地獄温泉
熊本県南阿蘇村にある温泉 ウィキペディアから
熊本県南阿蘇村にある温泉 ウィキペディアから
地獄温泉(じごくおんせん)は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽にある温泉。温泉名の由来は温泉の裏山に火山ガス噴出による草木の生えていない場所(いわゆる地獄地帯)が存在することによる。
現在は「青風荘」1軒のみから成り立っており、隣の垂玉温泉瀧日和もさほど離れていない場所に立地しているものの、源泉が異なるため別の温泉として扱われている。以前は国民宿舎「南阿蘇」も存在したが、2008年2月末に閉館した。また「柴田旅館」も存在したが2013年に閉館している。柴田旅館は内湯を持たず、すぐ向かいの清風荘の湯を使う形態の湯治宿であった。宿は山の中に孤立・散在している形となっていた。
当温泉の現在唯一の旅館である「清風荘」(青風荘と表記される場合もある)は木造校舎を連想させる巨大な建物で[1]多くの浴場があり、湯めぐりができる。源泉は裏山の地獄地帯から引湯しているが、露天風呂の「すずめの湯」だけは、湯船の底から源泉が足元湧出している。2016年の熊本地震で多くの建物が被災した。ここでは被災前と被災後の浴場を記す。
内湯
露天風呂
江戸時代は熊本細川藩の藩士しか入浴が許されていなかったという格式を誇る。また、入浴が許された藩士も帯刀を義務付けられるなど、数々の掟があった。清風荘の本館(旧館)玄関には当時の掟書(1808年執筆)が展示されている[1][2]。
1998年の台風7号(奈良県の室生寺五重塔に大きな被害をもたらした台風)では、清風荘の本館(旧館)は目立った被害がなかったが、別館(新館)の屋根に大きな被害を受け、別館は翌年に改築された。
2002年のFIFAワールドカップ・日韓大会の際は、熊本市で大会前のキャンプを行っていたサッカーベルギー代表チーム一行が、当温泉に入浴した。
2016年の熊本地震では建物の崩壊などはなかったが、温泉に通じる国道325号阿蘇大橋が崩落し通行できなくなるなどしたため、宿泊者や関係者は自衛隊のヘリコプターで救出された。それ以来、旅館は閉鎖された。その後同年6月に大規模な土砂災害が発生し、殆どの建物に被害が出た。建物は本館の玄関部分以外は全面的に改築・改装し、2019年4月にすずめの湯が日帰り温泉として再開する。その後、2020年4月を目処に再開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。同年9月18日に、宿泊も再開した。
明治以降、一般庶民に開放された地獄温泉は、庶民の湯治場として発展する。現在でも清風荘には、一般旅館部とは別に安価で素泊まり宿泊できる自炊設備を完備した簡素な部屋が存在する。近年までは旅館敷地内に湯治客のための食品や日用品を販売する売店が営業を続けていたが、経営者の高齢化により廃業してしまい、自動販売機コーナーになってしまった。また、テレビ等で紹介されたこともあり、一般観光客が増加して一般客室を増やすために、湯治客用の部屋は減った。熊本地震でほぼ全面的に改築することになったが、湯治部は「曲水舎」の一角として存続している。
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