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イェフエカウケラトプス(学名:Yehuecauhceratops) は、メキシコ合衆国コアウイラ州の白亜紀後期の地層から発見されたセントロサウルス亜科に属する恐竜の属。属名はナワトル語で「太古の」を意味する yehuecauh と「角のある顔」を意味する古代ギリシャ語を組み合わせたもの。Y. ムデイY. mudei 一種のみで知られる。2つの部分的な標本の記載が2016年にリベラシルバ Rivera-Sylva のチームによって行われ、2017年に同チームによって記載論文が発表された。全長約3mと推定される小型セントロサウルス亜科動物で、同地域に共存していた別の2種類のケラトプス類、アグジャケラトプスとコアフイラケラトプスと別の生態をもっていたことが、本種の体を小型化させたものと考えられている。鱗状骨基部の近くに位置する一つの粗い突起は小さい角の基底部であると思われる。その構造がイェフエカウケラトプスを他のセントロサウルス亜科と区別できる形質である。アヴァケラトプスやナストケラトプスようなナストケラトプス族との類縁関係が様々な形態学的類似性によって示唆されている[1]。
イェフエカウケラトプス Yehuecauhceratops | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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Y. mudei ホロタイプの鱗状骨 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
白亜紀後期 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Yehucauhceratops Rivela-sylva et al, 2017 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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イェフエカウケラトプスは全長約3mの小型ケラトプス類である[2]。模式標本は脊椎の癒合の度合いから亜成体か成体と思われる[3][4]。
イェフエカウケラトプスの鱗状骨は他のケラトプス類と区別するための唯一の要素である[2]。それはセントロサウルス亜科を特徴づける頭頂骨との境界に階段状の縁を有する。より基盤的なセントロサウルス亜科であるスティラコサウルスやセントロサウルス、パキリノサウルスとは似ていない[5]。しかしアヴァケラトプスには似ている[6]。鱗状骨は左右の広さよりも前後の長さの方が大きい。側頭骨後部の広さは残りの骨の長さの2倍ある[3]。周飾の頂点は、側頭骨の外縁に続き、フリル基部にスリット状に入り込む[2]。
鱗状骨の外縁に沿って、縁鱗状骨自体は欠けているが、おそらく縁鱗状骨を支持していたらしき3つの発達したうねりが存在する[2] 。第2のうねりは、より多くの派生的なセントロサウルス亜科のように、わずかに上方に偏向する[5][7][8]。 しかしウェンディケラトプスおよびより多くの派生的なセントロサウルス亜科では、3つではなく、少なくとも4つまたは5つのうねりが存在する '[9]。 イェフエカウケラトプスの鱗状骨には底部の近くを横切って走る隆起がある。それはナストケラトプスよりも顕著ではなく[10]、扇状の後頭骨には及ばない。アヴァケラトプス、ウェンディケラトプス、アルベルタケラトプス[7]と異なり、尾根に沿った3つの滑らかな隆起はなく、隆起の中央付近にわずか1つの粗い突起があり、おそらく小さな角を支持していた。これらの2つの特徴、つまり尾根の位置および単一の隆起は、イェフエカウケラトプスの固有派生形質であり、他のセントロサウルス亜科と区別することができる形質であると言える[2][3]。
頭頂骨の断片から判断すると、それは比較的滑らかな骨であった。フリルの中心付近から生じた最大かつ最も厚い部分は、他のほとんどのセントロサウルス亜科とは対照的に、おそらく比較的小さい開口部を有していたと思われる。だがそれはアヴァケラトプスには存在すらしない。頭頂骨の装飾は保存されている。その形状は頭頂骨のうねりと違って単純なもので、三日月形の縁を有し、その表面は粗くなっている。ディアブロケラトプス、アヴァケラトプス、ゼノケラトプス、ナストケラトプスと同様に、この縁頭頂骨は他のフリル外縁と直接隣接していない。その代わりに、フリル外縁のすぐ後ろの骨に内向きのうねりがある[3]。
