𠮟

叱 および 𫜸 も参照。

漢字

𠮟

• 部首: 口口 + 2 画
• 総画: 5画5

• 異体字 : 叱（別字/俗字）

  注: 「叱」「𫜸」（「カ」、口を開くさま）は本来別字^[1]

字源

• 形声。「口」+音符「七 /*TSIT/」。
  • かつて「会意形声文字」と解釈する説があったが、根拠のない憶測に基づく誤った分析である。

小篆
《説文》 （漢）

意義

1. しかる。

日本語

常用漢字（「叱」も通用字体^[2]）

常用漢字

音	漢音: シツ 表内
訓	訓読み: しか-る 表内

動詞

𠮟する (しっする)

1. しかる。
2. 舌打ちをする。

活用

𠮟-する 動詞活用表（日本語の活用）

サ行変格活用
語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
𠮟	し せ	し	する	する	すれ	しろ せよ

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
否定	𠮟しない	未然形 + ない
否定(古風)	𠮟せず	未然形 + ず
自発・受身 可能・尊敬	𠮟せられる	未然形 + られる
丁寧	𠮟します	連用形 + ます
過去・完了・状態	𠮟した	連用形 + た
言い切り	𠮟する	終止形のみ
名詞化	𠮟すること	連体形 + こと
仮定条件	𠮟すれば	仮定形 + ば
命令	𠮟しろ 𠮟せよ	命令形のみ

活用と結合例

熟語

• 𠮟正
• 𠮟責
• 𠮟咤
• 𠮟咤激励

用法

• 辞書では本字「𠮟」（JIS第3水準）が「シツ、しかる」で本来「叱」（JIS第1水準）は別字（「カ」、口を開くさま）とされるが、その使用実態から見て、「叱」は「𠮟」と異体の関係にある同字と認めることができる^[2]。
• 実態としては、「シツ、しかる」として「叱」の方が「𠮟」よりも高い頻度で用いられている^[3]。
• JIS X 0208 ^(wp)では、「叱」と「𠮟」は28-24に包摂 ^(wp)されている。両者はJIS X 0213 ^(wp)でも1-28-24に包摂されていたが、JIS X 0213:2004で分離され、1-47-52に「𠮟」が追加された。

手書きの字形について

• つくり（右側の部分）は「七」「𠤎」「匕」などの書き方があり、いずれのように書いてもよい^[4]。

中国語

𠮟 *

• ローマ字表記
  • 普通話
    • ピンイン: chì (chi4)
    • ウェード式: ch'ih⁴

チワン語

ローマ字表記

• cit

1. 「𰝘」の同字。

• yaep

1. 「𭥩」の同字。

文字情報

𠮟 U+20B9F, 𠮟 CJK 統合漢字-20B9F ← 𠮞 [U+20B9E] CJK統合漢字拡張B 𠮠 → [U+20BA0]

文字コード (文字集合規格)

-	Unicode: U+20B9F
日	JIS X 0213: 1面47区52点 [第3水準] (Shift_JIS=0x9873, EUC-JP=0xCFD4, ISO-2022-JP=0x4F54) MJ文字図形: MJ032108
中	GB18030: 0x9534B031

• 四角号碼: 6401₀ / 6201₀
• 倉頡入力法: 口心 (RP)

字典掲載

康熙字典	173ページ, 1文字目
諸橋大漢和辞典 (修訂第2版)	3247
新潮日本語漢字辞典 (2008)	1280
角川大字源 (1992)	1054
講談社新大字典 (1993)	1740
大漢語林 (1992)	1245
漢語大字典 (1986-1989)	1巻, 572ページ, 5文字目

脚注

1. 辞書では本来「しかる」（シツ）と「口を開くさま」（カ）は別字とされ、後者はUnicode 14.0でU+53F1（叱）からU+2B738（𫜸、CJK統合漢字拡張C）に分離された。UTC #167 Minutes (L2/21-066) (Unicode Consortium) 参照。
3. 表外漢字字体表（平成12年国語審議会答申）「III 参考」「1 表外漢字における字体の違いとデザインの違い」
4. 『常用漢字表の字体・字形に関する指針（報告）』p.58 2016年2月29日 文化庁