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とけい座(とけいざ、Horologium)は、現代の88星座の1つ。18世紀半ばに考案された新しい星座で、振り子時計をモチーフとしている[1][3]。南天の星座で、日本最南端の有人島である波照間島からも星座の全域を見ることはできない。
とけい座は、18世紀中頃にフランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって、振り子時計をモチーフとして考案された[3]。初出は、1756年に刊行された1752年版のフランス科学アカデミーの紀要『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載されたラカーユの星図で、振り子時計の星座絵とフランス語で「時計」を意味する l’Horlogeという名称が描かれていた[3][10][11]。ラカーユの死後の1763年に刊行された『Coelum australe stelliferum』に掲載された第2版の星図では、ラテン語化された Horologiumと呼称が変更されている[3][12]。
1801年にドイツの天文学者ヨハン・ボーデが刊行した『ウラノグラフィア』では Horologium Pendulum、1899年にアメリカのアマチュア博物学者リチャード・ヒンクリー・アレンが刊行した『Star Names: Their Lore and Meaning』では Horologium Oscillitorium[13]などの名称が使われることもあったが、ラカーユのオリジナルである Horologium に取って代わることはなかった[3]。
1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Horologium、略称はHor と正式に定められた[14]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。
日本では当初から「時計」という訳語が充てられていた。これは、1908年(明治41年)12月に刊行された日本天文学会の会誌『天文月報』の第1巻9号に掲載された星図で確認できる[15]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「時計(とけい)」として引き継がれた[16]。戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[17]とした際に、Horologium の日本語の学名は「とけい」と定まり[18]、これ以降は「とけい」という学名が継続して用いられている。
IAUが学名を Horologium と定めた後の1931年(昭和6年)3月に天文同好会[注 1]の編集により刊行された『天文年鑑』第4号では、星座名を Horologium Oscillitorium とした上で「振子時計」の訳名を充てており[19]、以降の号でもこの星座名と訳名を継続して用いていた[20]。
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