前上顎骨の断片は鼻腔の縁を含んでいる。ディアブロケラトプスのように、斜めに横切って伸びる隆起部は、アヴァケラトプスよりも顕著である。骨の内面は、骨の最も厚い部分である鼻孔を取り囲む上部を除いて粗くなっていた。歯冠の一片は、下顎骨の冠状突起の存在から判断して、顎の後部3分の1から発生している。それは骨の中心から正中線に向かって穿たれた3つの完全に露出した歯を遺した6つの歯槽をもち、デンタルバッテリーを支持したと思われる[11]。
典型的なセントロサウルス亜科のように、肩甲骨は関節丘の約半分を成す。他のケラトプス類と同様に、隆起は顕著で非常に粗面であった。骨の下端は、漸進的な曲線ではなく、骨の最も厚い点で25度の急角度になっている。肩甲骨の上端は、他のセントロサウルス亜科よりもはるかに顕著に、パドル型を形成するように広がっている。他のケラトプス類のように腸骨は上から見たときに偏向した部分がまっすぐに見える形で強く偏向されている。
頑健な棒のような大腿骨はアヴァケラトプスのようにまっすぐに伸び、湾曲はわずかだが、その一部は破損による変形かもしれない。大腿骨の上端は丸形であり、大転子は大腿骨の上端から分離しており、大腿骨上端の高さより上に伸び、第4転子は他のセントロサウルス亜科のように顕著な隆起を形成する。脛骨の畝は拡大されており、アヴァケラトプスに似た骨の拡張端の幅の約40%である[6][5][3]。
頸椎の大きな神経管から判断して、首から胴への移行部の近くから発生する胴椎は、神経管の段階で両側に倒れた状態で縁をわずかに挟んでいる。椎骨の関節末端は、両側で丸く、凹状を示す。神経管はそれ自体の幅よりも約25%高さがある。神経管を包囲する神経弓は、骨の残りの部分にほぼ完全に癒合している。しかし境目の小さな痕跡は、いくつかの部分でわずかに視認できる[12]。
イェフエカウケラトプスの標本は2007年から2011年にかけての探険で発掘された。場所はコアウイラ州オカンポのラ・サラダの町の近くのアグヤ累層の一部で[2]テキサス州のビッグベンド国立公園から南に23.3kmの距離である。堆積岩の地質年代は白亜紀後期カンパニアン期であることは確かだが、それ以上の詳細は調べることが難しいらしい[3]。イェフエカウケラトプスのホロタイプは砂漠博物館で古生物コレクションとして保管されている[2]。
ホロタイプは CPC 274 とナンバリングされた。それはほぼ完全な左の鱗状骨、3つの後頭骨断片、1つの前上顎骨の断片、歯骨、 肩甲骨、脛骨、そして壊れた神経棘つきの頸椎で構成される[3]。上腕骨の一部、尾を支える骨化した腱、そしてその他諸々の雑多な骨の断片も見つかっているがホロタイプには含まれなかった[2]。加えてとても小さい 腸骨の断片が第二標本、 CPC 274 とされたが小さすぎて2017年の記載論文では参照されず、標本番号は CPC 1478 に変わった[3]。
またこれら2つの標本はいずれもリベラシルバ等によって2016年に分類不明のセントロサウルス亜科として記載されていた[3] 。それらはエクトール・エドゥアルド・リベラ=シルバ Héctor Eduardo Rivera-Sylva、エベラルド・フレイ Eberhard Frey、ヴォルフガンク・シュティネスベック Wolfgang Stinnesbeck、ホセ・ルーベン・グスマン=グティエレス José Rubén Guzmán-Gutiérrez、そしてアルトゥロ・オメロ・ゴンザレス=ゴンザレス Arturo Homero González-González によって、鱗状骨の固有派生形質に基づきイェフエカウケラトプス・ムデイとして記載された。種小名は砂漠博物館(Museo del Desierto)の略称(MUDE)に由来する[2]。
2016年の分岐分析で、イェフエカウケラトプスはアヴァケラトプス、ナストケラトプスと共にセントロサウルス亜科の基盤的位置に属するナストケラトプス族に位置付けられた。確かにイェフエカウケラトプスとアヴァケラトプスは多くの特徴を共有している。以下に分析結果から導かれた系統樹を示す[3]。
セントロサウルス亜科 |
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イェフエカウケラトプスの鱗状骨の独特の粗い突起は、以前アリゾナのフォートクリッテンデン累層から発見された NMMNH P-25052 (クリッテンデンケラトプス)とニューメキシコ州のメネフィー累層の頭骨(NMMNH P-34906)のセントロサウルス亜科(メネフィーケラトプス)の間でのみ見られる。 しかしこれらの標本は100万年以上の時間の経過によりバラバラに分離されているので、それらが同じ属に属しているかどうかはわからず、可能性としては低い。さらに「ニップル・ビュート・スカル」Nipple Bute skull と呼ばれる標本 UMNH VP16704 は、この特異な突起がない一方で扇形の後頭骨を有し、イェフエカウケラトプスおよびNMMNH P-25052に類似している[13] [3]。
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