる天然橋がある。実用的に利用されている天然橋の一例だが、現在は保存のために補強工事を行うとともに、交通は橋を迂回する措置がとられている[8](2011年7月現在)。
日本の広島県庄原市の雄橋も、昭和初期まで生活道路として利用されていた[9]。
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