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石灰岩地域の陥没孔 ウィキペディアから
シンクホール(英語: sinkhole)あるいはドリーネ(ドイツ語: Doline, セルビア語: dolina)は、石灰岩・ドロマイト地域で地下に空洞が発達し表層が崩落して生じる陥没孔である[1]。
地下水による浸食、あるいは何らかの化学的な変化によって、地下にある岩石または空間が崩壊し、地表にまで到達する大きな穴が開く。カルスト地形においてしばしば起こる。
鉱山跡や採石場跡が陥没した時など、人工的な構造物に由来するものもシンクホールと呼ばれる。カルストに由来するシンクホールと区別するため、英語ではドイツ語に由来する「Pinge」と呼ばれることもある。
湖沼や海にも発生する。海面下のシンクホールはブルーホールとよばれる。ユカタン半島の低平な石灰岩地帯に見られる陥没穴はセノーテと名づけられており、地下水が溜まった天然の井戸・泉となっている。また、道路に埋設した上下水道管が壊れて漏水し地盤が崩れて発生する場合や、高層建築物建設に伴う掘削によって地下水が抜け地盤沈下を起こすことで穴が開く場合があり、これらもシンクホールとよばれることがある。
大韓民国では、近年人為的な要因から発生するシンクホールが増えており、社会問題となっている[2]。
ドリーネ(doline)は谷を意味するセルビア語ドリーナ(dolina)に由来し、英語では落込穴を意味するシンクホール(sinkhole)が用いられる[3]。
フロリダ州では石灰岩などで構成される岩盤が酸性の地下水による浸食を受けて地面の陥没や穴の出現が再三起きている[4]。特にヒルズボロ郡は「陥没地区」と呼ばれるほど多発しており、フロリダ州の上院保険・銀行委員会の報告書によると事故による保険金請求件数全体の4分の3がシンクホールによるものである[4]。
日本では石灰岩により自然的に発生するシンクホールは少ないが、鉱山跡、採石場跡、下水道管路、地下鉄工事現場などではシンクホールが多く発生している。ごく浅い場所で採掘する亜炭の採掘場所の跡地での発生が多い。北海道の炭鉱跡地など、炭鉱が大規模な場合はシンクホールも大規模になる。
市街地でも、かつて採炭や採石が盛んだった地域はよく発生している。例えば、亜炭で有名な可児郡御嵩町、大谷石で有名な宇都宮市大谷町、炭鉱で有名な北海道夕張郡や福岡県筑豊地方、などで発生している。陥没を避けるために、坑道跡に地下水充填などの対策があるが、鉱業とともに町の産業も衰退した自治体ではそのような予算がない場合が多い。もし自宅などがシンクホールの底に沈んだ場合は、特定鉱害として鉱業法第109条に基づき、行政の支援が受けられる場合がある。
日本国内では下水管に起因する道路陥没事故が年間4,000 - 5,000件程度起こっている[5]。
2007年2月23日、グアテマラシティの住宅街に深さ100mのシンクホールが発生、5人が死亡した。2010年5月30日には、グアテマラシティの工場地帯で直径20m、深さ30mのシンクホールができ、3階建ての工場がそのまま崩壊し15人が死亡した。熱帯低気圧がもたらした洪水と下水道管の管理不良が原因であった。
2014年11月、ロシア中部ペルミ地方ソリカムスク(ru:Соликамск)のカリウム鉱山で巨大なシンクホールが出現、12月には幅80mに達した[6]。
2015年2月20日、韓国ソウルで、突然歩道が深さ約5メートル陥没し、バスを降りたばかりの男女2人が転落したものの、二人とも軽症だった[7][8]。
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